利酒日記〜安葡萄酒に彩られた日常〜

2001年6月


前月へ /  翌月へ /  産地別索引へ /  利酒日記のトップ(メニュー)ページへ /  HOME

2001年6月1日  BLANC
LA CONDAMINE L'EVEQUE 2000 VIOGNIER / VIN DE PAYS DES COTES DE THONGUE
ラ・コンダミーヌ・レヴェック ヴィオニエ / ヴァン・ド・ペイ・デ・コート・ド・トング
VINS DE PAYS

  衣替えの季節になり、ワインも爽やかなものが恋しくなってきた。というわけで、ごくごく飲めそうなものを。
  色は薄く、やや緑がかっている。マスカットのような甘美で、ころっとした雰囲気の香り。 この香りからは、味わいもフルーティで優しいものが想像される。だが、実際の口当たりは、意外にもシャープ。 確かに甘味はかなり強いが、それに酸味が充分拮抗しているので、甘ったるい印象はない。 後味には、グレープフルーツの皮のような苦味を伴う。酸と甘味の真ん中がやや弱いので、分裂気味の味わい。 飲み進むと、最初のシャープな印象から、だんだん甘味が鼻につくようになってきて、 やはり冗長なワインだったという感想に至ってしまう。その尻すぼみな感じがいただけない。
<評定:D>

2001年6月3日  BLANC
POUILLY FUISSE 1998 / ANTOINE CHATELET
プイィ・フュイッセ / アントワーヌ・シャトレ
BOURGOGNE地方、MACONNAIS地区、AC:POUILLY FUISSE

  淡い麦わら色。オレンジ的なやや尖った香りと共に、カスタードクリーム又はサワークリームのような印象がある。 口当たりはまず酸のアタックが強く、シャープだが、丸っこいふくらみがあり、じわじわ甘味が伸びる。 鼻から吐く息にほんのりバニラっぽいニュアンスがある。しかし、パワー不足で、余韻は長くない。 導入部は大柄な雰囲気だが、その後の押しが弱いので、こじんまりとまとまっている。
  このAOCの本当の実力はこんなものではないだろう。しかし、入手価格(\1,580)を考えると致し方ない。 もちろん、通常当日記に登場するワインでは高い部類に入るので、普通の1,000円ワインよりは明らかに実力は上である。 それから、当日記ではあまり私の嗜好を書かないようにしているのだが、これがおいしいか、おいしくないかと言えば、 「とてもおいしい」というのが正直なところ。でも冷静に「価格対品質」を評価すると上記のように表現せざるを得ない。
  今日は、スーパーで買った安物のブラックタイガー海老をシンプルに塩茹でしたものをつまみながら飲んだが、 繊細さがよくマッチしていた。
  なお蛇足だが、今、ビール(モルツ・スーパープレミアム)を飲みながら、これを書いている。 6月ともなると、やはりビールが一番おいしい。葡萄酒狂といえども、これが本音である。
<評定:A−>

2001年6月8日  BLANC
MACON-VILLAGES 1999 CHAMEROY / LOUIS LATOUR
マコン・ヴィラージュ シャムロワ / ルイ・ラトゥール
BOURGOGNE地方、MACONNAIS地区、AC:MACON-VILLAGES

  注いでいる時から、ねっとりした感じがあるが、これはおそらくしっかりした黄金色のためであろう。 香りは、白い花のような凛とした清々しさに、ヘーゼルナッツ的な香ばしさがアクセントになっている。 口に含むと、やはりねっとりしてオイリーだが、酸のキレがとてもよく、反面ふくよかさはあまりない。 フィニッシュにもナッツの香ばしさがあり、良い感じなのだが、余韻の長さはほどほど。 しかし、そこまで望むのは酷というものだろう。全体としては非常に優雅なバランスのよさで、 とても折り目正しいワイン。
  2本続けてMACONNAIS地区の白。AOC名からすれば、POUILLY FUISSEよりもこちらのほうが格下なのだが、実力はこちらが上。 決して名前に踊らされているわけではないのだが、やはり作り手を選ぶことは重要だというのを実感する。 入手価格\1,500だが、非常にお買い得。デイリー・ワインなどという範疇に入れてしまうのは失礼な気がする。 このように、安くて、すっきりしていて、適度にパワーがあって、冗長でなく気高さのある白ワインというのは、 これからの季節に実に相応しい。久々の安ワイン者冥利に尽きるワインとの出会い。
<評定:AA>

2001年6月10日  ROUGE
MACON-CRUZILLE 1999 "LE GORFOU" / CAVE DE LUGNY
マコン・クリュズィーユ ル・ゴルフゥ / カーヴ・ド・リュニィ
BOURGOGNE地方、MACONNAIS地区、AC:MACON-CRUZILLE

  やや青みがかったルビー色。香りは赤いベリー系のフレッシュな感じが中心だが、深いアルコール感もある。 味わいの第一印象は、鋭い酸のアタックが強烈で、それと共にほんのりと甘味も広がる。 タンニンは極めて弱い。ぴちぴちした酸が味の中心で、まとめ方はボジョレに近い。この華やかな若さを楽しむべきワインだろう。
  年の頃なら18歳。フレッシュだが青臭くはなく、華やかな個性を発揮しつつある。奥行きもそれなりにあって、行く末の片鱗も垣間見える。
  なんと3本続けてのマコネー地区。白も赤も陽気なキャラクターの中に、繊細さを秘めており、値段も手ごろなものが多いので、重宝している。 今日のワインの入手価格は、ジャスト1,000円。
  2000年のワインコンクール"CONCOURS DES GRANDS VINS DE FRANCE"において金賞"MEDAILLE D'OR"を受賞したとの表示がある。
  ちなみに、この作り手の白(MACON-CHARDONNAY)も、先日(5月26日)試している
<評定:B>

2001年6月14日  ROUGE
CASILLERO DEL DIABLO CABERNET SAUVIGNON 2000 / CONCHA Y TORO S.A.
カッシェロ・デル・ディアブロ カベルネ・ソーヴィニヨン / コンチャ・イ・トロ
チリ、MAIPO VALLEY

  とにかく色が濃い。若いせいか、青っぽい色調だが、グラスが染まってしまいそうなほどの色で、 「紫黒い」とでも表現した方がよい。アルコール度数が極めて高い(13.5%)ので、足も非常に長い。 香りは、カベルネらしい黒っぽいカシス的な香りと、少し青めのイチゴでジャムを作ってしまったような若さがある。 味わいは特に甘味が優勢で、酸は控えめ。タンニンが極めて力強く、口中全体に引っ掛かってくる感じ。 この点は、きっと熟成すれば丸くなるのだろう。まだ若い現在の状態では、「甘苦渋い」味わい。 飲み込んだ後に、スペアミントのような余韻が残る。まるで、歯磨き粉を歯ブラシに付け、今から歯を磨こうとする時のような匂い。 味のすべての要素が強く、陽気な味わいは、如何にもチリカベの典型。
  実はこのワイン、当日記では初登場であるものの、 以前に何度も飲んでいる。いつも変わらぬ安心感のある定番チリカベといえよう。あまりにもメジャーすぎて、思わず点を辛く付けてしまいそうだが、 冷静に評価すれば、やはり実力は確かである。
<評定:A>

2001年6月16日  BLANC
CASILLERO DEL DIABLO CHARDONNAY 2000 / CONCHA Y TORO S.A.
カッシェロ・デル・ディアブロ シャルドネ / コンチャ・イ・トロ
チリ、ACONCAGUA VALLEY

  今度は同じシリーズの白。
  色は濃いめの麦わら色。香りは華やかで、トロピカルフルーツのような甘さと、梨のような感じもあって、 オイリーで極めてパワフル。口当たりは、やはり甘味が充実しており、酸はほどほど。ふくらみがあって、バターっぽいオイリーな余韻が適度に。 陽気でいかにもチリらしいワインだが、複雑さには欠け、やや凡庸なイメージ。
  このCASILLERO DEL DIABLOシリーズの中では、あまり脚光を浴びないシャルドネだが、確かに特筆すべき点はないものの安定感はあり、 充分なコストパフォーマンスであると思う。ただ、繊細さを欠くので、パワフルな白が苦手な人には、あまり好まれないかもしれない。 実はもう何度かは飲んでいるが、私の嗜好的には好きな味である。
<評定:C+>

2001年6月19日  SPARKLING
CASTELLBLANCH BRUT ZERO
カステルブランチ ブリュット・ゼロ
スペイン、CAVA

  これからの季節にふさわしい、さわやかで気軽に飲めるスパークリング。
  泡は大きめだが、持続時間は長い。竹や木の皮のような渋めの香りと、まるでロワールのソービニヨンのような グリーンな雰囲気もある。口当たりは極めて辛口。複雑さはないが、飲み込んだ後じんわりと味わいがある。 余韻は短いものの端正な印象。ミネラルっぽさが若干あるが、パワー不足は否めない。 後味に、水飴のようなほんのりとした甘さをかすかに感じるが、決して甘いわけではない。
  "デイリーな"価格帯のカヴァとしては、これほど味わいのあるものは珍しいかもしれない(入手価格\1,000)。 シャンパーニュと同じ瓶内二次発酵を行っているということが確かに実感される。とてもコスト・パフォーマンスの高いワイン。
  今日はシーフードカレーとの組み合わせで、実に夏らしい食事であった。ビール代わりあるいは水代わりに気軽に楽しむのには もってこいの1本だ。
<評定:A>

2001年6月21日  BLANC
VILLARD CHARDONNAY 1996 / VILLARD VINEYARDS
ヴィラ−ル シャルドネ
チリ、CASABLANCA VALLEY

  色は黄色みが強く、言うなればパイン水といった感じの色。俗に言う火打石の(フリンティな)香りが強い。 アーモンドや栗などの香ばしく、かつ、渋味を伴う落ち着いた香りと、メロンやパインなどの甘い香りもある。 味わいは、甘味が豊かで、かつ、酸も極めて強い。オイリーでねっとりした印象だが、冗長ではなく、鋭くすらある酸が全体を引き締める。 余韻もそこそこ続く。
  香りの第一印象がとても素晴らしく、ブルゴーニュのシャルドネに似ているが、口に含んだ時の豊かなふくらみは、明らかにフランスのものではない。 南仏のパワーとも少し違う。もしブラインドでテイスティングしたら、おそらくチリとは思わないだろう。強いて言えば、カリフォルニアに近い感じである。 この味わいは、好みがはっきりと分かれそうだが、ここまで個性の際立つチリのシャルドネは珍しいと言えるので、その点は高く評価してよい。
<評定:A−>

2001年6月23日  SPARKLING
SARDA CAVA BRUT NATURAL GRAN RESERVA
サルダ カヴァ ブリュット・ナチュラル グラン・リゼルヴァ
スペイン、CAVA

  色は薄く、言うなれば甘口の日本酒のよう。泡は大きく、かつ、持続する。 香りはあまり立たない。ボルドーの安物ソービニヨンにたまにあるような湿っぽい地下室のような香り。 土とカビの混ざったような風味とでも言おうか。味わいはふくらみがなく、すっきりさらっとしている。 ただ、後味に若干黒糖のような雰囲気があるのが気になる。もしかして変質しているのでは、と思わせる。
  先日(19日)に続いてカヴァは今月2本目。CASTELLBLANCHが素晴らしかっただけに、こちらは非常に見劣りする。 同じ安物CAVAで、こうも違うのかという良い見本である。味わわずに、ひたすらごくごくと渇きをいやすためだけに飲んでしまいたいという感じ。
<評定:D>

2001年6月25日  ROUGE
CASILLERO DEL DIABLO MERLOT 1997 / CONCHA Y TORO S.A.
カッシェロ・デル・ディアブロ メルロー / コンチャ・イ・トロ
チリ、RAPEL VALLEY

  深く濃いガーネット。縁までほぼ均一な色である。アルコール度数が13度であるため、足はきわめて長い。 香りは実にどっしりとメルローらしく、私が普段良く使う表現であるところの"しょうゆ"的であり、"黒豆"的である。 甘味が豊かなのは当然として、酸もかなりあって、全体の引き締め役となっている。パワフルだが冗長ではない。 後味に若干の鉄っぽさと、漢方薬的(薬草的)な香りもある。
  カベルネシャルドネに続き、このシリーズは今月3本目。 いつもながら非常に安定感のあるワインである。蒸し暑くなってきたこの季節には、相応しいとは言えないが、 これだけ存在感を主張してくれれば、料理と合わせず、単体で飲んでも充分満足だ。
<評定:A>

2001年6月29日  BLANC
VILLARD SAUVIGNON BLANC 1997 / VILLARD VINEYARDS
ヴィラ−ル ソービニヨン・ブラン
チリ、CASABLANCA VALLEY

  色は、まるで貴腐ワインのようだと言っても良いくらいにしっかりした黄金色。 メロン、マスカット、黄桃、ライチ等の香りを感じ、インパクトが強く、とてもボリューム感がある。 ソービニヨンというよりは、ゲヴュルツに近い。酸のアタックが強く、甘味があってふくらみも感じるものの 強烈な酸に完全に抑え込まれている。余韻は長くなく、キレがよく、後味はナイフのようにスパッとしている。 香りの印象に比べ、味わいは至ってシャープである。そこがゲヴュルツと決定的に違う。
  ノーブルで魅惑的な香りの第一印象が極めて強く、この個性は高く評価したい。 それだけに、後が続かないことが残念である。先日のシャルドネの個性にも驚いたが、この作り手は、 チリの陽気な気候をそのまま表現しつつ独自の個性を発揮させることに成功している。特異なチリワインと言えよう。
  本人は決して意図的ではないのだが、押さえても自然にフェロモンを発散してしまうような、華やかなお色気の漂う24歳といったところか。 この魅力は、なかなか深い。
<評定:A+>


このページのトップへ /  翌月へ /  産地別索引へ /  利酒日記のトップ(メニュー)ページへ /  HOME