利酒日記 kikizakenikki

2004年11月


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2004年11月3日  BLANC 
CHATEAU LANDEREAU 2003 / ENTRE-DEUX-MERS
シャトー・ランドロー / アントゥル・ドゥー・メール
BORDEAUX地方、ENTRE-DEUX-MERS地区、AC:ENTRE-DEUX-MERS

Ch.Landereau 03  人質殺害事件が示した、今の日本世論の病みよう。

 イラクで武装勢力に拘束され、予告どおり殺害されてしまった香田証生さんが無言の帰国 をしたと報じられた。
 前回の人質事件のとき、倒錯した「自己責任論」が巻き起こったが、 日本の民度は、あのときとまるで変わっていない。幼稚なままだ。
 今回の被害者の家族は、憔悴しきっていてマスコミの前で発言できるような状況でなかったというのは そのとおりだろうが、そもそも今の日本は、自由な発言などとても許されるような国情ではないのだ。 だから、すべてが終わってしまったあと、政府に対して「ありがとうございました」と言うのが精一杯であり、 それゆえ、被害者や家族へのバッシングは、当初よりも少なくなっていった。
 助けてもらえなかったのに「ありがとう」と言われてしまっては、もう批難する理由がなくなる。 そういう従順さ、おとなしさが、被害者にすら求められるというこの国の病みよう。
「自分の勝手で行ったのだから国が助ける必要はない」などと、平気で発言する人が少なくないが、 個人の意見はともあれ、「国の意向に従わない人間の命は守らない」などという恐ろしい国にだけは なって欲しくない。どんなときにでも国民の命を守るのが国の義務であろう。 人間としてそんな当たり前のことを否定するような政府や、それを支持する世論が蔓延していることが、 私には恐ろしくて仕方ない。
 ひとつ確認しておくが、国民一人一人が、個人としてどんな発言(例えば、無謀な渡航者は見殺しにしろ、などという意見) をしようがかまわないし、その自由は絶対に保障されなければならない。 だが、国策として「命より大切なものがある」などということを肯定してはならない。 たとえ首相や閣僚のバカどもが個人的にはそう思っていたとしてもである。 「テロに屈するな」などという"お経"は、常に安全な場所にいる人間が唱えるものだ。
 もっと自分の問題として考えるまともな頭を持ちなさい、と言いたい。
 被害者を批難するような人と、一度徹底的に議論してみたいと思うが、 私は、絶対にそんな人と親しくなることはないだろう。どんな論理であれ、命を救うことを最優先にしないような 冷血な人間にだけは、私はなりたくない。

 さて、今日のワインは試飲をして購入したもの。 シャープな白が多いことで有名なENTRE-DEUX-MERS地区。
 まず、黄色みの強い色に驚く。黄色い花やオレンジ、クリームなど、ふくらみのある香り。
 口中では、確かに酸が中心で、若干苦味もあるものの、なめらかでふくよかで、陽気な南方系。
 知らずに飲んだら、ローヌあたりかな?それとも南米かな?などと思ってしまう。 このAOCでこれほど厚みのあるものは初めて。
 入手価格は\1,848(本体価格1,760円+消費税88円)。阪神百貨店にて。
 試飲して、驚いて入手したが、冷静に評価すれば、やや大味だとも言えなくない。 異端児として存在意義は小さくないが、もう少し安いといいな。
<評定:C−>

2004年11月5日  BLANC 
DOMAINE CHIROULET "LES TERRES BLANCHES" 2003 / VIN DE PAYS DES COTES DE GASCOGNE
ドメーヌ・シルレ "レ・テール・ブランシュ" / ヴァン・ド・ペイ・デ・コート・ド・ガスコーニュ
V.d.P.

Dom.Chiroulet Les Terres Blanches 03  世界は、どこへ行くのか。

 アメリカでブッシュ大統領が再選され、日本の株式市場は、それを好感したようだ。
 確かに、もしケリー氏が大統領になったら、日本に対して厳しい経済政策を取るかもしれない。 だから、経済界としては、ブッシュ政権が続くことを望んでいたのだろう。
「誰が大統領になっても、日米協調、友好路線は変わらない」と表向きには言っていた小泉首相だが、 本音ではホッとしているに違いない。ブッシュが敗れれば、イラク戦争を支持した自分の立場も危うくなることは必至だからだ。
 今回の大統領選は、9.11以降のアメリカが、極めて保守的になったことをそのまま写した結果となった (と同時に、健全なバランス感覚も持ち合わせていることも証明した)。
 保守的というのは、言いかえれば、他国を踏みにじっても自国だけを守るということであり、 そのためには理不尽な暴力も積極的に肯定するということであろう。
 今回ブッシュ氏が、特に女性に訴求した側面として、キリスト教的な「倫理観」が指摘されている。 妊娠中絶の禁止や、同姓婚の禁止などの政策を指すが、そもそもそれらを「倫理的」と評すること自体、私にはたいへんな違和感がある。
 私がキリスト教徒ではないということが、もしかすると大きな原因なのかもしれないが (いちおうプロテスタント系の大学で聖書を学び、礼拝にも出たけども・・)、中絶の問題は難しいので置いておくとしても、 同姓婚がなぜ非倫理的なのか、私にはさっぱりわからない。いずれにせよ、「女は男のために子供を産み、家庭を守ってればいいんだ」的 思想が透けて見えて、たいへん気分が悪い。私は男だが、そういう類の男が大嫌いなのだ。
 アメリカ、そして日本は、なぜここまで先祖返りしてしまったのだろうか。 どちらの国も、表面的にはとても威勢が良く、何かというと暴力に訴えたがるくせに、実はどうしようもなくへなちょこの臆病者 という典型的な"男性"が、国を動かしているからかな。男性社会の限界というものを、 感じざるを得ない。
 大統領選期間中、ブッシュ氏のサイト http://www.georgewbush.com/ は、 米国外からのアクセスを制限していたらしい(歌田明弘「仮想報道 Vol.360」週刊アスキー2004-11-16号、136ページ)。
 集票のため、米国民の自サイトへのアクセスを阻害しないように考えての外国人排斥行動ではないかと、歌田氏は分析する。 もしそれが本当だとすると、なんという独りよがりの行動か。そういう男を、関西弁では「へたれ」と言います。
 力で力を抑える、という発想では、決して世界に平和は訪れない。しかし、そうは考えない人たちが、今、大国を牛耳っている。 あーあ。
 今日、国会で、「自衛隊派遣は継続する」と力強く発言していた小泉氏。1人の若者の命が無惨に奪われた直後ですよ。 あなたは何も責任を感じないんですか? とても正気ではいられない状況のはずなんだけど・・。 そういう鈍感な人間だから、ブッシュ氏と仲がいいんだね。
 もう私は政治に何も期待しない。ただ、お願いだから、殺し合いを肯定する政策だけはやめてくれ。

 閑話休題。
 今日のワインは、久々のV.d.P。
 色はほんのり淡いグリーン。香りは最初、石油が感じられ、グラスを回すとレモンやグレープフルーツなどのシトラスな感じが。
 酸のアタックがそこそこ強く、それと共にグレープフルーツ的ほのかな甘さが。
 それ以上押しや深みはなく、キリッとした味わいが特徴。このすっきり感を楽しむべきワイン。
 入手価格\1,589(本体価格1,514円+消費税75円)。成城石井梅田店にて。
 セパージュが書かれていないので、何かわからない。ミュスカデに似てるけど、シュナン・ブランとかかな?  もしやソーヴィニヨンだったりして? いや、それはないか。
<評定:C>

2004年11月7日  BLANC 
CELLIER DES CHARTREUX VIOGNIER "LES ILES BLANCHES" 2003 / VIN DE PAYS DU GARD
セリエ・デ・シャルトルー ヴィオニエ "レ・ジール・ブランシュ" / ヴァン・ド・ペイ・デュ・ガール
V.d.P.

Chartreux Viognier 03  ねえ、ママ。ママ。ボクって強いでしょ?勇ましいでしょ?

 ブッシュ氏が再選され、いま日米は、歴史上最高の蜜月関係にあると、政治評論家は言う。
 いや、正確に言えば、国同士の関係などではない。
 鼻息だけが荒い臆病者同士の大統領&首相がお互いにおだて合い、 気にくわない敵を次々"ならず者"と呼び、制圧を企て、 ほらボクたちってこんなに強いでしょ?勇ましいでしょ?褒めてよ、ねえママ、的な マザコン劇を繰り返しているだけのように見える。
 米国の暴走に、仏を初めとする欧州諸国はとまどい、冷め切っている。 このまま米がイラク政策の失敗を認めず暴走し、日本がそれに追随するなら、 日米2国が完全に国際社会のはみ出し者になると指摘する学者もいる。 次はイランを攻めるから、日本も攻撃に参加せよと強要してくるかもしれないとの指摘もある。
 米国の共和党、そして日本の自民党を初めとする政治家の皆さん。 戦争を肯定するなら、まずあなた自身が銃を持って戦地に行きなさい。自分の子供も一緒に連れて行きなさい。 それができないのに、自分だけ安全なところにいて、「平和のためには力も必要だ」 などという屁理屈を並べて、自国民を見殺しにしてでも自分の手柄にしようなんて、 卑怯で薄汚いことを続けるのは、もうやめなさい。

 さて、2本続けてのV.d.P.白。試飲の上get。
 色は黄色みが強く、淡いゴールドとも言える。 バラの花のような華やかさと、桃のようなスイートで可憐な香り。 ヴィオニエらしさが満開。シンナーのようなツンとした感じも。
 香りにたっぷり感があるのに、口当たりはスマート。酸が立っていて、 甘味はほどほど。ほのかに桃のような後味も残るが、キリッとスッキリしている。
 入手価格は\2,100(本体価格2,000円+消費税100円)。阪神百貨店にて。
 試飲してびっくりして入手したが、じっくり味わって、あらためてすごさを実感。
 V.d.P.のヴィオニエは、ほとんどの場合、ぼやけた甘味が残るものだが、 こんなにスッキリしていて、それでいて華やかさもあるなんて、すごい。 コンドリューと比べても遜色はない、と言ったら言い過ぎか。
 倍の値段でもいいかも!?
<評定:A>

2004年11月8日  ROUGE 
BOURGOGNE PINOT NOIR 2002 / ROBERT GROFFIER PERE & FILS
ブルゴーニュ ピノ・ノワール / ロベール・グロフィエ・ペール・エ・フィス
BOURGOGNE地方、AC:BOURGOGNE

Groffier Bourgogne 02  時間がないので、手短かに。

 遅い夕食をとりながら、報道ステーション(テレ朝系)を見ていた。
 石原慎太郎氏が出演して、司会の古舘伊知郎氏と 議論の火花というか、単なる言い合いというか、ほとんどけんかをしていた。
 石原氏によれば、中国は経済力がなくて、とんでもない国で、 これ以上彼らの言いなりになんかなる必要はなくて、都教委は国旗国歌の強制はしていなくて、 教員に都教委の指導に従わせることは強要ではなく当然のことで、 日本国憲法はとんでもない代物で、その前文はどうしようもなく汚く間違っているそうである。
 らしい発言だから、新しい発見もなにもない。 だが、これを見て少なからぬ国民が溜飲を下げているかもしれないことを想像すると、 この国がとっても不憫に思えてくる。
 以上。忙しいので(+アホらしいので)、ワインのコメントを書いたら、私は仕事に戻ります。

 美しいルビー色でエッジはピンク。 イチゴジャムとゴムみたいな匂い。グラスを回すと火薬やイオウが。
 口中で果実味が炸裂。タンニンはやさしく、酸はしっかり。 誰が味わってもピノ以外に間違えようがないだろう(って、ワイン詳しくない人には当然わからないか)。
 入手価格は\3,360(本体価格3,200円+消費税160円)。阪神百貨店にて。
 ACブルゴーニュにしてはいい値段だけれども、それなりのことはあった。
<評定:C>

2004年11月11日  BLANC 
BOURGOGNE ALIGOTE 2002 / JAYER-GILLES
ブルゴーニュ・アリゴテ / ジャイエ・ジル
BOURGOGNE地方、AC:BOURGOGNE ALIGOTE

Jayer-Gilles Aligote 02  強制される奉仕活動は、ボランティアとはぜんぜん違いますから!残念!!

 東京都教育委員会が、07年度からすべての都立高校で「奉仕体験活動」を必修教科として導入することを決めた。
 都教委に関しては、当日記でも再三取り上げているが、 いかにもやりそうなこととはいえ、やはり黙って見過ごすわけにはいかない。
 メディアによっては「ボランティア活動の義務づけ」などという表現をしているものもあるが、 これは決して「ボランティア」ではないから、絶対に混同してはならない。 また、そうやって「ボランティア」という言葉を上手に使おうという姑息な企てに、絶対にだまされてはいけない。
 volunteerとは、「志願者」とか「有志」のことであって、自らの意志で自発的に行動を起こす者のことをいう。 学校やお上などに強制されて行うものをボランティア活動とは絶対に言わない。 こんな単純な英単語の使い方を間違える、あるいはわざと誤用するような愚かしいことをやっているなんて、 あきれて物も言えない。
 奉仕を強制される者のことを「奴隷」という。都教委は、生徒を「奴隷」にしたいようだ。
 規律や規則に隷属し、一切反抗しないロボットのような人間を作りたいと思っているジイサン連中の企てに対し、 「確かにボランティアはいいことだ」などというおバカな反応だけはしてはならない。 そういう思考停止状態の人間をたくさん作って、国を一方向に統率したい過激派の思うつぼになってしまうぞ。
 都内の中学生の皆さん。都教委のこういう姿勢を踏まえた上で、高校を選びましょう。

 本日のワインは、以前に01ヴィンテージを試しているジャイエ・ジルのアリゴテ (ジャイエ・ジルと入力して変換すると、私のATOKでは「邪家・汁」となった。なんだかイヤだな・・)。
 色はアリゴテにしては濃いめ。かなり黄色みがある。 香りは乾いたワラみたいなハーブ香に、鋭い柑橘香。ヨーグルト的クリーミーさも若干。
 口に含むと酸の鋭さだけでなく、甘味を伴った確かな味わいがある。 だが、アリゴテらしい切れ味もある。
 入手価格\1,995(本体価格1,900円+消費税95円)。阪神百貨店にて。
 概ね値段に見合っている。
<評定:C>

2004年11月14日  BLANC 
BOURGOGNE ALIGOTE 2001 / ROUX PERE & FILS
ブルゴーニュ・アリゴテ / ルー・ペール・エ・フィス
BOURGOGNE地方、AC:BOURGOGNE ALIGOTE

Roux Aligote 01  忠犬の話。

 忠犬と言ってすぐに思い出すのは、やはり忠犬ハチ公だろう。
 学生時代、私は渋谷を本拠にしていたから、毎日のようにハチ公前を通っていた (と言っても渋谷上級者が人と待ち合わせをする時には、ハチ公の真ん前みたいに人が多くてわかりづらい所よりも、 少しずれた場所を指定することが多いのだが)。そういう個人的思い入れもあるが、 関西に定着した今では、行く機会もめっきり少なくなった。
 よく、犬派、猫派という言い方があるが、私はどちらかというと猫派である。
 犬も嫌いではないが、自称犬派の人たちの言い草が嫌いだ。 いわく、犬は賢い、犬は芸を覚える、犬は猫と違って従順だ・・。
 賢いから、言うことを聞くから好きだという、その発想が私は大嫌いなのだ。 猫は自分勝手で気まぐれだから嫌いだという、その傲慢さが私は大嫌いなのだ。
 人間は動物より偉いのか? 人間に動物を支配する権限があるのか?
 そもそも私は、ペットを飼うという行為自体が、人間のエゴのように思えて、 動物が不憫でならない。
 米国のブッシュ大統領が、英紙記者から「ブレア首相はブッシュ大統領のプードル(忠犬)か?」 と質問を受け、当のブレア氏が割って入って、ブッシュ氏に「Yesと答えないで」と言って、一同の笑いを誘ったという。
 ブレア氏は、「我々は米国の同盟国だからテロと戦っているのではなく、 戦いに信念があるからこそ同盟国なのだ」とも言っている。詭弁だね。
 詭弁と言って忘れてならないのは、わが国首相だろう。
 もし、世界中のどこででも戦火が起こったら、日本の自衛隊を送るといい。 そうすれば、あ〜ら不思議。そこはたちまち、「非戦闘地域」になってしまうとさ。
 日本の忠犬が、そう言ってるもんね。

 本日のワインは、先日に引き続き、またアリゴテ。
 色は淡い麦わら。レモンとりんごと乾いたハーブ香。
 口中で酸がぐいぐい押してきて、とってもアリゴテらしい。 ミネラルも十分で、ただ酸っぱいだけではない。
 このフレッシュ感は、魚介類にぴったり。今日は刺身盛と共に楽しんだが、 鯵とも鯛ともイカとも合っていた。ハマチやマグロとは今一つだったが。
 入手価格\1,589(本体価格1,514円+消費税75円)。成城石井阪急三番街店にて。
 最後にお約束のひとこと。
「アリゴテ続きで、ありごてー」・・ってゆうじゃな〜い。
 拙者、レストランで食前酒にキールたのんだことありますから、切腹!!

 ところで先日、新しいモバイルPCを買って、ごきげんの私 (詳細は、こちらをご覧あれ)。 今仕事がとっても忙しいが、これでまた一層仕事も楽しくなるというもの。
 自分の意のままに使いこなすのは、機械だけにしましょう。
<評定:C>

2004年11月16日  ROUGE 
CHOREY-LES-BEAUNE 2000 / NICOLAS POTEL
ショレイ・レ・ボーヌ / ニコラ・ポテル
BOURGOGNE地方、COTE DE BEAUNE地区、AC:CHOREY-LES-BEAUNE

Nicolas Potel Chorey-les-Beaune 00  いつも怒ってばかりなので、たまにはほのぼのした話題を。

 天皇家の長女、紀宮さまの結婚報道が世を賑わし、暗い話題の多い昨今の雰囲気を、 少なからず明るくしてくれた。
 結婚というのはある意味不思議なもので、二人を知る人たちのコメントを聞くにつれ、 こんなにぴったりした相手が世の中にいるものなんだなあ、と感動すら覚える。
 皇族の話だから一般人とまったく同様に語ることはできないが、 30代後半に結婚というのも、今の世相を映し出している。 女性が自立しているというのが、その理由の一つだろうか。 それでもやはり、一緒に歩んでもいいと思える人が現れてしまう巡り合わせというか、 運命みたいなものを、そこに感じざるを得ない。
「現実はそんなドラマみたいなもんじゃない」とおっしゃる方もあろう。 でも、自分が結婚したときのことを考えると、やはり私も、 「そうなる以外に道はない」という確信めいたものを感じた記憶がある。 こんなこと大まじめに書くと、恥ずかしいけどね。
 それが確信なのか、一時の熱病なのか、単に魔が差しただけなのかはわからないけれども、 人生って結局、そういう成り行きの連続なのだろう。
 紀宮さまと黒田氏のように、はたから見て「お似合い」と言われる二人で居続けること、 それが結婚生活に課せられた宿題なのかもしれない。

 本日登場は、久々ブルゴーニュの村名クラス。
 色は淡く透明感のあるルビー。 香りの最初に、炸裂する火薬のような感じがあり、続いてゴムのような感じと、 イチゴジャムの匂い。グラスを回すと、その甘い雰囲気とアルコール感が際立つ。
 酸のアタックはそこそこで、口中でも豊かな果実味が主張。 小柄で可憐な印象。タンニンはなめらかで、重たい感じはない。
 入手価格\1,980(本体価格1,886円+消費税94円)。カルフール箕面店にて。
 特に目立った長所はないけれど、この値段にしては、まあまあではないかと思う。
<評定:C+>

2004年11月18日  ROUGE 
BEAUJOLAIS-VILLAGES NOUVEAU 2004 / JOSEPH DROUHIN
ボージョレ・ヴィラージュ・ヌーヴォー / ジョセフ・ドルーアン
BOURGOGNE地方、BEAUJOLAIS地区、AC:BEAUJOLAIS-VILLAGES

Beaujolais-Villages Nouveau 2003 Drouhin  クロネコがんばれ。

 コンビニのローソンで、今日から郵政公社の「ゆうパック」を扱うことになり、 ヤマト運輸の「宅急便」の取り扱いは終了した。
 以前にも書いたことがあるからしつこくは書かないが、郵政公社は、いくら現在シェアで負けているからといって、 民営化前に官の恩典を享受しながら競争市場に参入してくるのはフェアじゃないし、 ヤマトの言うように民業圧迫そのものである。私は、ヤマトを応援する。
 丁寧さ、正確さ、再配達等の融通の利かせ方など、ヤマトはピカイチである。 私は、荷物を送るときはいつも、セブンイレブンからヤマトの「宅急便」を利用することに決めている。
 民にできることは民に、という耳障りの良い言葉の反対側で、メガバンクに公的資金を注ぎ込み、果ては国有化するという なんともちぐはぐなことを推進しているのが、竹中・小泉改革の可笑しさ。もっとすべてをオープンにして、民意を問うべきである。
 ところで、昨日付の「小泉内閣メールマガジン」 第163号を読んでいたら、「シリーズ郵政民営化」に2人が寄稿していた。 1人は、郵政民営化に関する有識者会議メンバー・宇田左近氏。もう1人は、全国特定郵便局長会会長・高橋正安氏。
 この2つの寄稿が、当然のごとく、まったく文脈の違う内容。
 私が驚いたのは、特定郵便局長会会長の文章を、メルマガに載せたということだ。
『全国の特定郵便局長たちは、今、大変な不安と憤りの中に在ります。』という文章から始まるその寄稿は、 内閣の姿勢にいわば反旗を翻すもの。特に傑作なのは、次のくだり。
『今、政府が進めようとしている「郵政事業の民営化」は、このお客さまか らの信頼、お客さまの安心という一番大切なものを失い、ひいては、郵政事 業として成り立っていかない道を選択することになるのではないかと、強く 懸念しております。』
 いいぞ、やれやれ! と、私は思ってしまった。
 自分と合わない意見は黙殺し、問いつめられればシラを切るというのが、 小泉首相の常套手段だが、内閣メルマガにこういう寄稿を認めるなんて、とても珍しいこと。 でも、こういったリベラルな態度こそ、民主主義の基本である。私は久々感心した。この調子で続けて欲しい。

 さて、今日は解禁日につき、当然ヌーヴォーを開ける。
 昨年も買った、ドルーアンのヴィラージュ(ハーフボトル)だ。
 色は適度に透明感のある紫。昨年よりは薄いようだ。
 香りはタンニン分を感じさせる引き締まったもの。ただ、フレッシュなイチゴと、ほんのりドライバナナみたいなヌーヴォーらしさもある。
 口中でその華やかさと、しっかりめの酸がうまく融合。タンニンも適度。一本芯が通った味わい。
 史上最高と謳われた昨年よりも、今年の方がバランス良いんじゃないの?
 しっかりワインを飲んでる感じもあるし、フレッシュさもあるし。素直においしいなと思えた。
 入手価格は\1,680(本体価格1,600円+消費税80円)。阪神百貨店にて。
 今年の売場の盛況さや、高いものから売れてゆくような雰囲気を見ると、景気は順調に回復してるみたいね、って実感した。
<評定:A>

2004年11月19日  ROUGE 
BEAUJOLAIS NOUVEAU 2004 / BOUCHARD AINE & FILS
ボージョレ・ヌーヴォー / ブシャール・エイネ・エ・フィス
BOURGOGNE地方、BEAUJOLAIS地区、AC:BEAUJOLAIS

Beaujolais Nouveau 2004 Bouchard Aine  悲しいときぃー。

 悲しいときぃー。
 ボージョレ・ヌーボーを買いに行って、 今年はどれにしようかと物色していたら、 「お客さま、こちらのボジョレー・ヌーボーは、 特別な畑で今年採れたぶどうだけで作られたワインで、 フレッシュでフルーティーな味わいの・・・」 と、慇懃で適当な接客をされたときぃー。
 悲しいときぃー。
 売場でボトルを手にとって、一生懸命ラベルを読んでいるお客さんが、 どうみても普段ワインとは縁遠い生活をしてそうで、 しかも絶対にフランス語など読めそうもないオバタリアンだったときぃー。
 悲しいときぃー。
 ボジョレー・ヌーボーって、赤とどっちがおいしいの? って聞かれただけで終わらず、輸入ものと国産とどっち買ったらいいの? と聞かれたときぃー。

 さて、今日のヌーボーは、とてもエチケットのきれいなブシャール・エイネ。
 色は鮮やかで明るい紫。イチゴジャムや蒸しバナナなど、 まさにヌーボーらしい香りとともに、かすかに土の香りがする。
 口の中で豊かな酸がはじけ、花のようなフレーバーが広がる。 ストレートな味わいだが素性が良く、ちゃんとワインを飲んだという気持ちにさせてくれる。
 ハーフボトルで、入手価格は\1,449(本体価格1,380円+消費税69円)。阪神百貨店にて。
 まだ2本しか飲んでないから一般論は語れないが、 なんだか今年は味のバランスが昨年よりもいいのではないかという気がする。 強すぎないし、軽すぎない。赤ワインという感じがちゃんとする。
 ちなみに、毎年ヌーボーの評価に関しては、「ヌーボー基準」を採用している。 つまり、飛行機代が乗っている分だけ、コストパフォーマンスが悪いのはヌーボーの宿命で、 通常のワインと同じ基準で評価してしまうと、どれも低評価になってしまう。 そこで、通常のワインよりは割高であることを前提として、ヌーボーレベルにおけるコストパフォーマンス を計ることにしている。
 つまりAやBというのは、ヌーボーだからこの値段にしては素晴らしいということなのであって、 これが船便で来る普通のワインだったら、2ランクくらい下がると思って頂きたい。
<評定:B>

2004年11月20日  BLANC 
MUSCASDET PRIMEUR 2004 / SAUVION & FILS
ミュスカデ・プリムール / ソーヴィオン・エ・フィス
VAL DE LOIRE地方、PAYS NANTAIS地区、AC:MUSCADET

Muscadet Primeur 2004 Bouchard Aine  魂の叫びだから、伝わるんです。

 今日、といってももう日付が変わっていたので21日(日)だが、 午前0時からCX系「僕らの音楽」(TV編成上は、20日24:00〜24:30。関西テレビでは。)に、我らが大塚愛ちゃんが出演していた。
 私は、我が家の液晶でもないプラズマでもない普通のブラウン管ワイドテレビの前で釘付けになって見ていた (ここで読者の皆さんにご忠告申し上げておくが、既に妻子が寝静まった後のリビングで、ひとり愛ちゃんに見入っている 40過ぎの男、という画を想像しないで頂きたい。自分でも気持ち悪いんだから)。
 この「僕らの音楽」という番組は秀逸な番組で、私は密かにファンである。 毎回1人(又は1組)のアーティストについて、その音楽の背景などを掘り下げてゆく。 ただ、30分番組だから、相当に食い足りない部分はあるが、ナビゲーターに鳥越俊太郎氏を起用したところが、 適度に真面目っぽくて、適度に艶っぽい雰囲気を出していて、なかなかよい (鳥越サンって、イイ年したオッサンなのに、なんであんなに男の色気出してんだろうね)。
 番組の中で、こんなやり取りがあった。
 (鳥越氏)恋愛の歌が多いんだけど、実体験に基づいてるの?
 (愛ちゃん)あはは。そうですよ。
 (鳥越氏)随分、あっけらかんとしてるね・・。
 このような質問を受けると、アーティストによっては、 「体験もあるし、創作もあります」なんて答える。でも、それって嘘っぽいよね。
 私は、自分が歌を作っていた経験から言うと(今まで明かしたことがなかったが、これは嘘じゃないよ、ホントだよ)、 恋愛の歌は、ほぼ間違いなく実体験であると言っていい。もちろん実体験だけでは限度があるので、 想像で詞を書くことはあるだろうが、もし詞先で曲が後だとすると、曲を書いている間になんだか飽きてしまうことが多い。 魂がこもっていないと、情熱が続かないのだ。
 私は小学生の頃に作曲を始め、中学生の頃から詩を書き始めた(しかし、ほぼ30才前にやめてしまった)。
 詩は、やり場のない感情のはけ口だったし、悲しい体験をしたときほど、 良い詩が書けたものだ。メディアに載せてもらったこともあるんだよ。
 幸せなときは、芸術は生まれない。 友人に聴かせて、「いいね」と言ってもらえた曲は、決まって悲しい実体験を歌ったものだった。 私は素人でありながら、こういう体験をしているから、プロの歌を聴いても、それが実体験なのかどうかは、 わかってしまうのだ。
 愛ちゃんが「大好きだよ。」のプロモビデオで大粒の涙を流しながら歌っている姿を見ると、 その魂の叫びが伝わってくるんですよ、ご同輩!

 さて、本日のワインは、ヌーボーはヌーボーでも、ミュスカデ・ヌーボー(プリムール)。
 まず色はほとんどなく、甘口の日本酒よりも薄いのではないかと思う。 香りはグレープフルーツ的柑橘香と、ユーカリのようなスッとした感じ。
 当然酸が強いのだが、なぜかモルトウイスキーのような芳醇さも感じられて、 飲み応えは十分。後味は、ひたすらスッキリ。ある意味単調だが、小気味よい。
 入手価格\1,800(本体価格1,715円+消費税85円)。成城石井阪急三番街店にて。
 これも「ヌーボー基準」で評価すれば、なんとも素晴らしいワインである。
<評定:A>

2004年11月21日  ROUGE 
CHATEAU CARBONNIEUX (GRAND CRU CLASSE) 1997 / PESSAC-LEOGNAN
シャトー・カルボニュー (グラン・クリュ・クラッセ(グラーヴ地区)) / ペサック・レオニャン
BORDEAUX地方、PESSAC-LEOGNAN(GRAVES)地区、LEOGNAN村、AC:PESSAC-LEOGNAN

Ch. Carbonnieux Rouge 97 Demi  思考停止状態の人々。

 日米首脳会談で、小泉首相は、イラクの復興支援を継続する考えを表明した。
「復興支援」それ自体は、国の取るべき態度として当然であるが、自衛隊派遣を継続することが 本当の支援なのか?ということを考えて欲しい。
 TV討論などを見ていると、「今自衛隊を撤退すれば、テロリストを勢いづかせるだけだ」 という発言をする政治家や評論家が少なくない。賛同する国民も多いことだろう。だが待って欲しい。
 テロリストの行為が許されないものであることは誰にも異論はないが、 「テロを許すな」という単純なスローガンのもとに思考停止している人々が多すぎる。
 なぜ自衛隊が帰ってくると、テロリストを喜ばせるのか? そもそも自衛隊は「復興支援」に行ってるんじゃなかったのか? それならテロ組織に対する影響力なんてないはず。自衛隊が行って、テロの抑止力になるというなら、 それはまぎれもなく自衛隊が軍隊として行っているからじゃないのか。
 戦争に行くんじゃないと言いながら、テロを抑止していると言うのは、明らかに矛盾だ。 政治家や評論家のこんな程度の発言に唆され、「テロを許すな」というバカの一つ覚えを繰り返している 国民もまた、レベルが低いと言わざるを得ない。もっと論理的に物事を考えよう。

 さて本題。
 今日も本当は新酒と行きたいところだったが、夕食がヒレステーキだったため、 しっかりしたワインが欲しいと思い、これにした。 私が大の肉好きのため、我が家には月に何度もステーキの日があるのだ。
 カルボニューといえば、高C/Pワインとして白の方が有名で、私も幾度となく飲んだことがある (当日記に取り上げたのは1度だけだが)。しかし、赤は初体験である。
 色はいわゆるガーネット色で少々くすみのある感じ。 香りは、なめし革+土、甘苦い薬草、メントールのようなスーッとした感じ。
 味もスーッと1本筋が通ったように、ストレートな感じ。 タンニン分は柔らかく、とげとげしさはない。ちょうどよい頃合いか?
 ハーフボトルで、入手価格は\1,564(本体価格1,490円+消費税74円)。成城石井阪急三番街店にて。
 通常の値段よりは少し安かったかもしれない。だが、たとえあと2割くらい高かったとしても、この内容なら、充分すぎるくらい。
 さて、肉好きの話だが、知人などに言わせると、「男も30を過ぎたくらいから肉よりも魚や野菜がよくなるものだ」という人が少なくない。 「遅かれ早かれみんなそうなる」などとも。
 私は、残念ながら、30を過ぎても、40を過ぎても、圧倒的に肉大好きなままで、野菜中心の和食は苦手である。 たぶんきっと、このまま行きそうな気がする。
<評定:B>

2004年11月24日  ROUGE 
L'HERITAGE DE CHASSE-SPLEEN 2001 / HAUT-MEDOC
レリタージュ・ド・シャス・スプリーン / オー・メドック
BORDEAUX地方、HAUT-MEDOC地区、AC:HAUT-MEDOC

L'eritage de Chasse-Spleen 01  忙しいので、手短かに。

 連日、深夜まで仕事をしていると、人生のための仕事ではなく、仕事のための人生みたいになってしまって、 非常に居心地が悪い(と、こんなことを書くと、毎日日付が変わってから帰宅することが普通なスーパービジネスマン 諸氏に笑われそうだが)。
 で、そんなときでもHPの更新をさぼれない私は、一体全体、誰のためにここまでやっているのでしょう。 そう、いつも見に来てくれるあなたのためにやっているのです。というのは、お仕着せがましいか。 ホントは当HP自身の連続更新記録のためだというのは、言うまでもない。
 ああ、早くこの殺人的忙しさから脱したい・・。

 本日また遅い夕食と共に開けたのは、格付ものではないもののとても有名なCh.シャス・スプリーンのセカンド。
 色はルビーに少し青みを入れたような紫。足が非常に長く、高い粘着性。
 まだ若いせいか、かすかにシシトウのような青臭みを残しつつ、インクや墨汁のような感じと、 熟し切れない黒い果実の香りも。
 口に含めば、まだタンニンは粗っぽく、酸も尖り気味。しかし、ぎっしり詰まった果実味に、有望な将来を感じ取ることができる。
 入手価格\1,980(本体価格1,886円+消費税94円)。カルフール箕面店にて。
 期待していた以上のスケール感に、思わず笑みがこぼれる。このクラスのワインで、「開けるのが早かった」と思わせてくれるなんて、 感謝感激。もう少し熟成させれば、きっともっと妖艶な魅力を見せてくれるに違いない。久しぶりに、星3つ(って、何の番組だ?)。
<評定:AA>

■2日後記■
 時間を置いても大丈夫だろうなと思いながら、ヴァキュヴァンで空気抜きしたボトルを翌日、 翌々日に飲んでみると、あれれ、どんどん魂が抜けてゆくような感じだ。
 最初に感じた芯のようなものはあっさりと崩れ、へなへななワインに成り下がっている。
 やっぱりそんなに力のないワインだったのだ。これを見抜けなかった私は、やはり素人以外の何者でもない。
 ワインのクオリティに関しては、値段以上に素直なものはないということか。
 で、トータルで評価し直せば、「A−」くらいが妥当ではないかと・・。


2004年11月27日  BLANC 
ISLA DE MAIPO CHARDONNAY 1999 / SANTA INES
イスラ・デ・マイポ シャルドネ / サンタ・イネス
チリ、DO:MAIPO VALLEY

Isla de Maipo Chardonnay 99  女王様好きです。

 先日、大塚愛ちゃんのことを熱く書いたから、私が熱烈な愛ファンだと思われるかもしれないが、 実際、アルバムを買ったこともないし、せいぜいTVやFMで見聞きしているくらいである。 しゃべると関西イントネーションだという所に、親近感を感じるというのはある。
 だが、私は無国籍人なので(って、紛れもない日本人だが)、歌舞伎町の女王・椎名林檎も好きだ。
 土曜の夜のお楽しみCDTV(TBS系・カウントダウンTV)に東京事変(椎名林檎を中心とする新ユニット) が出ていて、ああやっぱりステキと思った。やっぱり私は、女王様好きなのかもしれぬ。

 さて、今日登場は、チリ・シャルドネのハーフボトルだが、ヴィンテージが99年と、ちと古い。 もしかしたらイッチャッテルかも?と思いつつ、面白いから買ってみたもの。
 グラスに注ぐと、色は予想以上に濃い。ほとんど黄金色といっても良いくらいで、 熟成したSAUTERNESほどではないが、STE-CROIX-DU-MONTの軽いヤツみたい。一般的なPREMIERES-COTES-DE-BORDEAUXの白甘よりなんかは明らかに濃い。
 やはり少しひねた感じはあるものの、はちみつにも似たたっぷり感のある甘い香りと、 アプリコット的な妖艶さがある。
 口の中でその甘さと、うまく残存している酸が調和して、干しぶどうのような味わいになる。 でも、シャルドネのきれいさは失っていない。
 裏ラベルには、こんなことが書いてある。
「洋梨やバナナ、ヴァニラの香りが豊か。フレッシュでみずみずしい辛口で気品ある余韻が残る」
 ヴァニラの香りは残っているが、それでも黒糖的に変化しているし、洋梨とかバナナの感じはまったくない。 フレッシュ感もない。そこに、かなりの時間の経過を実感する。
 ハーフボトルで、入手価格は\689(本体価格657円+消費税32円)。成城石井阪急三番街店にて。
 この値段にしては、面白い体験をさせてもらったと思う。若干、熱にやられているのかもしれない。でも、 なんとか踏みとどまっている、ある種、はかなげな感じに心打たれた。
 例えば、ひなびた温泉旅館の美しい若女将(38)に会ったような感じか。 そりゃあ世間には、もっとぴちぴちした娘や、良家のお嬢もいる。でも、この人にしか醸し出せないオーラってのが あるんだよねぇ。
<評定:B>

2004年11月29日  BLANC 
ISLA DE MAIPO SAUVIGNON BLANC 2003 / SANTA INES
イスラ・デ・マイポ ソーヴィニヨン・ブラン / サンタ・イネス
チリ、DO:MAIPO VALLEY

Isla de Maipo Sauvignon Blanc 03  大臣の資格ありません。

 中山文科相が、大分県で開かれたタウンミーティングに出席し、日本の歴史教科書について、
「極めて自虐的で、やっと最近、いわゆる従軍慰安婦とか強制連行とかいった言葉が減ってきたのは本当に良かった」と発言したらしい。
 また、自らが自民党有志の「日本の前途と歴史教育を考える会」の座長を務めていたことから、 「日本の教科書は、政治家が悪いんだと思うが、極めて自虐的な『日本は悪いことばっかしてきた』というもので満ち満ちていた 時があった。これは何とか直さないといかんということでやってきた」と説明したという。
 それだけに留まらず、「どの国の歴史にも光と影はある。悪かったことは反省しないといけないが、 すべて悪かったという自虐史観にたって教育だけはしてはいけない」とも発言したという。
 どの国の歴史にも光と影はある、というのは確かにそうだ。だが、"普通の国"は皆、侵略戦争をしてきたのだから、 日本もしてきたのは仕方ないなどという理屈にはならない。皆がやっているから、自分の行いも罪ではないなどという論理がまかり通るのなら、 それこそ「赤信号みんなで渡れば恐くない」である。そんな屁理屈を絶対に認めてはならない。
 他の国がどうであろうが、日本がしてきたことの中には、決して許されないことがたくさんある。 にもかかわらず、まるで"それを認めると日本男児の沽券にかかわる"と言わんばかりのジジイが多すぎる。 レベルが低い。感性が鈍い。アンタは自分を何様だと思ってるんだ(この手のジジイを、「オレ様」という)。
 中山氏いわく、"教科書が自虐的なのは政治家が悪い"そうだが、 そういうアンタのような人間が政治家をやっていることこそが悪いのだ。いい気になるなと言いたい。 こういう人間に文科相など任せられない。即刻クビにすべきである。
 "自虐史観"という言葉のお好きな人間を、私は徹底的に嫌いである。 何が自虐だ。過ちを過ちと認めない人間など、人を愛する能力が欠如しているとしか言いようがない。 他者がどうだとかは関係ない。"外交戦略"とか上等そうな言葉を振りかざす連中に、 アンタには人間としてのハートがあるのか?と真正面から問うてみたい。
 いかなるごたくを並べようとも、戦争を肯定する思想には、私は絶対に賛同しない。どんな理由があろうともだ。

 さて、エキサイトした後のwineは、昨日に引き続き、チリの廉価版白。
 色は淡い麦わら色。春先の芝生のような、元気で青々した感じのハーブ香。 少しビニールみたいな感じもある。
 酸が強く、口の中でぴりぴりする感じだが、同時に青っぽいフレーバーが広がって、いかにもソーヴィニヨンだなあ、 という味わい。
 軽やかで、ジメジメ感はなく、キリッとした後味はお見事。 これなら色んな和食に合うと思う。
 入手価格は、ハーフボトルで\689(本体価格657円+消費税32円)。成城石井阪急三番街店にて。
 99シャルドネとはまったく系統が正反対。こちらは、清里高原で偶然すれ違ったステキな彼女(19)ってな感じか。 まあどっちも魅力的であることには違いない。
<評定:A>


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