利酒日記

2002年3月


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2002年3月1日  BLANC
GRECHETTO (I.G.T.) 2000 UMBRIA / FALESCO
グレケット ウンブリア / ファレスコ
イタリア、UMBRIA州

 最近、このページを含めHPの更新が困難な状況にある。いや、特別な理由があるわけではない。ただ時間がないのだ。 深夜まで仕事をしている合間を縫って、夕食時に1,2杯飲んだwineにつき思い出しながら書いている。
 私は、wine関係者でも飲食業でもないが、喩えて言えば、「ランチタイムだけお客でごった返す喫茶店」。 死に物狂いで働いた12時台を過ぎ、一日を終えてみると、「この程度の売上では赤字じゃないか」という感じ。 「こんな時代に忙しいなんて、いいですね」とか、「儲かって仕方ないでしょう」などと言われることがあるが、 とんでもない。それは全くの誤解である。こんなに忙しいのは年度末の今だけ。こんな状況にもかかわらず今日も更新するのは、 ひとえにWEBマスターとしての義務感だけだと言えよう。
 さて、そんな弥生3月の1本目は、イタリアIGTの白。
 色は、もしや変質しているのか?と思わせる、少しオレンジ系の入った色。香りは、草むらの中のような、グリーンな感じと、 なぜかクリームビスケットのようなニュアンス。口当たりはシャープだが、甘味も感じる。安物ACボルドーのような、 湿った系のソービニヨンみたいだ。
 しかし、夕食時に1つ発見したこと。それは、なんとタコの塩辛にバッチリ合うのだ。塩辛に合うワインなんて、今までに経験したことないし、 まずないだろうと思っていたので、驚きの発見であった。きれいに生臭みを消してくれる。とてもユニークなワイン。
 今(深夜2時)もういちど飲みながらこれを書いていたら、なんと愛機VAIOのキーボードの上に少し垂らしてしまった!
 が、キーボード・カバーを掛けているため、事なきを得た。ああ、よかった。
<評定:C+>

2002年3月4日  ROUGE
LE HAUT-MEDOC DE GISCOURS 1997 / HAUT-MEDOC
ル・オー・メドック・ド・ジスクール / オー・メドック
BORDEAUX地方、HAUT-MEDOC地区、AC:HAUT-MEDOC

Le Haut-Medoc de Giscours  ちょうど良いぐあいに褐色がかり、深紅といった感じの色。土っぽさの中に、ほのかなヴァニラ香。芳醇なアルコール感。 酸は丸く、落ち着いた味わい。とても素性の良さそうな、なめらかさ。ただ、重みや広がりはあまりなく、 さらっとしたほの甘い後味が特徴である。
 メドック3級シャトー・ジスクールのサードラベルらしい。当サイトでも以前に登場している本家ジスクールは、 格付けに比べそれほど評価が高くはないようだが、 こちらは今回の入手価格\1,000にしては大変なお買い得だったと言えよう。ちなみにジスクールのセカンドは、 LA SIRENE DE GISCOURSという名前だ。
(シャトー・ジスクール:http://www.chateau-giscours.fr/
<評定:A>

2002年3月5日  BLANC
POUILLY-FUISSE 1999 / PASCAL SITA
プイィ・フュイッセ / パスカル・シータ
BOURGOGNE地方、MACONNAIS地区、AC:POUILLY-FUISSE

 パスカル・シータという、どこかスペインっぽい名前のネゴシアンのワイン。
 色はイエローというよりもシャンパンゴールドに近く、輝きがある。足が長く、粘着性が高いように見える。 乾いた木のような香りとセルロイドのような化学物質的香り。その中にパインのようなトロピカルさも。 グラスを回すとナッツのような香ばしさが出てくる。口当たりは甘味がたっぷりとし、酸も強く、苦味も伴う。 口中になめらかに広がり、余韻もそこそこ続く。
 入手価格\1,500。このAOCにしては安めの部類なので、喜んで買ったものの、反面、所詮値段なりなんだろうなと思っていた。 が、予想以上に複雑な味わい。これは得をした。
 今日のメインディッシュは、近所のスーパーで安かったという鯛の塩焼きだったが、このワインのボディの厚みが災いして、 魚の生臭さが強調されてしまった。むしろ、山菜炊き込みご飯のほうによく合っていた。
<評定:A>

2002年3月9日  ROUGE
GEVREY-CHAMBERTIN 1999 / PASCAL SITA
ジュヴレイ・シャンベルタン / パスカル・シータ
BOURGOGNE地方、COTE DE NUITS地区、AC:GEVREY-CHAMBERTIN

 同じネゴシアンの今度はジュヴレイ・シャンベルタン。
 私は普段、ボトル裏のラベルなどに書かれている味わいに関するコメントは、まったく信用していないのだけれど、 ちなみにこのワインには、次のような説明書きがある。
「フルボディ。上品でやさしい味わいを持ち、華やかな香りと力強いボディに風格を感じる仕上がりです。 シチューや、重い肉料理等に良く合います。」
 で、実際はどうか。
 色はブルゴーニュらしいきれいなルビー色で、期待感は上々。香りは、ゴムっぽさの中に、 イチゴのようなふんわりした甘い香りがあり、軽やかな印象。 口に含むと、予想以上に軽く、インパクトは弱い。ほんのりとした甘味が広がり、タンニンは弱め。 パンチ力に欠け、広がりもない。酸も弱いので、コート・ドールの醍醐味にはほど遠い。 村名クラスとはとても思えず、これならばもっと優秀な作り手のACブルゴーニュのほうが、よほど厚みがあるだろう。
 やはりラベルの解説は信じられない。白のPOUILLY-FUISSEが良かったので、同じ入手価格(\1,500)のこちらも期待したが、 残念な結果に終わった。とはいえ、支出額に対して、何ら不満はないのだけれど。
 重い肉料理どころか、今日は焼鳥(しかも塩焼き)に合わせのだが、ちょうどよく合っていた。輸入業者は、 少なくとも、ちゃんと味をみて誠実にコメントを書いて欲しい。いや、もしかすると、どうせ消費者は味なんてわからないと思って、 適当に、聞こえの良い言葉を並べているのであろうか。
 この程度の値段で、このクラスのAOCに過分の期待をしてはいけないのだけれど。 
<評定:C>

2002年3月11日  BLANC
KAAPZICHT CHENIN BLANC 2000 / STELLENBOSCH
カープツィヒト シュナン・ブラン / ステレンボッシュ
南アフリカ、STELLENBOSCH

 このワインの裏ラベルにあるコメントは、次のようなものである。
 「爽やかなハーブや干し草、微かな木の香りがあり、バターのような余韻が残る。 やや辛口でバランスもよい。」
 実際はどうかというと、まず色は明るいレモンイエローで豊かな味わいを想像させる。 香りはレモン的柑橘香とハーブ香が融合。コメントにある干し草は感じられない。木の香りというより、 木の皮のような感じは確かにある。甘味がたっぷりとし、酸もある程度強いので、新鮮なパイナップルのような味わい。 後味には確かにオイリーな感じがある。
 今回は、ほとんどラベルのコメント通りだったと言ってよい。輸入者の誠実さが伺える。 \850という価格は、絶妙な値付けであり、もし\1,000だと少し物足りないだろう。ちなみに輸入者(及び販売店)は、 (株)成城石井である。

<評定:C>

2002年3月15日  ROUGE
CHATEAU LES ROCHERS MIRANDE 1997 / MONTAGNE-SAINT-EMILION
シャトー・レ・ロシェール・ミランド / モンターニュ・サン・テミリオン
BORDEAUX地方、ST-EMILION SATELLITE地区、AC:MONTAGNE-ST-EMILION

 深いルビー色。メルローらしい、黒っぽく引き締まった香り。鉛筆の芯のようなカーボン的香りも。 口当たりは極めてソフトで、刺激が弱い。口中にふわっと広がるが、甘いわけではなく、重みもない。 ただただしとやかで、可憐な花のよう。独自の風格を持った高級感。 もう少ししっかりとした重みが欲しい気もするが、 この軽やかさが持ち味だろう。入手価格\990で、いささかも不満はないが。
<評定:C+>

2002年3月16日  BLANC
CASABLANCA CHARDONNAY 1998 / VINA CASABLANCA
カサブランカ シャルドネ / ヴィーニャ・カサブランカ
チリ、CASABLANCA VALLEY

 カサブランカという名の作り手によりカサブランカ・ヴァレーで作られたカサブランカという商品名のシャルドネ。 喩えて言うなら、信州果汁製造という名の作り手が長野県内で作った信州という商品名のアップルジュースのようなものだ。 つまり、本場の名門ですよ、と誇り高く主張しているような感じ。さて、その実力は。
 色はかなり濃いイエローで、味わいの重さを想像させるが、一方で、度数の高さにもかかわらず足はそれほど長くなく、 わずかに細かな気泡が確認できる。香りは、尖りのないオレンジ的柑橘香とパイナップルや、カリン、アプリコットのような香りもある。 グラスを回すとナッツのようなオイリーさと火薬のようなインパクトが強くなり、圧倒される。口に含むと、甘味はもちろんのこと、 酸も苦味もすべてボリュームがあり、有無を言わさぬ充実度。とてもグラマラス。 食事と共に楽しむというより、wineだけで充分な満足感が得られる。 試してはいないが、トーストにアプリコットジャムか、オレンジマーマレードを塗ったものとよく合いそうな感じがする。
 入手価格\1,000。この個性は特筆に価する。その意味で下記評価とした。私としては大歓迎であるが、おそらく嫌いな人は大嫌いであろう。
 陽気で、健康的で、肉感的な藤原紀香のようなwineだが、単純でわかりやすいので、謎めいたところはまったくない。そこが欠点だろうか。
<評定:A+>

2002年3月18日  ROUGE
CHATEAU BLAYAC 1995 / MEDOC
シャトー・ブライヤック / メドック
BORDEAUX地方、MEDOC地区、AC:MEDOC

 エッジがややオレンジがかっているかな、という程度で、ヴィンテージのわりに若そうな色。 香りはメルロー優勢のようで、甘苦い薬草や黒豆のような感じとともにブランデー的なアルコール感に満ちた芳醇さがある。 口当たりはかなり尖った印象で、甘味はほとんどなく、広がりもなく、後には鋭い酸だけが残る。
 肉を食しながら飲んだら、さらっとした感じだったのだが、あとでwineだけ飲んでみたら、薄っぺらくて、ただ尖っている印象だ。
 入手価格\1,000。香りはなかなか品格があるのに、その後の落差が激しく、トータルでは凡庸と言わざるを得ない。
 ドラマの中では理知的な役がピタッとはまっていたのに、普段のしゃべりを聞いたら、なんだコイツは!って感じの新人タレントのようなwine。
<評定:D>

2002年3月21日  BLANC
BOURGOGNE BLANC 1999 / SCV LUGNY L'AURORE
ブルゴーニュ・ブラン / SCV リュニィ・ロロール
BOURGOGNE地方、AC:BOURGOGNE

 濃いめの日本酒程度の色。ゴムホースと薬品が入り混じったような、いうなれば理科室的香り。 柑橘香や若干のミルキーさもあるが、弱い。ピスタチオのような脂っぽさも少々。 このように書くと、悪い印象を与えるかもしれないが、ブルゴーニュらしい複雑さではある。 味わいは、酸のインパクトが強く、引き締まっており、夏みかんのように酸味の中に苦味を伴う後味。 それ以上重みも広がりもないので、飲んでいて楽しい味わいではない。 香りの印象からは、もう少し複雑な味を想像しただけに、非常に残念。
 入手価格\1,500。これが\1,000ならばことさら文句もないが、\1,500でこの凡庸さはちょっと。 チリの1,000円シャルドネのほうが、もっと楽しませてくれそうだ。 そもそもこの程度の値段のブルゴーニュに期待する方が間違っていると言われれば、まったくそのとおりであるが、 そんなことは承知の上で、あえて掘り出し物を探してゆこうじゃないかというのが、このサイトの使命だと思っている。
<評定:D>

2002年3月23日  BLANC
SAINT-VERAN 2000 / DOMAINE CORSIN
サン・ヴェラン / コルサン
BOURGOGNE地方、MACONNAIS地区、AC:SAINT-VERAN

 色はパイン水のような濃いめのイエロー。香りはぶ厚く、バターっぽさの中に、色とりどりの花束のようなむせかえるほどの華やかさ。 搾りたてのりんご果汁のような鈍い酸とムスクみたいな動物的香りもある。フルーティというよりは、フラワリーという感じ。
 味わいも香りの印象そのまま。 ヴィンテージが極めて若いのに、オイリーで重い。酸も決して弱くはないのだが、全体の厚みが酸を押し隠してしまう。 口に含んでいる間、まるでウイスキーのような芳醇なアルコール感が広がる。
 入手価格\1,790。十分値段に見合っている。このクオリティでもし1,000円だったら大絶賛だが、 この値段では、大騒ぎするほどでもない。
 南部ブルゴーニュは、このワインのように、ぶ厚さが良い形で出る場合と、 単にボケた感じになってしまう場合とがあるので、なかなか博打的なところがある。
 今日は、スーパーで買ってきた"ちょっとリッチな"刺身盛(鯛、平目、ハマチ、マグロ、シマアジ、ウニ、イクラ)と共にじっくりと味わった。 こういう内メシってのは、いわばプチ至福、かも。
<評定:B>

2002年3月25日  ROUGE
CASILLERO DEL DIABLO CABERNET SAUVIGNON 2000 / CONCHA Y TORO
カッシェロ・デル・ディアブロ カベルネ・ソーヴィニヨン / コンチャ・イ・トロ
チリ、MAIPO VALLEY

 超定番のチリカベ。実は同ヴィンテージのものを2度目である。
 色はこれ以上はないというくらい濃く、グラスの底がほとんど見えない。縁まで均一な深紅。 インクのような香りの中に、タケノコを煮た時のアクのような匂いも。 甘味もタンニンも力強いが、それほど引っ掛かる感じもなく、柔らかく甘い余韻が残る。 口の中で転がしていると、なぜかパパイヤのような味がしてくる(青臭さを伴う甘味)。
 前回の記録とは若干ニュアンスが異なるが、1年で少し丸くなったということだろうか。 少しおとなしくなった分だけ、没個性化したと言えなくもない。もしかしたら、今一番つまらない時期なのかもしれない。 あと何年か熟成した方が、違う魅力が出てくるような・・・。
 いくつになってもツッパリ系の三原じゅん子みたいなワイン。だけど、そのうちお笑い芸人なんかと一緒になって、 毒気の抜けたやさしい奥さんになっちゃったりして。
<評定:B>

2002年3月26日  BLANC DOUX
CHATEAU COTE-BELLE 2000 / PREMIERES COTES DE BORDEAUX
シャトー・コート・ベル / プルミエール・コート・ド・ボルドー
BORDEAUX地方、AC:PREMIERES COTES DE BORDEAUX

 今日の主菜は「鶏肉の梅酒煮」などという奇妙な料理で、甘酸っぱい味だったので、それならばとぶつけてみたのがこのワイン。
 色は南仏のシャルドネなんかよりはよほど薄くレモン水のよう。香りはおとなしく、貴腐によくあるセメダイン的ではなく、 瞬間接着剤のような感じで刺激が弱い。グラスを回すと、かすかにオレンジ的柑橘香。口に含んだ瞬間のインパクトも強くなく、 やわらかな酸と、すっきりした甘みのバランスがよい。深みとか飲み応えはない。あくまでも軽やかで甘酸っぱい。
 料理には、まあ合わないことはないが、漬物やご飯や味噌汁には少々つらかった(最初から覚悟の上ではあるが)。 多分、焼ガニとか、海老のコキールとかにはバッチリ合いそうな感じだ。
 概ねこのAOCの特徴は出ていると思われるので、下記評定とした。が、ソーテルヌのように圧倒的なコクがあるわけでもなく、 辛口のように料理に合わせやすいわけでもなく、なんとも中途半端な存在で、個人的にはあまり嬉しくないタイプの甘口だ。
<評定:C>

2002年3月31日  BLANC
CHATEAU MEAZAIN 2000 / BORDEAUX
シャトー・メザン / ボルドー
BORDEAUX地方、AC:BORDEAUX

 色は濃くなく、いかにもACボルドーらしい。香りは実に豊かで、マスカットのようなふくよかな甘さと、若干トロピカルフルーツのような感じも。 味わいも香りの印象そのままに、熟れた果実の豊かさがある。酸も弱くはないので、決して冗長ではない。
 入手価格\1,000。"MEDAILLE D'OR, CONCOURS GENERAL AGRICOLE PARIS 2001"の表示あり。良く経験することであるが、 コンクール受賞品には、このように華やかで目立つ味わいのものが多い。
 チャラチャラ、キャピキャピした(死語か?)女子大生のようなワイン。関東ならフェリス。関西なら神戸女学院か。
<評定:B>



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