2002年9月
2002年9月3日 BLANC
MONTAGNY 1998 "LES BASSETS" / CHATEAU DE CARY POTET
モンタニィ "レ・バセ" / シャトー・ド・カリィ・ポテ
BOURGOGNE地方、 COTE CHALONNAISE地区、AC:MONTAGNY
濃いめの麦わら色。香りに緑っぽさが結構あり、その点は意外である。
オイリーでヘビーな印象もあるが、香りがあまり立ち昇らず、控えめ。
口に含むと最初の酸の鋭いアタックにまた驚かされる。ナッツのようなフレーバーが広がり、
ミネラル分も豊か。だが、いかんせん厚みがなさ過ぎる。
このAOCに、こんなにこじんまりまとまったものを期待していなかっただけに、ちょっと拍子抜け。
とはいえ、どこが悪いわけでもなく、入手価格\1,650にしてこれなら及第点と言えよう。
ところでこのAOCは、補糖せずに11.5度以上あればプルミエ・クリュを名乗れるという変り種なのだが、
このワインの度数は13%ということからして、当然補糖しているんだろう。
別に補糖は悪いことではないんですよ。念のため。
<評定:C>
2002年9月4日 ROUGE
CHATEAU LES ANCRES 2000 / BORDEAUX
シャトー・レ・ザンクル / ボルドー
BORDEAUX地方、AC:BORDEAUX
何だ、この濃さは。というのが、グラスに注いだ第一印象。ボルドーとは思えない、暗赤色。
香りも重く、血のような鉄っぽさに加え、時間が経つとチョコレート(あるいはココア)のような
たっぷりした甘さを想起させる香りが。
口に含むと、最初に結構強い酸が押してくるが、すぐに粉っぽさと甘味が広がる。しかし、最後にはまた酸が締めにかかる。
飲み干した後に、タンニンが口中全体にまとわりつく感じ。
ブラインドで味わったら、アルゼンチンあたりのカベルネ(+マルベック)ではないかと思うだろう。
ボルドーだなんて、夢にも思わないに違いない。
2001年のマコンのコンクールで金賞(MEDAILLE D'OR)と表示されている。まるでカリフォルニアのカベルネが栄冠に輝くように、
一口飲んだだけで圧倒されそうなインパクトが評価されたのであろう。
\1,000でこの意外性は実に面白いし、充実感もあるのだが、ACボルドーに普通はこういったものを求めないので、
正直言って面食らうばかりである。
田園調布にお住まいで、学習院をお出になった楚々としたお嬢さまが、実は少林寺拳法の達人だった、みたいな。
稽古の後はドンブリ飯、みたいな。ただあ然とするしかない状況に立たされた感じ。
<評定:C>
2002年9月10日 BLANC
SOMMERACHER KATZENKOPF (Q.b.A) 1999 SILVANER TROCKEN / FRANKEN
ゾンメラッヒャー・カッツェンコップ ジルヴァナー・トロッケン / フランケン
ドイツ、FRANKEN地方、SOMMERACH村
色はイエローグリーン。青りんごの香りに、若干の石油香が加わる。湿った芝生のようなグリーンな感じも。
口に含むと、まずぴりぴりとした細かな刺激がある。酸が際立ち、シャープであり、かつ、ミネラル分もしっかりと感じる。
ただ、重みはなく、余韻も長くない。
私としても久々のフランケン。当日記では初登場である。そもそも、ドイツワインを飲むことが少ないのだが、
これはかなりのヒットと言えよう。入手価格は\1,600。
カッツェンコップとは、猫の頭という意味で、ラベルにも猫のイラストがついているのが印象的。
フランケン特有のずんぐりむっくりしたボックスボイテルは、カッコ悪いという人もあるが、
不思議な安心感を与えてくれる。
なお、ドイツワインは甘いもの、と考えている方も多いと思われるが、生産量ではこのフランケンのような辛口が優っている
という事実は知っておいた方がよい。
<評定:A−>
2002年9月11日 ROUGE
LA SIRENE DE GISCOURS 1996 / MARGAUX
ラ・シレーヌ・ド・ジスクール / マルゴー
BORDEAUX地方、HAUT-MEDOC地区、MARGAUX村、AC:MARGAUX
当サイトでは、以前にシャトー・ジスクールと、
サード(ル・オー・メドック・ド・ジスクールが登場している。
今回は、その間のセカンドだ。
色は深いガーネットで、エッジはややオレンジがかっている。土の香りがまずあり、次に墨のような匂いがして、
どっしりと落ち着いている。墨の匂いが、その後スカッとしたハッカに変わる。
口に含むと、まず想像以上に生き生きとした酸を感じ、重みも適度にある。タンニンがややまとわりつく感じがあるのは、
まだ熟成の余地があるということだろうか。余韻に樽のヴァニラ香がじんわり残る。
ネット(e-shopping wine)で2,500円にて入手。
この価格にしては素晴らしい実力。あと1,000円高くてもよいと思う。
<評定:A>
2002年9月16日 BLANC
MACON-AZE 1999 / DOMAINE DE LA GARENNE
マコン・アゼ / ドメーヌ・ド・ラ・ガレンヌ
BOURGOGNE地方、MACONNAIS地区、AC:MACON-AZE
色はしっかりめのレモンイエロー。香りはグレープフルーツ的柑橘香に、木の皮と深緑の葉っぱようなの香りも。
飲み口はシャープで、苦味が強く、甘味はきわめて弱い。ただし、口の中で微かに蜂蜜的甘さが開く。
重みはなく、余韻も短い。
キレのよさが特徴だが、若干のオイリーさもあり、ブルゴーニュらしい。入手価格\1,400。十分お買い得。
このマコン・アゼというAOCは、今回初めてである。おそらく最近できたものなのだろう。
マコンにしてはシャープであり、結構冷涼な気候で育ったのかな?と想像させる。
<評定:B>
2002年9月17日 ROUGE
CHATEAU GRAND-JEAN 2000 / BORDEAUX
シャトー・グラン・ジャン / ボルドー
BORDEAUX地方、AC:BORDEAUX
先月同じシャトーの白を体験したが、今度は赤。白がなかなか高C/Pだっただけに、こちらも期待がかかる。
色はボルドーにしては鮮烈なルビー色。赤みが強い。まずインクのような香りが立ち、幾分軽やかな印象。
じっくり香りを嗅ぐと黒っぽいベリー系の香りや、里芋を煮たような、しょうゆっぽい甘辛い匂いもある。
味わいは若々しい酸が印象的で、甘味は感じない。厚みや深みもないが、タンニンがおとなしく、端正な味わい。
飲み込んだ後もぴちぴちした酸の余韻が残る。最初の香りは別として、その後の全プロセスを通じ、
ブルゴーニュの南の方(例えばマコンルージュ)かACローヌなどと間違えそうな甘酸っぱさ。
素性がよく、きれいにまとまっていて、なおかつボルドーらしからぬチャーミングな味わい。
入手価格ジャスト1,000円。面白いワインであるという意味で、下記評定。
2001年マコンのワインコンクールにて銀賞受賞(CONCOURS DES GRANDS VINS DE FRANCE MACON 2001; MEDAILLE D'ARGENT)の表示あり。
<評定:C+>
2002年9月20日 BLANC
MUSCADET COTEAUX DE LA LOIRE SUR LIE 2001 "L'OISELIERE" / VIGNERONS DES TEROIRES DE LA NOELLE
ミュスカデ・コトー・ド・ラ・ロワール・シュール・リー "ロワズリエール" / ヴィネロン・デ・テロワール・ド・ラ・ノエル
VAL DE LOIRE地方、PAYS NANTAIS地区、AC:MUSCADET COTEAUX DE LA LOIRE
このようなAOCがあることは、以前から知っていたが、売られているのを見たのは初めてである。それで、見つけた瞬間に購入した。
最近、日本に輸入されるようになったのだろうか。1936年から存在しているAOCであると、ボトルには書かれている
(appellation d'origine controlee depuis 1936)。
ミュスカデにしては、しっかりめのレモンイエロー。グリーンな香りの中に、ビニールのような化学物質的匂いが混じる。やや単調な印象。
味わいはミュスカデらしく直球勝負で、酸がきりっとしている。よく言えばミネラル分豊か、俗っぽく言えばただ塩っぱい味。
奥深さや飲み応えはあまりない。
入手価格ジャスト1,000円。あとわずかでも深みのようなものが感じられればうれしいのだが。
2002年パリの農産物コンクール(農水省)で金賞受賞との表示あり
(MINISTERE DE L'AGRICULTURE ET DE LA PECHE, CONCOURS GENERAL AGRICOLE; MEDAILLE D'OR)。
また、ご丁寧に、7-8度で供すること、凍らせるな、とあるのは面白い(LE MUSCADET DOIT ETRE SERVI FRAIS ET NON GLACE)。
<評定:C>
2002年9月27日 ROUGE
BROUILLY 1998 / DOMAINE DE BEL AIR
ブルイィ / ドメーヌ・ド・ベレール
BOURGOGNE地方、BEAUJOLAIS地区、AC:BROUILLY(CRU BEAUJOLAIS)
色は、ボルドーワインを水で薄めたような、ざくろカラー(透明感のある薄赤黒)。
香りはやや単調な甘酸っぱさが中心。軽はずみな感じで、やや落ち着きがない。
タンニンはまろやか。重みはなく、伸びもない。かといって、繊細な感じもない。
たとえばデュブッフのクリュ・ボージョレならば、もっと軽やかで、もっとエレガントなのだが、
このワインは洗練された印象もなく、飲み応えもない。とても中途半端。
まあ、何も考えずにゴクゴク飲み干すのならば、別に不味いわけではないから不足はない。
<評定:D>
2002年9月28日 ROUGE
CHATEAU DUHART-MILON-ROTHSCHILD (GRAND CRU CLASSE) 1997 / PAUILLAC
シャトー・デュアール・ミロン・ロートシルト(グランクリュ・クラッセ / 第4級)/ ポイヤック
BORDEAUX地方、HAUT-MEDOC地区、PAUILLAC村、AC:PAUILLAC
うっかりして、1,000円ワインの在庫を切らしてしまった。夕食直前で、今から買いに行くのも面倒なので、
今日は何もない普通の日だけど、ちょっと贅沢をしてしまおう、と開けたのがこれ。「こんな程度で、贅沢なの?」
と言う人はとても多いだろうけれど、当日記は、私の経済力からして、そんなお金持ちは相手にしていない。
色はとても深いガーネットで、大ぶりのグラスでも底がよく見えないほど。香りのインパクトはとても強く、火薬(あるいはマッチを擦った硫黄臭)
とタバコ(あるいは焦げたコーヒー)とヴァニラ香が共存。力強く、奥深い。
口に含むと、最初にかなり強い酸があり、タンニンも強いが、押してくる感じやずっしり感はない。そこだけが少し物足りないが、
後味がほろっとしていて上品なのは秀逸。
厳しく言うとパワー不足は否めないが、一応ポイヤックらしい焦げ臭が楽しめ、軽やかでなめらかな飲み口が堪能できる。
ラフィットやムートンなどと比べてはいけない。
かなり前に入手したので、正確な値段は忘れたが、セール品で、確か3,000円程度で購入した。
それを考えると嬉しくなるほどのクオリティではないか。倍の値段でも納得しそうだ。
やはり普段の1,000円ワインとは比べようもないが、正直に言うと、
「こんなにおいしいなら、飲酒日を3日に1度にしてでも、こっちのほうがイイ」
なんて思ってしまった。日常の中の小さな贅沢。
脂の多いサーロインステーキと共に楽しんだが、完全に肉のほうが負けていた。
正規の値段でも4,000円台くらいだと思うが、それを前提に下記評価。
食後に、私の好きなコクテール堂のエイジングコーヒー
"OLD 5 ブレンド"をネルドリップしたが、口中にほんのり残るワインの煙臭さとシンクロして、いい感じであった。
<評定:A+>