利酒日記

2002年4月


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2002年4月1日  ROUGE
LUIS CORREAS MALBEC OAK 1996
ルイス・コレアス マルベック・オーク
アルゼンチン、MENDOZA

 ネットで赤ばかり12本まとめて購入したうちの1本目。
 私は元来、ネットで物を買うことには消極的であった。理由は3つある。 (1)セキュリティ面に不安がある。(2)買物の喜びは、実際に店頭で手にとって品定めするところにある。 (3)便利である反面、コストパフォーマンスの高い商品が少ない。
 (1)については、事前登録やカード番号入力ではなく、銀行振込や代引郵便を利用すれば不安は少し抑えられる (最近は技術が向上しているので、カード番号を入力することにも以前ほどためらいを感じることはなくなったが)。
 (2)については、永遠に解消されないテーマで、この1点において、ネットショップには限界があり、どんなにネットが発達しても、 対面販売は絶対になくならないと私が考えているゆえんである(旧態依然とした「丁寧な」接客を私は望んでいるわけではないので、念のため。)。 ただ、wineのように日々消費するものについては、買物の労力を低減できることの意義は大きい。
 (3)については、特に私が日頃不満に思っていることであるが、ネットのwine shopは、どうしても店頭ほど品揃えが多くはなく、 たった1本注文しても決して安くない送料がかかってしまうという致命的欠陥がある。 お仕着せを嫌う私ではあるが、1本1本画面上で選んで、届くまで数日待つというのもうっとうしい。しかも高いとなれば、なおさら億劫になる。
 そんな中、私のニーズにバッチリ応えてくれるのが、今回もお世話になったいかりスーパーだ。 関西きっての高級スーパーであり、以前から私の愛してやまないお店だ。 今回のは、12本セット送料込みで\15,000というものである(\10,000のセットもある)。
 さて、今日の夕食は脂少なめのステーキということもあって、選んだのが、オーク樽で熟成したマルベック。
 色は輝きのあるやや濃いめのルビー色。香りは、若干芳醇さの足りないブランデーのような、樽香を伴うシャープなアルコール感が中心。 味わいも直球勝負で、よく言えばわかりやすい。熟成感よりも、きりっとした育ちのよさが際立っている。 コクがないわけではないが、甘ったるさは微塵もなく、端正。 ブラインドで品種を当てよと言われても、 絶対にわからなかったと思う。今までに経験したマルベックがあまりにも質が低かったというべきか、こんなに緻密なものは初めてだ。
 とってもおいしいワインであることに間違いはないが、南米らしさが伝わってこない点を加味して、下記評定。
<評定:C+>

2002年4月5日  BLANC
CHATEAU DE CANTALAUZE 2000 / MINERVOIS BLANC
シャトー・ド・カンタローズ / ミネルヴォワ・ブラン
LANGUEDOC-ROUSSILLON地方、MINERVOIS地区、AC:MINERVOIS

 色はきれいなレモンイエローで、豊かな味わいを想像させる。香りはおとなしく、レモンやライムのような鋭さと、若干のオイリーさもある。 実際に口に含むと、思っていた以上に酸が鋭く、オイリーななめらかさには欠け、単調。広がりも乏しい。 あまりにシャープですっきりしすぎて、焼き魚との相性はあまりよくなかった。このすっきり感と合わせるとしたら、生ガキだろうか。 後味にかすかにバターっぽさがあるので、ホタテのバター焼きなんかも良さそうだ。
 入手価格\900ということを考えれば、まあ上出来である。
<評定:C+>

2002年4月8日  ROUGE
ALMA MALBEC 2001
アルマ マルベック
アルゼンチン、MENDOZA

 先日に引き続き、今日もアルゼンチンのマルベック。しかも同じようにネットでいかりスーパー から、先日とはまた別に12本セットで購入したもの(専属ソムリエの岩崎さん、今回は色々とお世話になり、ありがとうございました)。
 先日のマルベックは、あまりマルベックらしい感じがしなかったのだが、こちらはどうだろうか。
 ぶどうジュースのような濃い青紫。甘く青い香りで、品種の特徴が良く出ている。ただし、奥深い芳醇さもあり、上品な印象。 酸が結構鋭く、同時にふんわりとした甘味も広がり、かつ、青々した若さもある。ワイルドで、ややまとまりに欠け、ああ、これは紛れもなくマルベックだなあという味わい。
 単体販売価格は\990。値段相応だ。「アルゼンチンのマルベックとはこういうワインです。」というお手本のようなワイン。非常に好感が持てる。
<評定:C>

2002年4月9日  BLANC
HAWKES BAY SAUVIGNON BLANC 2000 / MATUA
ホークス・ベイ ソーヴィニヨン・ブラン / マチュア
ニュージーランド

 色は淡いレモンイエロー。フレッシュなパイナップルやりんごの香り。極めて単調な印象。 口に含むと、香りの印象と寸分違わないフルーティで華やかな味わい。但し、酸の鋭さは予想以上。 この鋭さが引き締めてくれるので、辛うじて冗長にならずにすんでいる。
 これも12本セットで購入したうちの1本。単体販売価格は\1,080。ちょっと物足りない。 誰が飲んでも不味いとは言わないだろうが、特に誉めるところも見当たらない。偉大なる大衆酒といった感じ。
<評定:D>

2002年4月11日  BLANC DOUX
LATE HARVEST 1995 SAUVIGNON SEMILLON / SANTA CAROLINA
レイト・ハーヴェスト ソーヴィニヨン・セミヨン / サンタ・カロリーナ
チリ(甘口)

 今日は妻のBirthdayにつきケーキに合わせて極甘口をチョイス(ソーテルヌでないのがセコイところ)。
 色は黄金色というよりは琥珀色で、ウーロン茶に近い。香りは紹興酒のような感じで引き締まっており、 フルーティな印象はない。味わいは力強い甘味と生き生きした酸が共存。世界3大貴腐ワインの一つトカイ・アスーに似ており、 とても深みがある。
 実はまったく同じヴィンテージを約1年前にも試しているが、 その時の感想とはだいぶ違う。1年でかなり熟成が進んだということか。以前のもっとフルーティな飲み心地のほうがチャーミングでよかったと思う。 これはこれで悪くはないのだが。
 入手価格はハーフで\1,250。この値段を前提とするなら何ら不満はないが、本来はもう少し高かったはずである。
<評定:C−>

2002年4月13日  ROUGE
ANTINORI SANTA CRISTINA 1999 / TOSCANA(I.G.T.)
アンティノリ サンタ・クリスティーナ / トスカーナ
イタリア、TOSCANA州

 濃いルビー色で、エッジはピンク。香りをかいだ瞬間に、すぐ「イタリアワインだ」とわかる動物臭。だが、決して嫌味はなく、 芳醇なアルコール感と渾然一体となって品がいい。口当たりはとても柔らかく、甘味がふんわりと広がる。 とてもみずみずしく、ジューシーで、後に残る酸がキュッと引き締め、タンニンも適度。とにかく全体のバランスが極めてよい。
 今日の夕食は、マグロの刺身(赤身)、ひじきの煮物、トマトサラダと支離滅裂だが、この献立ならばイタリアの赤がぴったりだろうと直感した。 イタリアワインがトマトに合うのは当然のこととして、このワインのジューシーさと適度な渋味が、特にマグロにバッチリであった。 これぞ至福のマリアージュ。
 12本15,000円セットの内の1本で、単体販売価格は\1,750。もし1,000円台前半でこのクオリティなら文句なくA評価だが、値段を考慮してB評価。 ただ、冷静に見て、2,000円以上の価値はあると思う。
<評定:B>

2002年4月14日  BLANC
SAN HUBERTO CHARDONNAY / MENEM
サン・ユベルト シャルドネ / メネム
アルゼンチン、LA RIOJA

 12本11,000円にて購入したうちの1本。エチケットのどこを見ても年数表示がない。ノン・ヴィンテージのようだ。
 色はやや緑がかったレモンイエロー。香りは爽やか系。尖りのない柑橘香に若干のバターっぽさ。 口に含むと、香りの印象よりは幾分かふっくらとし、華やかな甘味が広がる。酸はやわらかい。黄色い花のような印象。 飲み干した後に残る後味は、なぜか焼酎のように旨みのあるアルコール感。
 一般的な南米のイメージに比べるとシャープな部類と言え、南仏のシャルドネに似ている。単体販売価格は\1,090とのことで、 値段相応である。
<評定:C>

2002年4月16日  ROUGE
FINCA EL RETIRO BONARDA 1999 / TITTARELLI
フィンカ・エル・レティロ ボナルダ / ティッタレッリ
アルゼンチン、MENDOZA

 最近なぜかアルゼンチンが多いが、これも12本15,000円で購入したうちの1本。ボナルダという珍しいぶどう品種だ。
 色は極めて濃く、グラスの底が見通せないほどで、いかにも南米らしい。香りは、ひと嗅ぎした瞬間に「変わってるな」と感じる。 これに似た香りのワインにはなかなかお目にかかれないと思うが、ちょっと変な表現をすれば、桐タンスのひき出しを開けたときのような、 あるいは木造家屋の建築現場に足を踏み入れたような、よく"かんな"がけされた木材みたいな匂い。 ツルツルの紙とインクの融合した、グラビア雑誌のような匂いでもある。 味わいも香りの印象そのままに、まるで材木をかじっているかのようなウッディーさ。 極めて強い酸が喉を刺す。甘味もそこそこある。
 単体販売価格は\1,500。稀にみる個性の強さで、非常に面白い。このエキセントリックな魅力は、ほぼ値段に見合っていると思う。 その意味でのC評価。 だが、私の味覚からすると、この味は非常にツラい。 正直言って、まったくおいしいとは思えない。珍味の域だと思う。
<評定:C>

2002年4月21日  ROUGE
FINCA EL RETIRO SYRAH 1999 / TITTARELLI
フィンカ・エル・レティロ シラー / ティッタレッリ
アルゼンチン、MENDOZA

 今度は、同じ作り手のシラー。
 色は、ほとんど黒と言っても良いくらいに濃い。エッジはピンク。 香りは重たく、なめし皮のような感じと、その奥にカスタードクリームのような甘さがある。 味わいは、ほとんど香りの印象どおりだが、意外なのは酸が結構強いこと。そのおかげで冗長にならずに済んでいる。 タンニンは予想どおり「これでもか」というほどの力強さ。
 全体的にワイルドで、実に飲み応えがある。この作り手は、下手な虚飾をせず、素直に品種の個性を出すことを 至上命題としているかのようだ。人によっては、粗雑な味だと一蹴するかもしれないが、この愚直さは非常に好感が持てる。 単体販売価格\1,500。値段に見合うクオリティだ。
 久々に比喩的表現を使って、女性に喩えるならば、最近J-POPチャートを賑わしている"元ちとせ"みたいに、 まるで洗練されてはいないけれど、圧倒的な存在感と妖艶な魅力のある女性ボーカリストのようなワイン。
<評定:C+>

2002年4月23日  BLANC
DOMAINE BOYARD PREMIUM OAK CHARDONNAY 1999 BARREL FERMENTED
ドメーヌ・ボイヤール プレミアム・オーク シャルドネ バレル・ファーメンテッド
ブルガリア

 12本11,000円セットの内の1本。当日記初登場のブルガリア・シャルドネ。
 色はあまり濃くはない。いかにも樽熟成を思わせるバニラやバター、ヨーグルトなどの豊かな香り。柑橘系の爽やかさはわずか。 口に含むとやはりオイリーで、ふっくらとした味わい。酸もないわけではないが、刺激は弱い。若干苦味を感じ、飲み干した後もオイリーな後味が続く。 実に存在感のあるワイン。南仏あたりの丁寧に作られたシャルドネによく似ている。 日常飲みのワインとしては、ちょっぴり高級感も感じさせてくれるし、申し分ない。ただ、重みはないので、抜栓後時間が経つと、 どんどんスカスカになってゆきそうな気もする。明日の変化が見ものだ。
<評定:B>

2002年4月27日  BLANC
CIGALA 2000 MUSCAT, MACABEU / VIN DE PAYS D'OC / M.CHAPOUTIER
シガラ ミュスカ・マカベウ / ヴァン・ド・ペイ・ドック / M.シャプティエ
VIN DE PAYS

 引き続きネットで12本11,000円にて購入したうちの1本。
 やや緑がかった淡い色。香りは、いかにも品種の特徴が良く出たフルーティなもの。 口当たりは、酸のインパクトがけっこう強く、甘味はほんのり。それでもMUSCAT由来のいかにもぶどうっぽい 甘酸っぱさがよく伸び、味わいがある。MACABEUという品種を私はよく知らないが、おそらく引き締め役になっているのではないか。
 単独で飲んでおいしいワインだし、食事の邪魔もしないので、応用範囲は広い。反面これといった存在感がないので、 あまり記憶には残らない味だともいえる。
 今日は、いちおう1日遅れの私の誕生日祝ということで、妻の計らいで夕食後に私の大好きなヨックモックのケーキが登場した (ちなみに先日の妻の誕生日には、私のチョイスでアンリ・シャルパンティエ(関西では一級品との誉れの高い芦屋のケーキ屋さん)のケーキだった)。 このワインの思いのほか強い酸と、ケーキの甘さは、少し喧嘩気味であった。残念。
<評定:C−>

2002年4月28日  ROUGE
LA CUVEE MYTHIQUE 1999 / VIN DE PAYS D'OC / VAL D'ORBIEU
ラ・キュヴェ・ミティーク / ヴァン・ド・ペイ・ドック / ヴァル・ドルビュー
VIN DE PAYS

 赤ばかり12本15,000円で購入したうちの1本。単体価格は\1,800。
 黒みがかった濃い色。縁までほぼ均一。プルーンやプラムなどの黒っぽいベリー系の香りが中心。 しかし、なめし皮のような落ち着きもあり、外向きの華やかさはない。 驚くほどの酸と、ややワイルドなタンニン。ふつうのVin de Paysにはないどっしり感がある。
 巷で評価の高いワインなので、それだけに批判的な目で臨んだ。だが、この底力には脱帽せざるを得ない。 まだ若いからか、飲み干したあとにタンニンがまとわりつく感じだが、これも熟成すれば角が取れるのだろう。 この価格帯では、間違いなくお勧めワイン。
<評定:A>

2002年4月30日  ROUGE
NERO D'AVOLA VENDEMMIA 2000 / SICILIA(I.G.T.) / MORGANTE
ネロ・ダヴォラ ヴェンデミア / シチリア / モルガンテ
イタリア、SICILIA州

 赤ばかり12本15,000円で購入したうちの1本。単体価格は\1,500。
 初体験、NERO D'AVOLAというぶどう品種。
 色は赤黒く、いかにも南方のワインという感じ。香りはスパイシーで、なめし皮のような印象もあり、温暖な地域のシラーに似ている。 時間をおくと醤油のような感じも出てくる。飲み口はスムーズながら、ボディは厚く、酸も甘味も強め。タンニンもまとわりつく感じ。 一言で形容するならば、イタリアワインにありがちな「陽気」ではなく、「質実剛健」。シチリアでありながら、地中海を感じさせないワインと言えよう。
 鶏の手羽先を焼き、七味をかけたものを食しながら飲んだ。きれいに脂分を流してくれて、相性はなかなか。
<評定:C+>



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