利酒日記〜安葡萄酒に彩られた日常〜

2000年10月


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2000年10月3日  ROUGE
MONTEPULCIANO D'ABRUZZO (D.O.C.) 1997 / CANTINA FACCAGNINI
モンテプルチァーノ・ダブルッツォ / カンティーナ・ファッカニーニ
イタリア、ABRUZZO州

  やや暗いルビーレッド。ベリー系の心地よく甘い香りに、なめし皮や若干の動物臭。とても明るく、なおかつ落ち着きもある。口に含んだ第一印象は、ふわっと広がる甘味と、喉の奥を刺すほど強い酸との二重奏。それでも酸のほうが優っているので、全体としては引き締まった感じを与える。タンニンはへばりつく感じで、こなれていない。陽気でワイルドであり、しおらしさは一切ない。愛らしく自由奔放なおてんば娘といった印象のワイン。好感度は高いが、奥の深さはない。鶏モモ肉のソテー・にんにく醤油風味にはベストマッチであった。
<評定:C>

2000年10月5日  BLANC
SUR LES SABLES MUSCAT SEC 1999 / VIN DE PAYS D'OC
シュール・レ・サーブル ミュスカ・セック / ヴァン・ド・ペイ・ドック
VIN DE PAYS

  色は意外と薄い。品種由来の果実味あふれる甘い香りがまず立ち昇る。クリームっぽさも若干ある。口に含むと不思議にも酸がきいていて、必ずしも甘味のみに支配されているわけではない。口に含んでいる間は甘みがたっぷりとしているのに、飲み込んだ後はマジックのように甘味は消え、酸の印象を強く残す。若干の苦味も。また、切れ味はとても良い。深みはなく余韻も短い。ただ、ぴったりくる料理が何なのか思い浮かばない。デザートワインとしては酸がきつ過ぎる。食前酒感覚で飲むのにはBEST。おでんと合わせたが、まあミスマッチというほどではなかった。 MUSCAT種と、SEC(辛口)というのがどうもイメージ的につながらなかったが、ミュスカにしてはここまで甘さを抑えましたということだろう。普通では得がたい不思議な感覚を味わわせてくれるという意味において、その特異性は評価に値する。パリのコンクールで金賞(MEDAILLE D'OR)受賞とのこと。
<評定:B>

2000年10月11日  BLANC
LOS VASCOS SAUVIGNON BLANC 1999 / DOMAINE BARONS DE ROTHSCHILD(LAFITE)
ロス・ヴァスコス ソービニヨン・ブラン / ドメーヌ・バロン・ド・ロートシルト(ラフィット)
チリ、COLCHAGUA

  色は日本酒のように薄い。青草のさわやかさにグレープフルーツ系の香りが加わる。甘さすら感じさせるほどふくよかな香りである。口に含むとふくらみがあり、確かにソービニヨンらしからぬ甘味も感じられる。酸はフレッシュだが丸い。余韻もそこそこ続く。ほろっとして、かすかに苦味を伴う後味。
カベルネ(但し、GRAND RESERVE)、シャルドネといずれも優れていたので、期待していたが、概ねそれに応えてくれた。全体のまとめ方が、粗野ではなく気品に満ちているところがロス・ヴァスコスらしい。繊細でほろっと甘いので、和食には合わせやすい。
<評定:B>

2000年10月15日  BLANC
LE CADET CHARDONNAY 1997 VIN DE PAYS D'OC / BARON PHILIPPE DE ROTHSCHILD
ル・カデ シャルドネ ヴァン・ド・ペイ・ドック / バロン・フィリップ・ド・ロートシルト
VIN DE PAYS

  色はかなり黄色みが強く、ほとんど黄金色と言ってもいいくらい。柑橘系のフレッシュさに、黄色い花、若干の青っぽさ、苦っぽさが加わる。 口当たりは色の印象とは全く違い、とてもシャープ。甘味はほとんどなく、最初から最後までオレンジ的な酸が中心。苦味もかなり感じる。 余韻もそこそこ続く。南らしからぬ端正で引き締まったワイン。これは正真正銘ムートンが作っているらしいが、初めて見た。 以前のMOUTON CADETがリニューアルしたのだろうか?(いやいや、あれは曲がりなりにもACボルドーだったはず。これは南仏だ。) このようにヴァン・ド・ペイなのにおとなしくまとめようとしているものに対しては一般に厳しい評価が多いが、大柄でドーンとしているだけのものよりは余程いいと思う。 色々な食事に合わせやすそうでもあるし、デイリーワインとしては十分満足。
<評定:C>

2000年10月20日  ROUGE
MADIRAN 1997 / ALAIN BRUMONT
マディラン / アラン・ブリュモン
SUD OUEST地方、MADIRAN地区、AC:MADIRAN

  黒みがかってはいるが、透明感のある色。カシス的香りが中心だが、スワーリングするとなめし皮の香りが立つ。 口に含むとまず甘味を感じるが、それも一瞬で、すぐに引き締まった強い酸が広がる。タンニンはビロードのようになめらか。 コクや深みはあまりなく、余韻も短め。威風堂々とした香りの印象とは裏腹に、後が続かず、肩透かしをくったような感じ。 いうなれば「高級ワインの上ずみ」といった印象のワインである。これでコクや深みがあればかなり素晴らしいものとなりそうである。 それでも香りと最初の口当たりまでで十分に満足させてくれるので、コストパフォーマンスは低くない。やはり作り手の実力の証であろうか。
<評定:B>

2000年10月22日  BLANC
CHATEAU MARJOSSE (PIERRE LURTON) 1997 / ENTRE-DEUX-MERS
シャトー・マルジョーズ (ピエール・リュルトン)/ アントゥル・ドゥー・メール
BORDEAUX地方、ENTRE-DEUX-MERS地区、AC:ENTRE-DEUX-MERS

  色は淡いレモンイエロー。香りはこの地区らしく、フレッシュなレモンの中に青草の香りあり。口に含むと予想通り、まず酸のアタックが強いが、 その後はほろっとまろやかに変わる。ふくらみはなく、口中からさらっと消えてゆく。最後まで青草の香りが中心だが、余韻は短い。 切れの良いのが身上だが、あっさりしすぎの印象。ゆで蛸にはぴったり合っていたが、鯛の刺身には物足りなかった。
<評定:D>

2000年10月24日  ROUGE
LE CADET CABERNET SAUVIGNON 1997 VIN DE PAYS D'OC / BARON PHILIPPE DE ROTHSCHILD
ル・カデ カベルネ・ソーヴィニヨン ヴァン・ド・ペイ・ドック / バロン・フィリップ・ド・ロートシルト
VIN DE PAYS

  色はやや濃い目のガーネット。紫っぽい香りと共に、アクリルあるいはセルロイドのような香りもある。口に含んだ瞬間、角のとれた酸のアタックがくる。 甘味はほとんど感じない(後にだんだん甘味を感ずるようにはなってくるが)。暴れぎみのタンニンがかなり残るが、全体としては引き締まった印象。 コクはない。余韻も短い。最後まで残るのは酸で、化学薬品っぽさと相まってなんだか安物のピノのような後味を残す。 1000円で入手したため、気軽に飲める日常酒として、まあ不足はないが、正規の値段とみられる1500円で買っていたなら、評価はもう少し下がるだろう。
シャルドネが「今ひとつ」だったため、こちらには期待していたが、更にがっかりしたというのが本音である。 以前、MOUTON CADET(AC:BORDEAUX)のカベルネを評して「こんなものを出しているとムートンの名がけがれる」という文字をどこかで読んだことがあるが、 厳しく言えば、これはもっと・・・だろう。しかし、一流の作り手とて力を抜いた普及版を作っても良いし、件の意見は少々厳しさを求めすぎであろう。 これがいつも980円ならば、もっと気楽に飲めると思う。1500円では買わない。
<評定:C−>

2000年10月29日  BLANC
BURG LAYER SCHLOSSKAPELLE 1998 SILVANER / NAHE KABINETT
ブルクレイヤー・シュロスカッペレ シルヴァナー / ナーエ カビネット
ドイツ、NAHE地方、BURG LAYEN / QmP (KABINETT)

  極めて淡い色。ほんのりと黄色みがかっている。たっぷりとした果実味豊かな甘い香り。口に含むと若干ぴりぴりくる感じ。 味わいの骨格を成すのは当然酸であるが、最初のアタックが最も強く、あとはふんわり引いてゆく。その後、優しく甘味が広がる。 その甘味もすうっと消え、かすかに余韻をとどめる程度。酸と甘味の駆け引きが絶妙で、とても上品。 寄せ鍋と合わせたところ、白菜や豆腐にコクをプラスしてくれたが、白身魚には今ひとつであった。
  これはいただきもの。普段、料理に合わせずらいということもあって、自分ではなかなかドイツワインに手を出さないが、久々飲むと、やはりなかなか良いものである。
<評定:B+>

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