No.121〜140
2003年5月15日
No.121 銀河高原 有機栽培ビール
新製品だろうか。コンビニで見つけてgetした。
泡はきめ細かく、やわらかな雰囲気。銀河高原に共通の特徴である。
香りは軽やかで華やか。バナナ的香りがあるので、小麦も使っているのだろう。
缶の表示では、「ドイツ・バンベルグ有期麦芽100%使用」とだけある。
味わいは実にクリーンで、ストレートで、雑味がない。苦味がひっかかったりもしない(※注)。
にもかかわらず、ぎっしり詰まった感じ。さすが、期待を裏切らない品質。
時々「銀河高原なんかまずい」という意見も耳にするが、
その人はただ単に小麦系ビールが嫌いなだけであろう。
好みの問題だから別にかまわないが、非常に丁寧な作りであることは間違いないと思う。
※注:苦味がひっかからないといっても、決して苦味が弱いわけではない。
嫌味がなく、全体のバランスの中できちっとあるべき位置を占めている。そんな安定感のある苦味だ。
後味にもフルーティなフレーバーが残るが、重みとのバランスがよい。一挙両得といった感じ。
ところで、この缶のデザインもなかなか良い。商品名の文字を大きくすると、ふつう無骨な印象を与えるものだが、
これはイラストや色調と相まって、クールで、かつ、かわいいイメージになっている。さすが、銀河高原ビール。
2003年5月18日
No.122 さらりとした梅酒 あまさスッキリ微炭酸 / チョーヤ
ついに梅酒の初登場である。
梅酒業界の雄であるチョーヤの名は全国区であるが、特に地元関西ではCMも日常的に流れている。
♪さ〜らりとしたーうーめーしゅー♪ という歌がすぐ浮かんでくる。
この会社、河内ワインと同じ大阪府羽曳野市にあり、私は系列会社だと思っていたが、実はまったく関係がないらしい。
山本博『日本のワイン』(早川書房、2003年2月)という本に、その説明がある(同書264ページ)。
同じ羽曳野市駒ヶ谷にあり、オーナーの姓まで同じだが、何の関係もないそうである。
それはさておき、日頃積極的に梅酒を飲む機会は、そう多くない。そんな普通の人の生活に、
梅酒を提案し続けている同社の役割は大きい。この製品は、特に名前からしてコンセプトが明確で、
缶チューハイ代わりに飲んでみようという気にさせる。
ほとんど無色でサイダーのよう。香りは非常におとなしく、極めてナチュラルな梅の香り。
リンゴのような可憐さもある。甘味もほどほどで、すっきりした飲み口。
微炭酸で、適度な刺激が心地よい。後に嫌な酸味とか甘味も残らない。
実にクリア。少し、渋味が残る。
原材料を見ると、梅、砂糖、醸造アルコールとだけある。着色料や添加物は一切なし。アルコール分は4%。
天然の素材だけでこの味わいのバランスを生み出しているのは、老舗ならではの技術だろう。
いやはや、身近なところにこんなに優れた製品があるとは、嬉しくなった。
2003年5月19日
No.123 タカラCANチューハイ レモン
発売20年だそうである。
ハイリキ(アサヒ)が缶チューハイの王だとすれば、こちらはさしずめ女王か。あらためてテイスティングしてみる。
香りはひそやかで、果実感とかフレッシュさをわざとらしく強調するような所がない。
飲み口も実にシャープ。甘味は最小限に抑え込まれ、スキッと辛口だが、レモンの酸がことさら前面に出てくることもない。
何口飲んでも飲み飽きず、口中もすっきりしたまま。後には爽快感が残る。アルコール分8%、果汁3.3%。
これぞ大人のチューハイである。ハイリキがリッチなチューハイだとすると、これはどこまでもドライ。
やはり長年愛され続ける製品には理由がある。宝酒造も最近は、爽快、スキッシュなど、
時代に迎合した製品を次々とプロデュースしているが、これを生産中止にしないのは同社の良心であり、自信の表れであろう。
ぜひともこの最後の砦を守り抜いていただきたい。
2003年5月20日
No.124 ギュギュッと搾った女峰いちごサワー / メルシャン
以前、このシリーズのグレープフルーツを試したが、果汁の多さ(実に71%)のために
これ以上はないというフルーティさで、お子様テイストチューハイの極みであると思った。
この製品も、それ以上にこってりした味が予想されるが・・・。
まず、香りのインパクトからものすごく、イチゴミルクキャンディのように濃厚。
味も、まるでイチゴのエッセンスを本来の使用量よりも相当多く使ってしまったかのような濃密度。
果汁27%で10粒分ということだが、こんなにわざとらしいほどの濃さになるのか、と思う。有無を言わさず、いちご、いちご。
どこかで嗅いだことのある香りだと思ってよく考えると、駄菓子屋だ。昔の駄菓子屋に入ると、どこからともなく、
こんな甘ったるい匂いがしてきた。このチューハイの香りは、駄菓子屋の中でも、凧糸のような紐を引っ張って買う飴で、
錨のような、矢尻のような形をしたもの。あれの真っ赤なヤツだ。
アルコール感はほとんどなく(アルコール分4%なのだが)、まるでイチゴのデザートを食べているかのような甘美さ。これはこれで、とてもおいしい。
口中一杯にイチゴ味が残る。周囲にもイチゴの香りをまき散らす。
あまり売っているのを見かけないが、そもそもメジャーにはなりにくい製品だろう。だが、ある意味マニアックで、
こだわり尽くした製品だと思う。
2003年5月24日
No.125 モルトスカッシュ MALT SQUASH / キリン
キリンから出たノンアルコールビール。
最近、交通取り締まりの強化と共にこの分野の人気が高いらしく、当サイトでも無視するわけにはいかない。
本物のビールにどれほど肉迫しているかが、ひとつのポイントであろう。
まず、色はしっかりと深く、泡立ちもしっかりしており、見た目はビールそのもの。香りは、黒糖のような、芋のようなほっこりした感じがあり、
ビール感には乏しい。
味は、上滑りした感じで、重みなどはまったくない。ただ、苦味はそこそこあるので、それなりに充実感はある。
後味に、発泡酒のような臭み(ゴザのような感じ)と嫌な酸味が少しあるものの、むしろ発泡酒よりはクリアな味わい。
全体の出来としては、なかなかやるなあ、という感想。これならば、ビールの代用品として十分利用価値あり。
もちろん本物のビールとは明らかに違うのだけれど、ノンアルコールでここまでの味を達成したのは、評価できる。
アルコール分約0.5%。「この商品にはアルコールが含まれておりますので、車を運転される場合や
未成年の方の飲用については十分ご注意ください」と書かれている。
十分ご注意って、車の場合は、飲んでからある程度時間を置けば良いのだろうが、未成年が飲んでもいいのだろうか。
飲んだら法律違反になるんだろうか。
原材料は、麦芽、食物繊維、果糖ぶとう糖液糖、ホップ、酸味料、香料、酸化防止剤(ビタミンC)となっている。
2003年5月27日
No.126 アンカー・リバティー・エール ANCHOR LIBERTY ALE
さて今回、知人Y氏よりサンフランシスコのアンカー社のビール4種を戴いた。
当サイトで忌憚のないコメントをして欲しいとのご要望にお答えして、今日から順次取り上げてゆく。
いただき物といえども遠慮なく冷徹に評価を下すのが私のポリシーであるから、感じたままを書く。
まず1本目は、ペールエール。
泡はほとんど白だが、わずかに褐色が入っているようにも見える(液色が透けているだけか?)。
液色は少し濁りのあるオレンジと琥珀の間で、ペールエールにしては薄い。
パインのように少し甘い雰囲気を伴うやさしいホップの香りが清々しい。口当たりも柔らかく、
重い感じはない。飲み込んだあと、オレンジやマスカットのようなフルーティで甘いニュアンスが広がる。
柔らかい苦味が舌の奥の方に残る。
とても丁寧な造りで好感が持てるが、本場のペールエールのイメージからすると色は淡く、香りは華やか、
味わいは端正。さすがアメリカ。重厚さはない。
それにしても、アメリカン・ビールは決して水っぽい物ばかりではないのだ、という良い手本ではあると思う。
小さなカルチャーショックと言ってもいい。これを知らずして、アメリカものはすべて水のようだなどと言ってはいけない。
355ml入り小瓶。アルコール度数6%。輸入者は(株)三友小網。
2003年5月28日
No.127 アンカー・ポータービール ANCHOR PORTER
コーヒーブラウンの泡は、きめ細かく、力強く、長く持続する。液色はしっかりと黒い。
ミントと黒糖の香りが拮抗し、しょうゆのようでもある。
味わいはかなり苦味が強く、それなりに重厚感があるが、後味がほろっと甘い。
後味は、黒ビールにしては優しい部類。甘味中心の余韻が、ややくどさを感じさせる。
焦げ臭もやや鼻につく。
355ml入り小瓶。アルコール度数5.6%。
ここまでしっかりした黒ビールとは思っていなかった。じっくり味わうのにはよいと思う。
ただ、押しがやや弱いのと、甘味が中心に来てしまうところが、本場イギリスなどとは違う。
2003年5月29日
No.128 ヱビス<黒> / サッポロ
サッポロから新製品。満を持して発売されたヱビスの黒である。
やや白っぽいコーヒーブラウンの泡はきめ細かいが、持続力はそこそこ。液色は深い黒。
香りは軽めで、しっかり嗅ぐと、奥の方に焦げ臭がある。まずは軽やかな導入部。
味わいも香りの印象に近く、芳醇でありながら、さらっと飲みやすい。苦味は適度。
甘味はほとんどない。飲み込んだ後に鼻から息を抜くと、かすかに焦げ臭が残って、心地よい。
最後まで甘い雰囲気はなく、シャープ。
本場のスタウトとは違った個性だが、繊細な味わいは実に日本のビールらしい。
本物の黒ビールを指向する人には奨められないが、いたずらに本家の真似をしないというスタンスには、
むしろ好感が持てる。
2003年5月30日
No.129 アンカー・スチームビール ANCHOR STEAM
ベージュ色できめ細かい泡。液色はブロンズ色。
香りは、まずミルキーでやわらかな第一印象。次いで、オレンジのような中域のしっかりした清々しい香りが広がる。
ところが、口に含んだ瞬間、香りの印象とは一変して、かなり苦味が強いことに気づく。
ずしっと重みがあり、余韻も長い。
今までに出会ったことのない不思議なビールだ。フルーティで軽やかかと思えば、重厚感がある。
いわば、色々な要素を兼ね備えている。1本から得られる満足度が非常に高い
(悪く言えば、方向性がよくわからない)。
このアンビバレントな魅力のわけは、裏ラベルに書いてあった。本来低温発酵させるべきラガー酵母を、
あえて常温発酵させることによって、エールのような華やかな香りと、下面発酵ビールのようなコクと麦香を兼ね備えた
ものに仕上がっているという。
色だけを見た段階ではペールエールみたいだが、確かに香りにはフルーティさだけではない、しっかり感があった。
小悪魔的魅力を秘めたビール。
355ml入り小瓶。アルコール分4.9%。
2003年6月1日
No.130 カクテル ラテ ストロベリー&ミルクのお酒 / サントリー
ちょっと前にコンビニで見つけて、なんとなく購入。たまにはこんなものもいいかなと。
香りからして甘く、実にミルキー。味も香りの印象どおり。
まるでいちごミルクのかき氷が溶けたものを飲んでいる感じ。甘くて、単純においしい。
酒という感じはまったくない。
原材料名は、牛乳、いちご、全粉乳、スピリッツ、糖類、香料、乳化剤、食用赤色106号。
牛乳が一番多いのは納得。スピリッツとは何なのかわからない。ウオッカならウオッカと書くだろうしね。
果汁1%、アルコール分5%。そうか、度数はビールと同じなのか。とてもそんなふうには感じない。
多分若い女の子が弁当か何かと一緒に買って帰るんだろうな、という商品。
2003年6月4日
No.131 アンカー・オールドフォグホーン ANCHOR OLD FOGHORN
少し日が開いたが、いただきものの4本目。
素直な感想として、「何これ!?」と叫んでしまったことを、先に言っておく。
カフェオレ色の泡はふつふつときめ細かいが、力はそれほどない。
液色は麦茶を濃くしたような感じで、濁っている。
深い麦の香りのまわりにりんごやパインのような甘い香りが。よく、フルーティな香りなどというが、
これは、フルーティではなく、そのままフルーツの香りがする。それが黒糖的香りと一緒になって、実に濃厚である。
口当たりもヘヴィー。強い甘味と苦味の競演。こってりと中身の詰まった味わいで、一時も気を緩ませてくれない。
アルコール度数が高いことを、飲みながら実感させてくれる。
飲み込んだ後の口中には、アールグレイティのような妖艶な余韻が長く残る。これ、本当にビールなんだろうか。
ボトル容量は207mlで、かなり小さいが、アルコール分が8.9%と異常に高いので、満足感抜群。
こんなビールがあったなんて、ただただ驚き。
ラベルには、次のような説明が書いてある。
「ワインのように度数が高く味わい深いビール」という意味から「バーレイ(麦の)ワイン」 と呼ばれるタイプのビール。非常に濃い一番麦汁だけを使用し、上面発酵酵母により発酵。その後、9〜18ヶ月にわたって 低温熟成を行います。1975年、米国で最も早く商品化したアンカー社のバーレイワイン「オールドフォグホーン(懐かしの霧笛)」 は世界でも有名で、そのまろやかな口当たりとアルコールの心地よい暖かみは、ワインを通り越して「ビール界のコニャック」 と絶賛されています。
なるほど確かに、この濃厚さは、ブランデーに比喩されるのはよくわかる。度数の高さから、
飲んでいるうちに、みるみるアルコールが回ってくる。普通のビールにはない感覚だ。
こんなものを商品化しているとは、すごい作り手だ。
しかし、稀有なクオリティであるがゆえに、決して毎日飲みたいと思うようなものではない。
一度飲んだら強く脳裏に焼きつく。続けて2本、3本と飲む気にもならない。いや、けなしているのではなく、
これはそういうビールなのだ。
2003年6月13日
No.132 ザ・プレミアム・モルツ / サントリー
特に宣伝しているのを見たこともないのだが、これは新製品なんだろうか。モルツ・スーパープレミアムが
リニューアルしたものなんだろうか。
こんな疑問をもってサントリーのホームページをチェックしてみたところ、
従来のスーパープレミアムがなくなり、このザ・プレミアムが掲載されていた。ひっそりとリニューアルするとは、
何か問題でもあったんだろうか。
肝心の中身は変わっているのか。
泡は純白で勢いがあり、持続力もある。香りは華やかで爽やか。軽やかでありながら中身がぎっしり詰まったようなホップの香り。
スーパープレミアムとまったく同じだ。
苦味が強いながらもフルーティな味わいである点も、まったく同じ。
これ、結局名前を変えただけなんじゃないだろうか。強いて探せば、以前より苦味が強くなったような気がしないでもない。
いや、多分気のせいだろう。
麦芽1.2倍、アロマホップ2倍使用という説明も、以前と同じだ。なぜ名前を変えたのか。もし中身が違うとするなら、
どこがどういうふうに違うのか。説明して欲しい気分だ。
いや、決して不満があるわけではない。以前からスーパープレミアムは、私のイチオシ国産ビールであった。
名前が変わろうが、マイナーチェンジしようが、残ってもらわなくては困る。そういう製品だ。
2003年6月14日
No.133 よなよなエール / ヤッホー・ブルーイング(軽井沢)
いろんなサイトで紹介されていたり、当サイトにも読者の方から「取り上げて欲しい」という声が幾度か寄せられていたものだが、
基本的に関東でしか販売されていないようで(ネットでも入手できるらしいが)、わが関西では店頭で見ることがなかった。
しかし昨日、たまたま大阪梅田の阪急百貨店で、地ビール特集みたいなコーナーに並んでるのをみつけ、迷わずゲッツ!
泡はほとんど白に近いベージュで、きめ細かく、持続力もそこそこ。液色はペールエールの中でも淡い部類と言え、
麦茶をかなり薄くした感じ。濁りあり。
香りは、エールの本領発揮。オレンジのように爽やかでフルーティ。味わいも香りの印象どおりフレッシュ。
苦味が結構強く、香ばしさ(焙煎香)もあるのに、柑橘的酸が後をキュッと締める。あらゆる長所を兼ね備えていながら、
どれも出しゃばらず、中庸のバランスを保っている。これぞ日本のペールエールといった中途半端さ(いや、これはけなしているのではなく、
褒め言葉)。
こういう製品って、海外で評価されやすいんだろうな、と思う。だって日本人の性格みたいな品質なんだもん。
基本的能力が高く、あらゆる可能性を秘めているのに、何も開花させていない。ある意味、突出しないことの美、みたいなね。
下面発酵ビールに慣れた日本人の舌にも、ごく自然に受け入れられるような味づくりだ。あっぱれ。
2003年6月16日
No.134 軽井沢高原ビール ブロンドエール / ヤッホー・ブルーイング(軽井沢)
上記よなよなエールと同時に購入。
同じメーカーのエールでも淡色のもの。
泡は純白できめ細かいが、力はあまりない。液色は名前のとおり黄金色(ブロンド)で、
「伊藤園・金の烏龍茶」みたいな感じだ。
香りは甘夏の皮のような、苦味と甘味の入り交じった香り。しばらくすると、
日本酒の吟醸香のような感じが出てくる。
口当たりは爽やかだが、苦味も結構しっかりしている。だが、後味は軽やか。
ほろっとした旨みがとてもよい。
こちらもなかなかのクオリティ。じっくり味わえるビールだ。
2003年6月17日
No.135 楽膳 / サントリー
どこよりも早い新製品レビューを期待してくださっている皆さんへ。本日発売の「おなかにたまらない発泡酒」。
泡は純白で最初勢いがあるものの持続はしない。典型的な発泡酒の泡といえる。
香りは、およそ発泡酒臭さというものは感じず、ブラインドテストをしたら、ビールと区別がつかないと思う。
そのくらいピュア。(ただね、泡を見てると紛れもない発泡酒だとわかる。妙にきめ細かくて、ボウフラのわいたドブ川みたいに、
ふつふつふつふつと、底から気体が断続的に上がってきては盛り上がる。これは発泡酒特有)
口当たりはやわらかく、炭酸のぴりぴり感以外に突出したものはなく、発泡酒特有のうにゃっとした甘味が広がるだけで、
あとは毒にも薬にもならない感じ。非常に炭酸水に近い。後キレはとてもよい。
1本飲んだだけで、ほんとうにおなかにたまらないかどうかは、無論わからない。ただひとつ言えることは、
角がなく、ほろっと溶けてゆくような味だということ。チョコレートで言うと、非常に口溶けがよいという感じ。
「麦芽根使用」がなぜおなかにたまらない理由になるのかわからないが、少なくともポカリスエットみたいに、
浸透圧が体液に近いとか、そういった科学的根拠があるのだろうか?二酸化炭素を含有しているかぎり、
飲み過ぎれば腹が重くなるのではないかと思うのだが。
まあこの発泡酒の良いところは、臭みがなく、刺激も弱いので、ビールが苦手な人にもとても飲みやすいという点だ。
ビールの苦味や刺激に弱い女性などにはお勧めできる。
それにしても一番感心したのは、コンセプトが明確なところだ。かねてから私は、発泡酒に最も大切なことは明確なキャラだと
考えているから、そういう意味で、この製品は実にうまい売り方だ。さすがはサントリー。
ネーミングといい、コンセプトといい、私のようなオトーサン世代をターゲットにしていることが明らかだ。
こういう潔さは気持ちいい。クオリティも悪くはないし、うまく行けばかなりヒットしそうな予感がする。
ちなみに私は、積極的に飲もうとは思わないけどね。だって、ちっとも満足感がなくて、よけいにビールが飲みたくなるから。
ビールの模造品としてのキリン淡麗、シャープで爽快なアサヒスパークス、突出せず飲み飽きないサッポロ北海道生搾りと、
各社の自信作とキャラがかぶらない。うまくニッチを狙ったな。(こうして見てみると、発泡酒戦争においても、
各社収まるべき所に収まったな、の感がある)
2003年6月18日
No.136 8月のキリン
最近の新製品は、ビールなんだか発泡酒なんだか、パッケージデザインを見ただけではわからない。
これもパッと見はビールかなと思うが、実は発泡酒である。
まず泡の状態は典型的発泡酒で、勢いはあるが力がない。香りはほとんどないと言ってもよく、
ライトタイプのビールによく似ている。
口に入れた瞬間の雑味のなさは特筆すべき。重みとか飲み応えといったものは皆無だが、苦味は適度にあって、
後に嫌味も残らない。なんといっても発泡酒特有のうにゃっとした甘味がほとんどないのがすばらしい。
ひたすらピュアで、炭酸の刺激だけが浮き立つので、まさに夏にもってこいのキャラクター。看板に偽りなし。
スマッシュヒットと言って良いだろう。最近見かけなくなったキリンライトビール
(Light is Rightというキャッチフレーズで売っていた)を彷彿とさせると言ったら言いすぎだろうか
(無論こっちの方がより軽いと思うけれど。記憶によれば)。
このキャラは、非常にアサヒとかぶる。本生ファンに飲ませたら、こっちの方がクリアでいいかも、
って返事が返ってきそう。
私もこれならば不味いとは思わない。真夏の日中に、喉の渇きをいやすために飲んでもいいかな。
"ニュージーランド産ホップの心地よい香り"というふれこみだが、"心地よい"というほど香りはしない。
イメージの問題だろう。アルコール分は4.5%で軽やか。
最近キリンはこういう季節ものを次々出してくるが、昨年夏のアラスカ同様、
明確なコンセプトに好感が持てる。完成度も着実に上がっている。
2003年6月19日
No.137 タカラCANチューハイ スキッシュ 青りんご
菊川怜のCMでおなじみのスキッシュから新製品登場。青りんごとは、
あまりにもシリーズのイメージに合いすぎていて、少しつまらない感じもする。
香りはいかにも作られたアップル・フレーバーで、ジュースのよう。爽やかな第一印象ではある。
このシリーズは炭酸のインパクトが強いので、口に含んだ時刺激に圧倒されるのだが、これはほのかに甘味と、
なぜか渋味もあって、その分明確な個性を主張してくる。
後味がすっきりしている点はさすが。渋味が引っ掛かる感じすらある。最初感じた甘さはなりをひそめ、
飲み干してみれば炭酸水のようなクリアな後口。
ほんとうにこのシリーズは、一貫した味造りで、期待を裏切らない。タカラの危機意識が伝わってくるような真っ向勝負。
惜しみない拍手を贈りたい。
アルコール分6%、果汁4.5%。
缶のデザインにも少し工夫が見られる。これまでレモン、グレフル、
アセロラと、すべて斜めストライプのデザインで共通しているが、
これは、紺、水色、黄、白の斜めストライプの中に、りんごの形が浮かんでいる。なぜこれだけ?
こんな行き当たりばったりなやり方に、タカラの垢抜けなさが垣間見える。サントリーやキリンなら、
こんな無計画なことはしないと思うよ(この田舎臭さこそが、タカラの持ち味か?)。
2003年6月24日
No.138 エチゴビール ピルスナー
全国第一号地ビール。といっても、1994年の酒税法改正により、それまでビールメーカーには年間2,000キロリットル以上生産することが
義務づけられていたものが、60キロリットル以上に引き下げられ、いわゆるマイクロブルワリーが認められるようになったために、
全国各地で一気に参入が起こった。そのうちの一社である。
まず泡はきめ細かく、持続力も抜群。液色は濃くも薄くもない。香りは、最初爽やかなミント系だが、
後に米飯のような少し蒸れた感じがある。これがとても泥臭い印象を与える。
味は苦味が強く、重い。華やかさはなく、ひたすらぐいぐい押してくる。
実に飲み応えのあるタイプだが、とっても垢抜けない、田舎臭いビール。
そこが地ビールらしさだと言うこともできるが、万人受けは難しいだろう。かといって、ツウをうならせる逸品とも言えない。
個人的には嫌いなタイプではないが、いかにも地味すぎると言っておこう。
2003年6月25日[1]
No.139 のみごたえ<生> / サッポロ
サッポロから発売された新しい発泡酒だが、はじめに結論めいたことを言っておこう。
これなら毎日飲んでもいい。違和感もほとんどない。
発泡酒に対してずっと懐疑的な目で見てきたが、それでも最近は、どこか必ずセールスポイントがあって、
各社技術の向上とともに、売り方も上手になってきたと私は思っている。しかし、あくまでも見るべき所は一ヶ所であるのが常で、
あとはそれなりという製品が多かった。しかし、だ。この製品は、全体的に合格点に近く、足りない部分は重み、深みである。
この点は麦芽使用率からいってどうしようもない部分だと思うが、ここまで完成度を高めたのは、すばらしい。日本の技術力万歳だ。
泡はきめ細かく、持続力もそこそこ。香りは、軽やかで清々しく、発泡酒特有の臭みは感じない。この香りだけならば、
おそらくブラインドではビールと区別がつかないだろう。
香りのナチュラルさにも驚いたが、本当の驚きは、口に含んだ瞬間から始まる。
粗暴なほどの苦味が存在感を示し、穀物臭さとか嫌な甘味は感じない。残念ながら重みや深みはないが、その代わり、
飲み干した後まで引きずる苦味はさすが。重みがない分、後キレも良く、スッキリしている。そして、何といっても、
発泡酒でありながら麦っぽさを感じるところはサッポロの真骨頂。
メーカーの自信の程は、パッケージデザインにも現れている。トレードマークの星型を真ん中にあしらい、
その上に大きなSapporoそしてsince 1876の文字。製品名は下に小さく表示。
この夏の新製品は、各社相当気合いが入っている。増税の危機感を、力に昇華させていると言えよう。
サントリー楽膳、8月のキリンと比べると、私は、このサッポロのみごたえに最も高い評価を与えたい。
これまでビール模造品としての発泡酒の雄は、キリン淡麗であったが、ビールに近い一方で、
遠慮無く発泡酒臭さをもまき散らしていた淡麗に比べると、クオリティはこちらの方がかなり上だと思う。
ついでに書き添えると、飲み干した後の空き缶の口から匂いを嗅ぐと、雑穀臭のようなものがある。
ここまではどうしようもないんだろうな。
今ならおつまみ付、というのは、ご愛嬌。
2003年6月25日[2]
No.140 スーパーチューハイ 冷 Hiyari [ラムネ&ライム] / サントリー
このネーミング、すばらしいね。こういう「ヘタうま感覚」「ダサかっこいい」感じって、いかにも今の時代的。
さすがはサントリー。憎らしいほどの企画力。
肝心のクオリティだが、まあ、悪くはない。
まず缶を開けた瞬間に立ち上る香りは、甘そうなラムネ。ライムを使っていると言われるからそれとなく存在に気づくライムの香り。
その奥にアルコール感。
口当たりは、ソーダキャンディのように、さわやかで、まろやかで、予想以上に甘い。
ただし、飲み込んだ後のキレはよい。ほのかにライムの味が残るのもいい感じ。
夏限定商品。短期の企画ものとして不足はないが、やはり定番品にするには中身がやや凡庸。
他社のラムネハイなどに比べて明確な優位性があるとは言えない。
このデザイン、そしてイメージだけで、女子大生あたりがよろこんで買ってくれそうだ。それでいいんじゃないか。
アルコール度数は5%。果汁は0.4%。