利酒日記 kikizakenikki

2003年3月


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2003年3月1日  BLANC 
MARSANNAY BLANC 2000 VIEILLES VIGNES / DOMAINE OLIVIER GUYOT
マルサネ・ブラン ヴィエイユ・ヴィーニュ / ドメーヌ・オリヴィエ・グィヨ
BOURGOGNE地方、COTE DE NUITS地区、MARSANNAY村、AC:MARSANNAY

Marssanay Domaine Guyot  当日記初登場のAOCである。
 色はしっかりめの麦わら色。香りはバターのような雰囲気があり、かなりオイリー。 味わいは、決して弱くはない酸と、ヨーグルト的ふくよかさが共存。しかし、重みはなく、後味は実にすっきりしている。 刺激が弱く、マイルドな味わい。
 このAOC、ニュイ地区の最北に位置するので、もっともっと鋭いものを想像していたが、意外にもふくよかであった。 とても飲みやすく、ぐいぐいイケる。
 入手価格は\2,000。概ね値段に見合っている。
 ご覧の通り、変わったエチケットである。写真はGuyotさんと、彼の飼っている馬なのであろうか。
<評定:C>


2003年3月3日  ROUGE
COTE-ROTIE BRUNE ET BRONDE DE GUIGAL 1999 / E. GUIGAL
コート・ロティ ブリュンヌ・エ・ブロンド・ド・ギガル / ギガル
COTES DU RHONE地方(北部)、COTE ROTIE地区、AC:COTE ROTIE

Guigal Cote-Rotie  ギガル6本1万円セットの最後の1本。なかなか開ける機会がなかったが、ごく普通の日の今日、思い切って開けてみた。
 赤みの強い、極めて深い色。ワイルドチェリーあるいは黒ベリー系の香りを中心としつつも、鉄っぽさや、なめし革の感じもある。 コニャックのように芳醇で、さらにグラスを回すと火薬のようなインパクトが出てくる。
 口に含んだ第一印象は、意外にもきりっと引き締まっており、生き生きした酸と、ほのかな甘みがうまく調和。 血のような生臭さもあるので、これはジビエと相性が良さそうだなあと思う。残念ながら、今日はサーロインステーキに合わせたので、 最高のマリアージュとはいかないが、それなりにマッチしていた。
 ほんのり甘いが甘ったるくなく、深みがあるのにほろっと静かに消えゆく後味。ひっかかりが全然ない。 素直に、おいしいなあ、と感激しながら飲んだ。
 セット内の単体価格は\2,880。単品で売っている値段を見ると、3,500円以上が多いので、かなりお得だったと言えよう。 しかし、このワイン、昔はもっと高かったような。
 冷静にコストパフォーマンスを評価すれば、まあ値段なりではあるんだけど。
<評定:C>


2003年3月4日  BLANC
PIEMONTE CHARDONNAY (D.O.C.) 2001 / LA CASTAGNOLA
ピエモンテ シャルドネ / ラ・カスタニョーラ
イタリア、PIEMONTE州

 やや黄色みが強い麦わら色。オリーブのような湿った芝生のようなグリーンな香り。ビニール的でもある。 口当たりはさすがに酸が強いものの、ふくらみもあって、想像よりは力強い。青臭さが持続し、飲み込んだ後にも、 酸っぱさと緑の葉のような味が残る。
 入手価格\1,000。あまりシャルドネらしくないが、個性はちゃんとあるので、まあ良しとしよう。
<評定:C−>

2003年3月8日  BLANC
PERNAND-VERGELESSES 1998 "LA MORAND" / DOMAINE BELIN-RAPET
ペルナン・ヴェルジュレス "ラ・モラン" / ベラン・ラペ
BOURGOGNE地方、COTE DE BEAUNE地区、PERNAND-VERGELESSES村、AC:PERNAND-VERGELESSES

 ややグリーンがかった淡い色。レモンやグレープフルーツのような鋭い柑橘香と引き締まった樽香 がうまくバランスを取る。グラスを回すと、イオウのような感じも出てくる。
 口に含んだ瞬間の酸のアタックはそれほど強くないが、後から効いてくる。それとともにヨーグルト的乳酸が広がり、 厚みを作る。キレが良く、余韻はあまり長くないが、それがかえって上品で高貴な印象を与える。
 入手価格\2,000。このクラスのブルゴーニュは難しいが、これは値段以上のクオリティだ。 これだけ複雑な香りと味わいを楽しませてくれれば、不足はない。
<評定:B>

2003年3月9日  ROUGE
DOMAINE CASABIANCA 1999 COTEAUX DE SANTA MARIA-BRAVONE / CORSE
ドメーヌ・カサビアンカ コトー・ド・サンタ・マリア・ブラヴォーヌ / コルス
CORSE地方、AC:VIN DE CORSE

 地中海に浮かぶコルシカ島のワインである。2001年のコンクール(concours general agricole)金賞(medaille d'or)受賞。
 色はやや青みがかっているが濃い。足はそれほど長くなく、もっと粘着性のあるものを想像していたが、 アルコール度数が12度とあり、納得。
 香りはローヌにも似て、甘酸っぱさ満開で、背後に万年筆のインクのような匂いもある。 口当たりは想像通り甘酸っぱく、果実味豊か。しかし重みはそれほどなく、強い酸が後味を引き締める。 やや粉っぽさがあり、タンニンが少し引っかかる。
 入手価格\1,000。当日記の標準とすべき価格だが、日常酒として申し分なく、 こういうレベルのものを毎日おいしく飲んで、おいしく食べる生活が、体にも懐にもやさしいのではと思う。 ・・・なんて、平凡な日本人の人生観みたいな、毒にも薬にもならぬコメントは、私らしくないね。
<評定:C+>

2003年3月12日  BLANC
CHATEAU LA ROSE SAINT-GERMAIN 2001 / BORDEAUX
シャトー・ラ・ローズ・サン・ジェルマン / ボルドー
BORDEAUX地方、AC:BORDEAUX

Ch. la rose st-germain  色は美しく輝きのあるシャンパン・ゴールド。まさにシャンパーニュから泡立ちを取った感じ。 フレッシュなマスカット香の中に蜂蜜が溶け込んだような甘美さがあり、ソーヴィニヨンの魅力が良く出ている。 アタックは柔らかいが、酸がじわっと広がり、適度な苦味も追随する。糖度の高いグレープフルーツをかじって、 果汁が口いっぱいに広がった感じを連想する。ムスクの余韻も長い。
 入手価格\1,000。期待していなかっただけに、このクオリティの高さは、正直驚いた。
 2002年のコンクール(concours general agricole)金賞(medaille d'or)受賞。こんなに柔らかく、 フルーティな魅力たっぷりの安ボルドー白は久しぶりだ。
 GRAND VIN DE BORDEAUXの文字の入った、なんちゃってグラン・ヴァン。
<評定:A>


2003年3月13日  ROUGE
COTES DU VENTOUX 2001 JAS DES CAPITELLES / TERRA VITIS
コート・デュ・ヴァントゥー ジャス・デ・カピテル / テラ・ヴィティス
COTES DU RHONE地方、COTES DU VENTOUX地区、AC:COTES DU VENTOUX

 色は結構深く、青みが強い。甘酸っぱさの中に、ピーマンのような青さのある香り。 漢方薬のような感じもある。口当たりは丸く、酸はそこそこ。ふんわりと甘みが広がる。 タンニンはしっかりめ。
 良く言えば陽気な味わい。悪く言えばぼけた印象。インパクトはなかなか良いのに、 その後がヌボーっとした感じ。アルコール度数が14%あるので、そのためだろうか。
 このAOCは、ローヌにありながら比較的さらっとしたものや、引き締まったものも多く見られるのだが、 このワインは大柄で、その意味では実にローヌらしいというか、もっと南のラングドックみたいな感じだ。
 入手価格は\1,000。もう少し緊張感というか、気品のようなものが欲しい。
<評定:C−>


2003年3月15日  BLANC
BOURGOGNE ALIGOTE 1994 / ALAIN CONSTANT
ブルゴーニュ・アリゴテ / アラン・コンスタン
BOURGOGNE地方、AC:BOURGOGNE ALIGOTE

Bourgogne Aligote 94 A.Constant  色はかなりしっかりしており、レモンイエローといった感じ。香りは、 レモン的な柑橘香を中心としつつも、ややミルキーな感じもあり、うまく熟成していることがわかる。 味わいは驚くほどまろやか。もちろん、アリゴテらしい酸もあるが、角が取れ、厚みが出ている。 甘みこそないものの、カスタードのような後味で、余韻もなかなかのもの。
 入手価格は\1,000。94年ヴィンテージでこの価格ということで、見つけた瞬間に反射的に購入。 確かに底力のあるタイプではないが、この品種にありがちな酸の鋭さはなりをひそめ、いい感じに丸くなっている。 アリゴテとはいえ、1,000円ブルゴーニュでここまで納得のゆくワインはめずらしい。もちろん正規の値段はもっと高いのだろうが、 ネゴシアンものであるし、せいぜい1,500円か、高くとも2,000円以内だろう。それを前提に下記評定。
<評定:A+>


2003年3月16日  ROUGE
MONASTERIO DE SANTA ANA SYRAH 2001 / JUMILLA(D.O.) / CASA DE LA ERMITA
モナステリオ・デ・サンタ・アナ シラー / フミーリャ / カサ・デ・ラ・エルミータ
スペイン、LEVANTE地方

12本セット  大阪梅田の阪神百貨店で、世界のおすすめワイン12本セット10,000円というのを入手。 先着順限定300セットということで、チラシをもらった次の日にすぐ申し込みに行った。1本あたり833円という庶民派価格がうれしいが、 送料もたった200円という、デパートならではの安さ。ふつうのネット通販では、こうは行かない。
 さて、12本セットの1本目に登場は、スペインのシラー。
 色は実に深く、黒に近いと言えるほど。香りにもパンチがあり、ヴァニラ香とともにコーヒーやキャラメルのような感じ、 プラス若干の動物臭。
 味わいも実に陽気。甘みと酸が、ドーンという感じで押し寄せ、タンニンもかなり引っ掛かる。後味にも強い甘酸っぱさが。
 シラーらしさが良く出ているという点で、評価できる。パワフルさゆえに、一度にたくさん飲むのは辛いのだが。
 単体での価格は不明だが、まあ1,000円程度であろうと推測して、下記評定。
<評定:B>


2003年3月18日  BLANC
SOAVE (D.O.C.) 2001 ORGANIC / SARTORI
ソアーヴェ オーガニック / サルトリ
イタリア、VENETO州

Soave Organic  12本10,000円セットの2本目。
 色は淡い麦わら色で、イタリアにしては、むしろしっかりした印象を受ける。 香りは鋭い柑橘香が中心で、ビニールのような人工的な感じがある。口当たりは意外にも丸く、 酸のアタックと同時に、芯のしっかりした旨みが広がる。甘さすら感じ、とても充実感がある。
 有機栽培というものを、私は特別視しないが、このワインは、理由はどうあれ自然な厚みを感じ、満足度は高い。 普段イタリアの白には期待していないからだろうか。
Soave Organic  ところで、エチケットを見ていたら、面白いことを発見した。
 表には、"DENOMINAZIONE DI ORIGINE CONTROLLATA"(D.O.C.)と書いてある(左写真)のに、 裏には、"INDICAZIONE GEOGRAFICA TIPICA"(I.G.T.)と書いてある(右写真)。
 SOAVEはDOCのはずだから、表が正しいと思うのだが、これは輸入元の単純ミスなのだろうか。
<評定:C+>


2003年3月20日  ROUGE
OKHA PINOTAGE 2001
オーカ ピノタージュ
南アフリカ、WESTERN CAPE

OKHA Pinotage  12本10,000円セットの3本目は、南アフリカのピノタージュ。
 色は深く、やや赤みが強い。アルコール分14%ということで、重みを感じさせる。
 黒ベリー系の甘酸っぱい香りと、まるで万年筆のインクのような匂いもある。芳醇ではあるが、 樽香プンプンという感じではない。なかなか品がよい。
 味わいは、甘味が強いが酸も強く、バランスはよい。カラメルのような後味もある。 タンニンはしっかりめ。ビリビリとしたアルコール感もある。
 重みがあるのに後味が意外にもすっきりしている。不思議な味造りだ。
 亀のイラストのエチケットが面白い。 
<評定:C>


2003年3月22日  BLANC 
LARINUM CHARDONNAY (I.G.T.) 2001
ラリナム シャルドネ
イタリア、ABRUZZO州

 12本10,000円セットの4本目は、イタリアの白。
 以前、同じ作り手のサンジョベーゼを飲んでいて、非常にコストパフォーマンスが高かったので、こちらにも期待がかかる。
 色は淡いが、香りには重みがある。熟したトロピカルフルーツのような甘さと、樽香がよいバランス。 口当たりはシャープで酸が生き生きとしているが、みずみずしい果物を噛んだようなジューシーさが口いっぱいに広がる。 飲み込んだ後にもほのかに樽香が残る。
 厚みがあるのにくどくない。育った気候が想像されるような、陽気でポカポカした感じのワイン。
 やはり、予想通りのすばらしいものだった。
<評定:A+>

2003年3月28日  ROUGE
HICKORY RIDGE MERLOT 2000 / MOLDOVA
ヒッコリー・リッジ メルロー
モルドヴァ

 12本10,000円セットの5本目は、モルドヴァのメルロー。
 色は淡いルビー色。酸を中心とした、チェリーのような可憐な香りと、なめし革のようなニュアンスも。
 口当たりはシャープ。酸が強く、甘味はなく、軽やか。タンニンも弱く、広がりもあまりない。 くどさがまったくないので、すいすい飲める。繊細で、かつ、適度なテンションを保っているので、安っぽい感じはない。
 同じ作り手のシャルドネも印象深かったが、こちらもなかなかのもの。
<評定:C+>

2003年3月31日  BLANC
CARLO ROSSI CALIFORNIA WHITE
カルロ・ロッシ カリフォルニア・ホワイト
アメリカ、CALIFORNIA州

Carlo Rossi White  すべての先入観を排して、値段に対する品質を冷静に評価する。それが当日記のコンセプトである。
 このワイン、私が買ったものではなく、妻がスーパーで買ってきた。398円也。
 色は極めて薄いが、グリーンがかっている。少し甘そうな果実香とともに、ビニールのような化学物質的香り。 口当たりはほんのり甘いが、酸が結構強く、バランスは悪くない。メロンの皮のような味わいがある。後味も決して悪くはない。 おいしいかまずいか、と問われれば、確かにまずくはない。この値段で、そこそこおいしい。
 期待はまったくなかったが、意外にもちゃんと白ワインしているではないか。
 100円ショップの便利グッズみたいに、ちょっと楽しい気分になれればそれでいい。こういうものの存在意義は小さくない。
<評定:B>



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