利酒日記〜安葡萄酒に彩られた日常〜

2001年3月


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2001年3月1日  ROUGE
BOURGOGNE GRAND ORDINAIRE 1999 / CAVE DE CHARNAY-LES-MACON
ブルゴーニュ・グラン・オルディネール / カーヴ・ド・シャルネー・レ・マコン
BOURGOGNE地方、AC:BOURGOGNE GRAND ORDINAIRE

  青みがかった若々しい色。まず黒っぽい香りがあり、次にブルーベリー的な香りが強く出てきて、 次第に甘い香りが中心となる。引き締まった口当たり。タンニンはシルクのようにとてもきめ細やか。 酸はやや尖っている。甘味は、香りの印象ほど強くはない。飲み込んだ後に唇の裏側にタンニンが少し残る。 余韻は長くはないが、ブルーべりっぽさが適度に続く。全体としての線は細く、繊細というよりは力不足といった印象。 味わいはBEAUJOLAISにかなり近い。不満はないが、感動もない。
  ブルゴーニュで最も格下のAOCと言える、グラン・オルディネール(ブルゴーニュ・オルディネールの方が、更に格下か?)。 意地悪く直訳すれば、「偉大なる平凡なワイン」といったところ。しかし、痩せても枯れてもブルゴーニュには違いない。 ところで、なぜ一般的に「グラン・ルディネール」とリエゾンしないのだろう?素朴な疑問である。
<評定:C>

2001年3月4日  BLANC
GAVI(D.O.C.G.)1998 / GIULIO ALFERO
ガヴィ / ジュリオ・アルフェロ
イタリア、PIEMONTE州

  色は極めて薄い。若干の発泡も見られる。マスカットのような甘酸っぱい香りとミネラル香があり、芝生的な緑の香りもかすかにある。 口当たりはシャープだが、ふくよかさもあり、甘味すら感じる。酸を芯にしながら、じんわりと横に広がる印象である。 キレはとても良い。余韻も短いながら、ミネラルっぽさを残す。フランスのMUSCADETに通ずるものがある。
  イタリアの白というと、どうも今まで感動を与えてくれるワインに出会ったことがない。 ふくらみがなく、薄っぺらいものばかりだ(シャルドネ等フランス由来の品種を除く)。それがイタリアの白だと言えばそれまでだが、そういうわけで、 どうしてもイタリアの白には手が伸びないというのが正直なところ。しかし、このワインはかなり充実感があった。 ただキレが良いばかりでなく、品種の特徴のよく出た味わい深いものだった。
  以前にも書いたが、安酒ばかりを飲んでいると、同じ安酒でもボトルの雰囲気を見ただけで、「これは良いかもしれない」 という直感が働くようになる。このワインにも実はその直感を感じたために購入したという経緯がある。 見事に当たったというべきだろう。
<評定:B>

2001年3月6日  ROUGE
CABERNET SAUVIGNON 1992 ESTATE SELECTION / LOVICO SUHINDOL
カベルネ・ソーヴィニヨン エステート・セレクション / ロヴィコ・スヒンドル
ブルガリア

lovico suhindol   色は極めて深く、落ち着いたガーネット。ブランデーのような豊潤なアルコール感。豊かなバニラ香の中に、若干湿った土の香り。 とても上質で底力のあるワインであることを物語る。口当たりは、まず酸が思いのほか豊かで、しかし尖った印象はなく、 まろやか。香りをかいだ時以上に樽香が全面に広がり、甘さと酸のバランスも極めて良い。タンニンも適度。 後味に少し粉っぽさを残すところが唯一の弱点といえる。余韻もかなり続き、筋の通った酸と樽香が最後までバランスを保っている。 セパージュはカベルネとだけ表示されているが、単一品種とは思えない複雑さを持っている。
  正直なところ全く期待していなかった。ところが、香りをかいだ瞬間に言葉を失った。 ボルドーと全く区別がつかないどころか、これがボルドーだったら、\5,000でも納得する。私の長い安酒経歴の中でも、入手価格ジャスト\1,000で、 これほど衝撃を受けたものはない。やはり先入観を捨て、常に真摯な態度で臨まなければならないと、改めて勉強させられた思いである。
<評定:AA>

2001年3月9日  BLANC
ゲヴュルツトラミナー VINTAGE 2000 / 丹波ワイン
No.8078・やや甘口・総生産数13,890本
京都府船井郡丹波町

Tamba Gewurz   色はほとんどなく、日本酒あるいはレモン水のよう。実にゲヴュルツらしいライチの香りとマスカット的甘い香り。 スパイシーさや複雑さはなく、やや冗長。口当たりは優しく、甘味がたっぷり。酸は極めて弱い。最後まで甘味が強く、 後味は甘口の日本酒のようであり、ややスペアミント的な風味もある。品は悪くないが、パンチ力に欠けるワイン。
  定価\1,380。国産のゲヴュルツ、しかも京都で作られているということを考えれば、上出来であり、 もっと良い評価を付けてもいいが、ここは温情を掛けず、客観的に下記の通りC評価とした。大手メーカーならば、 倍くらいの値段をつけるかもしれない。 ドイツ式に、ズースレゼルヴを行っているとのことで、それがこのフルーティさを生んでいるのだろう。 総生産数と通し番号が明示されているところが律儀で、「限定もの」の好きな我々日本人の心をくすぐる。
<評定:C>

2001年3月13日  ROUGE
CROZES-HERMITAGE 1998 COMTE DE RAYBOIS / A.OGIER
クローズ・エルミタージュ コント・ド・レイボワ / A.オージェ
COTES DU RHONE地方(北部)、CROZES-HERMITAGE地区、AC:CROZES-HERMITAGE

  色は薄からず、深からず、やや透明感のあるガーネット。最初にアクリル系の香りがあり、次にベリー系のやや甘い香りが強くなる。 口当たりはとても引き締まっており、酸が豊か。甘味も、タンニンも適度で、実にバランスがよい。 飲み進むと、最初の印象とは若干変わって、華やかで軽やかな風味が強くなってくる。余韻にもベリー系の甘さ。 渋味はじんわりと消えてゆき、まとわりつかない。基本はRHONEらしいが、BEAUJOLAIS的華やかさを付け加えたようなワイン。 今回の入手価格は\1,000だが、以前に3割高程度だったことがある。それを前提に評価しても、コストパフォーマンスは高い。 引き締まっているのに重みはなく、重みがないのにチャラチャラはしていない。不思議な充実感がある。
<評定:A>

2001年3月18日  BLANC
SILVERADO HILL CELLARS CHARDONNAY 1997 ART CUVEE
シルヴェラード・ヒル・セラーズ シャルドネ アート・キュヴェ
アメリカ、CALIFORNIA州、NAPA VALLEY

SILVERADO CHARDONNAY   ほとんど黄金色に近く、強いて言えばレモンジュースとパインジュースの中間の色。香りはグレープフルーツ的な苦味を伴う柑橘系と、 ハチミツの香りがあり、ナッツの香りも混じる。スワリングすると、更に炒りたての皮付きピーナツのような香りが際立つ。口当たりは柔らかく、甘味がたっぷりとし、酸は弱い。 余韻は長く、いつまでも香ばしさが続く。まるでホースの中の空気を吸ったような、塩ビ系の香りも残る。
  飲む前の香りと、口に含んでしばらくの間は、ブルゴーニュ的繊細さもあり、その後じんわり広がる甘味とパワフルな余韻は実にカリフォルニアらしい。 1口で2度おいしいシャルドネと言えよう。ART CUVEEとの名の通り、アーティスティックなラベルがお洒落である。
<評定:B>

2001年3月20日  ROUGE
COTES DU RHONE 1999 BELLERUCHE / M.CHAPOUTIER
コート・デュ・ローヌ ベルリュシュ / M.シャプティエ
COTES DU RHONE地方、AC:COTES DU RHONE

  濃いが、やや青みがかった若い色。印刷したての雑誌あるいは万年筆のようなインクの匂いと、しょうゆっぽい匂い。落ち着きもあるが、豊かな酸も想像される。 口に含んだ最初のインパクトは丸く、甘味にあふれているが、すぐに強めの酸が広がる。タンニンはシルクのようにきめ細かいが、 舌先に少し残る。じんわり甘い余韻がそこそこ続くが、最後まで酸の筋が1本通っている。
  この作り手のワインは、今までの経験では、どれも酸に特徴がある。 尖ってはいないが、酢酸的な鈍い酸っぱさがある。深みがないのが物足りないところ。味わいは確かにローヌのワインだが、ローヌとしての魅力にはやや欠けるような気がする。
<評定:C+>

2001年3月23日  BLANC
CHATEAU TOUR DE MIRAMBEAU 1999 / BORDEAUX
シャトー・トゥール・ド・ミランボー / ボルドー
BORDEAUX地方、AC:BORDEAUX

  色は、ほんのり黄色いレモン水色。グレープフルーツのような柑橘香と、青草の香りがバランスを保ち、ムスク香もかなりある。 酸が強いが、それだけではなく、ふんわりとした甘味と共に、緑のニュアンスが口一杯に広がる。余韻も実に甘酸っぱい。 酸のキレは良いもののふくらみもあり、なおかつ甘味が鼻につくこともない。まるで初夏の草原のそよ風のようなイメージ。
  ソービニヨンはかくあるべしという見本のようなワイン。決してでしゃばらないが、主張すべきところはきちんとしている。
<評定:B>
■翌日追記■
  1日経って芯がなくなり、ころっとした甘さが強くなった。ソービニヨンの気高さよりもセミヨンのふくらみが前面に出た感じ。 それでもなお充実感は失っていない。

2001年3月24日  ROUGE
CHATEAU DU PEYRAT 1996 LA FONTAINE / PREMIERES COTES DE BORDEAUX
シャトー・デュ・ペイラ ラ・フォンテーヌ / プルミエール・コート・ド・ボルドー
BORDEAUX地方、ENTRE-DEUX-MERS(PREMIERES COTES DE BORDEAUX)地区、AC:PREMIERES COTES DE BORDEAUX

Ch.du Peyrat   エチケットのデザインといい、金のキャップシールといい、いかにも高級そうな風情。いわゆる「なんちゃってグランヴァン」である。 お約束の"GRAND VIN DE BORDEAUX"の文字もしっかりとある。なのにAOCがPREMIERES COTESというこのアンバランスさ。 これで\1,000なので、だまされたつもりで、というか、本当にだまされた方が愉快だと思い、とにかく買ってみた。
  色は黒みがかった深い色。香りはカシスのような黒っぽさと、乾いた木の皮のような雰囲気もあり、落ち着いている。 ここまでは実に風格があり、イイ線を行っている。口当たりは、思いのほか酸が強く、甘味は感じず、尖りぎみ。 タンニンもまとわりつく感じ。しかし、ブランデーのような奥行きのあるアルコール感がまとめ役となって、いい雰囲気。 時間が経ち、空気になじむと、鉄の香りも出てきて、クリスピーな味わいになった。おそらく熟成が足りないのだろう。 それでも、これ以上置いてもただパワーを失うだけのような気もするので、このシャキッとした感じの状態で飲むのが良いのかもしれない。 薄っぺらさは否めないが、それでも予想していたよりは十分まともであった。
<評定:C+>


2001年3月31日  BLANC
ETCHART RIO DE PLATA 1999 TORRONTES
エチャール リオ・デ・プラタ トロンテス
アルゼンチン

  色はほとんど無い。一般的な日本酒と比べても薄い方である。 香りは、甘さを想像させるマスカット香が強い。口当たりは、香りの印象ほど甘ったるくはないが、ふくらみもなく、酸も弱く、冗長。 口中いっぱいに黄色い花のような華やかさが広がる点が唯一の救いだが、後が続かず、甘い水といった印象を残すのみ。
  トロンテスというのはこの国固有の白ワイン用品種らしいが、初体験である。これだけで判断することは出来ないが、この実力であれば、 残念ながらもう一度買おうという気にはならない。食前酒的に軽く飲むか、あるいは風呂上りに渇きをいやすのには良いかもしれない。
<評定:D>

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