利酒日記〜安葡萄酒に彩られた日常〜

2001年2月


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2001年2月1日  BLANC
CHEVALIERE GRANDE RESERVE 1997 CHARDONNAY-MARSANNE-VIOGNIER / VIN DE PAYS D'OC
シュヴァリエール・クランド・レゼルヴ シャルドネ・マルサンヌ・ヴィオニエ / ヴァン・ド・ペイ・ドック

  色は濃いが、やや緑がかっているので、黄緑色といった感じ。香りは、柑橘のフレッシュさと、桃やトロピカルフルーツの豊潤な甘さがうまく融合。 樽香が強く、若干緑の香りもある。シャープでありながら、パワフル。口当たりは丸いが、酸も豊か。 余韻もそこそこ続き、最後までレモン的酸とバニラっぽさが共存。大柄だが粗雑ではなく、風味のバランスは極めてよい。まるでVdPのお手本のようなワイン。
  先日(1月30日)に続き、これも戴きもの。品種名(特に、マルサンヌ、ヴィオニエ)を見た印象からは、もっともっと骨太なものを想像していたが、意外にもデリケートだった。
<評定:A>

2001年2月3日  ROUGE
LIRAC 1997 / TOUR DES CHENES
リラック / トゥール・デ・シェーヌ
COTES DU RHONE地方(南部)、AC:LIRAC

  色は薄めだが黒味がかっており、静脈血のよう。甘酸っぱい香りと共に、なめし皮の香りもある。 口当たりも柔らかく、果実味豊かで、イチゴジャムのような甘さがある。余韻も甘酸っぱい。 タンニンは柔らかめだが、唇の裏に残る感じ。最初から最後まで甘味が強いが、酸とのバランスが良いので、 嫌味はない。ローヌらしいしっかりした骨格がありながら、不思議にも(南部ローヌなのに)ボジョレ的な華やかさもあって、 両者がうまく調和した華やかで落ち着いたワイン。一般的なACローヌや、重めのCRU BEAUJOLAIS(MORGONやMOULIN A VENTなど)よりも軽く、可憐である。
<評定:B>

2001年2月6日  ROUGE
CENTENARIO 1990 / GOYENECHEA
センテナリオ / ゴイネチア
アルゼンチン、MENDOZA

  色からはそれほど年数を感じさせず、わずかにオレンジ色が入り始めているかどうかという程度。しかし、香りは熟成を感じさせる落ち着きがあり、 ブランデーのように豊潤。セパージュがまったく書かれていないが、おそらくカベルネ単一であろう。うまく角が取れ、気品に満ちているが、 元々深みや重みがないのだと思う。薄っぺらい感は否めない。だが、決して軽いというわけではなく、品のよさは抜群。 底力を感じないので、今が最高の状態なのではないかと思う。これ以上年数を経ても、力を失ってゆくだけのような気がする。
  セールにて\1,000で入手。おそらく正規の値段でも千円台前半だろう。\1,500未満ならば、十分に"買い"である。
  ところで2001年になってから、実にフランスの比率が低い。今日までの累計では、フランス*5、カリフォルニア*4、チリ*3、アルゼンチン*2、イタリア*1、 ポルトガル*1、日本*1と辛うじてフランスが一番多いものの、このうち2本は2月に入ってからのものである。特に意図してのことではないが、 コストパフォーマンスに優れると思われるフランス産にあまり出会えなかったのだ。
<評定:B>

2001年2月8日  ROUGE
BOURGOGNE PASSETOUTGRAIN 1999 / ROPITEAU FRERES
ブルゴーニュ・パストゥグラン / ロピトー・フレール
BOURGOGNE地方、AC:BOURGOGNE PASSETOUTGRAIN

  とても輝きのある美しいルビー色。まず赤いベリー系のぴちぴちとした果実味あふれる香りが立ちのぼり、奥の方にピノらしいゴムのような香りが潜む。 口に含んだ瞬間、若干の甘味があるが、すぐに酸が支配する。キレがよく、タンニンは極めて優しい。繊細である分、深みはない。 親しみやすい気品を感じ、清楚な印象のワインである。まるで、外見は美しいが、今ひとつソフィスティケートされていない地方都市の資産家令嬢みたいなワインだ。
  香りはガメイ優勢、味わいは、最初のインパクトがピノ的酸、続く広がりがガメイ的甘味で、両者がうまく拮抗している感じ。 パストゥグランというと、正直言って安物あるいは中途半端といった印象があるが、 これは実に微妙なバランスが保たれていて、どちらに倒れてもこの魅力は実現できないと思う。ガメイの華やかさ、軽やかさと、ピノの気高さとを併せ持っている。 ここまで繊細で、かつ芯の通ったパストゥグランは初体験。ただ、さすがに一般的なACブルゴーニュほどには芯が太くない。
  個人的好みで言えば、実は私は元々ピノが大好きである。当日記でブルゴーニュがあまり登場しない理由は、ひとえに当日記のメインターゲットとしている1,000円台前半までで 入手できるものがほとんどないからである。がんばってセール品を発掘しに行こう。
<評定:B>

2001年2月11日  BLANC
MUSCADET NOUVEAU 2000 CUVEE DES FLORALIES / MARCEL MARTIN
ミュスカデ・ヌーヴォー キュヴェ・デ・フロラリー / マルセル・マルタン
LOIRE地方、PAYS NANTAIS地区、AC:MUSCADET

  色はほとんどなく、日本酒のよう。香りは実に清々しいグレープフルーツやライム(あるいは、すだちのようでもある)と、 俗に「キューピー人形」と評されるような、かなり強い石油香。 味わいは、切り込むような酸が実にフレッシュ。見た目に発泡はないが、酸の鋭さのせいか、若干ぴりぴりとした感じがある。 かすかに苦味も。ミネラルっぽい余韻がしっかりとあり、ただ鋭いだけのワインではない。意外にも味わい深かった。
  なぜ今ごろヌーヴォーなのかといえば、某店で処分品として\1,000で売られていたもの。 おそらく輸入直後は倍くらいで売られていたものだろう。ヌーヴォーなので高くても致し方ないということを前提として、 下記のとおりB+評価である。もし\1,000が定価なら、A評価でもよい。あまり期待していなかったので、嬉しい誤算だった。
<評定:B+>

2001年2月13日  ROUGE
MACON 1997 / CALVET
マコン / カルヴェ
BOURGOGNE地方、MACONNAIS地区、AC:MACON

  色はかなりしっかりしたガーネット。香りは引き締まっており、あまり華やかさはない。しょうゆのような感じと、インクのような化学物質的香りもある。 口当たりは酸が豊かで、かつ、甘味もある。タンニンもしっかりしているが、ひっかかりがなく、おとなしい。全体的にうまくまとまっており、 実に無難なワイン。はっきり言って感動はないが、失望するところもまったくない。すべてにおいてほどほどで標準。 安心して飲めるデイリー・ワインと言える。さすが大衆的作り手という感じ。
  ハーフボトルだが、近所のスーパーで\670にて入手。フルボトルなら\1,000強といったところか。手っ取り早くそこそこの満足感が得られる 「平均的模範生」だ。
<評定:C>


2001年2月16日  BLANC
MONTES SAUVIGNON BLANC 1998 / DISCOVER WINE S.A.
モンテス ソーヴィニヨン・ブラン
チリ、CURICO VALLEY

  色は予想よりも濃い麦わら色。実にソーヴィニヨンらしく清々しい青草(湿り気のない青々とした夏の日なたの芝生のよう)の香りがまずあり、 その奥に、すずらんのように清楚な白い花の香りと、ムスクの香りも潜む。 味わいの第一印象は、甘味すら感じるほどふくよかだが、酸もまた豊かで、ほどほどの苦味もあるので、キレは良く、澄み切った印象。 フレッシュな緑のニュアンスがずっと続き、最後までバランスが極めて良い。穏やかな余韻がかなり続く。
  アルコール度数が13.5%と極めて高いが、ほとんどそれを感じさせない。とても洗練されたチリらしからぬ白。
<評定:A+>

2001年2月19日  BLANC
L'ENCLOS D'ORMESSON 1994 / VIN DE PAYS D'OC
ランクロ・ドルメッソン / ヴァン・ド・ペイ・ドック
VIN DE PAYS

ormesson   セパージュ(品種名)の表示はないが、シャルドネである。
  色はかなり濃く、ほとんど黄金色。豊かな樽香と、オレンジ的な柑橘の香りと、バターっぽいオイリーな香りが絶妙なバランスを保っており、 実に豊潤。ヨーグルトっぽさも若干ある。いつまでも嗅いでいたい、吸い込まれてしまいそうな香りである。口に含んだ第一印象は、きりっとした酸が特徴的で、それと共に、丸く、ふくよかな広がりがある。 香りの印象に比べて、味のスケールは若干小さめではあるものの、バランスはよく、気品に満ちている。だらっとした冗長さなどは微塵もない。 「らしさ」という意味では、決して南仏らしくないが、この上品さ、気高さは稀である。
  ブラインドで、ピュリニー・モンラッシェだと言われたら、素直に信じるだろう。極めて品格のあるVdPであり、今まで経験したOCのワインの中で、 間違いなくトップだ。不満があるとすれば、力強さに欠ける点だけである。VdPでこれほどインパクトが強いのは、ルイ・ラトゥールのGRAND ARDECHE以来である。 が、味わいの系統が違うので、両者とも捨てがたい。 入手価格\1,000(セール品)だが、\2,500でも十分納得する。
<評定:AA>

2001年2月20日  ROUGE
DON VALENTIN LACRADO 1994
ドン・ヴァレンティン・ラクラド
アルゼンチン、MENDOZA

Don Valentin   「パーカー氏がEXCELLENTを!」売場の寸評は、その一言。\1,000なのにもかかわらずそこまで言うのなら、戦ってやろうじゃないか、と思わず買ってしまった (普段は、パーカー・ポイントなど意識したことがない、というか調べたことすらないのに、まんまと戦略に引っかかってしまった私ではある)。
  色はやや褐色が入り始めており、落ち着きを感じさせる。香りは、私がいつも「黒豆」と評している馥郁としてどっしりした香り。 口当たりはとてもなめらかで、やわらかく甘味が広がる。タンニンは実にこなれていて、穏やか。余韻もかなり長く、黒糖的で、角がない。
  「このボトルのワックスシールは、優良年のワインを注意深く熟成発展させた証です。」とラベルに書かれているが、その看板に偽りはなかった。
  この落ち着き、深みは、今まで経験したアルゼンチンの中ではベスト。なんとかアラを探してやろうと意気込んでいたが、 あえなく敗退。明らかにボルドーのカベルネとは違うものの南米らしい魅力満開といった感じで、個性という点ではすばらしい。甘くやわらかだが、甘ったるくないので、 いくら飲んでも飲み飽きない。
<評定:A+>

2001年2月22日  BLANC
GOURNIER SAUVIGNON 1998 / VIN DE PAYS DES CEVENNES
グルニエ ソーヴィニヨン / ヴァン・ド・ペイ・デ・セヴェンヌ
VIN DE PAYS

  しっかりした麦わら色。清楚な白い花やオレンジの香りを中心に、なぜか炊きたての白飯のようなふんわりした香りがある。 口に含むと、まず柔らかな甘味が広がり、酸はやや控えめ。口中いっぱいにバラのようなフラワリーでエレガントなフレーバーが広がる。 これがこのワインの最大の魅力。余韻も甘く、優しい。可憐であって、華やかさもある。 比喩的に言えば、本格的な大人の魅力を発揮し始めた23歳。季節に喩えれば、風薫る初夏。色で言えば、山吹色といったところか。 ただ、主張がそれほど強くはないので、無意識にゴクゴクと飲んでしまいそうだ。
  味わいが優しく、誰にでも気軽に飲めるが、丁寧に味わうとひっそりとした個性が発見できる。 カジュアルさを持ちつつ、平凡なデイリーワインとは一線を画している稀有な存在。
<評定:A>

2001年2月24日  ROUGE
GEVREY-CHAMBERTIN 1997 LA CUVEE DU GENERAL LEGRAN / ALBERT BICHOT
ジュヴレ・シャンベルタン ラ・キュヴェ・デュ・ジェネラル・ルグラン / アルベール・ビショー
BOURGOGNE地方、COTE DE NUITS地区、GEVREY-CHAMBERTIN村、AC:GEVREY-CHAMBERTIN

  当利酒日記の守備範囲を少々逸脱した価格帯。自分で買ったものではないが、今回も冷静かつ率直に評価しよう (もっとも、実家の母が買ってきてくれたものなので、遠慮はないが)。
  色は透明感のあるルビー色。香りはほのかに香る程度でパンチはないが、ピノらしく落ち着いたセルロイドのような香り。 主張は弱いが、高貴ではある。口に含んだ瞬間のアタックはとても優しく、酸は尖ってはいない。 タンニンも優しく、きめ細やか。ここまでは良いのだが、後が続かず、尻すぼみ。すっと飲めてしまい、深みはまるでなく、余韻も短い。 薄っぺらい感は否めず、肩透かしを食ったようでもある。
  これがもし\1,000くらいならば文句など微塵もなく、A評価を与えるが、その2.5倍の価格でこのクオリティでは、 「お寒い」という他はない。やはりマスプロ・ネゴシアンのこういったワインは、注意すべきということか。 ビショーのもっと高いワインを飲んだことがないので、軽々しくは言えないが。
<評定:D>


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