利酒日記〜安葡萄酒に彩られた日常〜

2001年1月


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2001年1月1日  SPARKLING
ROSSO SPUMANTE / GANCIA
ロッソ・スプマンテ / ガンチア
イタリア

  記念すべき21世紀最初のwineは、イタリア産、赤のスプマンテ(発泡ワイン)。
  ピンク色の美しい泡はかなりきめ細かく、豊富だが、短時間で消えてしまう。wine自体の色はかなりしっかりしたルビー色。 香りはベリー系でもかなり濃い部類(カシスに近い)で、落ち着きがある。もちろん甘味も彷彿とさせ、華やかである。 飲み口も非常に柔らかく、甘味がたっぷりとしている。後口もほろっと甘いが、余韻は短い。
  正月の華やかさを意識してのチョイス(おめでたくロゼ・シャンパーニュ! などと奮発しないところが、当日記らしい)。甘い味付けの多いおせち料理に合わせる意図もあったが、色を眺めているだけでも楽しい気分が味わえた。 栗の甘露煮にはもちろんベストマッチであったが、黒豆の甘渋さにもぴったりだった。味わいだけを厳しく評価すればC評価でもいいが、 雰囲気もトータルに考慮して、下記評定となった。
<評定:B>

2001年1月3日  ROUGE
MONTES ALPHA CABERNET SAUVIGNON 1997 / MONTES S.A.
モンテス・アルファ カベルネ・ソーヴィニヨン
チリ、CURICO VALLEY

MONTES ALPHA CABERNET   色はかなり深いが、わずかに青みもある。香りは、まず樽由来のバニラ香が豊かに立ち昇り、喩えようによっては檜風呂のようだとも言える。 それと共に、深みのある土の香りと黒ベリー系の香りもあり、複雑で、気品に満ちている。アルコール度数が高い(13%)せいもあって、足が非常に長い。 時間が経つにつれ、鉄の香りが出てくる。味わいは、まず口に含んだ瞬間、豊かな甘味が横に広がると同時に、鋭くない酸がタテに切り込む。 タンニンが非常に豊かで、口中にまとわりつくが、このワイルドさがチリらしさを感じさせる。導入部は優雅だが、次いでパワフルさを感じさせ、 かつ後には嫌味を残さない。多角的な満足を与えてくれるワインといえる。
  大衆に迎合するつもりはないが、やはり一般に評価が高いだけのことはあるという、悔しくも嬉しい感想である。 明らかにクオリティがプライスを上回ると断言できる。この価格(\2,000未満)でここまですごいものをMEDOCでみつけることは出来ないと思う。 今回はセールで\1,600で入手できたので、なおさら得をした気分である。もう少し熟成させて角が取れたらもっと素晴らしくなるだろう。
  以前に下級品のMONTES CABERNET SAUVIGNONを試し、1,000円台前半という当日記の趣旨にかなうものとしてはほぼ最高レベルであると思ったが、 こちらもこの価格帯で、ほぼ最高レベルであることは疑いない。
<評定:AA>

2001年1月5日  BLANC
BURLWOOD CHARDONNAY 1998 / BURLWOOD CELLARS
バールウッド シャルドネ
アメリカ、CALIFORNIA州

  色は淡いレモンイエロー。香りは、初めのうちは強くないが、時間と共に出てくる。 まず樽香(甘くはなく、スモーキー)があり、その裏に、オレンジ的な柑橘の香りや、洋ナシ、ナッツなどを感じる。 また、これはカリフォルニアのシャルドネによくあるのだが、安物のデコレーションケーキにのっているさくらんぼ型に丸く成型した ゼリー状の菓子のような、薬っぽい、甘い香り(病院で処方されるシロップ状の子供用飲み薬のような匂いだとも言える)がある。 口当たりは丸く、甘味がなめらかに広がると共に、酸もそこそこある。後味には若干苦味を残し、オイリーな余韻がかなり続く。
  近所のスーパーで\780で入手したものだが、デイリーワインとしては上出来といえる。香りについてあまりよくない比喩をしてしまったが、 決して質が低いというわけではない。飲み応えもしっかりあり、嫌味もない。この薬品的香りが、タケノコの煮物に驚くほどよく合った。
<評定:C+>

2001年1月7日  ROUGE
COTES-DU-FOREZ 1999 / GEORGES DUBOEUF
コート・デュ・フォレ / ジョルジュ・デュブッフ
BOURGOGNE地方、AC:COTES DU FOREZ

  正直言って、このようなアペラシオン(AOC)があることを知らなかった。多分、最近できたのであろう。 ただ、作り手がデュブッフであり、品種がガメイであることからして、まずBEAUJOLAISであろうと思った。 ということは、新しいCRU BEAUJOLAISの誕生か? しかし、ネット上で色々調べてみると、どうもBOURGOGNEの一角であることは間違いないようだが、 BEAUJOLAIS地区ではなさそうだ。以前、V.D.Q.S.だったものが、A.O.C.に格上げされたらしい。何地区に属するのかわからないため、上記はBOURGOGNE地方とだけしておいた。
  BEAUJOLAIS NOUVEAUのような若々しい青紫で、ぶどうジュースのような色。香りもNOUVEAUのようにぴちぴちしており、甘く、華やか。 つまり、バナナ的でもあり、セルロイド的でもある(たぶん、MC法なんだろう)。しかし味わいは、香りの印象よりも落ち着きがあり、ただ軽いだけのワインではない。 あふれるような果実味を中心としながら、タンニンも適度にある。甘味もやわらか、酸もやわらか。絹のような舌ざわりで、実に優美なワイン。 粗暴さのかけらもなく、無垢だが、全体としてのバランスはしっかりと完成されている。人間にたとえると、17歳といったところ。 だが、永遠に年をとらない17歳である。
  ワゴンセールでなんと\500で入手。DUBOEUF作であるからして、おそらく正規の売値は、\1,000〜1,200は下らないのではないかと思われる。 仮にその真っ当な値段で買っていたとしても、やはりお得感はかなり強い。これは、食事に合わせるというより、ワインだけでがぶ飲みしたい。 強いて言えば、ババロアやムースのようなものと一緒にゴクゴク飲みたい。あるいは、イチゴにかけて食べるか。
  例えばCRU BEAUJOLAISの中で軽く華やかな部類の、サン・タムール、フルーリー、ジュリエナなどのピチピチ感に通ずるものがあるが、 このワインは、もっともっと軽やかである。
<評定:A+>

2001年1月8日  BLANC
CHARDONNAY OAK CASK 1999 / TRAPICHE
シャルドネ オーク・カスク / トラピチェ
アルゼンチン、MENDOZA

  色はかなり濃く、ほとんど黄色。香りは、パインやみかんの缶詰のシロップのような甘酸っぱさと、はちみつのような濃厚な甘さを感じさせる。 更に樽香も。口当たりはとてもやさしく、甘い。ただし、酸もそこそこあり、決して甘ったるいワインではない。後味に若干の苦味も残す。 実にしっかりしたシャルドネである。チーズ・フォンデュとともにゴクゴク飲んだ。もちろん中にも入れたが、まさにぴったりだった。
  言わずと知れたアルゼンチン最大のワイナリーで、多くの酒屋やデパート等でよく見かける。これは近所のディスカウント店で\1,080で入手したものだが、 標準的な売値は\1,200〜1,300くらいだったと思う。  
<評定:B>

2001年1月11日  ROUGE
DE LOACH ZINFANDEL 1996 PLATINUM / DE LOACH VINEYARDS
デ・ローチ ジンファンデル プラティナム
アメリカ、CALIFORNIA州

  色はガーネットというよりも、どす黒い静脈血の色。香りは、最初土ぼこりに白檀のような香りとバニラ香や血の香りもある。 時間が経つと、血の香り(鉄っぽさ)が際立ってくる。更にグラスを回すとコーヒー(マイルドなカフェオレ的)の香りや動物臭も出てくる。 酸が強く、タンニンも強くへばりつく。甘味もまた豊かだが、最初は酸の強さの陰に隠れていて、後から段々前に出てくる。飲み込んだ後も、土ぼこりと鉄っぽい余韻が長く続く。 すべての要素がドーンと力強く、全く洗練されてなく、粗暴で、牧歌的である。
  実に久々のジンファンデルで、当日記では初登場。購入価格は\1,000だが、とても複雑な香りで個性が際立っており、 なかなかの実力である。味わい的にはそれほど好きな部類ではないのだが、やはりカリフォルニアを満喫するならジンファンデルに限るということを改めて思わされる。 明らかに他のぶどうでは味わえないこの品種独自の魅力が実感できた。
<評定:A>

2001年1月14日  BLANC
RESERVA DE FAMILIA CHARDONNAY 1995 / SANTA CAROLINA
レセルヴァ・デ・ファミリア シャルドネ / サンタ・カロリーナ
チリ、MAIPO VALLEY

  かなり濃い黄金色で、ほとんど貴腐ワインの色に近い。香りはバター、桃、黄色いりんご等を中心に、アプリコットのような感じもある。 たっぷりとしながらも嫌味がない。また若干苦味も感じさせる。ローヌの力強い白に似ており、ねっとりとした飲み口を想像させる。 実際の味わいは意外にシャープで、アタックこそ丸いものの、甘味と共に酸も強いので、一本筋の通った味。 後もスッと引く。ただ、余韻はミルキーで、サワークリーム的。ヤクルトのような後口と言ってもいい。 真ん中にヨーグルトっぽいニュアンスを持ちつつ、端に柑橘系のキレを併せ持つ。 ブルゴーニュの物まねではないという意味において、まさしくチリらしいワインであり、パワフルでありながら乱暴ではない。 とても魅力的なワインである。
  今回の入手価格は\1,000円であり、おそらく過剰在庫の処分ではないかと思われる。本来の値段は2倍以上ではなかったか。 もしかして保管状態の悪かった劣化品ではないかという危惧もチラっとよぎったが、変質はしていなかったので安心した。 もし2千数百円するとすれば、評価はB-からC+程度であるが、最近は、チリの中上級品も安売りが増えたので、 おそらく他店で探しても\2,000以下であろう。それを基準に下記のようにA評価とした。もし\1,000が上代とするのならば、 AA評価となろう。
<評定:A>

2001年1月17日  BLANC
DAO BRANCO 1998 (D.O.C.) / QUINTA DOS ROQUES
ダン ブランコ / キンタ・ドス・ロケス
ポルトガル、DAO地区

  色は淡い麦わら色。香りはとてもさわやかで、ハーブやレモンのほか、削った杉材のような木の香りと、緑の葉(椿のような深い緑の木)の香りがある。 ロワールのソービニヨンにも似ているが、もっとシャープにした感じ(このワインのぶどう品種は、エンクルサードとのこと)。 口当たりはフレッシュで軽快だが、適度なふくらみもある。 嫌味のない酸で、尖った印象もなく、押しは強くない。甘味は極めて弱い。余韻は短かいが、さわやかなライムのような印象を残す。
  当日記では初登場のポルトガル。あまり期待していなかったが、予想以上にデリケートで洗練されていた。 ダンは、ポルトガルのDOC(=Denominacao de Origem Controlada / デノミナサン・デ・オリジェン・コントロラーダ)の中でも特に有名なものの1つであり、 ポピュラーすぎて、安っぽい印象もあったが、この白の繊細さは、実に和食に合わせやすいと思う。刺身、寿司、天ぷらなどから、おでん、麺類などまで何にでも良さそうである。
<評定:C>

2001年1月19日  ROUGE
WINE CAFE CABERNET / SUNTORY
ワイン・カフェ カベルネ / サントリー
日本

  カレーライスに合うワインはないとよく言われる。確かに、辛すぎるカレーは、他のどんな味もかき消してしまうので、 繊細な飲み物の魅力を堪能することは難しい。だが、ワインをいつもそのようなデリケートな酒として扱うのではなく、 真夏に飲むビールのように気軽なパートナーとして捉えたい。当日記では、そんな考えが根底にあって、日々安酒と付き合っている。 世界最大のワイン生産国であるイタリアの人々がそうであるように。ただ、せっかくお金を費やして飲むのだから、 明確な目的の下に臨みたい。
  そこで、今日はカレーライスを食べるために相応しいワインをと考えた結果、このチョイスとなった。 気軽にがぶ飲みでき、かつ個性もしっかりとあって、荒削りで良いからカレーのスパイシーさに負けないようなもの。 仮に負けてしまっても、辛さを和らげてくれる水代わりでよい、という条件である。
  色は一見して薄く、ピノのワインを更に水で割ったような色。グレナデンシロップのようでもある。 香りはまず生臭い血の香りがあり、グラスを回すとなめし皮的香りも立つ。 味わいは重みもなく、酸もほどほど。収斂性のあるタンニンだけが乱暴に主張するので、デリカシーはないが、今日の目的は十分達せられた。 余韻は続かず深みもないが、\500未満ということを考えれば、価格相応である。その意味でのC評価である。
  発売当初には確か全種類試したことがあったが、国産1,000円ワインでもこれ以下のクオリティのものは多々あるから、 これはこれで十分価値があるという感想は、今でも変わらない。しかしWINE CAFEというネーミングは改めて考えると妙である。 CAFEは、元来単にコーヒーという意味が転じて、コーヒー店を指すようになったものだが、日本ではお洒落な喫茶店というイメージで捉えられ、 カフェ・バーなどという業態も流行した。これは、そういう「雰囲気的」ネーミングの最たるものだろう。
<評定:C>
 ■翌日追記■ 開栓後(スクリューキャップなので、抜栓ではなく、開栓)1日経って味わいが飛躍的に変わった。 カシスのような黒っぽい香りが前面に出て、タンニンはまろやかになり、甘味も増した。2日目でもヘタらない力強いワインというものはあるが、 2日目のほうが実力を発揮するワインというのは珍しい。これを飲む時には、1日前に開栓しましょうということか。

2001年1月21日  BLANC
GOLD CANYON CHARDONNAY 1996 / KAUTZ IRONSTONE VINEYARDS
ゴールド・キャニオン シャルドネ / カウツ・アイアンストーン
アメリカ、CALIFORNIA州

  色はやや緑がかった淡いイエロー。まず、オレンジやトロピカルフルーツの甘酸っぱい香りがあり、グラスを回すとナッツの香ばしさが際立ってくる。 粘着性が非常に豊か。口に含むと、最初、酸のアタックが強く、甘味も豊か。オレンジ的な酸が生き生きと広がり、若干の苦味もある。 しっかりとした深みがあり、かつ、とてもなめらかである。柑橘の余韻がそこそこ続く。時間が経つと、更に炒りたてのピーナツのような香ばしさが強くなる。 この香りの特徴は実にブルゴーニュ的であり、口に広がるたっぷり感は南仏的である。
  定価\2,500を\1,000として大々的にセールをしていたもの。確かに\1,000レベルではないが、かといって\2,500まで出す気にもならない。 定価が\2,500としても、普通は\2,000強で入手できるであろうから、その程度の価格帯として評価すれば、下記の通りC+である。 もし\1,000円が上代とするならば、A+評価でも良い。確かにデイリーワインという域は、明らかに脱しているからだ。
<評定:C+>

2001年1月23日  ROUGE
CHATEAU JULIEN 1993 (CRU BOURGEOIS) / HAUT-MEDOC
シャトー・ジュリアン(ブルジョア級) / オー・メドック
BORDEAUX地方、HAUT-MEDOC地区、AC:HAUT-MEDOC

  色はややオレンジが入り始めており、落ち着きが感じられる。足は長い。馥郁とした甘苦系の香り。アルコール感に満ち、どっしりと落ち着きがある。 若干喉に刺すような生き生きとした酸があり、甘味もたっぷりとしている。タンニンは、最初力強くぶつかってくるが、 ほろっと崩れ、面白いように柔らかくなってゆく(ただ、唇の裏側にはかなり残る)。香りに筋が通っており、味わいも骨格がしっかりしているのに、 粗暴ではなく、丸みがあって、エレガント。決して高級ではないが、やはりボルドーはいいものだ、と久々実感させてもらった気がする。
  入手価格は\1,000だが、明らかにお買い得。このAOCで、この値段だと、きっと何かあるに違いないと考えてしまうが、 そのような懸念を鮮やかに裏切ってくれた。高いワイン、有名どころのワインが高品質でも当たり前としか思わないが、たまにこういうものに出会うと、とても嬉しい。 安ワイン者冥利に尽きる、というものだ。
<評定:A+>

2001年1月26日  ROUGE
CLOS DU BOIS PINOT NOIR 1996 / CLOS DU BOIS VINEYARDS
クロ・デュ・ボワ ピノ・ノワール
アメリカ、CALIFORNIA州、SONOMA

  色は薄赤く、ラズベリー的。香りも赤いベリー系で、セルロイド様の香りも感じる。 グラスを回すと、セルロイドあるいはビニールのような薬品的香りがさらに際立つ。予想に反して香りは引き締まっている。 だが、口に含んだ瞬間、やはりカリフォルニアのピノを実感させてくれるような甘さが目立つ。 フランボワーズのリキュールを薄めたようなニュアンス。酸は極めて弱く、タンニンもほとんど感じさせず、 とても優しいが、反面、底が浅い印象。
  売場では定価\3,800を\1,000!として売られていたが、これが本当に\3,800だったら、非常に損をした気分だろう。 しかし、丁寧に作られており、プレミアム・ワインという売り文句に間違いはない。 カリフォルニアのピノというだけで、確かに価値は認めざるを得ないという側面はある。そういうことを総合的に考えれば、 \3,800は無理にしても、\3,000弱くらいの売値ならば、まああり得る話だろう。それを前提に冷静に評価した結果が、下記D評価である。 仮に\1,000が上代(それはまずありえないが)であったとするなら、B+評価くらいになろうか。味わいの個人的好みで言っても、 決して不味いわけではないが、ピノはどうしても本家ブルゴーニュとそれ以外の生産地域との格差が絶望的に大きいということを 改めて認識させられてしまう。いったい幾ら出せば、カリフォルニアで納得するピノに出会えるのだろう。 \2,000程度で結構嬉しくなるようなピノに出会えるチリなどと比べて考えても、やはりこのぶどうの難しさというものがよくわかる。
<評定:D>

2001年1月28日  BLANC
MONTES ALPHA CHARDONNAY 1998 / MONTES S.A.
モンテス・アルファ シャルドネ
チリ、CURICO VALLEY

  色はかなり濃く、輝きのある黄金色。粘着性が極めて豊かで、足も長い。香りは、最初からバニラのような樽香が強く、 はちみつの濃厚な甘さや、りんごの甘酸っぱさがある。全体としてはくどくなく、清々しい印象。口当たりは、甘味がたっぷりとし、なめらかで、 酸も豊か。後味に苦味もある。飲み込んだ後も、はちみつ的な深い余韻が続く。実にパワフルで、充実感のあるワイン。 だが、すべての味の要素が力強く、若干押し付けがましくもあるので、好みは分かれよう。
  下級品のMONTES CHARDONNAYに比べると、コスト・パフォーマンスは劣るが、実力は確か。 また、MONTES ALPHA CABERNET SAUVIGNONで感じた品格や優美さにはやや欠ける。入手価格は\1,850で、十分満足度はあるが、 驚くほどのクオリティとまではゆかない。
<評定:B>

2001年1月30日  ROUGE
MICHEL RYNCH 1997 / BORDEAUX
ミッシェル・リンチ / ボルドー
BORDEAUX地方、AC:BORDEAUX

  色はやや青みがかっているが、輝きがある。足はそこそこ長い。香りは典型的なACボルドーといった感じで、落ち着きがあり、 深みはないが、端正。グラスを回さなければ、ほとんど立ち昇らないような、奥ゆかしい香りで、かすかに黒オリーブのような感じがある。 口当たりは極めて優しい。酸は弱く、タンニンも控えめ。特に甘味を感じないので、その分薄っぺらな印象がある。 ただ、全体的なまとめ方としては、とても上品で、凛とした気高さすら感じるので、そこが一番の魅力。ひっかかりがまったくない。 粗暴な個性よりも、おとなしいエレガントさを取ったという印象で、いかにも優秀な作り手の普及版ワインといった感じ。
  お馴染みのACボルドーで、当日記では初登場であるものの、実は数回経験済み(今回は、いただきもの。 だからと言って、特別に気を遣ったりしないで率直に書くのが、当日記流)。いつ飲んでも変わらぬ安心感があり、 じゃまをせず、おとなし過ぎもしない「偉大なる日常ワイン」である。
  ■翌日追記■ 抜栓して1日経っても、ほとんどと言って良いほど、風味が変わらない(もちろんヴァキュヴァンで空気は抜いているが)。 この安定感はすばらしい。 このあたりが、やはり普通のデイリーワインを超えている。もし私がレストラン経営者なら、本格的ボルドーワインとして、 1杯500円くらいでグラス売りしたい。
<評定:C+>


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