No.41〜60
2002年9月4日
No.41 Hi-BOY まるごとしぼり 凍砕果汁チューハイ レモン / 合同酒精
確かにフレッシュ極まりない香りだが、どこかで嗅いだことがある。記憶をたどってみると、
そうだ、ガラスクリーナーだ。刺激的で、不自然にフレッシュさを強調したような香り。
味わいは実にしっかりとしたアルコール感があり、有無を言わさずチューハイという感じ。
ザラメ的甘さが実に垢抜けない印象で、今どきの風潮にまったく反している。
ジュースのようなものが幅を利かせている昨今では、極めて珍しい、無骨なチューハイ。
たぶん、メジャーにはなりえないだろう。保守本流、を通り越して、時代遅れの保守勢力。
軽薄短小へのアンチテーゼとしては面白いけど、表面だけフレッシュでチャラチャラした
感じに仕上げようとしているその無謀さが、実に田舎臭い。
これこそは焼酎ベースだろう、と思っていたら、醸造アルコール、スピリッツと書いてある。
果汁7%、アルコール度数6%ということだが、これで果汁比率が低かったら、もっとどぎついんだろうな、
と思う。
2002年9月15日
No.42 サッポロ 海と大地の澄んだ生
ちょっと値段が高め(150円)ということで話題になった限定生産の発泡酒。
近所のスーパーやコンビニでは見かけないため、デパートでGETした。さて、その実力のほどは?
泡の立ち方、盛り上がり方、腰のある持続力がすばらしく、さらに色もしっかりめで、
ビールと区別がつかない。香りもやや軽めのミント系ではあるが、穀物臭さは感じられず、ここでもビールと区別はつかない。
口に含むと、重みのなさで、やっぱり発泡酒だったと思い知らされるものの、強い渋味と適度な苦味は立派なもの。
飲み込んだ後、鼻から抜く息に穀物臭さがあり、この点は致し方ないのだろうと思う。
全体としてはよくまとめられている。後味は、ほろっとして、クリア。
ビールから真ん中の充実度をスパッともぎ取ったような印象で、極めてデリケートな仕上がりは評価に値する。
粗暴でもいいからビールに近い飲み応え(例えば、キリン淡麗のような)を望むという人には、おそらく酷評されるであろう。
そのくらいにデリカシーに富んだ味わいだといえる。アサヒ本生の路線だが、本生よりは厚みがある。
ただ、値段といい、この仕上がりといい、わざわざこれを選ぶ理由がない
という感じも拭いきれない。戦略としては、おそらく、失敗だろう。
だが、こんな地味ながら一生懸命開発しました、という心意気を感じる商品は、私としては高く評価したい。
客観的なクオリティは、発泡酒No.1といいたい。
(じゃあ、毎日飲むか?と聞かれたら、それはまた別問題なのだが)
"世界初、海洋酵母(R)使用発泡酒"とあり、「海洋酵母は、三共株式会社の登録商標です。」とも書かれている。
製薬会社との共同作品とは面白い。
「自然の海で育まれた酵母の中から発泡酒の醸造に適したものを選び、最適な量を使用しています。」
「自然の海で育った酵母と契約栽培で丁寧に育てた麦。海と大地の力が、クリアで澄んだおいしさをつくりあげました。」
こんな文章を見るに至っては、それなら何でビールにしないんだよ!わざわざ発泡酒になんかするな!と叫びたくなる。
2002年9月16日
No.43 オリオンスペシャル <辛口生>
わが国第5位のビールメーカー、沖縄のオリオンビールから出ている発泡酒。
色は薄いが、オリオンビールもそうであるから、この薄さは気にならない。泡には最初力があり、こんもりと盛り上がるが、
あまり持続はせず、ちりちりと衰えてゆく。香りはおとなしいが、やや発泡酒臭さがある。
口当たりが実にシャープで、小気味よい。そのインパクトが持続するので、穀物臭さが押さえ込まれている。
後味もすっきり。
オリオンビールのクリアなテイストをそのまま受け継いでおり、なおかつ刺激が強いので、スカッとした味わいにまとめられている。
Sharp and Dry! の文字があるが、その通りの仕上がりになっていると思う。145円だが、本州でも本格的に売り出せば、
結構善戦しそうな気がする(今回は、全国のご当地品を揃える百貨店にて入手)。
2002年9月19日
No.44 キリンチューハイ 氷結 ウメ
今度は「感動的おいしさ」のキャッチコピーで登場した、氷結シリーズの第4弾。
前作オレンジでは、「自信があります」というコピーだったが、自信がないゆえの発言か?と、
当サイトでは酷評した。その次ということで、今回も疑いの気持ちを持って臨んだ。感動的に・・・なのではないかと。
色付けは上品で、いかにもウメ。香りは、梅ガムあるいは梅のど飴のような、甘そうな印象。
口当たりも、いかにも香料ですという感じで、お菓子チックなお子様テイスト。いや、決して不味いというわけではない。
むしろ、飴をなめているような味わいの安定感がある。
レモン、グレープフルーツと洗練されたフレッシュ感が売り物だったのに、この氷結シリーズはオレンジからお子様路線に転換してしまったようだ。
確かに缶チューハイを、今までアルコール飲料とは疎遠だった層(特に若い女性)にまで広げた貢献は大だが、
だからといって、ジュース路線をひた走ってしまって良いのだろうか?
合同酒精や、アサヒに買収された旭化成や協和発酵の焼酎部門の造る一連の商品や、サントリーのスパチューのように、
しっかりとした飲み応えのある商品に対して、「万人のためのお子様テイスト」を邁進するのだというキリンの決意であるのなら、
それはそれで評価すべきだろう。
アルコール飲料とは意識せずに、夏の炎天下にゴクゴク飲み干せる軽やかさだが、昔よくあった梅ソーダ(ノンアルコール)とどこが違うんだ?
という程度の味わいであり、印象は薄い。感動的に平凡な缶チューハイ。
2002年9月27日
No.45 サッポロ ブロイ 本選り
「契約栽培麦芽+無農薬ホップ」との表示といい、商品名の「本選り」といい、
クオリティが普通とは違うのだというアピール。
泡の立ち方は勢いがよいが、衰えるのも早い。香りは驚くほどクリーンで、発泡酒臭さは薄い。
味わいも洗練されているが、渋味もしっかりある。
スタイルとしては、キリン淡麗の対抗馬になりうるもので、擬似ビール路線と言える。
口の中に少し嫌味のある酸が広がり、まるでキリン一番搾りの発泡酒版と言えるような味わい。
後味にも酸味はしっかり残る。
ビールに近い飲み応えと、クリア感の両方を狙っているのかもしれないが、
どっちつかずになっている。サッポロらしからぬ戦略だ。
一番搾りが好きな人には受け入れられやすいかもしれないが、"キリンもどき"とのそしりを受けそうな製品。
一生懸命新境地を開こうとしたのだろうが、私は好きになれない。このどっち着かず感は、とても居心地が悪い。
2002年9月29日
No.46 メルシャン グビッ酎 レモンハイ DRY TASTE / フローズンクラッシュ製法
今現在も製造されている製品かどうかわからないが、近所のスーパーで見かけ、面白いので購入した。
まず、写真左。グビッ酎 レモンハイ DRY TASTE。
香りはおとなしめ。色鉛筆のような匂いがある。味わいはレモンスカッシュのようにさわやかだが、
かなり渋味がひっかかる。それが飲み応えだと言えなくもない。後味はすっきりとしていて、甘味は弱い。
全体的にシャープな印象。
次に、写真右。グビッ酎 レモンハイ フローズンクラッシュ製法。
居酒屋で注文した生レモンサワーのように、みずみずしいレモンの香りだが、やや不自然に強い。
"とっても良い香りの芳香剤"的。飲み口はジューシー。アルコール度数7%にしてはソフト。
かなり甘めのレモンジュースのよう。酔いを気にせずおいしく飲める。ただし、こちらも渋味というか、レモンのキシキシ感は残る。
同シリーズの2製品を比べてみて、かなり違う印象。それぞれ特徴があっておもしろい。
玄人受けしそうなのが前者(左側)。誰でも飲みやすいのが後者(右側)。
2002年10月4日
No.47 チューハイ ハイリキ 旬果搾り うめ / アサヒ
ラインナップが充実してきた旬果搾りの"うめ"。
フレッシュさが強調され、ジュースチックな香りは、"キリン氷結ウメ"によく似ている。
着色料不使用だけあって、ほとんど色はない。
甘味がかなり強く(甘ったるいというほどではない)、酸は丸いので、とても飲みやすい。
飲み干したあとに、なぜか渋味が唇の裏にひっかかる。が、それがこの商品の個性で、
単なる初心者向けアルコール飲料ではないと主張しているかのようだ。
当サイトでは、以前にレモンが登場している。いずれも今風な売り方をしているものの、
しっかりした芯を感じさせる商品だ。ただ、レモンと比べると、こちらは幾分か骨抜きの感は拭えない。
以前登場した時はまだ「旭化成」の商品だったが、現在では同社の焼酎部門を買収した「アサヒビール」ブランドで
出ており、製造は、アサヒ傘下の「ニッカウヰスキー」となっている。
2002年10月6日
No.48 チューハイ ハイリキ 旬果搾り グレープフルーツ / アサヒ
果汁18%というのがウリの缶チューハイ。
香りは、スーパーサワーや氷結よりも、更にロッテガム・グレープフルーツに似ている。つまり、とても人工的。
味わいも香りの印象どおり、甘味が豊か。酸も強く、柑橘特有の渋味も強いが、甘さが優っている感じ。
このジューシーな飲みやすさは、旬果搾りの中ではダントツ。ハイリキがここまでジュース化してしまうのは、
大きな違和感がある。
それにしても、なぜグレープフルーツだけ果汁18%なのだろう。味の仕上がりを見てのことだろうが、
このわざとらしいジューシーさは、果汁が何パーセントであっても関係ないような気もする。
飲み終わったあとの歯のキシキシ感と、唇のまわりがひりひりするような感じから、確かに本物のグレープフルーツを忍ばせ、
相応の満足を与えてくれるが、「くどかったなあ」という感も否めない。1本で満足してしまって、2本続けて飲もうという気にはならない。
そこが最大の欠点かもしれない。
ハイリキというブランドイメージを大きく変えてまで、こんな製品を作る意図が、
単に時代への迎合だとしたら、ちょっと悲しい。
2002年10月14日
No.49 チューハイ ハイリキ 旬果搾り シークァーサー / アサヒ
恥ずかしながらシークァーサー(沖縄みかん)という果物の実物を私は知らないので、どれだけリアリティのあるフレーバーなのかはわからない。
感じたままを書くことにしよう。
香りは、みかんというよりはもっとシャープで、オレンジとライムの中間といった感じ。強いて言えば、はっさくに近い。
甘味よりも苦味を想像させる。味わいは酸が強く、すっきりしている。ほんのり甘いが、オレンジチューハイというイメージではない。
爽やかでキレが良くて、歯にはキシキシ感が残る。
この旬果搾りシリーズは、テイストごとにそれぞれ個性を追求していることがよくわかる。
それゆえブランドイメージがまったく統一されていないが、これで良いのだと思う。
くどいグレープフルーツのあとにこれを飲めば、口の中がすっきりしそうだ。そんなことをしたら、酸味が強調されてたいへんだとは思うが。
2002年10月25日
No.50 サントリー キョホグレ
グレフルとピングレのイメージがあるので、それに巨峰が加わったというと、相当甘ったるいだろうと覚悟の上、臨んだ。
ところが、予想を大きく裏切ってくれた。
缶を開けた瞬間、いかにも作られたぶどうの香りが立ち昇り、ああやっぱり、と思う。が、味わいの第一印象は、
驚くほどシャープで、上品。確かに甘味はあるが、甘ったるい感じではない。
炭酸がかなり効いており、シャープさに貢献している。飲み終えた後に、ぶどうのタンニン分がひっかかる。
それもいい感じだ。
先入観で商品を選んではいけないという良い見本だろう。これならば、カクテル好きの女性にも、男性にも受け入れられるのでは
ないだろうか。
2002年10月26日
No.51 サントリー スーパーチューハイ レモン
新しくなったスパチューのレモン。かなり売れていたのにもかかわらずリニューアルするところに、
サントリーのこの製品にかける意気込みと、他社の多様な戦略に対する警戒感が伺える。
香りはシャープで控えめ。最近ありがちな、わざとらしいフルーツフレーバーのチューハイとは対極をなす。
口当たりも、その後の味わいの広がりも、実にクリアで、ストイックなテイスト。甘味は抑え込まれ、
口の中に嫌な後味を残さない。徹頭徹尾ドライなチューハイ。
スパチューという同じ名前で出しているのがおかしいくらいに、まったく違う製品になってしまった
(著名ブランド名をそのまま残した上で新たな挑戦をしようという姑息さがうかがい知れるが、まあヨシとしよう)。
オールドファンには物足りないかもしれないが、今販売されているすべての缶チューハイの中で、
もっともソフィスティケートされた製品だと思う。こういうテイストは、アサヒのお家芸だと思うのだが、
これでスーパーサワーの息の根が止められてしまった、とすら私は思う。あっぱれ、サントリー。
缶のデザインも味わいにマッチしているが、稲垣吾郎を起用したコミカルなCMでは、製品の良さが伝わらない。
それにしても、ちょっと前に出したアイスチューハイはどうするつもりだろう。もうお蔵入りか?
2002年10月27日
No.52 サントリー スーパーチューハイ グレープフルーツ
今度はスパチューのグレープフルーツ。レモンが洗練されたテイストだったため、こちらにも期待がかかる。
缶のデザインはレモンと統一されており、こちらは緑色が基調になっていて、大きくGの文字がある。
香りは凡庸なグレープフルーツチューハイのもので、甘さを彷彿とさせる。
口当たりはやわらかく、ふんわり甘い味わいで、かなりボケた印象。アルコール感も弱く、飲み応えはなく、
かといって、シャープさもない。非常に中途半端。
レモンの印象とは大きく違う。それだけにがっかりした。なぜもっとシャープな作りにしないのか。
シリーズで統一感がとれていない。
グレープフルーツテイストで比較すると、果実味といい、シャープさといい、これならキリン氷結の圧勝である。
2002年10月28日
No.53 サントリー 冬道楽 生(2002)
今年もまた冬限定の発泡酒の季節になった。昨冬に引き続き発売されている商品だ。
色はしっかり濃く、どこから見てもビールの色。泡の立ち方も力強く、好感が持てる。
香りはおとなしめだが、クリーミーで、発泡酒臭い印象はない。ここまでは、文句の付けようがない。
だが、口に含んだ瞬間、やっぱり発泡酒だ、という味が広がる。それでも、全体がほんのり甘く、
角のない丸い味わいで、じんわり余韻が残るので、それなりに納得する。
「まろやか旨口」というコピーどおりの味わい。昨冬よりも更にやさしいテイストに作られている感じだ。
2002年11月7日
No.54 サントリー スーパーチューハイ 巨峰
シャープな缶のデザインが目立つスパチューの今度は巨峰。同じサントリーの製品で、キョホグレが好印象だったので、
こちらにも期待がかかる。
缶を開けた瞬間、華やかに立ち昇る香りは、実に本物らしいぶどうの香り。まるで子供が集める香りつき消しゴムみたいに、
明らかに作り物とわかっていながら、でもいい香りだなあ、という感じ。
アルコール感が乏しく、ほとんど"ジュースとして"ごくごく飲めてしまう。これで酔うのが不思議なくらい。
夏の暑い時などに、おいしく爽快感を味わうのによいと思う。
飲み込んだ後に口中に渋味がまとわりつく感じで、いかにもぶどうらしい。ワインにも通ずるところがある。
コンコードなどの食用品種で作られた国産ワインに、少し似た香りがある。まったく焼酎だとは思えないが、それこそが魅力。
果汁0.8%(巨峰果汁0.5%)と丁寧に書かれている。
2002年11月10日
No.55 サントリー スーパーチューハイ うめ酒
今度はスパチューの梅酒である。いや、缶の表記に従えば、「うめ酒」である。
香りはさわやかで甘く、ノンアルコールの梅ソーダのようである。味わいもやさしく、
実に飲みやすい。強さはほとんどなく、ぐいぐい飲める。甘味も穏やかで気にならない。実に爽快。
味の作りは巨峰に似ている。ジュースのような飲み口なのに、知らず知らず酔わされるといった感じ。
デザインが変わる前のもの(右)と比べて、ほとんど味に違いは感じられない。
この新スパチューシリーズは、最初にレモンで衝撃を受けたが、グレープフルーツで、おやっと思い、
巨峰とこのうめ酒では、なるほどと思った。グレープフルーツを除いては、皆なかなか洗練されており、
シリーズとして高評価を与えてもよいと思う。
2002年11月12日
No.56 キリン 毬花 一番搾り <生>
まず最初に言っておきたいのは、私は一番搾りというビールが嫌いだということ。
当サイトでは、個人の嗜好としての好きか嫌いかという視点ではなく、できる限り客観的な
品質の評価をモットーとしている。従って、私が個人的に美味しいと思うか、不味いと思うかは、
いささかも評価には関係がない。ここでわざわざ「一番搾りが嫌いだ」と書いたのは、
私の好みを明らかにすることによって、それには左右されずに冷徹に評価をしますという
宣誓のつもりである。
さて、「毬花(まりばな)」という名前の一番搾りである。コンビニで見つけて、即ゲットした。
「凍結毬花ホップ使用[限定醸造]」との文字があり、「摘みたてのホップ(毬花)を凍らせて、細かく砕いて仕込みました。
みずみずしいうまさをお楽しみください。」と書かれている。なかなかに期待させる。
グラスに注ぐと、泡に力があり、こんもり盛り上がり、しかも持続する。とてもいい感じだ。
香りは、清々しいスペアミントのようなホップの香りが立つ。奥深さも感じる。
口に含んだ瞬間、「あ、やっぱり一番搾りだな」と思うような酸が際立つが、それ以上に重い苦味が追いかける。
飲み込んだ後には、ずっしりとした充実感が残る。
私が一番搾りを好きになれないのは、独特の酸味に原因があるのだが、元々苦味も強いのがこのビールの特徴で、
ただ通常の一番搾りは、最後まで変な酸味が口中に残るのに対し、
今回のこの製品は、酸と苦味の駆け引きの結果、明らかに苦味が優っている。
味の構成が近いのに、バランスの違いによって、こんなにも仕上がりの印象が変わるのか、という思いがする。
悔しいけれど、このビールに惚れてしまった。近頃まれに見る「骨のあるビール」であると思う。
客観的に見て、色んな味の要素が強く主張する、魅力満載のビールだ。
もちろん通常の一番搾りだって、悪い製品ではない(私の嗜好に合わないというだけで、品質を否定する気は毛頭ない)。
しかしこれは、まったく新しい境地を開いたと言ってよい。
2002年11月16日
No.57 キリンチューハイ 氷結 アップル・ヌーボー
唐突に出てきた感のある冬限定チューハイ。時期がきたら出そうと温めていたものなのか。
それともスパチューのリニューアルに危機感を感じたものなのか。
香りは非常にナチュラルなりんごジュースのよう。味わいも香りの印象のまま、実にフレッシュで、嫌味がない。
甘いことは甘いのだが、それが鼻につかない。適度な酸味が引き締めているからだろうか。キレもとてもよい。
ごくごく飲めて、気づいたら酔っている。そんな感じだ。雑味がなく、ピュアな飲み心地は、特筆に価する。
氷結レモンとグレープフルーツに最初に出会った時の驚きが、また再現されたようだ。
オレンジとウメが冗長だっただけに、素晴らしさが際立つ。
「冬限定」という付加価値をつけているのは、一気に売上を伸ばしたいという魂胆なのだろうが、
その思惑通りに行きそうな感じもする。"ジュースもどきチューハイ"氷結の面目躍如といったところだろう。
同じダイヤカット缶だが、レギュラー商品の青を基調としたデザインに対し、こちらは赤を基調とした温かみのあるデザインとなっている。
この点も良いと思う。
2002年11月17日
No.58 サッポロ 冬物語(2002-2003 Limited edition)
毎年恒例の冬季限定商品である。今年のデザインは、青と白を基調にしたもので、
まるでロイヤルコペンハーゲンのイヤープレートのようで、シブくて美しい。
泡は純白で非常に力強く、しかも持続する。香りは控えめで、奥ゆかしいホップの香り。
口に含むと、ずっしり重く、口中に苦味と渋味が広がる。後キレは良くはないのだが、
それがかえって充実感を与えてくれる。
この味はどこかで出会った味だと思って、しばし考えてみた。
そうだ、ヱビスに似ている、と気づいた。このようないぶし銀の味わいは、サッポロのお家芸である。
アサヒとは対極をなしているし、キリンにも真似はできない(キリンには、苦味の際立つビールは確かに多いが、
すべて真ん中の味わいの凝縮度に欠ける)。
サッポロにはぜひとも、こういう無骨なビールを作り続けて欲しいと切に願う。その意味で、
この製品は高く評価したい。
2002年11月18日
No.59 サントリー スーパーチューハイ 白桃
スパチューのピーチ(白桃)である。同じサントリーの"清涼感うるおいピーチ"がなかなかの実力であったため、
こちらにも期待がかかる。
香りはまるで白桃缶詰のように穏やかで、甘そうな印象。味わいもその印象どおり優しく、甘い。
シャープさはない。飲み干した後も口中に甘味が残る。
飲みやすさは抜群だが、飲み応えはまるでない。これぞお子様フレーバーの極みといえよう。
ここまで新スパチューの各フレーバーを試してきて思うのは、以前の製品にあった無骨さが一新され、
骨抜きになってしまったということ。よく言えば洗練されたと言えなくもないが、この転換は、
キリン氷結への敗北宣言ととれなくもない。
清涼感のほうがよほど見所があると言って良いだろう。
果汁1.2%、アルコール分5%。
2002年11月19日
No.60 サントリー スーパーチューハイ ライチ
留まるところを知らないスパチューシリーズの今度はライチ。最初はずいぶん唐突な印象を受けた缶のデザインだったが、
これだけ種類が揃うと、メタリックな缶が店頭に並んでいる様は壮観である。
さて、肝心の中身だが、まず香りは、とても自然なライチの香りで好印象。
味も確かにその印象どおりなのだが、あまりにもあたり前すぎて、インパクトが弱い。
甘味が強く、それ以外にこれといった特徴がないので、後味は砂糖水のよう。
極めて冗長。
もう少し糖度を下げて、炭酸をきつくするとか、(それでバランスがどうなるかはわからないが)
ともかく何か、そのような工夫が欲しかった。
これを飲むシチュエーションというのが想像し難い。風呂上りなど喉の渇いたときには甘ったるいし、
食後にもすっきりしない。休日の昼間、ピクニックなどで、というのが一番ぴったりきそうだが、
サンドイッチにもおにぎりにも合いそうにない。公園のベンチなどでジュース代わりに、という感じだろうか。
あんまりオシャレではないけれど。
果汁0.2%、アルコール分5%。