2003年5月
2003年5月2日 BLANC
VIRE-CLESSE 2001 "L'EPINET" / JEAN RIJCKAERT
ヴィレ・クレッセ "レピネ" / ジャン・リケール
BOURGOGNE地方、MACONNAIS地区、AC:VIRE-CLESSE
初登場のAOC。
淡い麦わら色で、見た感じは何の変哲もないシャルドネ。だが、意に反して、香りは実に豊潤。
炒りたてのピーナツあるいはアーモンドのような弾ける香ばしさがあり、パインのようなトロピカルな感じと、オレンジ的柑橘香。
背後に甘栗のようなまろやかさがあり、ヨーグルトのようにミルキーな感じもある。とても肉感的な香り。
普通の安ワインは、香りが大柄だと、味わいも凡庸なものが多いのだが、これは見事に違う。
酸が清々しく、パイナップル的甘味と良いバランスを保っている。しかし、それだけでなく、このワインの最大の特徴は、
中域が実にしっかりしていること。つまり、ただ肉感的なだけでなく、内容を伴った骨太なワインであること。
真ん中よりだいぶ上、オクターブでいうと"ラ"くらいの位置に重心がある。口に含んでしばらくそのままでいると、
酸と甘味が爆発的に広がり、次いで酸が減衰して、豊かな甘味が残る。その変化は、まるで光のグラデーションのようだ。
余韻もナッツやパインや柑橘が混じり合い、長く後を引く。きらびやかなのに重みもある初体験の味わい。
入手価格は\1,800。マコンでこんなに驚かされたのは初めて。新進気鋭の作り手らしいが、こんなものに出会ってしまうと、
だから安ワイン者はやめられないと思う。無論、高級ワインの類ではないが、それだからこそ、この満足度は特筆に値する。
ところでRijckaert(リケール、あるいはリッケールと読むべきか)という名前は、どこがルーツなのだろう。とっても不思議な綴りだ。
<評定:AA+>
2003年5月4日 ROUGE
LA DEMOISELLE DE SOCIANDO-MALLET 1999 / HAUT-MEDOC
ラ・ドモワゼル・ド・ソシアンド・マレ / オー・メドック
BORDEAUX地方、HAUT-MEDOC地区、AC:HAUT-MEDOC
かなり間が空いたが、12本10,000円セットの11本目(前回は、こちら)。
有名なソシアンド・マレのセカンドワイン。
今回のセットの中では、最も単価が高いと思われる。
色はかなり深く、暗赤色というべきもの。香りはおとなしい樽香の奥に、枯れ葉や土の感じも。
きらびやかさはなく、地に足のついた、いわばどっしりした第一印象。
味わいは、かなり酸が立ち、スパイシーで引き締まっている。タンニンはビロードのようになめらかなので、
後味はとても優しい。
まだ少し開けるのが早かったかな、というのが率直なところ。このワインの実力は、こんなものではないだろう。
以前に98年ヴィンテージを試しているが、
その時に感じた複雑さ、ふくよかさは、今回はあまり感じなかった。
優秀なワインであることに間違いはないが、
今回は私もあまり多く語る言葉を思いつかない。期待が大きかっただけに、ちょっと残念。
とはいえ、今回の入手価格平均単価からすればもったいないほどのクオリティである。
正規の値段でもまあ2,000円までだとは思うが、買って損なワインではない。
<評定:B>
2003年5月5日 BLANC
BOURGOGNE CHARDONNAY 2000 / OLIVIER LEFLAIVE
ブルゴーニュ・シャルドネ / オリヴィエ・ルフレーヴ
BOUGOGNE地方、AC:BOURGOGNE
色は極めて淡く、かすかに緑がかっている。
香りはシャープな柑橘香が中心で、ビニールかセルロイドのような匂いがある。
味わいはもちろん鋭い酸が前面に出てくるが、意外に甘味もあり、バランスは悪くない。
ただ、水っぽい感じは否めず、余韻は長くない。
入手価格\1,500。取り立てて文句はないが、印象に残るようなものでもない。
さらっと軽く飲み干したい。
<評定:C>
2003年5月7日 ROUGE
TRIENNES LES AURELIENS 1998 / VIN DE PAYS DU VAR
トリエンヌ レ・ゾーレリアン / ヴァン・ド・ペイ・デュ・ヴァール
VIN DE PAYS
Domaine de Triennes6本セットの5本目。
セパージュは、カベルネ&シラーだというが、とっても面白いワインである。
色は深めのルビーといった感じで、赤みが強い。
香りが不思議で、まるでレモンのような尖った柑橘香がまずあり、その奥に、ひっそりとしたヴァニラ香と、
紅茶のような香り。土ぼこりのような印象も。
味も柑橘のような酸のアタックがとても強く、引き締まった味わい。口の中で転がしていると、
マスカットのような甘酸っぱさが広がる。タンニンは最初やさしいが、後に残る。重みは感じない。
どこからどう見ても、カベルネ&シラーのワインには見えない。なぜこんなシャープな味わいなのか。
もしかすると変質しているのでは?とも思ったのだが、コクもしっかり感じるし、イヤな味もない。
ただ、真ん中がやや抜けている点は、少し劣化しているのかとは思う。
これが意図した味だとすれば、面白い個性ではあるが。
<評定:D>
2003年5月9日 ROUGE
河内ワイン 70周年記念ボトル「この花」 赤
日本、大阪府羽曳野市
久しぶりに国産ワイン。
大阪の地ワインと言える河内(かわち)ワインの創業70周年記念ボトル。
赤白2本セットで買ったうちの赤。ノン・ヴィンテージ。品種はメルロー主体だそうである。
色はかなりレンガっぽく、枯れたいい感じ。縁はオレンジ色。香りはおとなしいベリー系。少し、おしろいのような感じもある。
時間が経つと、鉄っぽい感じも出てくる。
味わいは、実に奥ゆかしい。甘味はなく、酸はほどほど。タンニンはまろやか。重みや深みはないが、とても繊細。飲み込んだ後に、
じんわりと甘い雰囲気が口中に残る。
悪く言えばパワーがないのだが、日本の気候を反映した繊細なワインというべきだろう。同じ近畿の神戸ワインにも通じるキャラクター。
非常に好感が持てる。
500mlボトルで1,500円。750ml換算で2,250円となる。
価格と品質を厳格に比較すれば、見劣りするのは否めないが、これが大都市で作られているという事実は感動的である。
そのあたりを総合的にみて、下記評定。
<評定:C>
2003年5月10日 BLANC
河内ワイン 70周年記念ボトル「この花」 白
日本、大阪府羽曳野市
赤白2本セットの今度は白。ソービニヨン・ブランを主体としたものであるらしい。
香りは甘く、シュナン・ブランかセミヨンのような感じがする。味わいも香りの印象のとおり、
ほんのりした甘味が中心。酸は弱め。穏やかな飲み口なので、色々な料理には合わせやすい。
確かに辛口ではあるし、スッスッと飲めてしまうので、とても親しみやすい。
ただ、あまりにも単調な味わいで、強く印象に残るようなものではない。
もっと緊張感というか、シャープさが欲しいところ。
こちらも入手価格は500mlボトルで1,500円。750ml換算で2,250円である。
ブラインドで評価したら、1,000円以下が妥当というレベル。
<評定:E>
2003年5月12日 ROUGE
CHATEAU DE RIBEBON 1998 / BORDEAUX
シャトー・ド・リブボン / ボルドー
BORDEAUX地方、AC:BORDEAUX
12本10,000円セットの12本目、つまり最後。
あまりボルドーらしくない透明度の高いルビー色。
カシスのような果実味豊かな香りが中心で、その奥に土の香りも。重みがあるわけではないが、
折り目正しく、浮ついた感じはない。ほんのりとした樽香も好印象。
味わいも軽快で甘酸っぱいが、ほどよく落ち着きがある。タンニンも適度。
セパージュは、カベルネフラン、メルロー、カベルネソーヴィニヨンと書かれている。配合比率はわからないけれど、
この順番だと言われれば納得する。
平均単価833円よりは、単体では幾分か高いだろう。1,500円程度と推定して、下記評定。
<評定:C+>
2003年5月13日 BLANC
BOURGOGNE CHARDONNAY 2000 "CUVEE ANIVERSAIRE" / DOUDET NAUDIN
ブルゴーニュ・シャルドネ "キュヴェ・アニヴェルセール" / ドゥデ・ノーダン
BOURGOGNE地方、AC:BOURGOGNE
2000年記念ボトルだからだろうか、とても厚みがあって重いボトル。
一部表面にボコボコがあり、気泡も見られ、手作りガラスのよう。また、上げ底部分(これ、何か特別な名前ありましたっけ?)
が小山のように異様に大きい(右の写真で分かるだろうか)。ネゴシアンだが、気合いが入っているのがわかる。
見かけからは、非常に期待が高まる。さて、その実力のほどは?
色はグリーンがかって淡く、まるで日本酒。グレープフルーツ的柑橘香と青リンゴの香り。少し石油っぽい感じも。
味わいもシャープで、酸のアタックが強いが、ふくよかな甘味も持っている。バランスとしては酸の方が勝っている。
後味に苦味もある。
折り目正しい味ではある。が、入手価格\1,800を思えば、もっとパワーや奥行が欲しいところ。
これが1,000円ワインならば、何らの不足もないのだが。
<評定:C−>
2003年5月16日 ROUGE
LA CUVEE MYTHIQUE 2000 / VIN DE PAYS D'OC / VAL D'ORBIEU
ラ・キュヴェ・ミティーク / ヴァン・ド・ペイ・ドック / ヴァル・ドルビュー
VIN DE PAYS
さて、今日のお題は、カツ丼に合うワインである。
カツの脂をすっきりさせるためには、ある程度タンニン分がしっかりしている方がよい。
だが、あまりパワーがありすぎないほうがよい。かといって繊細すぎると負けてしまう。
卵に合わせるのはむずかしいだろうが、汁の甘さに合うように、
ほんのり甘さもあった方がよいか。
以上を前提に、我が家の在庫から選んだのが、このキュヴェ・ミティーク。
高いパーカーポイントがつくことでも有名なVin de Paysである。
色は南らしく黒っぽく、極めて深い。漢方薬のような香りの中に、なぜかサンジョヴェーゼみたいな
スミレっぽさも感じる。墨汁や、チョコレートのような匂いも感じる。
ほんのりした甘さと、それに拮抗する酸。しっかりしたタンニンがそれを支える。
まとまりがよいとは言い難いが、この奔放さが、飲んだという充実感を与えてくれる。
以前に99年ヴィンテージを試しているが、その時の感想とは若干異なる。
実力を既に知っているから評価が辛くなってしまったのか、感動はそれほどでもない。
今回の入手価格はジャスト\1,000。通常は\1,800程度と思われるので、それを前提に下記評定。
今回の入手価格を前提とするなら、B評価だ。
このヴィンテージ、クオリティが高くないから安売りなのか、と疑いたくもなる。
ところで、カツ丼に合ったのかって?
もちろん。予想以上にうまく合って、びっくりした。
<評定:C>
2003年5月17日 BLANC
MAS DES AVEYLANS VIOGNIER 2001 / VIN DE PAYS DU GARD / HUBERT SENDRA
マ・デ・ザヴェイラン ヴィオニエ / ヴァン・ド・ペイ・デュ・ガール / ユベール・センドラ
VIN DE PAYS
黄色みが強く濃い色。色とりどりの花のような、甘く華やかな香り。ミントのようなすっきり感もある。
口に含んだ最初のインパクトはやわらかく、冗長とも言える甘味が中心。アルコール感も強く、
主張は強い。
どこからどう見てもヴィオニエでしょう、という逃げも隠れもしないワイン。そこが良いところなのだろうが、
やや単調なのは否めない。
入手価格\1,500。はっきりと特徴が出ているから、これはこれで良い。
今日は、まぐろの中落ちを食しながらだったが、このワインの華やかさが、うまく魚の脂と調和して、
すっきりさせてくれた。ややワインが押され気味ではあったが。
※まぐろには結構、赤をぶつけることも多いのだが、白ならばこのくらいたっぷりしたタイプがいい。
<評定:C>
2003年5月19日 ROUGE
TRIENNES ST-AUGUSTE 1997 / VIN DE PAYS DU VAR
トリエンヌ サン・トーギュスト / ヴァン・ド・ペイ・デュ・ヴァール
VIN DE PAYS
Domaine de Triennes6本セットの6本目。1本目のヴィンテージ違いである。
色はそれほど濃くはなく、ブルゴーニュのようなルビー色。縁は透明。
香りは、鉄っぽさの中に、クランベリーのような鋭さがある。味も香りの印象そのまま。
酸のアタックが極めて強く、柑橘的。タンニンは強くない。
99年ヴィンテージと随分味わいが違うと思ったら、セパージュが違っていた。
これは、カベルネとシラーとのことで、99年ヴィンテージで使われているメルローがない。
結果的に、まったく違うワインに仕上がっている(もしかして保存状態の問題か?とも考えたが、
劣化している風でもない)。
入手価格の平均単価(\1,246)を前提とするなら、C評価。輸入元希望価格の平均単価(\2,666)を前提とするなら、
下記のようにD評価。
<評定:D>
2003年5月21日 BLANC
MONTES SAUVIGNON BLANC 2002 RESERVE / MONTES S.A.
モンテス ソーヴィニヨン・ブラン リザーヴ
チリ、CASABLANCA VALLEY
モンテス好きの私であるから、ENOTECA店頭で「新製品が入ったんです」と勧められて、
購入を決意するまでに、数秒とかからなかった。今まで下級品(villa montes)でしか出していなかったソーヴィニヨンである。
色はグリーンがかっていて、それらしい。香りは、ころんとした丸さで、メロンのような優美な感じと、
柑橘でも収斂性のきつくないグレープフルーツとか、ライムのような感じがある。
口に含んだ時の甘味の豊かな広がりと、それを制する酸のバランスがよい。ぴりぴりとした発泡の感じもあって、
それが若干の辛みのようなものを与える。マスカットのような余韻が続くものの、甘ったるさはなく、後口はスキッとしている。
メロンの第一印象があったことから、実際にアンデスメロンと合わせてみたが、あまり相性はよくなかった。
果物の甘味とワインの酸がぶつかってしまう。これはやはりデザートよりも、日々の普通の和食に合わせるのがよいだろう。
今日の食事の中では、卵豆腐とのバランスがよかった。
入手価格は、\1,400。これ以上を望んだら申し訳ないくらいの高品質。
当日記では、私の個人的嗜好は極力持ち出さないように注意しているが、そもそも私が気に入るものは、
それがたとえどんなタイプのワインであっても、コストパフォーマンスの高いワインである。
冷静に評価すると、やはりこれも、この価格では非常に見るべき所の多い、多彩なワインと言えよう。
<評定:A+>
2003年5月22日 ROUGE
SAINT-AUBIN 2000 / RAOUL CLERGET
サン・トーバン / ラウル・クレルジェ
BOURGOGNE地方、COTE DE BEAUNE地区、AC:SAINT-AUBIN
色は淡いルビーで典型的なピノという感じ。
香りに品格があり、火薬のようなインパクトのあと、落ち着いた赤色ベリー系の香りの中に、ゴムっぽい
感じがある。
口当たりもテンションが高く、きりっとした酸の奥に、やんわりとした甘味あり。
タンニンはシルクのようになめらか。
パワーは感じず、しんなりした感じもなくはない。そこがこのクラスの限界だろう。それでも折り目正しいワインには違いない。
入手価格\2,000。まあ、そんなもんだろうという感じだが、買い損ではない。
<評定:C+>
2003年5月25日 ROUGE
MONTES CABERNET SAUVIGNON 70% CARMENERE 30% 2001 / MONTES S.A.
モンテス カベルネ・ソービニヨン70% カルメネール30%
チリ、COLCHAGUA VALLEY (APALTA VINEYARD)
ソービニヨン・ブランと同様、これも初入荷と言われて入手したもの。
カベルネと、最近チリで"はなまる急上昇中"のカルメネールとのブレンド。
カルメネールは元々フランスでよく植えられていた品種だが、このワインの裏ラベルに書かれているところによると、
19世紀にフィロキセラのために全滅したらしい。それが、ここ最近になってチリで自生しているのが発見されたとのこと。
なお、このような説明の他に、色や香りについての説明も書かれている。
The color is an intensely beautiful ruby-red, with a delicate chocolate aroma also reminiscent of vanilla,
coffee ane butter-scotch.
さて、本当にそんな感じだろうか。確かめてみる。
まず色はかなり濃く、ルビーレッドというよりも、ずいぶんと黒みが強い。香りは、土や枯草の奥に、かすかにヴァニラ香があり、
墨汁のような感じもある。チョコレートに関しては、言われてみればそんな気がする程度。
コーヒーは感じられないし、ましてやバター・スコッチのような深い甘味のようなものも見つからない。
味わいは品の良い甘味と鋭い酸とがぶつかり、ハッカのようなインパクトがある。まだ暴れている感じで、
タンニンもひっかかる。
開けるのが早すぎたのだろうか。同じく裏ラベルに、3年は保管できる(It can be cellared for about three years.)と書かれているが、
これは、3年くらいはパワーを失いませんよ、という意味に捉えるべきではなく、3年くらい寝かせた方がいいですよ、と解釈すべきなのだろうか。
熟成が進むと、説明のような香りが出てくるのだろうか。
入手価格は\1,600。面白い製品であるから、ほぼ価格並みと言ってよいだろう。
<評定:C>
2003年5月31日 BLANC
CELLAR SELECTION CHARDONNAY 2002 / SILENI ESTATES
セラー・セレクション シャルドネ / シレニ
ニュージーランド、HAWKE'S BAY
WINE SHOP ENOTECAで、12本18,000円セットを購入。
つまり単価は@1,500円である。
その1本目は、ニュージーランドのシャルドネ。
色は淡いイエローグリーンで、シャープな味わいが予想される。香りは、グレープフルーツのような柑橘香と、
ナッツのような香ばしさと、オイリーな感じが同居。
味わいはフレッシュでぴちぴちした酸が印象的だが、甘味も豊かで、伸びがある。
色の印象とはかなり違う。複雑さはないが、素直でわかりやすいところが魅力。
さばさばしていて、笑顔がキュートな夏の少女。真っ白のTシャツにGパンが似合いそうな感じ。
変に化粧をしていないナチュラルな所が魅力なワイン。
<評定:C>