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ビール・発泡酒・新ジャンルの定義(日本におけるビール系飲料の区分)
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 「ビール」 と 「発泡酒」はどう違う? 「新ジャンル」 っていったい何?  日々飲んでいるお酒の違いを、知っておきましょう。
 但し、ここで説明するのは、あくまでも日本国内における一般的な定義です。 ビールは全世界にありますが、国によって定義は異なりますのでご注意を。

 なお当サイトでは、発泡酒と新ジャンルの区分が一般にはあまり意識されていないことに鑑み、 製品レビューに当たっては、[発泡酒&新ジャンル] として同一カテゴリーに分類しています。

ビールの定義変更(2018年4月)
 平成30年(2018年)4月1日の酒税法改正により、同法上における「ビール」の定義が変更されました。 その要点は、次の2点です。

1.麦芽使用比率の基準が 3分の2以上 から、50%以上に
2.副原料として認められる原料の大幅な追加

 最も大きなものは、上記1.の麦芽使用比率で、これまで67%以上必要だったものが、これからは50%以上でビールと呼べるように。 また、2.の副原料については、これまでも認められていた米、とうもろこし、こうりやん、ばれいしよ、でんぷん、糖類などに加えて、 果実、コリアンダー又はその種、こしよう、シナモン、クローブ、さんしようその他の香辛料、カモミール、セージ、バジル、レモングラスその他のハーブ、 かんしよ、かぼちやその他の野菜、そば又はごま、蜂蜜その他の含糖質物、食塩又はみそ、花又は茶、 コーヒー、ココア若しくはこれらの調製品、かき、こんぶ、わかめ又はかつお節なども、認められることになりました(但し、麦芽の重量の5%以下)。

 これにより、従来は「発泡酒」表記を余儀なくされていたコリアンダーやオレンジピール等を用いてつくられた ベルジャンホワイトスタイルのクラフトビールや、麦芽使用量が3分の2を少々下回るような製品(但し、50%以上のもの) についても、「ビール」表記が認められるようになりました。

 従来から麦芽使用比率50%以上のものにはビールと同じ税率が適用されていたため、わかりやすく変更された形ですが、 良いことばかりではありません。ビール醸造免許の取得要件として、年間60キロリットル以上の生産が必要のため、 これまで発泡酒醸造免許(年間6キロリットル以上生産)でも参入可能だった小規模ブルワリーが、 今後は参入できなくなります(麦芽使用比率50%以上の製品をつくる場合)。


日本におけるビール系飲料の区分

種別 簡単な定義 より詳しく
ビール  法律でビールの原料として認められたもののみを用いてつくられ、 麦芽の使用比率が原料の50%以上のもの。  麦芽、水、ホップ、米、でんぷん(スターチ)などを原料とし、麦芽を糖化した上、 酵母でアルコール発酵させた、度数20%未満の発泡性酒類。 麦芽以外の原料の重量が、麦芽の重量の半分を超えない(=麦芽が全体の2/3以上ということ)もの。 麦芽の重量が、ホップ・水以外の原料の50%以上であるもの。
(酒税法3条12号)
 ビール  次に掲げる酒類でアルコール分が二十度未満のものをいう。
イ 麦芽、ホップ及び水を原料として発酵させたもの
ロ 麦芽、ホップ、水及び麦その他の政令で定める物品を原料として発酵させたもの (その原料中当該政令で定める物品の重量の合計が麦芽の重量の百分の五十を超えないものに限る。) (その原料中麦芽の重量がホップ及び水以外の原料の重量の合計の百分の五十以上のものであり、かつ、 その原料中政令で定める物品の重量の合計が麦芽の重量の百分の五を超えないものに限る。)

ハ イ又はロに掲げる酒類にホップ又は政令で定める物品を加えて発酵させたもの (その原料中麦芽の重量がホップ及び水以外の原料の重量の合計の百分の五十以上のものであり、 かつ、その原料中政令で定める物品の重量の合計が麦芽の重量の百分の五を超えないものに限る。)

(酒税法施行令6条)
 法第三条第十二号 ロに規定するビールの原料として政令で定める物品は、麦、米、とうもろこし、こうりやん、 ばれいしよ、でんぷん、糖類又は財務省令で定める苦味料若しくは着色料とする。
  法第三条第十二号ロに規定する麦その他の政令で定める物品は、次の各号に掲げる物品とする。
 一 麦、米、とうもろこし、こうりやん、ばれいしよ、でん粉、糖類又は財務省令で定める苦味料若しくは着色料
 二 果実(果実を乾燥させ、若しくは煮つめたもの又は濃縮させた果汁を含む。)又はコリアンダーその他の財務省令で定める香味料

2 法第三条第十二号ロに規定するビールの原料中政令で定める物品及び同号ハに規定する政令で定める物品は、前項第二号に掲げる物品とする。

(酒税法施行規則4条)
 令第六条第一項第一号に規定する財務省令で定める着色料は、カラメルとする。

2 令第六条第一項第二号に規定する財務省令で定める香味料は、コリアンダー又はその種のほか、ビールに香り又は味を付けるため使用する次の各号に掲げる物品とする。
 一 こしよう、シナモン、クローブ、さんしようその他の香辛料又はその原料
 二 カモミール、セージ、バジル、レモングラスその他のハーブ
 三 かんしよ、かぼちやその他の野菜(野菜を乾燥させ、又は煮つめたものを含む。)
 四 そば又はごま
 五 蜂蜜その他の含糖質物、食塩又はみそ
 六 花又は茶、コーヒー、ココア若しくはこれらの調製品
 七 かき、こんぶ、わかめ又はかつお節
 商品例: アサヒスーパードライ、キリンラガービール、サントリーザ・プレミアムモルツ、サッポロ黒ラベルなど。
発泡酒  原料の一部に麦芽又は麦を使用したもの。但し、 蒸留酒等を原料に含むものを除く。

 ビールと同じ原料でつくられていても、麦芽使用比率が50%に満たなかったり、 ビールに認められていない原料を用いると、発泡酒になる。
 原料の一部にでも麦芽又は麦を使用した発泡性酒類であれば、他の原料に何を使用していても 発泡酒。但し、麦芽や麦を原料とする蒸留酒(大麦スピリッツ等)を原料の一部として使用したものを除く。
 また、麦芽使用比率が3分の2以上50%以上であっても、酒税法でビールの原料として認められていない副原料が 使われている外国産ビール(例えば、コリアンダーやオレンジピールなどが使われたベルギー産ビール等)は、 その国の法律でビールとされていても、日本では「発泡酒」の扱いとなる。
(酒税法3条18号)
 発泡酒  麦芽又は麦を原料の一部とした酒類(第七号から前号までに掲げる 酒類及び麦芽又は麦を原料の一部としたアルコール含有物を蒸留したものを原料の一部としたものを除く。) で発泡性を有するもの(アルコール分が二十度未満のものに限る。)をいう。
 商品例: キリン淡麗、サントリーMDゴールデンドライ、アサヒスタイルフリー、サッポロ北海道生搾りなど。
新ジャンル [いわゆる 第3のビール]

 麦芽を用いず、穀類、糖類などの原料を用いてつくられたもの。
 麦芽をまったく用いないで、穀類などを原料としてつくられたものは、従来「第3のビール」と呼ばれていた。 酒税法上は、「その他の醸造酒(発泡性)@」に分類される。
(酒税法3条19号)
 その他の醸造酒  穀類、糖類その他の物品を原料として発酵させた酒類 (第七号から前号までに掲げる酒類その他政令で定めるものを除く。) でアルコール分が二十度未満のもの(エキス分が二度以上のものに限る。)をいう。
 商品例: サッポロドラフトワン、キリンのどごし生など。
[いわゆる第4のビール]

 酒類と糖類などを原料としてつくられたもの。麦芽を用いているものもある。
 原料の一部に蒸留酒等の酒類を用いたものを、従来は特に「第4のビール」と呼んで区別する場合があった。 酒税法上は、主に「リキュール(発泡性)@」に分類される。麦芽を用いた上で、さらに大麦スピリッツ、 小麦スピリッツなどを用いることが多い。
(酒税法3条20号)
 スピリッツ  第七号から前号までに掲げる酒類以外の酒類でエキス分が二度未満のものをいう。

(酒税法3条21号)
 リキュール  酒類と糖類その他の物品(酒類を含む。)を原料とした酒類でエキス分が二度以上のもの (第七号から第十九号までに掲げる酒類、前条第一項に規定する溶解してアルコール分一度以上の飲料 とすることができる粉末状のもの及びその性状がみりんに類似する酒類として政令で定めるものを除く。)をいう。
 商品例: クリアアサヒ、サッポロ麦とホップ、サントリー金麦、キリン本格辛口キリン本麒麟など。
 2018年4月現在の法令等に基づいて記載しています。

This page was created on Oct. 10th, 2011.