利酒日記〜安葡萄酒に彩られた日常〜

2001年8月


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2001年8月4日  BLANC
COTEAUX DU LANGUEDOC 2000 / DOMAINE DU MAS DU SOL
コトー・デュ・ラングドック / ドメーヌ・デュ・マ・デュ・ソル
LANGUEDOC-ROUSSILLON地方、AC:COTEAUX DU LANGUEDOC

  しっかりとした麦わら色。香りは、はちみつ、黄色い花などの甘く華やかな印象と、オレンジのような丸い酸を感じる。 口当たりは、まず酸が際立つが、尖った感じはない。口の中でころがすと、甘味を伴うふくよかさがあるが、 酸の切れが良いので、最後には甘味を残さない。
  全体としてフラワリーでやさしく、甘美なワインだが、不思議にきりっとしており、冗長ではない。 爽快感は今ひとつなので、夏にふさわしいとは言えないが、実に味わい深く、飲み応え十分である。
<評定:B>

2001年8月5日  ROUGE
SAINT-CHINIAN 1996 "Unfiltered" / CANET VALETTE
サン・シニアン / カネ・ヴァレット
LANGUEDOC-ROUSSILLON地方、SAINT-CHINIAN地区、AC:SAINT-CHINIAN

  色はやや褐色がかり、かなり深みのあるガーネット。フィルターがけしていない(Unfiltered)との表示通り、確かに、細かなオリが多数確認できる。 実にアルコール感に満ちた芳醇さがあり、黒っぽい香りで、深みがある。甘酸っぱさもある。 実際の味わいも香りの通りで、まず酸のアタックが強いが、甘味も豊かに広がる。また、タンニンも力強くワイルド。 すべての味の要素が強いが、不思議にまとまりがある。従って、乱暴な印象はない。
  実はこのSAINT-CHINIANというAOCが最初ピンとこなかったので、売場で質問してみたのだが、 その場に答えられる店員さんがいなかった。「今すぐ仕入れを担当したソムリエが戻ってまいりますので」と言われ、待つことにした。 "ソムリエ"じゃなくて、"ワインアドバイザー"の間違いじゃないの?と思いながら待っていると、現れたのは、 確かに「金のぶどう」のバッジをしたソムリエ嬢(ソムリエールというべきか)であった。
  私:『これ、ロワールの方ですか?(ボトルの雰囲気からカベルネフランのワインかなと想像したので)』
  ソムリエ嬢:『えーっと。もうちょっと南の方だったかもしれません。』
  私:『サンシニアンって、新しいAOCなんですか?』
  ソムリエ嬢:『確かどこかから分かれてできたAOCだったような・・・』
  私:『はあ、なるほど。それで、ぶどうは、カベルネフランですか?』
  ソムリエ嬢:『そうです。(キッパリ言い切る)』
  私:『じゃあ、軽いタイプなんですね?』
  ソムリエ嬢:『ええ。でもこの作り手はこだわりがあって、フィルターがけしてませんので、 飲み応えはあるタイプだと思います。』
  私:(心の中で『どっちやねん!』)
  そんなやり取りがあった後、帰宅してモノの本で調べてみてビックリ。 なんとロワールどころか、遠く離れた南仏のラングドックではないか! そういえば、なんとなく聞いたことのあるAOCではあった。しかもこの地区の品種はシラー、サンソー、グルナッシュ などと書かれている。軽いどころではない。上記テイスティング結果のとおり、果実味豊かなのは当たり前である。
  件のソムリエ嬢、最後に『勉強不足ですみません。』なんて言っていたけど、ほんと、金バッジが泣いてるよ!
  でもこのワイン、クオリティは確かだったので、許してあげる。私もまだまだ勉強不足です。
<評定:A>

2001年8月9日  ROUGE
120 CABERNET SAUVIGNON 1998 / SANTA RITA
シェント・ベインテ カベルネ・ソービニヨン / サンタ・リタ
チリ、CENTRAL VALLEY

  色は極めて濃く、にごり気味の印象で、やや青っぽくもある。 黒っぽいベリー系の香りとチョコレートのようなニュアンス。とても豊潤でパワフルな印象。 アルコール度数も高く、足は長い。 口に含んだ瞬間、やわらかな甘味がほのかに広がるが、決して嫌味はない。酸はほどほど。 フィニッシュにヴァニラ香があり、やや粉っぽい。タンニンも力強いが、とげとげしさはなく、 からっと陽気。実にチリらしい、ピーカン気分なワイン。真夏の太陽のような味わいだが、 あまり真夏に飲みたいタイプではない。
  ハーフボトルを\600にて購入。実にコストパフォーマンスが高い。こういうのって、チリ本国ではきっと 特別な日に飲むワインなんだろうなと思う。
<評定:B>

2001年8月15日  BLANC
BOURGOGNE CHARDONNAY 1998 "LES VENDANGEURS" / BOUCHARD AINE & FILS
ブルゴーニュ・シャルドネ "レ・ヴァンダンジュール" / ブシャール・エィネ・エ・フィス
BOURGOGNE地方、AC:BOURGOGNE

  麦わら色というよりもかなり黄色みが強く、青みもあって、黄緑色に近い。レモン、グレープフルーツなどの刺激の強い柑橘系の香りを基調に、 椿のような深緑の葉の香り、フローリングの表面のような薬品が塗られた木の香り、ビーチボールの中の空気を吸ったような匂いなどがある。 しかし、輸入者がラベルに書いている「洋ナシ」を私は感じ取ることができなかった。
  酸のアタックは意外と丸く、オレンジ的なまろやかさがある。苦味もあるが柔らかい。余韻は短く、良く言えば繊細、悪く言えばパワー不足である。 後味にも薬品的香りが残り、それ自体は嫌な感じはないのだが、味わい深さはない。損も得も感じない凡庸な1,000円ブルゴーニュ。 夏に気軽に飲む白ワインとしては、「これでよし」といったところだろう。
<評定:C>

2001年8月19日  ROUGE
SAINT-AMOUR 1998 / F. COLIN-BAROLLET
サン・タムール / F. コラン・バロレ
BOURGOGNE地方、BEAUJOLAIS地区、AC:SAINT-AMOUR (CRU BEAUJOLAIS)

  やや褐色がかったルビー色。甘酸っぱくフルーティな香りで、若干の生臭さがある。とても若々しい第一印象である。 口当たりは、まず酸のアタックが鋭く、ぴちぴちとフレッシュ。甘味は弱い。深みはなく、すっきりしており、余韻も短い。 タンニンも弱め。
  押しは弱いが、全体のまとまりはよく、端正でキュートで可憐な味わい。反面、奥深さや妖艶さはない。 ぴちぴち感は、確かにボージョレらしいと言えるが、CRU BEAUJOLAISとしては、個性が今ひとつ明確でなく、物足りない。 しかし、入手価格が\1,000であるから、不満はない。
  特にブッ飛んでいるわけでも、くそ真面目でもなく、皆と同じようにブランドものとかが好きな普通の女子高生みたいな感じ。
<評定:C+>

2001年8月22日  BLANC
SANTA HELENA SIGLO DE ORO CHARDONNAY 1999
サンタ・ヘレナ シグロ・デ・オロ シャルドネ
チリ、CURICO VALLEY

  色はかなり濃く、黄金色に近い。バター、サワークリーム、洋ナシ等の香りと共に、なぜか淹れる前の緑茶の葉のような香りもする。 口当たりはオイリーで、ねっとりとし、甘味が強く、酸もとても強い。ふくらみがあって、余韻もそこそこ続く。 すべての要素が強く、陽気でパワフル。実にチリらしいシャルドネ。後味にも酸のアクセントがあり、キュート。13%という高いアルコール度数を 感じさせないほどふくよかで丸っこい味わい。
<評定:C>

2001年8月23日  BLANC
DOMAINE DU MAGE 2000 UGNI-BLANC, COLOMBARD / VIN DE PAYS DES COTES DE GASCOGNE
ドメーヌ・デュ・マージュ ユニ・ブラン,コロンバール / ヴァン・ド・ペイ・デ・コート・ド・ガスコーニュ
VINS DE PAYS

  色は淡い麦わら色。香りはとても華やかで、白や赤や黄色や紫など色とりどりの花束のような印象と、はちみつのような甘い香り。 味わいは、最初甘味が豊かに広がるもののすぐに強く鋭い酸が押し寄せる。この酸が、冗長さを打ち消し、緊張感を作っている。 余韻も適度に長く、ほのかな甘味が穏やかに尾を引く。飲み込むとき酸が喉を刺すような感じで、 それが最後まで引き締め役になっている。 ユニ・ブランとコロンバールという品種名を見て、もっと甘ったるく冗長な味わいを想像しただけに、かなり意外だ。
  ところでこのワイン、売場に掲出されていたコメントが大げさだった。「なんとパーカーポイント88点。世界一お買い得な白ワイン」だそうだ。 こういった文字を見ると、あら探しをしたくなってしまうが、悔しいことに、確かに\1,000でこの実力は素晴らしいと言わざるを得ない。
  小学校高学年くらいの頃、どこのクラスにも1人はいた、妙に大人びていて魅惑的な雰囲気を持つ女の子みたいな、青いくせに異様に華やいだ感じのワインだ。
<評定:B>

2001年8月26日  ROUGE
SAUMUR CHAMPIGNY 1997 CLOS DE NOYANT / JEAN-CLAUDE BOUGRIER
ソーミュール・シャンピニー クロ・ド・ノワイヤン / ジャン・クロード・ブグリエ
VAL DE LOIRE地方、SAUMUR地区、AC:SAUMUR CHAMPIGNY

  色はやや褐色がかっており、にごりがある。香りは、黒豆やしょうゆのような馥郁とした香りに、ピーマンのような青さも若干。 イオウっぽさもあり、茹でたタケノコのような感じもある。 酸のアタックが強く、鋭い。ラズベリー的甘酸っぱさが広がる。タンニンはシルクのように滑らかで、ふくらみはない。 最後まで酸の収斂性が支配。余韻にも黒っぽいフレーバー。華やかさはなく、堅く、おとなしく、とげとげしい。 内向きではあるが、この落ち着きが個性と言える。
  田園風景の中を自転車通学している頬っぺたの赤い女子中学生といった風情。多分このまま垢抜けることもなくオバサンになってゆくんだろう という感じのワイン。
<評定:B>

2001年8月30日  SPARKLING
GRAND LAURENT BLANC DE BLANCS / VIN MOUSSEUX BRUT
グラン・ローラン ブラン・ド・ブラン / ヴァン・ムスー ブリュット

  泡(form)は最初ふわーっと盛り上がるが、すぐに消える。やや大きめでちりちりとした水泡(bubble)が適度に持続。 但し、すぐにパワーが弱くなる。色はきれいな麦わら色。香りに深みがあり、甘味を想像させる。若干のイオウっぽさがある。 口当たりは優しく、すぐに丸っこい甘味が広がる。華やかで、穏やか。コクも適度に感ずるが、ほとんどが甘味に由来するもので、 この甘味を完全に取り去ったとしたら、薄っぺらいものになるだろう。とはいえ、入手価格\1,000でフランス産スパークリング が楽しめるのだから、これで充分と言わなければなるまい。
  ゆく夏を惜しみつつ泡モノにしてみたが、秋になったらなったで、もっとコクのあるスパークリングがおいしいだろうと思う。
<評定:C−>


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