利酒日記 kikizakenikki

2003年11月


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2003年11月3日  BLANC 
CHABLIS 1er CRU LES VAILLONS 2002 VIEILLES VIGNES / DOMAINE VOCORET & FILS
シャブリ・プルミエ・クリュ レ・ヴァイヨン ヴィエイユ・ヴィーニュ / ヴォコレ・エ・フィス
BOURGOGNE地方、CHABLIS地区、AC:CHABLIS PREMIER CRU

Vocoret Chablis Vaillons 02  TVで、全国一斉IQテストという番組をやっていた。
 これで、あなた自身のIQ(知能指数)がわかります、というもので、私も一生懸命やってみた。
 結果については、私自身の名誉?のために、ここでは明かさないが、なるほどと思わされたことがあった。
 やはり、自分でこの分野は良くて、この分野はダメだろうな、と思っていた通りの結果が出るのだ。 「数」や「論理」の分野はそこそこ良かったが、「図形」とか「記憶」が振るわない。 つまり、理屈の部分はいいけれど、感覚とか感性の部分がダメだってことだろうか。
 感性がダメだと言われてしまうと、味覚に関するサイトをやるなど、もってのほかだな。 確かに私は、好きでやっていた楽器も歌も、たいして上達しなかったしな・・・。 と、しばし自己反省に陥るのであった。

 閑話休題。
 今日も、セットものから離れて、単品入手の白。シャブリの1級。
 色はシャブリらしいイエロー・グリーン。香りは、グレープフルーツ的柑橘香に、 ビニールかアクリルのような匂い。アルザスあたりのリースリングにも、こんな雰囲気のものが あったよなあって感じ。
 酸のアタックは弱く、予想以上に丸い味わい。甘みがなんともぼんやりしている。 ただ、最後に酸がきゅっと引き締めてくれるのが救い。
 入手価格は\2,300。ちょっと物足りない。
 鳴り物入りでデビューした、往時のアイドルの愛娘なのに、 ふたを開けてみたら意外と取り柄がないぞ、母親のイメージを抜け出てないぞ、ってな感じか。 あるいは、若くしてこの世を去った有名俳優の息子だから、みんな精一杯持ち上げてるけど、 父親に比べると全然二枚目じゃないよねえ、ってな感じか。
 あ、いや、別に、誰が、というわけじゃありませんからね。
<評定:D>


2003年11月7日  SPARKLING 
NIKKA CIDRE ROSE
ニッカ シードル・ロゼ
日本

ニッカ シードル・ロゼ  ほら、なし崩しが始まった。
 防衛庁は、イラクに派遣する陸上自衛隊に、対戦車火器を携行させるという。 つまり、平たく言うと、「危険な所だから武器を持って行け」ということ。 憲法違反じゃないのか?という素朴な疑問が沸く。
 これに対する政府の説明は、こうだ。 「自己保存のための自然権的権利のための武器使用は 憲法9条の禁じる武力の行使には該当しない」
 こういう、わけの判らない、日本語にすらなっていない説明は、国民を愚弄する以外の何ものでもない。
 あえて通訳すれば、「自分の身を自分で守るってのは、 人間には本来当然に認められてることなんだから、武器を使ったって憲法違反じゃないんだよ」って感じか。
 この、異論の出なさそうな説明こそ、悪しき拡大解釈の始まりである。
 「あの国が、我が国にミサイルを撃ち込もうとしている。やられる前に手を打たなくては」
 「交渉がこじれると、あの国は何をやってくるか分からない。先制攻撃が必要だ」
 「あの国は大量破壊兵器を持っている。危ないから今のうちに封じ込めよう」
 ね、こんなふうにエスカレートして、異質なものをどんどん排除する方向に進む。 こうやって既成事実を積み上げて、改憲に持っていきたい議員のなんと多いことか。
 なし崩し、論理のすり替えには、くれぐれも注意しなくてはならない。
 だいたい、危ない所には派遣しないって言ってたんだから、対戦車の武器を持って行かなきゃならない 事態など起こるはずなかったのに。こんな大嘘つき連中が、国を動かしてるんですぞ。

 さて、本日登場は、久々国産品のシードルだ。
 きれいなピンク色。これがなんと着色料ではないという。
 「ロゼ色はリンゴ由来の天然の色ですので、高温や光に弱く退色することがありますが 香味には影響ございません」と書いてある。皮の色素をうまく使ったのだろう。
 香りはリンゴの酸味が前面に出て、梅っぽい感じすらある。
 味わいもシャープで、リンゴの鉄分をストレートに感じる。後味も甘酸っぱい。
 やはり期待を裏切らない製品だ。これでもう少し重厚感があれば言うことないが。
 ところで、シードルは、しばしばアップル・ワインと呼ばれるが、 ぶどうでない以上は、本当はワインではない。当サイトで シードルが初登場した時には、 「ビール・発泡酒・チューハイの部屋」 を他ページから分離して立ち上げる前だったため、 成り行き上、ワインと一緒にこのページに入れている。
 これが、すり替え、なし崩しのいい例なのだよ。
<評定:B>


2003年11月8日  ROUGE 
MONTES CABERNET SAUVIGNON 70% CARMENERE 30% 2002 / MONTES S.A.
モンテス カベルネ・ソービニヨン70% カルメネール30%
チリ、COLCHAGUA VALLEY (APALTA VINEYARD)

Montes Cabernet-Carmenere 02  最近、TVや新聞をにぎわしているのは、コイの大量死問題。
 BSEのときなんかもそうだったが、そういう自然界の不思議な現象に出会うと、 人間が自然を破壊し続けた天罰が下ったのだ、とでも言いたげな、 いわばオカルトチックな論調が時々出てくる。 まるで、これは自然界の反逆であると言わんばかりに。
 冷静さを失ってはならない。
 伝染病が流行するのは、その下地が整っていたということ、つまり、感染経路が確保されていたということだ。 感染経路の根絶こそが大切であるのは、BSEで学んだはずである。
 これはまた、人間の病気でもまったく同じこと。ただ、抗生物質を多用すると、 それに耐性を持つ個体が発生する、つまり菌やウイルスが進化するという問題がある。 それをもって、自然を冒涜した罰が当たったと言いたければ言えばいいが、 そのような科学的知見を深めてゆくことが大事である。
 そもそも人類が存在していること自体、既にして自然破壊なのだし、 だったら人類の英知を結集して少しでも生物の命を長らえるようにすることが、 人間に与えられた課題だと考えるべきだろう。

 さて、今日のワインは、11本15,000円セットの5本目。単品での通常価格は、\1,600。
 私自身、2度目の経験となるMONTESのカベルネ・カルメネールである (1度目は、こちら)。
 色は実に濃い。赤黒い。香りは、ヴァニラ香とともに、墨汁のような匂いと、 ハッカのようなスカッとした感じがある。
 口当たりはやわらかく、酸は穏やか。甘みがふんわり広がる。 タンニンはかなり暴れ気味だが、それは若さを考えると仕方ないだろう。 後味にカラメルのような感じがあって、心地よい。
 乱暴だが乱暴であることが魅力なワイン。人間で言うと、おてんば娘。 なにをしでかすかわからないけど、とりあえず、後ろゆびさされるようなことだけはしないだろう。 そういうやんちゃな感じね。
 エチケットのデザインが2001年ヴィンテージとは 変わり、ボトルの形状も尻すぼみな感じになった。
<評定:C>


2003年11月9日  BLANC 
MISIONES DE RENGO RESERVA CHARDONNAY 2001
ミシオネス・デ・レンゴ リゼルヴァ・シャルドネ
チリ、RAPEL VALLEY

Misiones de Rengo Reserva Chardonnay  今日、時事ネタを書くとすれば、やはり総選挙は避けて通れないであろう。
 民主党が大躍進したことについて、TVで自民党議員が、「マスコミが、政権交代なるか、政権交代なるか、 とはやし立てるから、 結果的に民主党の宣伝のようになっていた」との発言をしていた。確かにそうだよなあ、と思う。
 首相がパフォーマンスで政治音痴層の多くをシンパに導いた事実を見ても、この国では、 いかにメディアの影響力が大きいかがわかる。その意味で、いち早くマニフェスト戦略をとった民主党が、 首尾よく大衆を引き寄せることができたのだと言える。
 こんなことでいいのだろうか、という疑問はある。 だが、イメージで選挙が大きく左右されるほど、日本は依然として平穏な国だということだ。 平穏といいながら、結局与党が辛うじて勝ったことにより、 イラクへの派兵がそのまま進められ、しかも文民まで派遣することになる。 同じ国民が、命の危機にさらされるという事実を、多くの人はどう考えているのだろう。 そういうところで選挙戦をして欲しかったのだが。
 私は、特定政党を応援するという類の人間ではないだけに、 もっと本質論を展開して欲しい、と思うのである。だいたい、「改革、改革」と叫べばいいと思ってる 与党も野党も、アタマ悪すぎるんでねぇの?

 さて、今日のワインは、近所の酒屋で入手したチリのシャルドネ。
 色はグリーンがかって薄い。一方、香りは重く、柑橘香よりもヨーグルトのような乳酸的香りが勝る。
 甘みが豊かで、酸は控えめ。後味にカスタードの味わい。 全体としてボリュームはあるが、締まりのない印象。
 入手価格\1,440。リゼルヴァなので期待を持って臨んだが、ぼけた感じに少々がっかり。 値段を思えば文句は言えないけどね。
<評定:C−>


2003年11月14日  ROUGE 
CELLAR SELECTION MERLOT-CABERNET FRANC 2002 / SILENI ESTATES
セラー・セレクション メルロー・カベルネフラン / シレニ
ニュージーランド、HAWKE'S BAY

 総選挙での共産党、社民党惨敗を評して、先日のS新聞では次のように書いていた。
 『両党は歴史的使命(があったとすればだが)をいまや終えた。政党の命脈尽きた とみるのがバランス感覚ある見方ではないか』(11月11日朝刊/産経抄)
 どのような見解を持つのも自由だが、自説をもって「バランス感覚ある見方」と言ってのける独善的態度には呆れる。 「と私たち(新聞)は思う」「と言えるのではないか」等の表現であればよい。 そういう独自の見解、思想を持っていること自体は歓迎するし、その点は評価するのだが、 この新聞は、すぐ「常識」とか「べき論」にすり替えるくせがあるように私は思う。
 また『社共の「護憲」民意が決別』と題する記事では、『共産、社民両党とも今回「憲法改悪反対」 「護憲」を前面に戦った。そのことが有権者の拒否反応にあったと考えていいのではないか』とある。 「拒否反応」とは、書いている記者自身の拒否反応であろう。 それを、裏づけデータもないのに、有権者一般にすり替える幼稚さ。
 さらに驚くのは、次のくだりである。
『ここ十年ほど各種の世論調査の多くは、九条を含めた改憲への賛成が多数を占めてきた』
 ひとことで言って、嘘っぱちである。物書きとして恥ずかしくないのか、と言いたい。
 9条改正に関する調査で、賛成が上回っているのを、少なくとも私は一度たりとも見たことがない。 ただ、憲法を改正すること自体には賛成が過半数という調査結果はよく見る。 9条問題とのねじれ現象は、良く指摘されるところである。つまり、9条は変えない方がよいが、 他の部分には改正の余地があるという意見が多い。
 このあたりの議論をごちゃ混ぜにして、「九条を含めた改憲」という曖昧な表現で咎められないように逃げている。 「多数」という書き方も、確かに過半数と言っているわけではないから、3割でも多数なのだ、と居直るつもりだろうか。 あるいは、この新聞の読者だけに誘導尋問的に実施した、それこそ偏向的な世論調査結果でもあるのだろうか。 どうしても軍国主義に誘導したいらしい。この新聞は。
 一方、今日のA新聞には、次のような文章があった。
 『遅ればせながら引責した社民党党首後任は「土井チルドレン」。 経営悪化で社長が辞めたのに同罪の専務が昇格するようでは人材難もここに極まる。存亡の危機だ。 チャイルドシートにハンドルを握らせて大丈夫でしょうかね。』(11月14日夕刊/素粒子)
 同じ政党批判でも、こちらのほうが余程しゃれている。うわべだけの空論と批判されることのよくあるこの新聞らしい マイルドさだが、自説を一般論にすり替えることをしない点は、潔い。

 さて、恐ろしく長い前置きのあとは、本日のwine。最近、恐ろしく忙しいのと、夕食を自宅でとらない日が続いたので、 wineを開ける機会もなかった。それで、日が開いてしまった。
 11本15,000円セットの6本目。以前にもまったく同じものを飲んでいる。
 やや青みがかってはいるが深い色は、本格派を思わせる。香りも芳醇。 黒っぽい果実+土の香りで、ボルドー的。
 口当たりはやわらかく、ふんわりとした甘みもある。尖りがなく、タンニンもなめらか。
 単体での通常価格は\1,900。どこも悪くはないけど、もうひと味ください!って感じかな。
 ひっかかりがないからごくごく飲める。食事の応用範囲は広い。
 ああ、忙しいのにこんな文章を書いている場合ではない。この後すぐ仕事に戻ります。
<評定:C−>

2003年11月15日  BLANC
PETIT CHABLIS 2001 / JEAN CLAUDE COURTAULT
プティ・シャブリ / ジャン・クロード・クルトー
BOURGOGNE地方、CHABLIS地区、AC:PETIT CHABLIS

JCC Petit Chablis 01  昨日前置きが長かったので、今日はいきなり本題へ。
 最近めっきり見ることの少なくなったAOC。単品購入で、価格は\1,600。
 色は淡いイエローグリーン。香りには結構奥行きを感じる。レモンのほか、若草のようなイメージもある。 あと、表現方法は悪いが、ビニールホースの中の空気を吸ったような匂いを感じる。
 味わいは、酸の鋭さだけではなく、ミネラル分が豊かで、それなりに飲み応えがある。 後味が水っぽいのは、致し方ないだろう。
 いかにもPETIT CHABLISです、という見本のようなワイン。なんの虚飾もなく、素直に自分の非力さを出している。 こういう率直さは、とても好印象。無理をしてないというか、等身大というか。
 実は、同じ作り手のCHABLISを一緒に入手している。いわば兄貴分だが、比べるつもりで購入した。 後日登場予定だが、果たしてどのくらい違うのやら。
<評定:B>

 ■後日追記■
 読者の方からメールを頂いた。ワインは醸造するものだから、「作り手」ではなく、 「造」の字を使って「造り手」のほうが良いのではないかと。
 まったくもって、そのとおりであります。神経が行き届いておりませんでした。 ご指摘くださったUさん、ありがとうございました。


2003年11月18日  ROUGE 
CHATEAU DU PIN FRANC 2001 / BORDEAUX
シャトー・デュ・パン・フラン / ボルドー
BORDEAUX地方、AC:BORDEAUX

Ch.du Pin Franc 01  一昨日は明け方の4時半、昨日は3時半、今日は先ほど3時。
 これ、何かというと、私が仕事を終えた時間。とはいえ、会社勤めの人と違うから、 いちおう仕事場から帰宅して、晩ご飯を食べた後に、自宅で続きをやるパターン。忙しいときはこんな感じ。
 3時まで仕事をしていて、そのあと(つまり、今ね)こうやってHP更新しているなんて、 自分で言っちゃあなんだが、律儀というより、もう変態の域ですな。でも、明日になっても暇にはならないので、 先延ばしするわけにはいかないのだ。
 11本15,000円セットの7本目。
 以前に、白を飲んでいる。その時の印象が良かったので、こちらも期待して。
 色はきれいなルビー色。ちょっとブルゴーニュっぽい。一転、香りは正統派ボルドーといった感じ。 いかにもカベルネな黒っぽい印象。
 味わいも端正。酸は強くなく、重みもないのだが、シルキーな飲み口で、ひっかかりがない。ごくごくいける。
 単体での通常価格は、\1,200。まったく嫌味がないから取っつきやすい。なによりこの値段にしては、相当お得。
<評定:B>

2003年11月20日  ROUGE
BEAUJOLAIS VILLAGES NOUVEAU 2003 "UNFORGETTABLE" / GILES DE LAMOIRE
ボージョレ・ヴィラージュ・ヌーヴォー "アンフォゲッタブル" / ジル・ド・ラモワール
BOURGOGNE地方、BEAUJOLAIS地区、AC:BEAUJOLAIS VILLAGES

LAMOIRE VILLAGES NOUVEAU 2001  100年に1度、いや史上最高の出来映えとさえ言われている今年のヌーヴォー。 こんなときこそ、引き締めてかからねばならない。
 今年の一発目は、いきなりヴィラージュ。
 色は、一目で見て「濃いなあ」と思うほど、赤ワインしている。香りは、フルーティでもフラワリーでもなく、 ホイップクリームのような、濃密な甘さを感じさせる。
 味わいは、さすがにヌーヴォーらしいピチピチ感はあるが、決して華やかではなく、どちらかというと、地味な印象。 凝縮感があって、飲み込んだ後も口中にクリーミーな後味、そして深みのあるイチゴシロップのような甘さを残してくれる。
 入手価格は、\1,950。ヴィラージュにしては実に安いが、いぶし銀のような味わいで、 とりたてて華々しいところがないだけに、かえって実直さが好印象。
 モノはいいのに、本筋とは違うよって言いたくなる、そんな仕上がりだ。
 実は今日、外で結構たくさんビールやワインを飲んだあげく、日付が変わってから帰宅した。 こんな状況なのに、どうしても今日、ヌーヴォーをアップしなくてはならない、というWeb Masterとしての義務感にかられて、 今こうやって味見をしておりますです。ハイ。
 既にかなり酔っているので、厳密なテイスティングができておりません。 あしからず。明日はもうちょっと冷静にできる予定。
<評定:B>

2003年11月22日  ROUGE
BEAUJOLAIS NOUVEAU 2003 / GEORGES DUBOEUF
ボージョレ・ヌーヴォー / ジョルジュ・デュブッフ
BOURGOGNE地方、BEAUJOLAIS地区、AC:BEAUJOLAIS

Beaujolais Nouveau 2003 Duboeuf  日本で一番メジャーなヌーヴォー。それが、このデュブッフ。
 だから私は毎年、あまり気乗りがしないのに、義務感で購入している。そう、多くの読者の参考になると思うから。
 さて、100年に1度といわれる今年はどうだろう。
 色はもちろん紫がかっているが、かなり濃い。香りに華やかさはなく、おとなしい。 接着剤のようなアルコール感が漂い、味わう前から、酸や渋みを想像させる。 ボージョレ・ヌーヴォー特有の、蒸しバナナ香はほとんど感じない。
 口に含むと、ふんわり甘みが広がり、それなりに可憐さもあるが、 白カビチーズのようなやんわりした発酵臭みたいなものを感じる。タンニン分も豊か。
 確かにワインとしては良い出来だと言えるのかも知れないが、普通、ヌーヴォーに求められるのは、 こんなしっかり感じゃない。そういう意味で、とても居心地が悪い。入手価格はハーフで\1,430。 昨年も濃かったが、もっと華やかさがあった。 今年はシブイね(地味ってことね)。
 笑顔にかわいらしさがあって、スタイルは肉感的、かと思いきや、結構筋肉質。 内面も芯が強くて、気丈、というより男勝り。仕事もてきぱき。 もちろん、どこがいけないなんて言えないけれど、完成されすぎた能力が表ににじみ出ていると、周囲に威圧感を与えることも。 そんなキャリアOLみたいなワイン。
 はっきり言おう。今年は、格上のヴィラージュを飲むべし。充実感を充実感として真っ当に楽しめるから。 普通のヌーヴォーでこれだけ厚みがあると、心の準備ができていないだけに、何て答えたらいいか返答に窮する。 そう、キャリアOL30歳から突然プロポーズされた新人君22歳みたいにね。
<評定:C−>

2003年11月28日  BLANC
CHATEAU BONNET (ANDRE LURTON) 2001 / ENTRE-DEUX-MERS
シャトー・ボネ(アンドレ・リュルトン)/ アントゥル・ドゥー・メール
BORDEAUX地方、ENTRE-DEUX-MERS地区、AC:ENTRE-DEUX-MERS

Ch. Bonnet Blanc 2001  少し日にちが開いたのは、胃腸をこわしていたから。 ずっと忙しくて、連日「今夜中にこの仕事を片づけねば」という状況に追いまくられていた。 その渦中はいいのだが、先週の3連休初日の土曜、「この仕事は連休明けまででいい。ということは、 今夜しなくても明日でもいい」などと思った瞬間、気のゆるみからか、急に体調が悪くなった。 お腹を抱え込むくらいの痛みが来た。それで、1日体を休めることにしたのが23日。
 そのおかげで、連休明けにはなんとか復活したのだが、4日ほどはアルコールを飲む気がしなかった。 期せずして休肝連休(言葉は変だが、意味はわかるよね)となった。
 さて、今日のワインは、なんと懸賞当選品!
 高品質な品揃えでは、関西ナンバーワンを誇る「いかりスーパーマーケット」のサイトで、 ボルドーワイン赤白2本セットプレゼントの企画に応募し、見事当選したのだ。いかりさん、ありがとうございます。 皆さんもいかりスーパーのサイトを利用しましょうね、と喜びのあまり、一応宣伝したりして。
 色は適度に濃さのあるイエローグリーン。香りは、このAOCにしてはかなり充実度がある。 深緑の印象とともに、パウダリーな感じもあって、幾分かふくよか。 ただ、柑橘香やビニールホースみたいな匂いもあるから、地区の特徴は出ている。
 口に含むと、甘みすら感じるふくよかさ。なめらかで、グリセリン分が多そうなねっとり感。 もちろん酸はシャープだから、キリッとした後口。
 かなり多面的な味わい。この魅力を一言でいうと、妖艶。販売価格\1,500にして、見所いっぱい。
 屈託のない笑顔はとても可愛らしく、関西弁で言うところの"おぼこい"感じ(他地域の方にはわからないかな)なのだが、 身のこなしに、そこはかとない色香が漂う新妻みたいなワイン。
 戴いたものだから誉めるのではない。そもそも私がそんな性格じゃないことは、常連読者の皆さんならよくご存知だよね。
<評定:A−>

2003年11月30日  ROUGE
CHATEAU BONNET (ANDRE LURTON) 2000 / BORDEAUX
シャトー・ボネ(アンドレ・リュルトン)/ ボルドー
BORDEAUX地方、AC:BORDEAUX

Ch. Bonnet 2000  白に続き、懸賞当選品の今度は赤。ミレニアム・ヴィンテージ。
 白のAOCはENTRE-DEUX-MERSだったが、同じところで赤を作るとAOCはBORDEAUXになる (いや、正確にはPREMIERES COTES DE BORDEAUXと、BORDEAUX SUPERIEURもあるようだ)。
 やや青みが勝る色だが、適度な深みと輝きがある。 香りからは、このクラスにしては意外なほどスケール感を感じる。カベルネらしい落ち着き。
 口当たりは柔らかく、シルクのようなタンニンが心地よい。酸もキュート。 重みはないが、ヴァニラっぽい余韻が後に残る。
 カジュアルというか、スタイリッシュな味わいのワイン。けばけばしいところがない。
 通常の販売価格\1,500にしては、申し分なし。これだけこなれているのは、 やっぱりボルドーだなあと感じさせる。新世界じゃ、こうはいかない。
 東京なら文京区本郷、大阪なら中央区上町あたりで育った生粋の都会っ子で、 特に目立ってシャレてもいないし、ハイソな感じもないんだけれど、 どこかちょっと粋な風情のあるお嬢。でもこれ以上大変身することはないんだろうなあ。 この素直さが最大の魅力なんだなあ、ってタイプのワイン。
 というわけで、いかりスーパーさん、 ほんとうにありがとうございました。 2本ともコストパフォーマンスが高く、満足でした。
<評定:A−>


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