2004年10月
2004年10月2日 BLANC
LES ARUMES DE LAGRANGE 2000 / BORDEAUX
レ・ザルム・ド・ラグランジュ / ボルドー
BORDEAUX地方、AC:BORDEAUX
個人成績と、チームプレーと。
大リーグ、シアトル・マリナーズのイチロー選手が、年間最多安打の記録を塗り替えた。
なんと84年ぶりの記録更新だそうである。
彼を見ていて特徴的なのは、大記録にもかかわらず、淡々と目標を達成しているかに見える所だ。
派手なパフォーマンスはなく、発言も地味。いかにも職人といった風情。
こつこつと練習を重ね、大きな目標をクリアしてゆく。いかにも日本人受けしそうな選手だが、
今年の記録の裏には、チームの低迷という要素もあることは否定できない。
実際、本人も次のような発言をしている。今年はチームの成績が悪いので、せめて自分が活躍して
ファンの期待に応えたいと。
もし、チームが優勝争いをしていれば、イチローのような好打者は相手投手に敬遠されやすいから、
ここまで安打数が伸びなかった可能性は高い。その意味で、この記録は、いいチーム(=弱いチーム)に在籍したおかげだとも言える。
「チームがダメだから、ボクはチームのことより自分の成績を考える」という姿勢を、
日本のプロ野球チームの選手がとったら、日本のファンはここまで応援するだろうか。いや、私はイチローの姿勢でいいと思うのだが、
日本には、スタンドプレーを嫌う土壌がある。それが、実は選手の足を大きく引っ張っているのではないかと私は思う。
例えば、セ・リーグで打点王を狙う阪神の金本選手は、「記録にはそれほどこだわっていないけど、ファンの人たちがぜひというので、
狙います」というようなコメントをしている。自分のことよりチームが第一という姿勢は確かに美しい。けれど、ファンである私は、
「今年はチームがダメなので、せめて自分が打点王を狙います」と力強く言って欲しいと思う。
チームの和ばかり重んじるより、日ハムの新庄選手のようなプレーヤーがもっと増えた方が、
日本の野球は、もっとエキサイティングになるに違いない。
ところで、今日の新聞で見たNIKEの広告は、とても印象的だった。「野球の好きな人が 野球の未来を 決めるべきだと思う」
というコピー。これほど短くて、これほど重い言葉はないだろう。スポーツ用品メーカーとして、
素晴らしい広告をしてくれたと思う。
さて、本日は、今年の猛暑がwineにどんな影響を与えたか、を実地に検証してみようという企画。
実は3月に飲んで素晴らしかったもの。その時、せっかくだからと追加入手しておいたのだが、
その後、半年以上、暑い室内に放置してあった。で、品質にどんな影響が出ているか。
液色を見る限りは、とりたてて変わったところはない。が、香りに若干蒸れた感じがある。
クリーミーさよりも、青臭さが前に出ている。
味も、カスタードのような深みがあるものの、ジメッとした生臭さが伴い、はっきりいっておいしくない。
ああ、やっぱり、今年の猛暑には勝てなかったんだな。入手価格\2,919(本体価格2,780円+消費税139円)は決して安くはない。
しかもこんな実験をやろうと思ってやったわけではなく、結果的に半年以上も開ける機会がなく室温に放置してしまったのだ。
もったいないけど、よい経験。
<評定差し控え>
2004年10月4日 BLANC DOUX
CHATEAU FONMOURGUES 2000 / MONBAZILLAC
シャトー・フォンムルグ / モンバジャック
SUD-OUEST地方、MONBAZILLAC地区、AC:MONBAZILLAC
民営化前の官業による民業圧迫が、また。
コンビニのデイリーヤマザキが、日本郵政公社の「ゆうパック」の扱いを来春から始めるらしい。
これまで同社は、日本通運の「ペリカン便」を扱うほか、一部店舗で日通と協力して、「ゆうパック」の取り扱いを既に試験的に
始めているとのことで、今後この協力関係をもとに、全国で「ゆうパック」を取り扱いたいとしている。
少々話がわかりづらいのだが、店頭から郵便局までの配送を日通が担当し、郵便局から相手先までを郵政公社が担当するというもの。
関係各社の皮算用が透けて見えるようで、いやらしい感じだ。
とにかくシェアを伸ばしたい郵政公社。ゆうパックの導入で売上増加を目論むデイリーヤマザキ。
それにうまく取り入った日通。
この日通の態度は、ローソンを舞台に郵政公社と戦闘状態に入ったヤマト運輸とはまったく正反対。ただ、
その日通の姿勢を批判しようとは思わない。ヤマトの態度は、ヤマトのシェアをもってして初めて可能なことであり、
民営会社は、とにかく自社にできる方法で、少しでも売上拡大、利益増進を図って当然なのである。
問題にすべきは、まだ民営会社と同じ立場に立っていないのに、民営化後を考えてシェア拡大を目論む郵政公社の姿勢だ。
ローソンの件でも、公社総裁は、「何もやるなと言われたのでは、とてもじゃないが民営化はできない」などと、
いけしゃあしゃあと言っている。
金輪際新しいことをするななどとは、だれも言っていない。
民営会社と戦うなら、自ら完全な民営会社になってから始めなければならない。
国の後ろ盾や税金の免除がある状況でのシェア拡大は、許されることではない。そういう当たり前のことが
求められているのだ。
新たに民間市場に参入するということは、新しい会社を興すのと同じである。
ベンチャー企業の苦労を、少しでも身をもって経験すべきである。
もし、そんなことでは郵便事業など継続できなくなると主張するのなら、
最初から民営化など無理なのである。それでも、何が何でも市場経済の中に放り込むというのなら、
例えば不採算地域での郵便事業の現行形態での継続は困難となり、大都市以外の地方は犠牲になるだろう。
民営化すればすべてOKという短絡的な政府の発想は、大間違いである。郵貯資金の流れを
変えるだけならば、もっと別の方法もあるはずである。
国の庇護の下に民間人を引っ張ってきて民業圧迫を推進する単細胞内閣が、
このまま行くと市場経済と公共の福祉の両方を壊しかねない。
さて、本日登場は、久々の極甘口。ボルドーではないが、近くの南西地方。
色は美しく深い黄金色。シトラスな感じと、
あんずの砂糖漬けや、どこか栗きんとんみたいな深みのある甘い香り。
また、クリスピーな樽香がツンとした骨格を作っている。
重さはないものの、ソーテルヌにも似た甘味はとても幅が広く、酸も生きている。
想像していたよりもぽってりとふくよかで、しかも酸のテンションが高い。
成城石井梅田店にて、\2,194(本体価格2,090円+消費税104円)で入手。
この値段だからあまり期待してなかったが、想像以上だった。
<評定:A−>
2004年10月5日 ROUGE
MONTES ALPHA CABERNET SAUVIGNON 2002 / MONTES
モンテス・アルファ カベルネ・ソーヴィニヨン / モンテス
チリ、DO:COLCHAGUA VALLEY、APALTA VINEYARD
いらっしゃいませ、こんにちは。
昨日に引き続き、郵政公社の話。
郵政公社は、郵便局の窓口や配達を担当する職員の接客態度をランク付けする制度を導入したらしい。
毎月2週間の評価期間に接客態度を評価して1〜4の等級にランク付けし、4級に満たない職員は、接客業務から外されるという。
とても良いことだと思う。
接客といえば、よく指摘されるのは役所の窓口担当の横柄さだが、
民間企業でも、接客の基本ができていない従業員は少なくない。お客がいるからこそ、自分たちの組織が成立しているのだという
自覚がないのだ。
官から民営化されたJRやNTTなどは、昔は本当にひどかった。
それに比べれば、郵便局は、官にしては以前から良くできている方だと、私は思う。
さらに接客業という自覚をもって臨んでいただけることは、大歓迎である。
ちなみに、今回導入された等級のうち最低の4級の基準は、
「目を合わせて笑顔で応対」「配達先で何度もノックしない」「電話はお客様が切ったことを確認してから静かに置く」
などだという。
なんだか中卒15才の新入社員に初めて社会常識を教育するみたいなレベルだが、
それでも既に不合格者が出たという。まあ郵便局に限らず、そんな職員は確かに接客業をする資格はない。
問題は評価を誰がするかということだが、管理職がするのだという。
でも管理職って、一番接客ができてない人が多い気がするんですけどねぇ。
顧客にもアンケート葉書を渡すというから、そちらの評価を重視して欲しいものだ。
くれぐれもお願いしたいのは、ファーストフードとかファミレスみたいなうわべだけの笑顔はやめていただきたいということ。
接客に力を入れている業界のように言われるが、私はあのようなマニュアル接客は不快である。
本音で誠意を持って接客していないことは、態度を見ればすぐわかる。
「いらっしゃいませ、こんにちは〜。郵便局へようこそ〜。
お客さま、はがきのほう、5枚でよろしかったですかぁ?」
こんな郵便局は、悲しい。
本日登場は、12種15,750円セットの8本目。enotecaさんお勧めのMONTESだ。
色は青みの強い、深い紫。グラスの向こう側がまったく見えない。
インクと墨汁と薬草の香りが、バアーと出て、土っぽい感じもある。
これ以上ないというくらいタンニンが荒々しく、唇の裏にひっかかる。
甘味よりも酸が勝っているからシャープな味わいだが、それでも圧倒的なパワーが口中を占拠する。
奔放さはいかにも南米だが、繊細な所も欲しい気がする。
単体での通常価格は、\2,079(本体価格1,980円+消費税99円)。
これまで1997、2001と取り上げてきたが、なんだかこのワイン、
ヴィンテージを追うごとに、どんどん悪くなってゆく気がするのは、私だけか。
<評定:C−>
2004年10月7日 BLANC
SELLAR SELECTION SAUVIGNON BLANC 2003 / SILENI
セラー・セレクション ソーヴィニヨン・ブラン / シレニ
ニュージーランド
例えば、こういうことです。
ある小学校での話。
A組のガキ大将・譲治くんは、いつも他の組の悪ガキ達を束ねて親分風を吹かせているけど、
本当は、どうしようもない臆病者。自分をおびやかす者は徹底的にやっつけないと気が済まない。
その譲治くんがあるとき、I組の悪ガキ・定くんを名指しで批難した。
「あいつは危ないヤツだ。校則で禁止されているカッターナイフを隠し持っている。
とっつかまえて白状させよう」
J組の学級委員・純くんは、譲治くんの腰ぎんちゃくなので、すぐさまそれに賛同した。
「そうだそうだ。あいつは危ないヤツだ。きっとカッターナイフを持ち歩いているに違いない。
ボクも君といっしょにヤツを成敗しに行くよ」
譲治くんは定くんをおびき出すために、I組の教室の中へ、
窓の外からたくさん石を投げ込んだ。そのせいでI組の多くの児童がけがをした。
「もうやめて」とI組から悲鳴が聞こえても、「ボクは君たちのためにやってるんだ」と譲治くんは平気で続ける。
やっとのことで譲治(じょーじ)くんは定(さだむ)くんをとっつかまえ、服を全部はぎ取ってみたが、
カッターナイフなど持っていなかった。
他の組のみんなから、「ほら、やっぱり持ってなかったじゃないか」という声が飛ぶ。
それでも譲治くんは、「ボクがヤツをこらしめたから、I組は平和になったんじゃないか。
ああいう危ないヤツは放っておいてはダメなんだ」と、相変わらず得意顔で言う。
J組の純くんも、「カッターナイフを持っていたかどうかは関係ない。
ボクは譲治くんのやったことは正しいと思う」と言い張って譲らない。
その純くん、新学期も学級委員をやる気満々だが、J組のみんなはもう完全に白けきっている。
一度だって純くんは自分の意見など言ったことがないのに、「ボクじゃダメだというなら、
いつでもボクを追い出せばいいじゃないか」
などとうそぶいているからだ。
閑話休題。
本日登場は、12種15,750円セットの9本目。ニュージーランドのソーヴィニヨン。
色は淡く、日本酒程度。ドライなハーブ香に、レモン的柑橘香。とってもピュアな第一印象。
口の中で収斂性のある酸とともに、グリーンな感じと、ほのかな甘味が広がる。バランスは抜群。
もし、ボルドーのEntre-Deux-Mersだと言われたら、素直に信じる。なかなかいいね、と言うだろう。
単体での通常価格は、\1,575(本体価格1,500円+消費税75円)。恐るべきコストパフォーマンス。
ニュージーランドの底力を見せつけられた気がする。
以前からenotecaさんでは、このSILENI ESTATEのワインを推しているようだが、
このソーヴィニヨンは初入荷らしい。この造り手のワイン中では、最大の驚きだったと言っていい。
あっぱれ。
<評定:A+>
2004年10月9日 ROUGE
RESERVE DE LA COMTESSE 1998 / PAUILLAC
レゼルヴ・ド・ラ・コンテス / ポイヤック
BORDEAUX地方、HAUT-MEDOC地区、PAUILLAC村、AC:PAUILLAC
些細なこと、ではありません。
長野県議会が、12月の議会から本会議場に日の丸を掲揚することを決めた。
驚くことに、既に46の都道府県議会で日の丸は掲揚されており、最後の1県だという。
そもそもこのような状況になったのは、99年の国旗・国歌法施行後であり、97年の調査では、
27の都道府県議会で未掲揚だったらしい。
国旗・国歌法の施行に際し、時の首相は、決して国民に強制することはないと明言した。
にもかかわらず、学校などの教育現場をはじめ、このように日の丸掲揚は推進されてきた。
改めて確認するが、日の丸は日本の国旗であり、国民がそれを敬うことは当然である。
だが、私が問題とするのは、そういう正論をふりかざして掲揚を強要し、
それに反する意見を排斥しようとする動きが近年随所で強まっているという点だ。
たかが旗、と思う人も少なくないに違いない。しかし、たかが旗だからこそ、
知らず知らずのうちに、思想統制という道につながる危険性が高いのである。
彼らの言い方は、常に決まっている。いわく、「世界中のどこを見ても、自国の国旗を敬うことを
反対するバカがいる国なんて、ありはしない」と。
そう言われると、多くの人はなんとなく、そうだなあ、と思ってしまうだろう。
もう一度言う。国旗を敬うことは良いことである。だが、
そういう正論を利用して、多くの国民を思考停止状態に陥れる所から、全体主義は始まる。
こんな些細と思える事件こそ、実は重大なのだ。対中外交に関する首相の発言にも、同じ問題が見て取れる。
「靖国なんて、たった一つのことでしょ」。そういう態度をこそ、絶対に見逃してはいけない。
さて、今日は週末スペシャル。いうまでもなく、メドックのスーパーセカンド筆頭格Ch.ピション・ラランドのセカンドである。
実はこのワイン、私の部屋のクローゼットの奥で、2年半以上眠っていた。
今年の猛暑で、部屋に放置していたワインがかなりダメージを受けてしまったので、これはどうだろう、ということで、
開けてみることにした。
色はかすかに褐色が入り始めている感じだが、まだまだ若そう。
エスプレッソやタバコのような焦げ臭がまずあり、背後に黒い果実、バニラなど。
酸が結構生きていて、渋味も弱くない。
ただ、味わいの真ん中がちょっと希薄な感じがするのは、熱にやられたのか。いや、やられたというほどではない。
多分、元々力不足なのだろう。タンニン分がしっかり残っているのだから、決して過熟という感じではなく、
まだ熟成の余地がありそうだ。
入手価格は当時\3,129(本体価格2,980円+消費税149円)。値段を見て飛びついたもの。といってもまあ、
せいぜい1,000円〜2,000円程度安いくらいだろうか。
2年半もの間、苛酷な環境で暮らしてきたにしては、よく踏ん張ってくれたと思う。
<評定:C+>
2004年10月11日 BLANC
R DE RIEUSSEC 2002 / BORDEAUX
エール・ド・リューセック / ボルドー
BORDEAUX地方、AC:BORDEAUX
パ・リーグ最高!
今年のパ・リーグ優勝チームを決めるプレーオフ第2ステージの最終戦が行われ、
大接戦の末、西武ライオンズが勝利を収めた。投手は、西武・松坂が中3日、ダイエー・新垣が中4日という先発で、
若い力がぶつかり合った。
試合の内容をここで細かく書くことはしないが、私は、ほんとうにドキドキしながらTV観戦をした。
こんなに素晴らしいドラマを見られるなんて、ほんとプロ野球は最高だと思った。
プレーオフという制度もいちおう成功だったように思う。ただ、レギュラー・シーズンを1位で終えながら優勝を逃したダイエー
は、なんとも無念だったろう。
どちらのファンでもない私だが、TVを見ながら、知らず知らず、ダイエーの勝利を願っていた。
昨年、私の愛する阪神タイガースを破って日本一になった、あのダイエーホークスをである。
負けたとはいいながら、力では西武に勝っていたようにも思う。
そのホークスだが、くしくも今日、親会社であるダイエー本体が、再生機構を活用せず、
あくまでも民間の支援を受けながら再建する意思を表明した。再生機構送りになれば、
"道楽"である球団経営など許されないというムードが高まるかもしれない。
たとえ身売りをしなければいけない事態に陥ったとしても、この素晴らしいチームを絶対になくしてはいけない。
近鉄選手と同じように、悲しい思いをする選手を、これ以上増やしてはいけない。
こんなにエキサイティングで、目を釘付けにするプレーを見せてくれるパ・リーグの火を絶やさず、
さらに発展させなくてはいけない。
優勝した西武を初めとする既存球団はもちろんのこと、新規参入する球団にも、素晴らしいドラマをお願いしたい。
と、言いつつ、セ・リーグファンの私は、日本シリーズは中日ドラゴンズを応援します。ってか、青同士で紛らわしいけどね。
本日のワインは、ソーテルヌで優れた貴腐を産出することで有名な、シャトー・リューセックが造る辛口。
もちろん、これも定評のあるワインだ。
色は、ACボルドーにしてはしっかりと黄色が入っている。
日なたの芝生のようなカラッとしたハーブ香、桃、トロピカルフルーツ、ベビーパウダーなどの香り。
ピリピリした酸がありながら、口に含んでいると桃のようなふくよかな甘味が広がる。
しかし、飲み込むと、その甘さはスキッと消える。鼻腔にほのかに甘いフレーバーが、
口中には塩辛いと思うほどのミネラル分や苦味、樽のミルキーさが残る。
この劇的な味わいの変化が、次の一口を誘い、いつまでも飲んでいたいと思わせる。
決して派手ではないが、質実剛健でまっすぐな造りかと思えば、適度に妖艶さも備える奥の深さが魅力。
入手価格は\2,089(本体価格1,990円+消費税99円)。成城石井梅田店にて。
特売だったので、通常なら500円くらいは高いかもしれない。だが、
それを前提としても、素晴らしい内容だと思う。
なお、ワイン名だが、私は"R"を"エール"と読んでいる。"エル"でもいいのだが、それだと"L"と区別がつかないので、
"R"は"エール"と書くことにしている。"アール"とは読みませんから、お気をつけくださいまし。
<評定:A>
2004年10月13日 ROUGE
MONTES ALPHA SYRAH 2002 / MONTES
モンテス・アルファ シラー / モンテス
チリ、DO:COLCHAGUA VALLEY
どうなるダイエー、どうなる西武。
あくまでも自力再建を主張していたダイエーが、一転、産業再生機構を活用することを決断した。
銀行側の強硬姿勢に、どうしても屈しざるを得なかったのだろう。特に主力行の筆頭UFJは、
自身の明日も不透明。そういった色々な力が働いてのことであろう。
経団連の奥田会長が、「借りたものを返すのが商道徳の基本」などと述べ、これまで多額の公的資金が注入されて生き延びてきた
ダイエーを批判した。当然の意見だと思う。
まったく比較にはならないけれど、私もいちおう経営者の端くれとして、借金を踏み倒して会社を延命させておきながら、
今さら「自力再建」だなんて言ってのける経営者の厚顔さには呆れる。同じ意見を持つ中小企業経営者は多いと思う。
だが、事はそう簡単ではない。そういった貧乏人のひがみ根性を、あたかも正論のように振りかざすことは、
私は嫌いである。倫理の問題は、実にもっともなことではあるが、倫理で解決できるようならそもそも事は難しくない。
「倫理」は、各企業が自ら自覚すべき問題であって、他者が断罪の道具に使ってはならないのである。
再生機構送りになったら、他にどんな影響があるだろう。万一、再生できずに潰れるような事態になったら、
経済全体にどんな波及効果があるのだろう。そういう大局的な見方だけが必要である。
経済全体の厚生を考えないで、
庶民のひがみ根性的倫理観だけで考えてしまうと、もっと大きなしっぺ返しとなって戻ってくる。
そもそも公的資金を使う時に、そういうことを国民にきちんと説明するのは政治の役目ではないか。
それができていないから、変な倫理観が単独で大手を振って闊歩するのである。
ところで、プロ野球パ・リーグでダイエーと戦って優勝をもぎ取った西武からも、大きなニュースが飛び込んできた。
堤氏が全グループ会社の経営から退くというのだ。すぐに会社がどうこうという話ではないが、今後の経営に少なからぬ影響があるだろう。
2社のこういった動きが、今後のプロ野球界にも何らかの影響を与えるに違いない。
せっかくライブドアと楽天という2社が参入申請をしているのだから、いっそのことホークスとライオンズを、
それぞれに買い取ってもらってはどうか。その上で、新たにシダックスに参入してもらえばいい。
買収してもすぐに手放すような会社では困るなどという意見もあるが、そもそも経営に失敗した既存球団の側は、
そんなことを言えた立場ではない。やらせてみればいいのだ。
本日のワインは、12本15,750円セットの10本目。濃いことで有名な、モンテスのシラー。
色は深いが、青みが強く、透明感もある。香りは、最近のこの作り手(コルチャグア産)に共通の、
煎じ薬とおしろいが入り交じったような香り(私は、おばあちゃんの鏡台の匂い、と呼んでいる)。
ミルクの香りも。
口中で粉っぽく、がさがさしたタンニンがまとわりつく。けれど甘味は適度で、酸が効いている。
01ヴィンテージに比べると、少しスリムになった感じか。
単体での通常価格は、\2,310(本体価格2,200円+消費税110円)。正直言って、かなり物足りない。
<評定:D>
2004年10月14日 BLANC
CHABLIS GRAND CRU BOUGROS 2000 / DOMAINE DU COLOMBIER
シャブリ・グラン・クリュ ブーグロ / ドメーヌ・デュ・コロンビエール
BOURGOGNE地方、CHABLIS地区、AC:CHABLIS GRAND CRU
今日は、ローカルネタ。
大阪ミナミで、ひとつのシンボル的存在だったソニータワーが、ついにキタへ移転することになった。
ソニー(ビル)といえば、関東の人はすぐに銀座を思い浮かべることだろうけど、
それと同じように、関西でソニータワーというと、それは心斎橋を連想させるキーワードであった。
もう17年ほども前になるが、私が初めて大阪にやってきた頃、すぐに好きになった都心の風景が、
西梅田から南の桜橋〜堂島あたりであった。その頃は夜になると人影は多くなく、
その寂寥としたよそよそしさが、コテコテの大阪とは一線を画していて、なんとも良い雰囲気であった。
もっとこの辺りが注目されてもいいと思っていた。
時を経て、今や難波・心斎橋を中心とするミナミよりも、梅田周辺のキタが時代の先端を行くことになった。
ブランドショップも心斎橋よりは、西梅田にシフトしつつある。
そしてついに、若者の待ち合わせの定番であるソニータワーも、西梅田に来ることになった。
東京が、時代と共に西へ動いているとすると、大阪は、だんだんと北へ動きつつある。
それは、古い蓄積がない所でこそ、新しい文化は育つということの証左であろう。
しかし、ひとつだけ危機感がある。
こざっぱりした所に大阪の中心が移ってしまうと、それは一種の東京化現象とも言える。
ミナミのごった煮的猥雑さが衰退してしまうと、大阪らしさがなくなってゆく。それはとても悲しいことだ。
さて、今日のワインは、売場で値段を見た瞬間に、次のようなことを考えた。
「この値段だから、きっとがっかりするんだろうな。まあいいや。やっぱりダメだったということを確認するのも面白い。
それに、予想に反して良かったらもうけもの」
いくらお手頃なシャブリとはいえ、グランクリュが2千円台だなんて、きっと何かあるはず。
という予想が、ばっちり当たってしまった。やっぱりうまい話はない。
色はレモンイエローから黄金色に移り変わる途上といった感じで、悪くない。
だが、香りがいただけない。ゴールデンデリシャスの蜜のようなたっぷり感はあるものの、
濡れ雑巾のような匂いがもわっと。
口の中でそれなりに甘味とオイリーさが広がるが、生臭さも共存。
「完全にやられている!」と言って殴り込みには行けない程度のグレーさ。
もちろん健全な状態でないことは疑いないが、飲めないほどでもない。
入手価格は\2,625(本体価格2,500円+消費税125円)。阪神百貨店にて。
そういうことだったのか・・。
<評定差し控え>
2004年10月18日 ROUGE
"TAILLEVENT" CHATEAU TANAIS OLIVIER 2001 / HAUT-MEDOC
タイユヴァン シャトー・タナイス・オリヴィエ / オー・メドック
BORDEAUX地方、HAUT-MEDOC地区、AC:HAUT-MEDOC
ホークスよ、ホークスのままで。
IT業界の雄(この表現も陳腐だが、ITという言葉も既に市民権を得てしまったようだし、
まあ良しとしよう)ソフトバンクが、ついにダイエー球団の買収に乗り出す。
ダイエー本体の産業再生機構入りによって、球団保有が難しくなるとの憶測が飛ぶ中、
待ってましたとばかりの本命登場である。
なぜ今この時期に?という質問に対し、孫社長は、別に楽天やライブドアを意識したわけではなく、
既に2年ほど前から独自に買収を打診していた旨を強調した。
孫氏自身が九州の出身で、少年時代に野球をやっていたということから、
九州で球団を持つことに大きな情熱を持っているというわけだ。だから、他チームではなく、とにかくホークスということらしい。
球団存続を考えれば、当のホークスファンも含め、異論は少ないと思うが、
問題は、今後ダイエーを支援する企業が売却を承諾するかどうかだという。
まあ、どこが支援に乗り出すにせよ、自社が球団まで積極的に支える意思がないとしたら、
好条件で売却できれば良い話だろう。
野球協約上の期限である11月末までに話がまとまることを期待したい。
いまやホークスは、12球団一の強豪チーム。日本プロ野球の宝と言っていい。
どこが買収するにせよ、現状のチームのまま存続をお願いしたい。
本日登場は、12種15,750円セットの11本目。といいながら、これが最後の1本である(というのは、
あと1種はワインではなく、チーズだからだ。ちなみに、既にワインといっしょにおいしくいただいた)。
タイユヴァンというのは、いうまでもなくあの有名レストランだが、そのセレクションによるもので、
wine shop enotecaにはたくさん揃っている。
色はやや青みがかり、若い感じ。香りは軽やかで、果実味が豊か。
やや線の細い印象もあるが、なめらかさと捉えたい。
タンニンも弱めで、アフターはさらっとしている。
単体での通常価格は、\3,150(本体価格3,000円+消費税150円)。
そんなにするのか!?というのが正直なところ。
絶対的な品質は、決して悪くはない。けど、ちと高くないか?
2,000円くらいなら納得かな。
ところでシャトー名のTANAISの I には上に点が2つつく(仏語で、この点々のことをtréma(トレマ)という。つまり、 Ï ね)。
普通 AI だとエという発音になるが、 AÏ ならばアイという発音になる。
だから、もしtrémaがつかなければ、タナイスではなく、タネというような発音になるだろう。
プチ仏語教室でした。
<評定:D>
2004年10月23日 BLANC
MAS DES BRESSADES "CUVEE TRADITION" 2003 / COSTIERES DE NIMES
マ・デ・ブレッサード "キュヴェ・トラディシォン" / コスティエール・ド・ニーム
LANGUEDOC-ROUSSILLION地方、COSTIERS DE NIMES地区、AC:COSTIERS DE NIMES
お詫び。
先週末から今週中頃にかけて、当サイトへのアクセスができない状態が続いていた。
サイト閉鎖したのか?というお叱りをいただいたり、多方面にたいへんご迷惑をお掛けした。
あらためてお詫びしたい。
申し訳ありませんでした m(_ _)m
当サイトが借りているサーバーの問題だが、こういうことがあるたびに、
コンピュータというものの脆さを痛感する。
では人に借りずに自前でサーバーを構築すればいいかというと、私のような素人がそれをすることは、もっとリスキーであろう。
落ちる落ちないの問題というより、ウイルスやスパイウエアの侵入とか、ハッキングとか・・。
だから、たびたびトラブルがあっても、レンサバ利用を続けている。
なぜかFTPでのファイルのアップ(+メール送受信)はできたので、毎日更新は続けていた。で、最初は私自身もアクセス不能状態に気づかなかったのだ。
ともあれ復帰して、ホッと胸をなで下ろしている。
ところで本日23日の夕方、新潟県を中心に、大きな地震が発生した。
震度6強が3回(?)というすさまじさ。
9年前に阪神淡路大震災を経験している私としては、地震と聞くと身が硬くなってしまう。
震災を経験したといっても、たかだかガラスで手を切ったくらいで、さほどの被害も受けていないが、
それだけに、たまたま難を逃れた自分が罪深いようにも思えてしまう。
被災地の皆さまに、心からお見舞い申し上げます。
という日にwineを開けるなんて、それこそ心苦しいのだが・・。
色は淡いレモンイエロー。黄色い花やクリームみたいな、華やかでいてやさしい香り。
これ、ヴィオニエかな?と思いきや、セパージュはグルナッシュ・ブランとルーサンヌだそうである。
そういえば、同じ品種を使うローヌあたり(場所的にも遠くないが)の白にも似たマヨネーズ香もある。
口の中に花束のような香味が広がる。しかし甘味はそれほど強くなく、抑制が利いている。
後味になぜかアールグレイみたいな紅茶香もあって、妖艶。
入手価格\1,470(本体価格1,400円+消費税70円)。阪神百貨店にて。
奥深くて、とっても見所のある1本。
<評定:B>
2004年10月24日 ROUGE
BOURGOGNE 2002 / CLAUDE DUGAT
ブルゴーニュ / クロード・デュガ
BOURGOGNE地方、AC:BOURGOGNE
時速200kmの恐怖。
今回の新潟県中越地震での大きな衝撃の一つは、開業以来初めてという新幹線の脱線だろう。
たまたま直線区間で減速中だったことが幸いして、脱線はしたものの転覆などは逃れ、
けが人は出なかった。これがカーブだったらと思うと、ぞっとする。
開業以来、事故による死者ゼロという驚異的な記録を続けている日本の新幹線は、言ってみれば
地球上で一番安全な乗り物。その確かな技術力の裏には、幸運という下支えもあることを思い知らされる。
年に10回以上は東阪間を新幹線で行き来している私(飛行機嫌い)は、無論新幹線に全幅の信頼を置いている。
実は来週も乗る予定だが、不運に見舞われないことを祈るだけだ。
地震の初期微動(P波)を検知して3〜4秒以内に送電をストップする「ユレダス」というシステムが搭載されているが、
時速200km以上で走行中にブレーキを掛けても、完全に停止するまでには数分かかる。直下型の大地震に対しては、
なすすべがない。まさに偶然がすべてを握っている。
ところでこの「ユレダス」という名は、Urgent Earthquake Detection and Alarm System(UrEDAS / 地震動早期検知警報システム)の略。
単なるダジャレではない。
「アメダス」(Automated Meteorological Data Acquisition System; AMeDAS / 自動気象情報観測システム)の二番煎じではあるけれど。
あ、そういえば「カサダス」なんてのもあったっけ。
さて本日は、週末スペシャル。
私がこれまで経験したACブルゴーニュの中では、間違いなく最高額と思われる。入手価格は\4,989(本体価格4,752円+消費税237円)。
色は、ピノにしてはかなり深い。香りは、グラスに注いだ直後は皮革っぽい感じとイチゴジャムのような感じが中心だが、
グラスを回すと火薬の炸裂する感じが出て来て、時間を置くと、今度はヨモギの葉のような緑っぽさも出てくる
(これは、若さのためだろう)。
この香りのダイナミックな変化だけで、ワインの底力がわかるというもの。
口に含むと、酸のアタックは弱めで、味わいの真ん中に、ミルキーな甘さがある。
それなのに、上ずった感じとか、底の浅い感じもなく、ぎっしりとした凝縮度はなかなかのもの。
そのまま口に含んでいると、確かにキュートな酸がある。タンニンも唇の裏にしっかり感じる。
やっぱりすごい。
なんでデュガのACブルなんて、わざわざ飲むのか?という疑義もあろう。
私だってホントはもっと上級品を飲みたい。けど、普通の日に、一見普通っぽいACブルだけども
こんなに高い、あまりお得感のないワインを開けるなんて、究極の贅沢ではないかと。
しかも、豚肉の生姜焼に合わせたんだよ。イケてるでしょ?
値段を考えれば確かにお得とはいえないけれども、こんなにとてつもないACブルに出会ったことは、
すばらしいことだ。
おいしい、おいしい。ホントにおいしい。
でも、以前だったらここまで高くなかったはずなんだけども。残念!
<評定:C>
2004年10月27日 ROUGE
SUNRISE CABERNET SAUVIGNON 2003 / CONCHA y TORO
サンライズ カベルネ・ソーヴィニヨン / コンチャ・イ・トロ
チリ
本当の決意が問われています。
イラクで日本人1人が武装勢力に拘束され、48時間以内に自衛隊を撤退させなければ人質を殺害する
とのメッセージが発せられた。
これに対して首相は、「自衛隊を撤退することはしない。テロを許すことはできない」と述べた。
前回の人質事件同様、おそらくY新聞とかS新聞は、「卑劣なテロに絶対に屈するな」という
バカの一つ覚えを繰り返すのだろう。まあ、それはいい。彼らは何の責任も取らないし、
観念論を振りかざすだけの外野なのだから。
それよりも、人間・小泉純一郎サンに言っておきたい。
あなたは最後まで、すべての責任を負うおつもりですか。たとえあなたがあなたの命を投げ出す覚悟があったとしても、
それで人質の命を贖うことなど決してできはしないということをちゃんと自覚していらっしゃるのですか。
あなたの常日頃の政治スタイルみたいに、ただカッコつけさえすればいい問題とは、まったく違うのですよ。
その決意がおありですか。
以上。
さて、またも重苦しい情勢で気が咎めるのだが、本題へ。
今日のワインは、先日のチョイスから大きく落とすことだけを考えて選んだかのような1本。
チリの普及版のしかもミニチュアびん(187ml)だ。入手価格は\366(本体価格349円+消費税17円)。
750ml換算で約1,470円となるが、通常1,000円かそれ未満で売っている。
色はしっかりと深い。青みの強い紫。
薬草のような甘苦系の香りにインクのような匂いも。
口当たりは甘いが、タンニンがしっかりあって飲み応えはあり。
どっしりと大地に根を下ろしているような味わい。
安いが安心して飲めるニューワールド廉価版の見本のようなワイン。
値段に見合った納得感あり。
<評定:C>
2004年10月28日 BLANC
BOURGOGNE HAUTES COTES DE NUITS 2001 / LIGER BELAIR
ブルゴーニュ・オート・コート・ド・ニュイ / リジェ・ベレール
BOURGOGNE地方、AC:BOURGOGNE HAUTES COTES DE NUITS
似たり寄ったりの新聞見解。こういう時が、いちばん危ない。
昨日、イラクでの人質事件について書いた。
本日の朝刊各紙の社説を見ると、私が予想したとおりの内容であった。
読売:『テロリストの脅しに屈しないのは、国際社会の原則だ。首相が揺るぎない姿勢をいち早く示したのは、当然である』
『人質になった邦人は、制止の声を振り切ってイラク入りしている。認識が甘かったのではないか』
産経:『小泉純一郎首相が直ちに示した「テロには屈しない」という大原則のもと、
「国として救出に全力をあげる」という政府方針以外に取るべき道はない』
『テロに屈し、人質犯の要求を受け入れれば、犯人らを助長し、新たな事件を生むだけ、ということはすでに周知の事実である』
日経:『自衛隊のイラク派遣は政府が国会の審議を経て決定した国策であり、テロリストの要求に屈して変えるわけにはいかない。
政府の対応を支持したい』
『それにしても人質となった香田証生さんはなぜこの時期にイラク入りしたのだろうか。あまり危険だとは思っていなかったとの情報もある。
無謀な行動だったと言われてもしかたないだろう』
毎日:『テロ組織の要求をのむわけにはいかない。首相の判断は当然である』
『香田さんは数カ月前に日本を離れたというから、イラクの状況を十分認識していなかったのかもしれないが、ヨルダンでイラクは危険だから行かない方がいい、と忠告を受けていたという。
にもかかわらず、イラク入りしたとしたら、軽率のそしりを免れない。無謀な行動であると批判されても仕方がない』
朝日:『前回の事件が起きたとき「脅迫を受け入れての撤退には応じることができない」と主張した。つらい判断ではあったが、
「無法な要求に弱い国だ」というイメージを広げ、同じような事件を誘発してはならない、などの考えからである。
私たちの立場は今回も変わらない。小泉首相は犯人の要求を拒否したが、やむを得まい』
『それにしても、今回は人質になった香田さんの行動に疑問が多い』
脅しに屈しないのは国際社会の原則(読売)とか、政府方針以外に取るべき道はない(産経)という
恐ろしく自信に満ちた発言は、いかにもだから、今さら何も言うことはない。
気になるのは、朝日の煮え切らない態度である。
犯人の要求を拒否したことを、やむを得ないの一言で片づけていいのか。
テロに屈しない態度を示せば、国の安全も人質の命も守られるのだろうか。そんなことを誰が保証するというのか。
軽率な行動が今回の事件を招いたという指摘には、私も異論はない。
本人にも大いに責任はある。だが、それを自業自得として切り捨てる権利など、誰にあるというのか。
落ち度のあった人間は犠牲になっても仕方ないとでも言うのか。
前回の人質事件で、盛んに「自己責任論」を展開したメディアは、
一方で、愛国心を喧伝する活動を積極的に行っている。
いざとなったら国民を見殺しにするような政府が運営する冷酷な国を、
どうして愛することなどができるだろうか。
そんな残酷な意見がまかり通るような国など、私は愛することはできない。
すべての新聞が、偏狭なナショナリズムを推進するような方向に向かおうとすることは、
絶対に阻止しなければならない。私は何度でも声を上げるつもりだ。
本日のワインは、試飲をしてから購入したもの。いわば納得ずく。
色はしっかりめのイエローグリーン。炒ったナッツのような炸裂した香りがまずあり、
少しウッディーな香りもする。グラスを回すと香ばしさが際立ち、そのあとにオレンジ
や、ミルクような甘い香りも。
ねっとりとアルコール感が高そう(と思えば、確かに12.5%であった)。
口に含むと、まずふくよかな甘さがオレンジ的酸とともに感じられる。
酸は清冽なのに、甘味は複雑。言いかえれば、キュートで、かつ、妖艶。
飲み込んだあとには甘さは残らず、キュッと酸が締めにかかる。
そして後味はすっきり。
ブルゴーニュに求められるいくつかの魅力をうまく併せ持っていて、押しつけがましくない。
とてもソフィスティケートされた味わい。
入手価格\2,520(本体価格2,400円+消費税120円)。阪神百貨店にて。
値段に比べて明らかにお買得。
<評定:B>
2004年10月30日 ROUGE
CHATEAU D'ARSAC 1997 (CRU BOURGEOIS) / MARGAUX
シャトー・ダルザック(クリュ・ブルジョワ)/ マルゴー
BORDEAUX地方、HAUT-MEDOC地区、MARGAUX村、AC:MARGAUX
勘違いなポチくん。
先日行われた秋の園遊会での棋士・米永邦雄氏(東京都教育委員)と天皇陛下とのやり取りが、物議を醸している。
米永氏が、「日本中の学校で国旗を揚げ、国歌を斉唱させることが私の仕事でございます」と言ったことに対し、
天皇陛下は、「やはり、強制になるということではないことが望ましい」と答えた。
宮内庁はこの天皇発言を、「政策や政治に踏み込んだものではない」と説明し、
細田官房長官も、「(天皇は国政に関する機能を有しないと規定する)憲法の主旨に反することはない」と述べた。
いずれも妥当な発言だと思う。強制しないというのが、従来からの政府の見解でもあるからだ。
天皇陛下の返答に対して、米永氏は、「もうもちろんそう、本当に素晴らしいお言葉を頂き、ありがとうございました」
と答えた。
ところで「国旗を揚げ、国歌を斉唱させる・・」って日本語、強制を意味するんじゃないの?
「させる」って、使役動詞ですよね。そんなことも知らない人が、教育委員なんてできるの?
「日本中の学校で国旗を揚げ、国歌を斉唱させることが私の仕事でございます」だなんて、
そんなお仕事がいつできたの? 誰がやれと言ったの? それでアンタいくらもらってるの? と、小一時間問いつめたい気分。
でもアンタ、そんなくだらない情熱と教育はぜんぜん関係ありませんから!残念!!
そもそも東京都の教育委員が、日本中の学校に対する権限などないからね。
それにしても「本当に素晴らしいお言葉」などというヘイコラした態度は滑稽至極だ。
もし「3回まわってワンと言いなさい」って言われたら、本当にやりそうだな、このヒト。「有り難きお言葉」とか言ってね。
「は〜いポチ。ポチ〜。お手!お座り!右向け右」斬り!!
さて、今日のワインは、パッと見、ニューワールドの新進気鋭の造り手みたいなボトルデザインだが、
なんとマルゴーのブルジョワ級。97年というのも、ちょうどいい頃かもしれない。
まず色だが、わずかにオレンジ系統に傾きつつあるかな?という段階。
香りは土、枯草、黒い果実などの中に、皮革あるいは落ち着いた動物臭みたいなものもある。
口に含むとほんのり甘く、酸とのバランスも良い。タンニンはこなれていて、なめらかな喉ごし。
後味もきれい。
Aujourd'hui, la propriété recouvre un vignoble de 40 hectares
en appellation Margaux complanté de Cabernet sauvignon(60%) et de Merlot(40%).
(今日では、この造り手は、ACマルゴーの地区内にカベルネ60%、メルロー40%の植えられた40ヘクタールのぶどう畑を回復するに至っている)
とあるが、当然のことながら、このキュヴェのカベルネ:メルロー比率はわからない。が、どっちかが極端に多いということは無いような気がする。
なんて、知ったかぶりしたりして。両方の良さが拮抗しているような気がするので・・。
入手価格は、\2,389(本体価格2,276円+消費税113円)。成城石井梅田店にて。
マルゴーらしい優しさがあって、スパイシーさもあって、なかなかすばらしい。
文句なし、値段以上のクオリティです。
<評定:B>