利酒日記〜安葡萄酒に彩られた日常〜

2001年10月


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2001年10月4日  BLANC
TORTOISE CREEK LES AMOUREUX 2000 CHARDONNAY VIOGNIER / VIN DE PAYS D'OC
トートワーズ・クリーク レ・ザムルー シャルドネ・ヴィオニエ / ヴァン・ド・ペイ・ドック
VIN DE PAYS

 6本購入したうちの4本目。今度は、ヴァン・ド・ペイの白である。
 今まで3本続けて良い評価をしてきた。こうなると少し意地悪い目で見たくなるものだが・・・。
 色はかなり濃く、レモンイエローというか、パイン水といった感じ。 香りは、バターのようなオイリーな感じと、ヨーグルトのような乳酸系の甘酸っぱさと、ライチや白い花のような清楚さもある。 時間とともにナッツの香ばしさも感じられるようになる。 口当たりはまろやかで、ふくよか。酸は鋭くなく、甘味が豊かだが、決して間延びしているわけではなく、 端正できちんとした印象。余韻も長く、実にパワフルで、飲み応え十分。
 またしても高い評価をつけざるを得ない。非常にvin de paysらしく、それでいて冗長ではない。
 私の師事している安ワイン道場師範の意見をもし伺えば、
「こういうのって、パワフルで樽香バンバンの白が好きって御仁には受けるのかもしれないが、 師範的にはちょっと苦手だったりする。まあ涼しくなってきたのでこういうのもアリだが、夏の間はチョットって感じですな」
のようなコメントを賜りそうなタイプのワインだと思う。
<評定:A>

2001年10月7日  BLANC
ILE LA FORGE CHARDONNAY 1999 / VIN DE PAYS D'OC
イル・ラ・フォルジュ シャルドネ / ヴァン・ド・ペイ・ドック
VIN DE PAYS

 6本まとめて購入したうちの5本目。
 淡い麦わら色。香りはおとなしく、ナシ(洋ナシではなく、二十世紀ナシ的)のようなみずみずしさと オレンジ的丸い酸を中心に、かすかにバニラ香もある。味わいは、まず酸のアタックがほどほどで、甘味もほどほど。 すっきり爽やかな印象だが、反面、広がりは今ひとつで、パワー不足。
 ブラインドで試したら、おそらく南仏とは思わず、マコンだと思うだろう。しかもパワーのない部類のマコンだ。 端正さだけは好印象だが、単体価格\1,090に比較して、実力は平均点をちょっと上回る程度。
<評定:C+>

2001年10月11日  ROUGE
TORTOISE CREEK LES AMOUREUX 1999 SYRAH-MOURVEDRE "UNFILTERD" / VIN DE PAYS D'OC
トートワーズ・クリーク レ・ザムルー シラー・ムルヴェードル "アンフィルタード" / ヴァン・ド・ペイ・ドック
VIN DE PAYS

 6本まとめて5,000円で買ったものの6本目。ついに最後の1本である。
 シラー:ムルヴェードル=70:30というから、それだけで味わいが想像される。しかも、unfiltered。
 色はとにかく濃い。足も非常に長い。しょうゆやトマトジュースのような濃厚な香りに、時間が経つと血の香り (あるいは液漏れした乾電池のような匂い)が加わる。意外にも酸のアタックが強く、甘味はもちろんふっくらとし、 タンニンも非常に力強い。すべての要素がバラバラに主張し、ずっしりと重く、甘酸っぱい。 飲み込んだ後、口中に残るタンニンが粗暴で、いかにも赤ワインを飲んだという充実感がある。
 フィルターがけしていないから当然と言えば当然だが、ワイルドでまとまりに欠けるワイン。
 単体価格\790なので、損をした感じはないが、大手を振ってお買い得というほどでもない。
<評定:C+>

2001年10月14日  BLANC
COTES DU VENTOUX 2000 / LOUIS JOSSE
コート・デュ・ヴァントゥー / ルイ・ジョズ
COTES DU RHONE地方(南部)、COTES DU VENTOUX地区、AC:COTES DU VENTOUX

 やや濃いめの麦わら色で、黄色のトーンが強め。 香りは、晴れた日の芝生のような青々した感じに、ライム的な柑橘香、乳酸飲料、ヘーゼルナッツ等も感じ、 なかなかに複雑さがある。口当たりは、酸のアタックは強いものの、薄っぺらい印象はなく、ほんのり丸い甘味が広がり、 ふっくらとしている。シャブリのようなミネラルを感じ、飲み応えも十分。
 今までこのAOCの白で良い印象を持ったものはなかった。ただ酸が強いだけで厚みがないものが多かったので、 今回も全く期待はしていなかった。それだけに驚いた。生き生きとした酸とふくらみを、 ここまでうまく両立している1,000円ワインは少ない。天晴れ、である。
<評定:A>

2001年10月15日  ROUGE
CHATEAU JOLY 1997 / SAINT-EMILION
シャトー・ジョリィ / サンテミリオン
BORDEAUX地方、SAINT-EMILION地区、AC:SAINT-EMILION

 基本的にルビー色だが、やや黒ずんだ感じ。ボルドーというより、ブルゴーニュ的。 香りは黒っぽく、なめし皮や湿った土のような感じがある。この香りの印象からは、かなり大柄な味わいが予想される。 しかし、実際の味わいは、肩透かしを食った感じで、重みがまるでなく、さらっとしている。 タンニンはきめ細かく、実に上品なので、育ちの良さのようなものはうかがえる。 全体的にパンチ力に欠け、余韻は短い。しかし、悪い印象はなく、端正さが際立ち、単体で飲んでおいしいワイン。 後味に鉄っぽさもあり、なかなか。
 GRAND VIN DE BORDEAUXの文字もあり、いわゆる「なんちゃってグラン・ヴァン」だが、この手のワインに共通して言えることは、 香りの印象は実に大柄で、大きな期待をさせてくれるものの、パワーがなく、妙にさらっとしていて、 「あれれっ」という終わり方。1,000円ワインなのだから、この絹のような喉越しだけでも高く評価したいとは思う。
<評定:B>

2001年10月16日  SPARKLING APPLE WINE
NIKKA CIDRE "PREMIER"
ニッカ シードル・プルミエ
日本

cidre premier  色は典型的なシャンパンゴールドで、輝きがある。泡は、同社の廉価版シードル (当日記にSWEETDRYと登場済)に比べると、むしろ力がない印象で、持続時間も長くはない。 香りは、家庭のジューサーで搾ったばかりのりんご果汁から立ち昇るような、繊維質たっぷりで鉄っぽい感じのりんご香。 作られていない自然な感じの香りである。その奥に、箱から出して火をつける前の蚊取り線香のような、あるいは乾ききっていない雑草に火をつけたような、 水分を蒸発させつつ燃え始めた葉のような匂いが感じられる。りんごの皮だけをしゃぶったような青臭さとも言える。
 かなり甘味があるが、わざとらしくはなく、むしろこれが深みを生んでいるので、良い結果につながっていると言える。 不思議なことにシャンパーニュの酵母臭に似た香りもあり(私の錯覚か)、飲み応え十分。
 瓶に貼られたラベルには、「りんご果汁を凍らせて水分だけを取り除き、その純粋な果汁だけでつくりました。」とある。 なんだかドイツのEISWEIN(アイスヴァイン)みたいで、嬉しいではないか。
(※注:果汁だけを人工凍結させるのだから、 製法としては、まったく違う。イメージの問題。)
 アルコール分7%。360mlで\398は、とてもお買い得である。普通なら食事の時に飲むようなものではないのかもしれないが、 今日はブイヤベースと共に楽しんだ。深みのある甘さがよく調和していた。でも想像するに、一番合うのはアップルパイとか、 りんごのタルトではないかと思う。
<評定:A−>

2001年10月18日  BLANC
MACON VILLAGES 2000 / ROUX PERE & FILS
マコン・ヴィラージュ / ルー・ペール・エ・フィス
BOURGOGNE地方、MACONNAIS地区、AC:MACON VILLAGES

 色はかなり薄い。グレープフルーツ的柑橘香と、ヴァニラ香が絶妙に調和し、両者が拮抗している。 その奥にミントのような清々しさがあり、アクリルのような化学物質的匂いもある。 口当たりは意外と甘くふくらみがあるが、すぐに鋭い酸が追いかけてきて、全体を引き締める。 後味もすっきりクリアで、余韻は短い。鋭敏な中にも上品さがあり、パワーがあってもぼやけたマコンよりは、こちらの方が良いと思う。 入手価格\1,280。
 東京・文京区あたりのお嬢様育ちで、世間を知らず、礼儀を欠くところもあり、貪欲さもないから社会の中ではうまくゆかないが、ピュアで素性が良いので 可愛がられる20歳の美女的ワイン。
<評定:B>

2001年10月20日  ROUGE
AUXEY-DURESSES 1996 / ANTOINE CHATELET
オーセイ・デュレス / アントワーヌ・シャトレ
BOURGOGNE地方、COTE DE BEAUNE地区、AC:AUXEY-DURESSE

 色は透明度が高いもののかなり褐色に近くなっている。 アルコール感に満ちた芳醇な香り。若干のイオウっぽさとなめし皮の匂いもある。 甘酸っぱい味が想像される。
 実際の口当たりは、やはり酸が鋭く、かつ、じんわりと甘味を感じる。 タンニンがかなり強く、ひっかかりがあり、飲み込んだ後も唇の裏に残る。 余韻は長くないが、しなやかでさらっとした甘酸っぱさが持ち味と言えるだろう。
 セール品につき、入手価格は\1,000。それを前提とすればA評価でも良いが、 本来の値段は倍以上であろうと思われるので、下記評定となった。
<評定:C+>

2001年10月21日  ROUGE
CHATEAU GRAND PERREAU 1998 / BORDEAUX
シャトー・グラン・ペロー / ボルドー
BORDEAUX地方、AC:BORDEAUX

 当日記では、原則として自宅でフルボトル飲んだもののみアップすることにしている。 しかもメインとなるターゲットを1,000円台としているので、外でグラス単位で飲んだものなどが登場することはない。
 さて、今日は悪天候の中、屋外で数家族が集まってバーベキューをした。その時、持参したのがこれ。 通常ではこういったものを取り上げないのだが、当日記のターゲット価格帯であるため、例外的に取り上げることにした。
 紙コップでゴクゴクという感じで飲んだため、詳細なことはわからないが、大まかな印象を記しておこう。
 色はかなりしっかりとしてボルドーらしく、香りもどっしり重みを感じるものの、やや複雑さには欠ける。 ヴァニラ香もしっかりとあるが、深みは今ひとつで、ACボルドーの中でもさらっとした部類といえる。飲み口のスムーズさに比べ、 後に残るタンニンが個性を主張し、うまくバランスを取っている。

 CONCOURS DE BORDEAUX VINS D'AQUITAINE 1999 MADAILLE D'OR

と表示した金ラベルが誇らしく貼られている。 つまり、ボルドーのワインコンクールで金賞を受賞したものだが、1,000円ワインとしては価格を少し上回る程度のクオリティ。 焼肉とともに陽気に飲むのにはぴったりであった。
<評定:C+>

2001年10月26日  ROUGE
LA DEMOISELLE DE SOCIANDO-MALLET 1998 / HAUT-MEDOC
ラ・ドゥモワゼル・ド・ソシアンド・マレ / オー・メドック
BORDEAUX地方、HAUT-MEDOC地区、AC:HAUT-MEDOC

La Demoiselle de Sociando-Mallet  格付けワインではないものの、それに匹敵する実力があるとして高い評価を得ているシャトー・ソシアンド・マレのセカンドワイン。 セール品につき\1,580にて入手。
 色は極めて深いガーネットで、グラスの底が見えないほど。黒ベリー系の少し甘酸っぱい香りと共に、土の香りや、血の香りもある。 グラスを回すと更に鉄っぽさが際立ってくる。口に含んだ瞬間は、不思議にも甘味がふわっと広がるが、すぐに酸が引き締めにかかり、 その後ビロード的タンニンが柔らかく包む。香りの印象からは、もっとシャープな味が想像されたのに、 甘味すら感じるそのふくよかさには驚く。しかも酸は、瞬時にほろっと消え、ヴァニラの心地よい余韻が残る
 入手価格を前提に評価すれば、もう史上最高といっても良いくらいの高得点だが、本来の売値はもう少し高いはずなので、それを踏まえて下記評価となった (といってもAA評価自体、めったにあるものではない)。やはり1,000円ワインとは一線を画する確かなクオリティ。 4,000円程度の価値はあると思う。
 決して派手ではなく、チャラチャラと浮ついたような印象も感じられず、むしろ地味で、知性あふれる銀座か北新地のチーママのようなワイン。 気取りがないので超一流という印象は与えず、また大物の風格までは備わってはいないものの、実力は抜群。知らず知らず酔わせてくれる。 しかも脱いだらスゴいタイプだ(また今日もセクハラ的コメントをしてしまった)。
<評定:AA>

2001年10月28日  BLANC
GAVI 2000 (D.O.C.G.) / FONTANAFREDDA
ガヴィ / フォンタナフレッダ
イタリア、PIEMONTE州

 色は当然のごとく薄い。グレープフルーツ的柑橘香に青草の匂いと、若干の石油香。かなり人工的な印象である。 グラスを回すと、ヘーゼルナッツのような香ばしさが立つ。 口当たりは、切れ込むような酸と苦味が特徴で、ぴりぴりした刺激を伴う。口中に薬品的な匂いが漂う。甘味は微か。 プラスティック的な後味が続く。
 飲み応えがあるとは決して言えないが、GAVIにしてはインパクトの強い方で、個性的なタイプ。
 いつも教室の片隅で1人で本を読んでいるような、地味な文学少女16歳。 とげとげしいので誤解を与えるタイプだが、このかたくなさを失ってしまったら、むしろただの地味な娘として忘れ去られてしまうだろう。 そんなワイン。
(最近、この比喩コメントを柳屋さんのサイト(www.superwineshop.com) で誉められてから、私WEBマスターは、ちょっと調子に乗ってます)
<評定:C+>


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