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2017年05月



2017年5月4日
 憲法99条違反ではないのか


 5月3日の憲法記念日に開催された憲法改正を求める集会に安倍首相がメッセージを寄せ、 「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と明言した。 日本国憲法が施行されて70年を経過するこの節目に、自身のスタンスを明確にしたわけである。

 選挙の時の争点にせず、聞かれても明確に答えないという態度をとりながら、 それでも一番やりたいことがここにあるのは、誰の目にも明らかだから、今さら驚くには値しない。

 この発言に対し、新聞各紙はそれぞれ一応違った反応を見せているようではあるが、 その中で、違和感を覚えた点がいくつかある。

 首相が、戦争放棄を定めた「9条1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込む」と述べたことに対し、 どのメディアも「現行9条1項と2項には手を付けず、新たに自衛隊の位置づけを明確にする」 という解釈をしているように見える。だから、9条を変えてほしくないリベラル派はある程度これに安堵し、 9条こそを変えたい保守層からは不満も漏れている。しかし、この解釈は妥当だろうか。

 首相は、9条1項、2項を残すとは言っているが、まったく手を付けないとは言っていない。 条項そのものは残すけれど、書き換えることまでは否定していないのだ。 書き換えてしまえば、それは「残した」とは言えないのかもしれないが、 現在の条項を下敷きにしつつ、少し文言を変えてしまうという技はあり得る。 「ほら、基本的に条項は残したでしょ? 文言は現実に合うように少しだけ変えたけど」 と居直ることくらい、あの人にとってはたやすいこと。うそをついたという意識すらなく、 そういう騙しをやってのけることは十分に考えられる。 改憲反対のスタンスを取る朝日や毎日ですら、今回の反応は生やさしいと、私には思える。

 また、教育無償化を唐突に言い出したことも、実にわかりやすい詭弁であると感じる。 きっと「これは使える」と思ったのだろう。 憲法を変えることさえできるのなら、本当は自分がやりたくないことでも、 すべて飲み込んだっていいという考えに見える。

 日本国憲法第99条は、国会議員などに「憲法尊重擁護義務」を課している。

第九十九条
 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

 この義務を負っている国会議員が、積極的に今の憲法を変えたいと言い、 具体的な年限まで示すことは、憲法違反とはならないのか。それを言うと、 いつまでたっても憲法を変えることができないじゃないか、という反論がありそうだが、 間違ってほしくないのは、憲法制定者は国民であるということ。

 国民の大多数が、憲法に不備を感じ、変えたいという声が大勢を占めるようになれば、 その声を受けて国民の代表たる国会議員が初めて議論を行うべきものであって、 議員の側が率先して道筋をさぐったり、拙速に誘導するようなことがあってはならない。 まして、行政府の長たる総理大臣が、その優越的な地位を利用し、個人的な思いだけでこのような意向を表明するなどは、 現行憲法をないがしろにしているとの誹りは免れないのではないか。

 憲法を変える必要は無いという声はもはや少ない、などと、平気でうそをつく首相である。 新聞各社の世論調査でも、変える必要は無いという回答は、依然として50%内外である。 この状況で、よくそんなことが言えたものだと思う。うそを言い続ければ、簡単に洗脳されるとでも 思っているのだろうか。

 新聞各社が「持論を抑えてでも改憲を優先したい首相」と解釈したのは、 半分正しく、半分間違いだ。とにかく改憲したいというのはその通りだが、 持論を抑えているように見せかけているだけで、後で平気で違うことを言い出す可能性がある ということは、これまでの言動を見ていたら、容易にわかりそうなものだ。

 なお、第99条に関し、憲法尊重擁護義務を負っているのは天皇や公務員であって、 国民は負っていないことに注意してほしい。国民は憲法の制定者であり、権力者を縛るために憲法が存在するというのが、 立憲主義の要諦である。国民にも義務を負わせろという主張は、まったく民主国家における憲法議論とは相容れないものなのだ。


2017年5月18日
 この国の狂った現状

 国会答弁もまともにできない、知識も乏しい法務大臣に不信任案が提出されても、 完全無視で「共謀罪」法案を強行採決しようとする現政権には、既にして民主国家を運営する資格など皆無である。

 「共謀罪」法案に関しては、一般人の中にも、「国民をテロから守る法案なのに、なぜ反対するのか」などという、 まったく思慮のないバカな意見(あえて「バカ」と明記させて頂く。 事案の表層しか見ず、深く思慮もせず、背後に潜む問題点に思いの至らない人は「バカ」と言われて当然だからだ) もいまだに聞かれるのだが、戦後最低のこの悪法を、このまま成立させるわけにはいかない。

 「一般人は対象にならない」と、首相などは繰り返し言うが、 奴等の言う「一般人」とは、物事を考える頭のない、権力に歯向かわない、バカな国民をさす。 権力者の問題点を冷静に指摘する人間は、彼らからすると「一般人」ではないということになる。

 こんな狂った時代に生きている、今の私たちのこの不幸、そしてこれから訪れるであろう災厄を、 身を挺して止めなければいけない。今何かをしなければ、この国はとんでもないことになると、 真の愛国者である私は考える。



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