2005年9月3日 ROUGE
CHATEAU LES HAUTS DE PONTET 1998 / PAUILLAC
シャトー・レ・オー・ド・ポンテ / ポイヤック
BORDEAUX地方、HAUT-MEDOC地区、PAUILLAC村、AC:PAUILLAC
選挙期間中につき、政治的発言は控えます。
ということで、今日は前置きなく、いきなり本題に入ります。
今日取り上げるのは、シャトー・ポンテ・カネのセカンドワイン。
深いガーネット色。黒い果実や炭の香り。
口に含んだときの酸は柔らかく、ほんわか甘味すら広がる。タンニンもしっかりし、やや引っかかる感じなので、
まだ熟成するポテンシャルを持っていることがわかる。
口中で転がしているときは甘いのに、後味はスキッと手仕舞いがよく、何杯でも続けて飲めてしまいそう。
反面、力強さはそれほどでもないので、気構えて臨むようなワインではない。
カジュアルに、気楽に飲んで、結構いいね!と単純に喜ぶべきワインだろう。
入手価格\3,150(本体価格3,000円+消費税150円)。大阪梅田・阪神百貨店にて。
<評定:C+>
2005年9月5日 ROUGE
CUVEE SELECT 500 SERIES MERLOT / MERCIAN
キュヴェ・セレクト 500 シリーズ メルロー / メルシャン
日本
今日も前置きはありません。いきなり本題へ。
色はやや青みがかったルビー。鉛筆の芯のような匂いの奥に、カシス的果実香が。
味は酸がきゅっと口中を引き締め、そのあと重みはなく、さらっと、からっとしている。
余韻は短く、梅酒のような甘酸っぱさを残すのみ。タンニンがほどほどに唇裏にひっかかる。
厳しい言い方をしてしまったが、香りの第一印象にメルローらしさが見られ、すいすい飲み進められるこの気軽さは、
このクラスならではだろう。
ローソンで\500(本体価格477円+消費税23円)で購入。500mlボトルだからフルボトル換算で750円だ。
裏ラベルに、「このワインと相性がいいのは・・」として、「肉料理全般や煮魚、ピザなどの洋食」とある。
肉料理にはちょっと弱いかもしれないが、煮魚には結構よさそうだし、ピザにも合うだろう。
<評定:C+>
2005年9月7日 ROUGE
FEOTTO DELLO JATO SANGIOVESE 2003 / SICILIA(I.G.T.)
フェオット・デッロ・ヤト サンジョヴェーゼ / シチリア
イタリア、SICILIA州
どうなるジャイアンツの監督問題。
既に星野仙一氏に内定しているとか、いや、接触をもったことなどないとか、色んな報道が行き交っている。
星野さんは、現在セリーグで優勝争いをしている阪神タイガースのフロントの人間である。
こんな時期に、来期以降の話をすべきではないというのは、阪神側のみならず、巨人側も重々承知していること。
だから、読売の滝鼻オーナーも、阪神の手塚オーナーも、きっぱりと否定しているのだ。
ただ、星野さんの性格からして、ウソはつきたくないだろう。「人生にはタイミングというものがある」という星野氏の発言は、
今はまだ言ってはいけない時なんだ、という正直な真情の吐露なのだろう。
阪神ファンの私には、正直言ってあまり愉快な話ではないが、プロ野球界が盛り上がるのなら、
それもまた選択肢の一つなのかもしれないと考えている。
さて、今日のワインは、久々のイタリアだ。
色はやや濁りがある赤紫といった感じ。香りは、良いピノなどでも感じるような、
鉄と火薬が混じったような炸裂する香りがまずあり、そのあとに、煎じ薬や、紫の花の香りがある。
若いのに、とっても深みを感じさせる。
口に含むと酸のアタックが強く、タンニンがざらざらして、少々ワイルドな印象だが、
すみれのようなフレーバーが広がり、じんわり甘味も感じられる。予想していたよりずっと官能的な味。
Wine Shop ENOTECAが、阪神百貨店まで来て販売していたWINE福袋(1本入り\1,575)に入っていたもの。
最低でも1,575円の商品が入っていますから、損はありません、というものだったが、期待通り、
これは通常価格1,575円の商品だ。私はくじ運がないから、こういうものに当たったためしはないのだ。
だが、この値段でこのクオリティなら、何も文句はないどころか、相当なお買得。
廉価版サンジョヴェーゼというと、どうしてもお手軽なワインという先入観を持ってしまうが、
これは品種の良さが出た、秀逸なワインであると思う。
隣のお姉さんが、意外なほど妖艶な素顔を見せてくれたような、少しアブナイ雰囲気を持ったワイン。
<評定:B>
2005年9月8日 BLANC
CHATEAU DUBOIS CHALLON 2002 / BORDEAUX
シャトー・デュボワ・シャロン / ボルドー
BORDEAUX地方、AC:BORDEAUX
日曜日は、投票に行こう。
自覚があろうがなかろうが、今、我々は、時代の転換点にいる。それも、後に振り返ったら、
「歴史に残る変革期だった」と言われるような、とてつもなく大きな転換点だ。
成長神話が途絶え、「一億総中流」が崩壊し、世の中はどんどんギスギスした方向に向かっている。
力で他者を一方的にねじ伏せる弱肉強食が肯定され、そのような横暴な輩が「勝ち組」などと呼ばれている。
私は、今の状況が恐くて仕方ない。
年金財政が破綻寸前で、福祉のためには応分の負担をと言われながら、その負担が本当に平等に課せられるのかは
わからない。この際、声の小さいところに犠牲を押しつけてしまえという企みすらあるようにも見える。
サラリーマンと自営業者とで、税負担上、不公平があると言われる。私は、その自営業者だが、
国民年金も、健康保険もちゃんと納めているし、税金だって極めて真面目に払っている。所得税や事業税だけじゃなくて、
消費税だって納めなくちゃならない。
自営業者だけが税金をうまく逃れられるようなことがあってはならない。売上が上がれば、それに応じて税金をたくさん納めるのは
当然の義務だ。それがホントの公平というものだ。だから私は、ささやかながら税金を納めることのできる自分の現状を、
むしろ喜ばしく思っている。
大企業や儲けているところを優遇して経済全体を底上げしようとする策には、私は反対だ。
数字の上だけで国が豊かになっても、それで皆が幸せになるわけではない。非正規雇用労働者が増え、
勤労者平均所得が下がって、それで失業率が改善された、景気回復だ、というのは、巧妙な騙しの類だ。
戦後この国の政治は、極端に走るということがなかった。片方に振れると、かならず揺り戻しがあった。
これ以上ギスギスした余裕のない国になって欲しくない。競争に負けたヤツは報われなくて当然だなどとする
暴言が許されるような、非情な国になって欲しくない。それには絶望しないで、とにかく政治に懸けるしかない。
だから、投票に行こう。
さて、本題。今日は、ボルドーの白。
色は少々くすんだ感じの淡いイエロー。香りは鋭い柑橘香、マヨネーズのような脂っぽさがあり、ハーブ香は微か。
味は、酸が鋭いが、オイリーで伸びがあり、想像以上にふくよかな味わい。口の中で転がしていると、
少しグリーンな感じもあり、やっぱりソーヴィニヨンなんだ、と気づかされる。クリーミーな後味も心地よい。
入手価格\1,575(本体価格1,500円+消費税75円)。大阪梅田・阪神百貨店にて。
こういったグラマラスなソーヴィニヨンも、時には面白い。
<評定:C+>
2005年9月10日 BLANC
MONTES SAUVIGNON BLANC LIMITED SELECTION 2004
モンテス ソーヴィニヨン・ブラン リミテッド・セレクション
チリ、DO:LEYDA VALLEY
今日は、3題。
(その1) 嘘は、いけません。
選挙期間中に特定の候補者とか政党を非難したり後押ししたりする発言を、公的な場(インターネットも公的な場)で
してはならないのはもちろん承知しているが、事実と異なることを指摘するのは許されるだろう。
「郵政公務員」という言い方をしている人があるが、郵政公社の社員は「公務員」ではない。公社は独立採算で黒字
(郵貯、簡保の黒で郵便の赤を埋めている)だから、国民の税金は一銭も投入されていない。
国家公務員や地方公務員の給与は我々の税金から出ているが、郵政公社の社員の給与は、トヨタや松下やイトーヨーカ堂やライブドア・・
等の企業と同じく、社員自ら稼ぎ出したものだ。嘘を言ってイメージづくりするのは、絶対にいけません。
(その2)弱者の自覚を、持ちましょう。
「実力主義」という言葉が流行し、「頑張った人が報われる社会」が理想だと言われている。
確かに、頑張ったことが分け隔てなく相応に評価されるのなら理想的だ。だが、米国型競争社会の実態とは、
競争の舞台に上がれる人が最初から決まっているし、強者が弱者を容赦なく踏みにじる社会だ。
この期に及んで多くの国民がなお「競争社会」を支持しているのは、皆よっぽどのMか、自分の頑張りが正当に評価されるはずだと
素直に信じているお馬鹿さんかのどちらかだろう。子供を東大に通わせている親の平均年収が約1000万円だという事実、
貴方はご存知ですか? 勤労者平均年収が400万円台の時代に、ですよ。
貴方は従業員を100人以上使う社長ですか? 貴方の会社は1億円以上の利益を上げていますか? 貴方の自宅は時価1億円以上ですか?
あるいは家賃を月200万円以上払っていますか?
貴方は外車を3台以上保有していますか? 以上の質問に、1つでもNOがあった貴方は、「負け組」です。自覚を持ちましょう。
アナタもワタシもポッキー! ジャイアントコーンではないのです。
(その3)プロフェッショナルは、かっこいい。
阪神タイガース・オーナー付シニアディレクター(SD)の星野仙一氏が、来期も阪神SDとして残留する意向を表明。
この時期に記者会見というから、結論は十分予測できたが、白熱する報道を終息させる義務が自分にあると、感じたのだろう。
もちろん職業選択の自由は誰にでもあるから、今後、読売も含めた他チームの監督に就任する可能性は十分にあるだろう。
今シーズン終了後に、やっぱり決断しました、というどんでん返しだって、もしかしたらあるかもしれない。
しかし、チーム一丸となり優勝に向かってひた走っているこの時期に、これ以上余計な雑音を流すということが、
星野氏はプロとして耐えられなかったに違いない。カッコいいなあ、と阪神ファンの私は思う。
さて、今日のワインは当日記ではおなじみチリのモンテス。04ヴィンテージのソーヴィニヨンだ。
色は淡いイエロー・グリーン。香りは、真夏の草むらを思わせる、むせかえるような緑の香り。伸び放題の芝生のようでもあるし、
椿の葉のようだとも言える。
味は、キュッとした酸のアタックと、葉っぱを咥えたみたいな緑臭い感じが印象的。
はちみつのような甘味もしっかりあって、ボディは厚い。
入手価格\1,890(本体価格1,800円+消費税90円)。Wine Shop ENOTECA 大阪店にて。
いかにもソーヴィニヨンらしいワインで、ソーヴィニヨン好きには安心して飲んでもらえると思う。値段も申し分ない。
ボトルの形が、いかり肩というか、逆三角形のムキムキ系なのが、面白い。
<評定:A>
2005年9月12日 ROUGE
LANGHE NEBBIOLO (D.O.C.) 2002 / TENUTA CARRETTA
ランゲ・ネッビオーロ / テヌータ・カレッタ
イタリア、PIEMONTE州
それでも私は、言い続ける。
扇情的なスローガンだけを連呼し、たった1つの法案の是か非かだけを争点にして
膨大な選挙費用を費やし、自分の気に入らないものをすべて排除する。
白か黒かの二元論に誘導し、洗脳状態に陥れる。
そういう横暴さに対し、「わかりやすい」とか、「何かやってくれそう」とか、「だって他にいないんだもの」という理由のみで、
背景にあるものを知りもせず、知ろうともしないで迎合する民衆。
改革に賛成か反対か?・・賛成に決まっている。民間に出来ることは民間に!・・正しいに決まっている。
問題は改革の方法であり、どんな仕組みで民に任せるかだ。そっちに目が行かないように、
推進派vs抵抗勢力という虚構の対立構図を作り上げた。それを喧伝したマスコミの罪も深い。
カイカク、カイカクと叫ぶしか能のない刺客という名の職業違いの改革ウマシカにバッジを付けさせることのほうが、
よっぽど税金の無駄遣いじゃないか。
今回の選挙結果で、国民に突きつけられた、いや、国民自ら迎え入れた課題はとてつもなく大きい。
もちろん、小選挙区制という「思想一元化装置」が生んだマジックでもあるのだが。
投票したのは郵政民営化に賛成しただけであって、他のことは信任した覚えはないなどと言っても、
そんな理屈は通らない。熱に浮かされて選んだのはアンタたちだ。これで増税や福祉切り捨ても一層やりやすくなった。
障害者自立支援法という悪法も可決されるだろうし、憲法改定に向けて一層鼻息も荒くなるだろう。
暴走の抑止力として、「そうはイカンザキ!」の存在意義が大きくなったことだけは間違いない。
事が起こってから「話が違う」と泣いたって遅い。
そんな末路に思いを致すことができないまま、
善良な市民が、善良な意志で、「正しい」と思ったことに熱狂的な支持を送る。
軍国化の始まりは、いつもこういう形でやってくる。
ただ、救いはある。小泉党の至上命題は郵政を民営化すること。それ以外にはなにもない。
それどころか、自分は決して悪者になろうとはせず、カッコ良い状態のまま去って、後は誰かに押しつける。
で、シンゾーさんはそんなバトン拾わないから、ババをつかまされるのは、タローさんかな?ヤスオさんかな?
次の選挙ではもう民衆に訴えかけるものは何もなく、残されるのはサラリーマン増税と消費税率アップと年金改悪と憲法改悪だ。
そんな状況では勝てるはずもなく、たぶん今度は野党側に大きな風が吹く。
そこまで見越しているから、来年の任期切れとともに辞めると明言しているのだ。
で、言いぐさは、自分が道をつけたから、後は後継者に託すと。
ああ、私はこういう狡猾な男が虫酸が走るほど嫌いなのだ。ただそれだけなのだ。
こんな私に向かって、あなたが立候補すればいいと冗談で言う人もあるが、私はそんなにバカじゃない。
少なくとも自分の無能さぐらいは承知している。
開票速報番組で紹介されていた視聴者からのFAXには、「こんな横暴が通るなら、もう何でもありじゃないか」とか、
「どうせなら全部の法案を国民投票にしろ」とか、「もう日本をあきらめました」なんて意見もあった。真っ当な問題意識を持った人が少なくないことを知り、
ホッとしたが、反面、こういう結果になるということは、
そういうことをなーーんにも考えてない人の方が圧倒的多数だということ。また、
「与党が圧勝したのだから悪口を言うな」なんてFAXもあり、こういう意見が少なくない現状には、
背筋の寒さを感じる。自由にものが言えなくなったら、国も終わりだ。
「我々国民が選んだ結果なのだから、四の五の言うな」という「良識」もあるらしいが、
私は危険なものは危険と叫ばずにいられない。ショックが大きすぎて、私自身、最も忌み嫌う現実逃避に走りたくなる。
タイガースの優勝だけを夢見て、しばらく六甲おろしでも歌っていよう。
しかし、これからますます政治に監視の目を光らす必要がある。それが投票した国民の絶対の義務なのだ。
今でも私みたいな発言の主を売国奴と呼んで溜飲を下げる「善良な」ネット住民は多いだろう。
それはいい。でも、言論封鎖が起こるような世の中になったら、私はこの国を捨てるだろう。
* * * * * * * * * *
さて、こんな日に私は一体何をしているのだろう。サイトを続ける意欲すら喪失してしまいそうだが、
結局私もお馬鹿さんの一人だから、今日も酒を飲む。カンターレ、マンジャーレ、アモーレのイタリアだ。
Wine Shop ENOTECAで月替わりに展開されている"Choice"。9月はよりどり6本で10,500円、12本で18,900円。
私はいつもどおり12本セットを注文したわけだが、うち1本は単価の関係で2本換算なので、実際は11本の注文となった。
本日登場は、その1本目。
私自身久々のネッビオーロ。
色は少しくすんだ感じだが、濃さはほどほどで、グラスの向こうが見える程度。静脈血のような色。
甘酸っぱいプラムの香りに、絵の具みたいな匂いが混じる。
味も干しぶどうみたいに少し枯れた感じの甘酸っぱさ。タンニンがかなり荒れているように感じるのは、若いからだろうか。
しかし、元々重みのあるワインではないので、この荒削りな感じを楽しむべきなのだろう。
単体での通常価格は\1,890(本体価格1,800円+消費税90円)。値段に比べ、まあまあってところだろうか。
<評定:C−>
2005年9月16日 BLANC
BIANCO ROMITA TOSCANO (I.G.T.) 2004 / POGGIO ROMITA
ビアンコ・ロミータ・トスカーノ / ポッジオ・ロミータ
イタリア、TOSCANA州
近未来予想。
経済的弱者を狙い打ちした増税が進行する。
その結果、貧富の差はなお一層拡大する。
弱肉強食が賛美され、頑張っても報われない社会になる。
財政赤字は縮小しないで、すべてツケは国民に回ってくる。
郵政は民営化されるが、された頃には赤字に押しつぶされる。
地方はどんどん切り捨てられる。
貧乏人は自己責任だから救う必要なしという横暴がまかり通る。
障害者を差別しないという名目で援助も削り、勝手に生きろという世の中になる。
平和憲法を足元から崩す動きが活発化する。
周辺国とのいさかいを進んで起こす国になる。
ニート・フリーター対策として自衛隊が採用を増やし、事実上の徴兵制が復活する。
米国が起こす戦争に、喜んで人を出す国になる。
今の政権が続く限り、こんな国になるだろう。それもこれも、投票したアンタ達の自業自得だから、
甘んじて受けなさい。政治を知らぬ無党派層の若者達よ。
さて、本題。
今日のワインは、またまたイタリア。明るい気持ちになりたいという私の深層心理が選ばせるのか。
色は淡いイエローグリーン。草原の若草の香り+レモンのような柑橘香。
口に含んだときの酸のアタックが鋭い。そのあとにクリームのようなほのかな甘さがあるが、
後味はスッキリ。やや単調な感じは否めない。
11本18,900円セットの2本目。単体での通常価格は、\1,470(本体価格1,400円+消費税70円)。
軽くすいすい飲めてしまうので、食事のジャマをしない。グレープフルーツをかじったみたいな爽やかさで、
このクラスに求められる条件は満たしている。
<評定:C>
2005年9月18日 SPARKLING
BOTTEGA IL VINO DEI POETI PROSECCO BRUT
ボッテガ イル・ヴィーノ・デイ・ポエティ プロセッコ・ブリュット
イタリア
求められるのは、強いリーダーシップではないのに。
民主党の代表選で、新代表に43歳の前原氏が選出された。世代交代によって党のイメージを一新したいという思惑だろうが、
それが党の将来というより、日本の将来にどうなのか、考えてみたい。
しがらみから脱却する。なあなあにせず、はっきり答えを出してゆく。というのが前原氏の姿勢だが、
強いリーダーシップを発揮して、自民党との対決姿勢を鮮明にしたいという意志の表れなのだろう。
その意気込み自体は買うが、「強いリーダーシップ」という切り口には、私は賛同しかねる。
今の世の中、一部の「強権者」が独走し、「その他大勢」がそれを喝采する非常に危険な状態に陥っている。
こんな時に、更なる強権発動者は要らない。
民主党内でもタカ派で知られる前原氏が、小泉自民党と対決するとどんなことになるか。
例えば小泉・安倍あるいはその傀儡(かいらい)が、次のようなことを言う。
「あの危険なテロ国家が日本を攻めてきたらどうしますか。当然皆、自分たちを守るために立ち上がるでしょう。
でも、今の憲法じゃ戦えないんですよ。攻められたら黙って殺されるんですか?家族を見殺しにするんですか?
国の平和を守りたくはないんですか?守りたいでしょう。平和が一番でしょう。平和を守るためには、
守れるような憲法に変えなくちゃいけないでしょう。違いますか?
平和を守ることがいけないなんて、そんな馬鹿なことがありますか。だから、憲法を変えなくちゃいけないんですよ」
*注:これはまったくの嘘っぱちであり、論理のすり替えだが、コイズミファシズムでは、こういうことが正論とされる。
今のこの国の愚かな民衆なら、この程度の論理に簡単に洗脳される。
それに対して、前原民主党は、こう応じる。
「憲法改正には賛成だが、自民党の主張には反対だ。そんなやり方では、テロ国家には勝てない」
しかし、こう言いながら、大した対案も示せず、結局民衆は、自民党を支持する。その頃には、改憲=平和主義、護憲=危険思想
という「常識」が作られ、改憲に反対する者は平和を侵す者と罵られる。
今の「抵抗勢力」への非難とは比べものにならないほどのすさまじさになる。
そんな風潮の中で、自民・民主連立による翼賛政治が始まる。そうなれば、公明党など簡単にはじき飛ばされる。
邪魔なものが一切なくなり、国民の支持する「平和」のため、国民投票でも過半数が改憲に賛成し、9条は削除される。
我が子を兵隊に取られる段階になって「なんでこんな世の中になっちゃったのか」と国民は泣くが、もう遅い。
そんなことを言おうものなら逮捕される。万事休すである。愚かな民衆が、そんな結末を自ら招いたのである。
この恐ろしい予想が、私の妄想で終わって欲しい。そう切に願う。だから私は、どこまでもこの流れに抵抗し、吠え続けることを決意する。
* * * * * * * * * *
さて、今日のワインは、久々の泡もの。イタリアのスプマンテだ。
色は淡いレモンイエロー。ちりちりと沸き上がる気泡は小さめで、正直言ってあまり美しいという感じではない。
味の方は酸が柑橘のようにキュート。フレッシュな口当たりが好印象。それとともにきっちりハーブ香が感じられ、
飲み応えもある。
もちろんこのクラスだから複雑みを期待するほうが無理だが、気軽に飲んで「意外と味わい深いじゃないか」と
思える。そんなワインだ。
11本18,900円セットの3本目。単体での通常価格は\1,680(本体価格1,600円+消費税80円)。
実はこれ、当日記への登場は実に4回目なのだが、特に大好きというわけでもない。
ENOTECAさんが力を入れて売っているし、買って損はない内容なので、手軽な泡ものとして重宝している。
<評定:C>
2005年9月20日 ROUGE
FRIMAIO CHIANTI CLASSICO (D.O.C.G.) 2001 / POGGIO ROMITA
フリマイオ キャンティ・クラッシコ / ポッジオ・ロミータ
イタリア、TOSCANA州
大新聞の書き方を注視せよ。
衆院選以降、新聞の論調がおかしい。
読売や産経が御用記事を書くのはポジション上あたりまえだが、
朝日までもが「民意に応えて改革を進めよ」といった論調に終始し、それ以上深く突っ込むことをしていない。
「改革を進めよ」ということのどこが悪い?と思った人は、既に相当脳が冒されている。
「改革」が絶対善で、「改革」に賛成することが正しい道で、「改革」に少しでも異を唱えることは
時代の流れに反するといったマインドコントロールの危うさをこそ、今は指摘すべきなのだ。
皆が一つの方向を見、深く突っ込んだり、細部に疑問を呈したりしない空気が蔓延し始めたら、
既に「戦時下体制」である。選挙以後、そういう匂いをぷんぷん感じる。
そんな中、週刊誌やタブロイド紙だけは、忌憚のない意見を堂々と書き、迫りくる危機を伝えようとしている。
こんな時期だからこそ、たかが夕刊紙とか、いかがわしい週刊誌なんて思わずに、それらの意見に耳を傾けるべきである。
「批判ばかりしている人間はダメだ」と、主流派を自認する御仁はよく言うが、批判ができなくなったらおしまいである。
偉そうに「改革」ばかりを唱える改革馬鹿の不遜な態度には、真っ向から対決してゆきたい。
それと共に、いわゆる大新聞の文章の書き方も注視してゆきたい。
さて、本題。
11本18,900円セットの4本目は、ちょうど1年前にもまったく同じもの(同じヴィンテージ)を飲んだキャンティ・クラッシコ。
色は赤黒というのがふさわしいほど濃い。ウメや干しぶどうや薬草のような香り。グラスを回すと、
動物臭が出てくる。
酸が強く、タンニン分も強い。とても奔放な味。飲み進むと、口の中がまるで渋柿をかじったみたいになる。
単体での通常価格は\2,310(本体価格2,200円+110円)。もう少し落ち着きがあってもいいようにも思うが、
これが個性なのだろうか。それともまだ熟成が足りないのだろうか。
<評定:D>
2005年9月25日 BLANC
LES HAUTS D'ARTON 2003 / VIN DE PAYS DES COTES DE GASCOGNE
レ・オー・ダルトン / ヴァン・ド・ペイ・デ・コート・ド・ガスコーニュ
V.d.P
|
我が家のTVの上にいるモリゾー(右)とキッコロ(左) |
終わりは、寂しい。
3月25日から開催されていた愛知万博 「愛・地球博」 が、今日25日閉幕した。
私は関西に住んでいるので、名古屋まで新幹線で1時間。ほんとはもっと行きたかったが、私が休日をなかなか取れないこともあって、
結局行けたのは、2度ほど。正確には、1度目は日帰り、2度目は1泊2日だったので、3回入場したことになる。
5月に最初に行ったときは何も勝手が分からず、息子がこれだけは絶対に見たいというJR東海リニア館に入り、あとは
外国のパビリオンをいくつか見た。韓国や中国やフランスやイタリアなど、人気の高いところは避け、空いていたスリランカ館で、
ビールを飲みながらゆったり民族舞踊を見れたのが印象的だった。
2度目(7月)のときは、とにかくトヨタ館を見ようというのを至上命題とした。夜7時開始の公演に、5時からの2時間待ちで入ることができた。
これはかなりラッキー。
やはり、多くの人が感想を述べているように、一番感激したパビリオンだった。その日は泊まりだったので、ゆっくり夕食を摂り、
夜の会場の雰囲気を楽しんだ。
翌日はまた朝から会場入り。並ばずに入れるパビリオンを選んで入った。夕方にはたくさんのお土産を抱えて、帰路についた。
3回の訪問で、お土産ものだけでも何万円かは使ったと思う。さらに家に帰ってから、公式オンラインショップでピンバッジをたくさん買った。
お祭り騒ぎが楽しいというのも確かにある。しかし、子供と一緒にイベントに出かけ、1つ1つ思い出を作るということの意味が大きい。
小学生の一人息子と手をつないで万博会場を歩き回ったことを、きっと将来、たくさんの万博グッズを見るたび、懐かしく思い出すに違いない。
十数年後、酒を酌み交わしながらそんな話をしても、たぶん息子は居心地の悪い顔をするだけだろうが。
親でいることはなんて哀しいことなんだろうと、最近つくづく思う。毎日が過去になって行くことを、肌で実感するからだ。
だから、子供が子供でいる間に、一生懸命思い出を作りたいと思う。息子のためというよりも、先に老いてゆく妻と私のために。
しんみりと開ける今日のワインは、11本18,900円セットの5本目。
ちょっと日が空いてしまったのは、最近、遠方出張があったり、家にいても外食が多かったりしたため。
私は基本的に、夕食時以外にはワインを開けないので。
さて、中身にいこう。
V.d.Pで、セパージュはコロンバールとソーヴィニヨンだ。
色は淡いイエロー。ツンと立った酸に、クリームみたいな甘い香り。味も香りの印象と同じく、
酸と甘味のバランスがよい。あまり突出したところがなく、後味もクリーミー。
食事のジャマをしない、オールラウンドに活躍してくれる日常酒だ。
単体での通常価格は\1,575(本体価格1,500円+消費税75円)。まさに値段に見合った内容。過不足なし。
<評定:C>
2005年9月26日 ROUGE
CELLAR SELECTION PINOT NOIR 2004 / SILENI
セラー・セレクション ピノ・ノワール / シレニ
ニュージーランド、HAWKE'S BAY
感傷的すぎるだろうか。
昨日、ガラにもなくセンチメンタルな文章を書いた(とはいえ、私の本性は、実は結構繊細だったりするわけだが)。
「親でいることはなんて哀しいことなんだろう」と書いたあとで、ちょっと違和感を感じていた。「哀しい」というのは、ちょっと違うかなと。
ガラにもないついでに、もう一言付け加えよう。
結婚するまでは決して気づかなかったことだが、家族が出来ると、人生が「恐く」なる。
親兄弟には申し訳ないが、独り者の時は、自分の生き死にだけが大事で、他のことはあまり見えていなかったのに、
守らなければいけないものを人生に抱えたとき、人は生きるのが恐くなる。カッコ良く言えば、恋と愛とのボーダーもそこにある。
大切な家族がいなくなることなど考えられないし、自分が先にいなくなるわけにもいかない。毎日がそういう綱渡り。
夫婦は、いわば同じ時間を生きているけれど、子供は違う。日々成長し、後戻りすることはない。
大人にとっては、今年しそびれたことは来年すればよいが、子供の今年は、二度とない。
成長を実感することは、うれしいよりも、切ないのだ。
だから、モノを買い与えることよりも、同じ時間を分かち合うことの方が大事。それがはかない時間であるからこそ、
同じものをたくさん見たいと思うのだ。
親でいることは、そう、「切ない」と言った方がいい。どんなに頑張っても、後悔をゼロにすることはできない。
でも、後悔を最小限に留めるために、日々もがき続ける。それが、子育てというものじゃないかと、感じている。
さて、今日の本題へ。
11本18,900円セットの6本目は、ニュージーランドのピノ。このぶどうは、言うまでもなく厳しく場所を選ぶ品種だから、
本家ブルゴーニュ以外の産地で期待できるワインというのはほとんどない。カリフォルニアしかり。チリしかり。
そんな中で、最近めきめきと頭角を現しているのが、ニュージーランドだ。
色はやや深いルビーレッド。香りはピチピチしたイチゴの香りが中心。とはいえ、ぼやけた感じはなく、
適度にストイックな香りだ。
味も若々しい酸が中心ながら、タンニン分も適度にあり、バランスはよい。
本家ブルゴーニュのような荘厳さはもちろんないが、デリケートさは持ち合わせている。
単体での通常価格は\1,680(本体価格1,600円+消費税80円)。この値段のピノに求められる以上の安定感を備えていると言っていい。
<評定:B>
2005年9月29日 ROUGE
LE HAUT-MEDOC DE GISCOURS 1999 / HAUT-MEDOC
ル・オーメドック・ド・ジスクール / オー・メドック
BORDEAUX地方、HAUT-MEDOC地区、AC:HAUT-MEDOC
祝!阪神タイガース優勝!!
わが阪神タイガースが、2年ぶり5度目のリーグ優勝を果たした。
2年前のぶっちぎり優勝に比べると、今年はハラハラする場面も多かった。でも、勢いが勝っていた2年前よりも、
今年は本当の意味で強かった。投打が噛み合い、若手とベテランの力がうまく融合し、チーム一丸となった勝利だった。
2年前は、リーグ優勝を果たした時点で、もう到達点という満足感があったのだが、今年は違う。
今日の勝利監督インタビューで岡田監督が宣言していたように、これからもう一つ高い目標に到達しなくてはならない。
そういう意味で、常勝軍団を目指す「05年体制」が今始まったといえる。
今日はさすがに甲子園に行くことは出来なかったが、同志が集まり、祝杯を上げてきた。ついさっき帰ってきたところ。こんなに幸せな夜はない。
さて、11本18,900円セットの7本目。メドック3級ジスクールのサードワイン。
色は深みがあり、しっかりした感じ。香りも黒い果実に若干の焦げ臭もあって、高級感が漂う。わずかだが、
ウメのような酸っぱい香りもある。
さすがに味わいには力がなく、ずいぶん軽やかな飲み口。香りのしっかり感に比べると、かなり肩すかしを食った感じは否めない。
単体での通常価格は\2,625(本体価格2,500円+消費税125円)。結局トータルで考えれば、
値段相応だろう。
<評定:C>
2005年9月30日 BLANC
CELLAR SELECTION RIESLING 2004 / SILENI
セラー・セレクション リースリング / シレニ
ニュージーランド、HAWKE'S BAY
プロ野球の危機、ですか??
阪神優勝といえば、すぐ取りざたされるのが、ファンのバカ騒ぎ。今年は、大阪ミナミ戎橋付近での厳戒態勢もあって、
道頓堀に飛び込んだのは62人で、2年前の約100分の1だったという。それでも、人混みの中にダイブしたり、服を脱ぎ始めたり、
花火を上げる者まで出現した。
そういうバカな行動をする者は真のファンではない。こういう映像を全国の人が見ると、
阪神ファンは行儀が悪いとか、大阪は恐い、なんてコメントも出てくる。我々真のファンにとって、とても迷惑だ。
球場では熱い声援を送るが、それ以外では節度を守って勝利を喜び合う。それが本当のファンの姿だ。
ところで最近、「プロ野球の危機」が、少なからず叫ばれている。
例えば30日付朝日新聞で、巨人ファンの漫画家黒鉄ヒロシ氏が、「今は日本のプロ野球という船が浸水しかけているときだ。
船上でのパーティーも今ひとつ、盛り上がらないのではないか。仮に今年、巨人が優勝していたとしてもそんなに喜べなかっただろう」
と述べている。
識者ぶってくだらんことを言うな、と申し上げておきたい。
巨人が優勝していたとしても喜べない?? そんなことまで言って、球界全体を思うかのようなポーズはおやめなさい。
「プロ野球の危機」を声高に叫ぶ御仁は、かなりの確率で巨人ファンだ。なぜ、「巨人が勝てなくて悔しい。
阪神や中日を倒して欲しい」と素直に言えないのか。
もし巨人がまた強くなり、TV中継の視聴率が上がり、東京ドームが連日超満員になったら、彼らは「プロ野球の危機」などとは絶対言わない。
その陰で、資金力のない広島が戦力補強もままならず、下位に低迷し続けていても、彼らはまったく意に介さないだろう。
つまり、巨人原理主義者たちは、巨人が強くなければ面白くないという本音をオブラートに包んで、
TV視聴率の低迷などを捉えて、「危機だ危機だ」と叫んでみせるのだ。
私は、ジャイアンツというチーム自体は好きでも嫌いでもないが、この類の巨人ファンが大嫌いなのだ。
小泉内閣と同じような強者の論理で、あえて弱者に配慮をするようなポーズをしながら、その実、弱者がのたれ死んでも気にしない。
我々阪神ファンは、弱いときも、強くなっても、いつでも熱い応援を続ける。甲子園はいつも超満員だ。
せめてスポーツの世界くらい、中央の論理ではなく、阪神、中日、広島、日ハム、楽天などの地元密着球団が盛り上げてゆこうではないか。
今日、阪神百貨店の優勝セールに行って記念グッズを買い込んできたが、そこでこんな声を聞いた。友達連れの若い女性が、「なんかこの人混み見てたら、
ほんまに優勝したんやなあって、感じがするワ」。
勝利の瞬間、大喝采を送っても、本当に勝ったということが信じられない。こうやって夢のような現実をじわじわと実感してゆくところに、
阪神ファンの醍醐味があるのです。
さて、11本18,900円セットの8本目は、珍しいニュージーランドのリースリング。
色はしっかりしたイエローグリーン。香りは、え?これがリースリング?というくらい、クリーミーで、華やかで、芯の太い香り。
南仏あたりでヴィオニエを使ったワインに、こんな匂いのするものがありそうだ。黄色い花+ホイップクリームのイメージ。
味は酸が効いているものの、若干ぼやけた甘味を伴うので、少し間延びした印象。主張が弱い分、和食との相性は良さそうだ。
博多で買ってきた明太子に合わせたら、ちょっと生臭かったが。
単体での通常価格は\1,680(本体価格1,600円+消費税80円)。
こんな所でリースリングが植えられていたのか、という発見だけでも価値があるが、
ぼやけすぎず、スカスカにもならず、うまくまとめられているのは、まさに造り手の技術なんだろう。
<評定:C−>
|