2001年7月
2001年7月1日 BLANC
BOURGOGNE "COUVENT DES JACOBINS" 1999 / LOUIS JADOT
ブルゴーニュ “クーヴァン・デ・ジャコバン” / ルイ・ジャド
BOURGOGNE地方、AC:BOURGOGNE
美しく輝く麦わら色。ナッツのようなオイリーさと、メロンのような甘さ&若干の青さがある。香り自身はたっぷりとしており、
パワーを感じさせる。味わいも甘味の強さを想像させる。
実際の口当たりは、確かにヴォリューム感があるものの甘味は香りの印象ほど強くはなく、酸がより主張する。
まろやかでコクはほどほど。余韻も短め。まとめ方は美しく、上品なワインだが、当初のインパクトに比べると尻すぼみな感は否めず、
物足りなさを残す。1,000円ワインであれば何らの不満もないが、入手価格\1,600にしては、特質すべき点はないと言える。
<評定:C>
2001年7月2日 ROUGE
CHATEAU CARONNE STE. GEMME 1997 CRU BOURGEOIS / HAUT-MEDOC
シャトー・カロンヌ・サントジェム (ブルジョア級)/ オー・メドック
BORDEAUX地方、HAUT-MEDOC地区、AC:HAUT-MEDOC
色はややくすんだ感じのガーネット。カシス的な黒っぽさと、アルコール感に満ち、落ち着いたブランデーのような香り。
第一印象でボルドーという感じはなく、マコンあるいはクリュ・ボジョレ、もしくはローヌの軽めのもののようなイメージ。
酸がぴちぴちとし、華やかで、パワーは今ひとつ。タンニンもほどほど。何杯でも軽やかに飲めるが、HAUT-MEDOCである以上、
もっとどっしりした飲み応えが欲しい気がする。誰からも嫌われないだろうが、熱烈なファンを作ることもないだろう。
入手価格\1,000なので、いささかの不満もないが、最も記憶に残らないようなタイプのワインである。
<評定:C−>
2001年7月5日 SPARKLING
PROSECCO SPUMANTE BRUT (V.D.Q.P.R.D.) / BELLENDA
プロセッコ スプマンテ・ブリュット / ベッレンダ
イタリア、VENETO州
グラスに注ぐと、とてもクリーミーで石鹸のように豊かな泡(form)が盛り上がる。
程なくそれは消えるが、その後、小さ目の気泡(bubble)が細々と持続する。この一連の泡立ちは、なかなか見応えのあるものである。
香りは、生クリームのような穏やかな甘さ、オレンジのような丸い酸、りんごのような甘酸っぱさ、黒糖のようにくすんだ甘さなどが同居。
引き締まってはいないが、適度に甘美で、優しい。
味も香りの印象と違わず、一口めからほのかに甘い。確かに辛口ではあるのだが、ふくらみがあり、極めて女性的。
スペインCAVAのBRUTに見られるような、ストイックなまでのシャープさとは違い、かなり陽気なワインと言える。
SPUMANTEの製法には、シャンパン方式のほか、シャルマー方式もあるはずだが、これはラベルに製法のことが書かれていないので、
どちらなのかはわからない。エレガントなボトルデザインに比べ、実力は凡庸であった。
なお、プロセッコとは、このワインのぶどう品種である。
写真は、コルク及びキャップの針金で作ったtable&chairと共に。
<評定:C>
2001年7月8日 ROSE
BOURGOGNE ROSE DE MARSANNAY 1999 / JAQUES BALARD
ブルゴーニュ・ロゼ・ド・マルサネ / ジャック・バラ−ル
BOURGOGNE地方、COTE DE NUIT地区、AC:BOURGOGNE ROSE DE MARSANNAY
色は薄めで、ピンクとオレンジの中間的な色といった感じ。香りは、レモン的な鋭さ、トマト的な青っぽい甘酸っぱさ、
アクリル的な化学物質っぽい香りが同居。口当たりは、とにかくレモン的酸が鋭く刺す。第一印象で甘味はなし。
しかし、後味にじんわり甘味がある。キレもよく、すっきり軽やか。酸の鋭さが最後まで中心に居座っている感じのとてもキュートなワイン。
マルサネは、コート・ド・ニュイ地区で唯一AOCに認められているロゼ。南の方のロゼに比べて、さすがに北らしくシャープである。
ボーイッシュで活動的、それでいてガラス細工のような脆さも持っていて、なおかつ純粋で真っ直ぐな潔さを感じさせる15歳といった風情。
なんだかイケナイことをしているような雰囲気。(※この表現って、いかにもオヤジ的だろうか。)
<評定:B>
2001年7月12日 BLANC
MUSCADET SEVRE ET MAINE SUR LIE 1999 / COUR MAJESTIER
ミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌ シュール・リー / クール・マジェスティエール
LOIRE地方、PAYS NANTAIS地区、AC:MUSCADET SEVRE ET MAINE SUR LIE
ミュスカデらしく極めて薄い色。まるでポリエチレンの袋の中の空気を吸ったような匂いと、松や杉などの針葉樹の葉のような深緑の香り。
清々しく、とても若いイメージである。グラスを回すと、炒りたてのピーナツのような香ばしく、かつ、脂っぽい香りと、
火薬のようなニュアンスも感じられる。この香りの特徴が、高貴な印象を与える。口に含んだ時のインパクトは、意外にも優しく、もちろん酸は強いものの刺すようなイメージではなく、
角が取れ、ほのかに甘味がふわっと広がる感じ。ミネラルっぽい旨みがじんわり残り、基本路線は、いかにも正統派のミュスカデ・シュール・リーだが、
ちょっとしたひとひねりが面白く、ただの飲みやすいワインではない個性をアピールしている。
丁寧に味わいたい1本。
COUR MAJESTIER とは、つまり王宮か。大げさな名前だが、確かにエチケットには宮殿のような絵が描かれている。由緒正しき作り手なのだろうか?
<評定:B>
2001年7月14日 ROUGE
BEAUJOLAIS-VILLAGES CHAMEROY 1999 / LOUIS LATOUR
ボージョレ・ヴィラージュ シャムロワ / ルイ・ラトゥール
BOURGOGNE地方、BEAUJOLAIS地区、AC:BEAUJOLAIS-VILLAGES
透き通り、やや黒みがかった色。チェリーのような甘酸っぱく可愛らしい香りと共に、若干なめし皮的な落ち着きもある。
アルコール感も豊かで、やや尖り気味の印象。
口に含むと、まず酸のアタックが極めて強く、刺すような感じ。甘味はほんのり感じる程度で、かなり引き締まっている。
タンニンも、引っ掛かるほどではないが、かなりある。血をなめたような鉄っぽい後味。
ここまでシャープで、緊張感のあるボージョレは珍しい。
香りには華やかさもあって、BEAUJOLAIS的なのだが、酸のテンションはBOURGOGNE的でピノに近い。
こういうエレガントなまとめ方は、素直にすごいと思う。このAOCにしては、稀有な存在だろう。
決して軽やかではなく、しっかりと落ち着き、飲み応えもある。夏の暑い時期でも、こういう赤ならば、少し冷やして爽やかに、かつ、しっかりと味わえる。
重くなく、さりとて薄っぺらくない。相反する要求を満たしてくれるワインだ。
<評定:A>
2001年7月18日 ROUGE
CHATEAU LASSEGUE 1997 / SAINT-EMILION GRAND CRU
シャトー・ラセーギュ / サンテミリオン・グラン・クリュ
BORDEAUX地方、SAINT-EMILION地区、AC:SAINT-EMILION GRAND CRU
色は、やや黒っぽいガーネット。足は長い。香りはスパイシーで、甘苦い薬草的香りと、黒コショウのような雰囲気もある。
若干なめし皮の匂いも感じ、どっしりと落ち着きがある。口当たりは、まず酸のアタックが強く、甘味はほとんど感じない。
タンニンはシルクのようにきめ細かい。凝縮感は今ひとつで、パワー不足の感はあるが、まとめ方がきれいで、上質さを感じさせるワイン。
雑みがなく、実に端正な仕上がり。
定価\3,700を\1,500として売られていたもの。定価の真偽は定かではないが、その程度の価値はあると思う。これでもっとパワーがあれば、
\5,000と言われても納得しそうである。久しぶりの「大柄もどき」ワイン。
<評定:AA>
■翌日追記■
2日目。少し生臭さが出たものの、バニラ香や花火の火薬のような香りも出てきて、少し落ち着いた印象。いまだ飲み応え十分。
2001年7月19日 BLANC
BOURGOGNE BLANC CHARDONNAY 2000 / JEAN LAFITTE
ブルゴーニュ・ブラン シャルドネ / ジャン・ラフィット
BOURGOGNE地方、AC:BOURGOGNE
色は、典型的な麦わら色。乾いた木の皮、オリーブオイル、湿った土+苔などの香り。
まるで安物ACボルドーのような、地下室っぽいニュアンスがあり、ブルゴーニュらしからぬ第一印象。
柑橘的フレッシュさはあまりない。酸のアタックがそこそこ強く、味わいにふくらみはなく、シャープ。
水あめのようにほんのり甘さがある。余韻は短い。深みには欠ける。
角が取れ、よく言えば穏やかな、悪く言えばインパクトの弱いワインだ。しかし、この穏やかさを楽しむべきなのだろう。
入手価格1,000円なので、特に不足はない。むしろ上出来と言えるだろう。
2000年ヴィンテージであり、軽さは若さのせいだと言っても良いが、そもそも熟成の期待はできないワインだろう。
<評定:C+>
2001年7月28日 ROUGE
FITOU 1998 "CUVEE MME. CLAUDE PARMENTIER" / VAL D'ORBIEU
フィトゥー キュヴェ・マダム・クロード・パルマンティエ / ヴァル・ドルビュー
LANGUEDOC-ROUSSILLON地方、FITOU(CORBIERES)地区、AC:FITOU
かなり黒っぽい色だが透過性は高い。アルコール感豊かな香りで、しょうゆのような鈍い酸を伴う黒っぽい雰囲気があり、
バルサミコ的でもある。口当たりはかなりシャープで、酸が極めて強い。重みはなく、細身。タンニンは力強い。
とりたててくせがないので、すっきりと飲みやすい。しかし、それは言い換えれば、面白みもないということ。
酸の筋がしっかり通っていることと、じんわり残るタンニンが個性と言える。
<評定:C>
2001年7月30日 SPARKLING
L'ACRIMA BACCUS BRUT RESERVA / CAVAS LAVERNOYA S.A.
ラクリマ・バッカス ブリュット・リゼルヴァ / カヴァス・ラヴェルノヤ
スペイン、CAVA
泡(form)は大柄で、最初ふわーっと盛り上がり、すぐにちりちり消えてゆき、サイダーのように大粒の気泡(bubble)が持続する。
ハーブ香と、柑橘的鋭さと、やや黒っぽい香りもある。口当たりもまったく甘くはないのだが、不思議に黒糖的ニュアンスがある。
シャープな味わいで、余韻はほどほど。
鋭いだけではなく、旨みも十分。夏だからといって、ただ爽快なだけのワインではなく、やはり少しでも飲み応えがあった方がいい。
そんな期待に応えてくれるコスト・パフォーマンスの高いカヴァ。
<評定:B>