2004年12月
2004年12月1日 ROUGE
BEAUJOLAIS NOUVEAU 2004 VENDANGE DU 20 SEPTEMBRE / MOMMESSIN
ボージョレ・ヌーヴォー ヴァンダンジュ・デュ・ヴァン・セプタンブル / モメサン
BOURGOGNE地方、BEAUJOLAIS地区、AC:BEAUJOLAIS
そこまでして従順な人間を作り出したいのか。
昨日の新聞を見ていたら、毎日新聞の読者投稿欄に、都立高校教員の方からの投稿があった
(毎日新聞2004年11月30日・4面「みんなの広場」)。
「なぜ生徒が判断する自由を奪う」と題する文章で、国旗・国歌に関する現場からの生々しい実態報告だ。
その投稿によれば、今年の卒業式では、都教委からの通達に基づいて、
すべての都立高校で職員に対し「壇上正面の国旗に向かって起立し、国歌を斉唱せよ」という職務命令が出されたとのこと
(これって、大の大人に向かって、「ハンカチと鼻紙を絶対に持参せよ。さもなくば処分するぞ」と言ってるようなもの。ああ、あほらし)。
すべての椅子は正面に向けられ、卒業生と在校生が向かい合うことも、担任席を卒業生の方に向けることも許されなかった
と投稿者は綴る。そして、全校に都教委の職員が配置され、職員席には名札が張られて命令に従わない職員を処分したという
(そんなくだらないことをするために、都教委の職員に税金から給料が払われているなんて、都民をバカにするのもいい加減にしろ)。
さらに、不起立生徒が多い学校では、そのことで職員が処分されたりしたという。つまり、職員の処分という方法を通じて、
規制は実質的に生徒にまで及んでいる。
こんな状況でも、「強制はしていない」なんて白々しく言い放つのかい? え? イシハラさんよ。
冗談も休み休み言え。
なぜ、こんな馬鹿げたことに血道を上げているのか。信じられないを通り越して、
逆にこんな心の貧しい都教委の連中が、不憫にすら思えてくる。
「ルールに従わせるのも教育だ」などという発言をする者もあるが、それはまったく間違っている。
馬鹿げたルールに無理やり従わせるのは、「どんなルールでも、ルールに従っておきさえすればそれでよい」
という無気力無責任な人間を作り出すだけだ。
いつも言っていることだが、私は、国旗や国歌を敬うことを否定しているのでは決してない。
尊敬の心を持つことは大切なことである。だがしかし、こんなことで、真に敬う気持ちが育つことは絶対にない。
偏った軍国ジジイ連中に、子供の思想を操作する権限など、ありはしない。
この件に関しては、私は何度でもしつこく声を上げるつもりだ。
こんな子供じみたことが繰り返される日本の現状を、私は本当に、異常で恐いと思う。
少し間が空いたが、そして月も変わってしまったが、また新酒を。
薄紫で、透き通っていて、ヌーボーらしい色。熟しきっていないトマトみたいな、鋭い香り。土っぽさもある。
味は、非常にテンションの高い酸が特徴。ぼやけたところはなく、若さよりも厳しさみたいなものを感じる。
飲み込むと、口中には味が残らない。驚くほどスッキリ、あっさり。
入手価格\2,989(本体価格2847円+消費税142円)。成城石井阪急三番街店にて。
Vendange du 20 septembre(9月20日収穫)とエチケットに明記されているし、
Tirage limité de 24000 bouteilles(24,000本限定)のうちの No.15779 という表記もある。
数量限定というのは、私も含め多くの人の気を引くようで、店頭のPOP効果もあり、
解禁日の売れ行きは絶好調であった。
今年飲んだものの中では、最もヌーボーらしさを感じたといえる。甘さの片鱗もなく、
スッキリして一本筋の通った味わい。だが、値段に見合った充実感があったかといえば、
ちょっともの足りない。
<評定:C−>
2004年12月2日 BLANC
MACON-VILLAGES 2002 / ROUX PERE & FILS
マコン・ヴィラージュ / ルー・ペール・エ・フィス
BOURGOGNE地方、MACONNAIS地区、AC:MACON-VILLAGES
取りやすい所から取るという、姑息な増税は×。
麦芽を使用せず、「第3のビール」と呼ばれているビール風酒類の税率を引き上げようと、財務省は検討していた。
しかし、メーカーや消費者の根強い反対もあり、結局そのような狙い打ちを断念して、すべての酒類について税率を見直し、
税収増を図ろうという方針に転換される模様だ。
財政赤字を解決すべきなのは当然で、そのために増税という手段はやむを得ない。
だが、手っ取り早く取れそうなところから取ろうというのは、いかにも姑息だ。
今回の増税劇の背景には、サッポロ・ドラフトワンの快進撃がある。
麦芽を使わないため、これまでのビール・発泡酒のカテゴリーには収まらず、
より低い税率が適用され、発泡酒より販売価格が安く抑えられているものだ。
メーカの努力の末にヒットした商品も、このようなあからさまな狙い打ちが行われることで、
その技術が無駄となり、消費者の利益は失われてゆく。
増税をするなら、庶民の購買意欲を削ぐようなやり方は、できる限り避けるべきである。
大衆品ほど、たくさん売れてくれれば、税率が低くとも結果的に税収は増える。
経済学的な言い方をすれば、消費需要の価格弾力性(言いかえれば、増税が需要量に与える限界的な効果)を充分に分析した上で、
税率アップは議論されるべきなのである。
今日のワインは、キャップシールを取った瞬間、やばいかな?と思ったもの。
カビがびっしりとついていたのだ。
無論、コルクの外側にカビがついているのは、必ずしも悪い状態とは言えない。
だから、抜いてみないとわからない。
幸い、コルクの下部はきれいなままだったので、ブショネではないだろうということで、ホッとした。
香りはブルゴーニュのふくよかなワインらしく、炒ったピーナツやヘーゼルナッツみたいな、はじける香ばしさが立つ。
その奥に、パイン、メロン、クリームなどの香り。
口中に、その妖艶さが広がる。それと共に、少なからず湿地帯のコケのようなジメジメ感があって、
やはりちょっとやられている感じが。
グレーとまでは言えないが、限りなくグレーに近く、RGB値で言えば#CCCCCCくらいか(マニアックな表現で失礼!)。
でも、不味いわけじゃないし、まあいいか。すぐに味が変わりそうなので、なるべく早いうちに飲んでしまおう。
入手価格\1,589(本体価格1,514円+75円)。成城石井阪急三番街店にて。
<評定差し控え>
2004年12月5日 BLANC
LES TERRASSES 2003 / VIN DE PAYS DES COTEAUX DE L'ARDECHE
レ・テラス / ヴァン・ド・ペイ・デ・コトー・ド・ラルデシュ
V.d.P.
祝 半年間皆勤賞!
当サイトは、今年の6月6日から本日までの半年間、1日も欠かすことなく、連続更新を達成した。
この利酒日記と、ビール・発泡酒・チューハイの部屋
のどちらかを必ず更新してきた。ということは、この半年間、アルコールを飲まない日はなかった
ということだ。
こうしてあらためて文字にすると、不健康極まりない感じもするが、
それができたこと自体が健康の証であると言えなくもない。さすがに体調が悪かったら、酒など飲む気にならないからね。
それよりもたいへんだったのは、仕事の忙しいときだ。実は現在もそうだが、やるべきことが山積している時に
HP更新はつらい。よくそんなに時間がありますね、と言われることも多い。
だが、私にとって更新は、毎日食事をすることと同じくらいの日課になっているのだ。
半年間を達成して、少し気が楽になった。もういつ途切れてもいいかな、と思う。まあ、年内くらいは続けてみようかな。
さて、輝かしいこの日に開けたのは、V.d.P。いかにも安ワイン者らしいでしょ?
液色はグリーンがかって淡い。黄色い花と、生クリームみたいな甘い香りを感じる。
口に含むと香りの印象とは少し違って、酸が強く、シャープな味わい。適度な甘味と華やかさ。
苦味もあり、スッキリしたアフター。
香りだけだと、ヴィオニエかな、と思ったが、シャルドネとかも使ってるのかな?
入手価格\934(本体価格890円+消費税44円)。成城石井阪急三番街店にて(最近、頻繁にお世話になってます)。
この値段にして、申し分のない内容と言えよう。
<評定:B>
2004年12月9日 BLANC
登美の丘 信州シャルドネ 2001(信州産葡萄100%使用)/ サントリー
日本、長野県(醸造所:サントリー登美の丘ワイナリー 山梨県北巨摩郡双葉町大字大垈字道尾山2786-6)
仕方ないと思ってはいけない。国民をバカにしたやり方に慣らされてはいけない。
政府は、イラクへの自衛隊派遣を1年延長することを決めた。
どうせわかっていたことだから、今さら驚きもしないが、
そうやって「仕方ないなあ」と思わせる状況にもってゆく姑息なやり方が、
首相の常套手段である。我々は、今こそ、声を上げなくてはいけない。
どうせ最初から決まっているのに、サマワに閣僚を送りこんで、現地は安全なのだという見え透いたパフォーマンスをやってのけ、
与党内にすらある慎重論を完全に黙殺している。こんな卑怯なやり方を、絶対に許すわけにはいかない。
派遣の是非については、世論を吸い上げるべきなのに、口では「国民の声を聞く」と言いながら、
そもそも聞く気など微塵もありはしない。
最も問題なのは、自衛隊が現地でどんな活動をしているのか、まったく何も報道されないことだ。
きっと、明らかにしてしまうと、派遣延長反対の世論が強くなってしまうから、
報道させないようにしているのだろう。なんと国民をバカにした話か。
自衛隊がどのように復興に貢献しているかの具体的な情報が提供されないまま、これからも大本営発表は繰り返されるのだろう。
私は本当に何度も同じことを言うが、再度「ふざけるな」と言っておきたい。
さて、この納得ゆかない状況の中、開けるのはなんと日本のワイン。
サントリーご自慢の登美の丘ワイナリーで作られた白。「信州シャルドネ」と、「信州産葡萄100%使用」
の文字があるが、それはつまり、シャルドネ100%ではないということだろう。
ぶどうの産地は信州(長野県)なのだが、作られた場所は甲州(山梨県)。
色は淡いグリーン。香りを嗅いだ瞬間に、やばいかな、と思う。
ハーブ香というよりも、湿った草の香りがあり、イヤな感じ。
口に含むと、そのグリーンな感じが広がって、クリスピーな味わいはあるものの、
やはり生臭さが鼻につく。飲めないほどではないが、
悪く言うと雑巾臭がどんどん蓄積されてゆく。
せっかく久々の国産だったのに、残念な結果。でも、完全に不健康と言うよりは、
半病人くらいの感じだから、もしこれが健全だったら結構ふくよかで、果実味もあって、
良さそうだなあ、という想像はつく。
入手価格\2,110(本体価格2,010円+消費税100円)。阪神百貨店にて。
<評定差し控え>
2004年12月11日 ROUGE
CROZES-HERMITAGE 2001 / E.GUIGAL
クローズ・エルミタージュ / E.ギガル
COTES-DU-RHONE(北部)地方、CROZES-HERMITAGE地区、AC:CROZES-HERMITAGE
ビール・発泡酒のシェアを見て、思うこと。
今年のビール・発泡酒市場で、アサヒが初めてシェア40%を越す見通しだという。
ビールの中で「スーパードライ」がシェアを伸ばしたことと、発泡酒「本生」が好調であることがその要因と言われているようだが、
実は、第3のビールと言われるジャンル(サッポロ・ドラフトワン、サントリー・スーパーブルー等)が好調で、
これらは統計に含まれないことから、その分、サッポロとサントリーが、ビール・発泡酒の売り上げを落としたことも背後にあるらしい。
我々消費者からすれば、こんなシェア数字そのものには興味はないが、より安い商品が売れているから高い方が売れなくなっているという
事実は注目すべきこと。
発泡酒が登場した頃、ビールの売り上げが落ちたように、安い商品が市場を席巻する状況というのは、
経済に力がない証拠である。
その一方で、表参道、銀座、丸の内や、大阪の心斎橋、梅田などではブランドショップが花盛りで、
高級品が飛ぶように売れている。
このいびつな市場構造を見れば、経済の、そして社会構造の二極化が進展していることがよくわかる。
こんな状況で、庶民の味方と言われる第3のビールを狙い打ちした課税強化が行われると、どうなるか。
ビール・発泡酒・第3のビールすべてを合わせた市場は、おそらく縮小する。多少売上が減っても、税収は結果的に増えると思っているのかもしれないが、
ほんとうにそうだろうか。仮にそうなったとしても、増税が多くの国民に与える心理的インパクトの悪影響は、計り知れない。
幸い、今回の狙い打ち増税案は見送られることになったようだが、今の政府の考えることといったら、
徹底的に弱者を握りつぶして、強者だけをますます太らせようという方針で一貫しているようにしか見えない。
まったく嘆かわしい。
私は、発泡酒も、第3のビールも、新発売の時に味見をするだけで、普段買うことはないのだが(正直、おいしくないからね)、
これら存在の社会的意義の大きさは認めている。
私は、1人のワインラバーとして、いや、あらゆるアルコール飲料を愛する者として、ひとこと言いたい。
第3のビールや発泡酒を増税するくらいなら、ワインを増税せよ。税率はまだ低い。
できれば、価格の高いワインほど、高い税率を適用せよ。5,000円のワインが5,500円になったところで、
ワイン好きは買うのをやめたりはしないからね。
さて、今日のワインは、ローヌの定番、ギガル。その中でもあまりメジャーとは言えないかもしれないCROZES-HERMITAGE。
色は濃く、かなり黒っぽい。香りに火薬やイオウのようなインパクトがあって、その下に甘い果実香がある。
味も、スパイシーでありながら、果実味が豊か。チェリーのような可憐な酸も心地いい。
入手価格は\2,310(本体価格2,200円+消費税110円)。大阪・阪神百貨店にて。
さすがギガルと言える端正な出来映え。このクラスでこの味わいなら、申し分ないだろう。
<評定:B>
2004年12月12日 BLANC
COTES-DU-RHONE 2002 / E.GUIGAL
コート・デュ・ローヌ / E.ギガル
COTES DU RHONE地方、AC:COTES DU RHONE
私のスタンスは。
昨日、発泡酒や第3のビールについて、「これら存在の社会的意義の大きさは認めている」と書いた。
これについて、誤解のないように、もう少し言及しておく。
私は、当サイトの「ビール・発泡酒・チューハイの部屋」で、発泡酒などに関して、
事あるごとに否定的な意見を書いてきた。それは、ビール各社が、ただひたすら販売価格を引き下げるためだけに
発泡酒の開発競争をしているのは、味覚文化の貧困化を意味し、そんなところに技術力を投入するのは空しいだけであるという
考えに基づく。
それは、味覚にこだわる者の一人として、文化的成熟度という観点から好ましくないという考えであり、
この姿勢は今も変わらない。
しかし、その一方で、市場で発泡酒やドラフトワンなどが支持されている事実までをも否定する考えは、私にもない。
多くの人が選択するということは、そこに大きな意義があるからであり、
単に味覚という観点だけでなく、日常生活の潤いとしてのアルコール飲料の位置づけを考えれば、
庶民の苦しい生活の中でビール風味飲料の果たす役割は、決して小さくはないのである。
本当は、こんなまやかし物が流行る状況というのは、好ましいことではない。
だが、所得格差が広がり、弱者に対して暴力的な政治が展開されている昨今のような時代にあっては、
たとえまやかし物であっても、その存在の社会的意義を評価し、擁護しなくてはならない。
私個人の味覚では、発泡酒や第3のビールを選択することはないが、それらを「おいしい」と感じる人たちの味覚を否定する権利などないし、
すべての人の嗜好を認めることこそが、味覚に真摯に向き合う者のあるべき姿勢であると考えている。
昨日に引き続き、GUIGAL。今度は、ACローヌの白だ。
淡い麦わら色。白い花やクリームみたいな清楚で甘い香り。ツンとして酸も豊富そう。
口に含むと、確かに酸が強いが、尖った感じではなく、それ以上に華やかな甘味が前に出てくる。
ダージリンティのような高貴で香ばしいフレーバーも。
入手価格\1,312(本体価格1,250円+消費税62円)。大阪・阪神百貨店にて。
やはりこちらも期待を裏切らない内容であった。
<評定:B>
2004年12月15日 ROUGE
CELLAR SELECTION MERLOT 2003 / SILENI
セラー・セレクション メルロー / シレニ
ニュージーランド、HAWKE'S BAY
世間様の正体。
さいたま市で起きたドン・キホーテ放火事件に関するテレビ報道で、気になったことがある。
現場周辺でインタビューなどをし、ドン・キホーテは従来から周辺のことをあまり顧みず、
地元から相当反感を買っていた、というニュアンスの報道があった。
放火事件の原因を探るという文脈の中で、いかに同社が急成長を遂げてきたか、
その過程で、周囲を顧みない傍若無人な経営ぶりが幾度となく問題となってきたとも解説されていた。
それはまるで、火をつけられても仕方ないと言わんばかりだった。
ドン・キホーテがある意味無節操に事業を展開してきたというのは、確かにそうなのだろう。
そのために周辺の商店や住民との間に、トラブルがあったというのも、嘘ではないのだろう。
だが、そのことと、放火事件とは別である。事件の原因が、たとえ恨みを買ったものだったとしても、
放火は重大な犯罪である。たとえどんな理由があろうとも、許されることではない。
最近、急成長をして目立っている会社や、卓越した能力のゆえに目立っている個人に対して、
彼らが少しでも周囲と摩擦を起こそうものなら、寄ってたかって叩きにかかるという風潮がある。
世間に対して迷惑を掛けているヤツは、制裁を受けて当然、というわけである(イラク人質事件に際して起こった、
幼稚でヒステリックな自己責任論なども同根)。
また、そういう発言をする人たちは、決まって、「そんなわがままは、世間が許さない」などともいう。
そういう人たちに、私は言いたい。世間って、誰のこと? 許さないのは世間じゃなくて、あなたじゃないのか?
(こういうフレーズが、確か太宰治の小説の中にもあったっけ)。
自分がそれを気にくわないだけなのに、世間の常識にすり替え、「世間が許さない」などと発言する輩のことを、
私は「世間様」と呼んでいる。今回のドン・キホーテ放火事件に際しても、この「世間様」が多く出没した。
自分のことしか考えない「オレ様」も迷惑だが、この「世間様」の方が、タチが悪い。
なぜなら「オレ様」は単に純粋なわがままだが、「世間様」は自分の感情を、"世間の常識"という名前にすり替える卑怯な輩だからである。
他人の成功が妬ましいのなら、面と向かって「オレはアンタが嫌いだ」と素直に言ったらどうだ。
その意味で、ホリエモンに対して毒づいたナベツネ翁などは、典型的な「オレ様」である分だけ、まだマシだ。
さて、今日のワインは、いつも購入しているwine shop enotecaのchoiceというセット。
今月は、11本を選択し、トータルで税込17,850円。その1本目。
以前にも同じヴィンテージが登場しているニュージーランドのメルロー。
色は深めのルビー。きらきらと赤く輝き、美しい。
香りは最初から結構ウッディーで、バニラっぽく、深みがある。サンテミリオンにも通ずるような端正な佇まい。
口の中でその甘さと酸がうまく溶け合う。タンニンはやわらかく、すいすい飲める。
単体での通常価格は\1,575(本体価格1,500円+消費税75円)。
もうこの値段でこの品質なら、何も言うことはない。前回の自分のコメントを見ると、だいぶ違う印象を受けるが、
この数ヶ月の間に、いい具合に熟成が進んでくれたということなのだろうか。
<評定:A>
2004年12月17日 ROUGE
DOLCETTO D'ALBA 2003 / TENUTA CARRETTA
ドルチェット・ダルバ / テヌータ・カレッタ
イタリア、PIEMONTE州
表現の自由を守れ。
自衛隊のイラク派遣に反対するビラを防衛庁の宿舎に投函した市民団体の3人が住居侵入罪に問われていた事件で、
東京地裁は、無罪判決を言い渡した。
至極正当な判断だと思う。
判決は、無断で官舎に立ち入ったことは住居侵入罪を構成する要件にあたるとしながらも、
3人の行為は正当な政治的意見の表明であり、訪問販売などに比べて住民の被る迷惑は少ないと指摘。
にもかかわらず、正式な抗議や警告等の手順を踏まずいきなり検挙したのは憲法の主旨からも疑問、とした。
何より問題なのは、警視庁公安部のほうから被害届の提出を要請するなどして、自ら積極的に関与した点だ。
そして逮捕、75日間の拘留となった。
拘留中の取り調べでは、捜査員から、次のような薄汚い言葉で罵られたという。
「運動をやめて立川から出て行け」「二重人格のしたたか女」「寄生虫」「浮浪児」・・・。
こんな非人道的なことが許されるだろうか。大いに問題にしたい。
ビラを配ったくらいでいきなり逮捕されるのなら、どこの集合住宅にも毎日のように投函されるピンクチラシなど、
重大な犯罪だ。小さな子供のいる家庭では、本当に迷惑している。あれを取り締まらないで、正当な政治活動のほうを取り締まろうとする
公安警察の態度は、常軌を逸しているとしか言いようがない。
最近、こんな形で思想や表現の自由がどんどん侵食されている事実は大いに問題だが、私がもっと重大な問題だと思うのは、
こういうおかしな風潮に何も思わない国民が増えていること。何も思わないどころか、体制にものを申す私のような態度に対して、
サヨクなどというレッテルを貼ろうとする輩がのさばっていること。
左でも右でも上でも下でもなんでもかまわないが、そんなステレオタイプな意見しか言えない連中は、
単なるバカだと申し上げたい。そんなくだらない、次元の低い罵り合いに付き合うつもりはない。
もちろん、そういった低次元の発言も守られなくてはならない。それが民主主義だからだ。
11本17,850円セットの2本目はイタリア。有名なDOCなのに、なんと当日記初登場だ。
赤系も青系も共に深い紫。干しぶどうや干しいちじくみたいなドライフルーツっぽい枯れた香り。
口の中で甘酸っぱい果実味が弾ける。タンニンもそこそこ力がある。が、落ち着きや気品といった要素は感じられない。
若いイタリアらしいといえばらしいが、奔放なだけではすぐに飽きてしまう。
単体での通常価格は\1,890(本体価格1,800円+消費税90円)。
私がこういうタイプを好まないだけなのだろうか。どうしても魅力に乏しく思えてしまう。
その割りにちょっと高いかな。
<評定:D>
2004年12月19日 BLANC
PRIVATE SELECTION CHARDONNAY 2002 / ROBERT MONDAVI
プライヴェート・セレクション シャルドネ / ロバート・モンダヴィ
アメリカ、CALIFORNIA州
ちぐはぐです。
公共事業削減というのは、現内閣の看板の一つのようなものだが、整備新幹線の建設が、あれよあれよという間に、
決められてしまった。
もちろん必要な公共事業はすべきである。何でも削ればいいというものではない。特に、地方や弱者が切り捨てられる形での削減には、
私は大いに反対する。だが、整備新幹線は、本当に必要なのだろうか。
たとえば長崎ルートは、既に在来線特急があり、新幹線が開通しても、所要時間の短縮は微々たるもの。
地元の人々の間にも、新幹線などいらないという声が多いと聞く。
わが関西に目を転ずれば、関西国際空港2期事業の2007年供用開始が決められた。あの遠くて不便な関空である。
一方、大阪(伊丹)空港は、騒音問題もあって第2種空港に格下げされることになった。だが、この裏には、
関空の発着回数を増やしたい国の意向がまずあり、伊丹の地元が従来から騒音対策を求めてきたことをいわば逆手に取った形だ。
不便だから利用者が伸びない関空を、もう作ってしまったから後には引けないといって、
目の上のたんこぶの伊丹を抑え込もうとする。そこには、利用者の利便性に対する配慮など微塵もない。
しかも、同じ関西に、第3の神戸空港まで建設される。地元住民は不要だと言っているのにもかかわらずである。
国が多額の借金を抱える中で、こんなふうに国民のためにならない無駄遣いが続けられている。
それで、財政が苦しいから増税しますだなんて、とても容認できるものではない。
配偶者特別控除の廃止、定率減税の段階的廃止など、着々と国民負担増は推進されている。
増税は何でも反対なんて、どこかの党みたいなことを言うつもりはない。必要な増税なら行うべきだ。
だが、その前に無駄遣いをやめなくてはならない。
必要なものを犠牲にする一方で、不必要なものを継続し、それで改革なんて言っている。ホントに、今の口先首相になってからというもの、
良いことなんてただの1つもやってくれてないじゃないか。
さて、今日のはセットものではなく、単品入手。カリフォルニアのシャルドネ。ハーフボトルである。
色はイエローグリーンで淡い感じだが、香りはかなりふくよか。
ナッツの香ばしさに、カスタードの甘さ。
味はもっとずっしりと重たい。酸は強くなく、カスタードクリームの甘さ、ねっとり感が全体を支配。
明らかにカリフォルニアを感じさせる陽気さ。
入手価格は、確か1,500円程度だったと思う(はっきりと記憶していない)。enoteca大阪店にて。
フルボトル換算で3,000円クラスだが、ちょっとどうかと思う。
確かに不味くはないし、土地柄が良く出ているのだが、もう少しデリケートさが欲しい。
<評定:D>
2004年12月21日 ROUGE
LE PIGEOULET DES BRUNIER 2002 / VIN DE PAYS DE VAUCLUSE
ル・ピジュレ・デ・ブリュニエール / ヴァン・ド・ペイ・ド・ヴォークルーズ
V.d.P
本人の意思を尊重すると言ったはずなのに。
合併球団オリックス・バファローズと、旧近鉄・岩隈投手との間の問題は、昨日の実行委員会でも答えが出なかった。
そもそも合併にあたって、小泉球団社長は、
合併球団に入るか新規参入球団へ移るかについては、選手の意思を尊重すると明言した。
当初から新球団移籍を希望していた岩隈投手の意思は、当然尊重されるはずであった。
ところが、合併球団は彼をプロテクト対象とした。
岩隈にしてみれば、「話が違うじゃないか」の一言だろう。
そもそも球団の勝手で合併を決めたのだ。最初から近鉄が身売りを決断していれば、
こんな事態は訪れなかった。
本人がここでは働きたくないと言っているのだ。旧近鉄の主力選手ばかりを優先的に確保しようなんて、
そんな身勝手なことが思い通りゆくはずはない。
楽天イーグルスに良い選手が集まれば、来年のパ・リーグは面白くなるに違いない。
その意味からも、私は一野球ファンとして、岩隈の楽天移籍を支持する。
本日のワインは、11本17,850円セットの3本目。私にとって初体験のV.d.P。
色は鮮烈なルビー。甘酸っぱい香りと、炸裂するスパイシーさと、皮革っぽさもある。
およそV.d.P.とは思えない香り。
口の中でぴちぴちした甘酸っぱさが広がる。タンニンもシルキー。
この豊かな果実味から、思わず、
カジュアルなACブルゴーニュなのではないかとすら思えてくる。
セパージュは不明だが、おそらくピノが使われているのではないか、と思う。
単体での通常価格は\1,995(本体価格1,900円+消費税95円)。
あと500円くらい高くても、何も文句はない。
ところで、当サイトは本日で連続更新記録が199日となった。
明日でいよいよ200日達成の予定である。なんだか止められなくなってきたな・・。
<評定:B>
2004年12月24日 ROUGE
CHATEAU LUMIERE 1997(青山学院130周年記念ボトル)
シャトー・ルミエール
日本、山梨県東八代郡一宮町南野呂624
聖夜に思うこと。
クリスマスと聞いて私がどうしても思い出してしまうのは、母校のことである。
私自身、洗礼を受けているわけではないけれど、プロテスタントの学校で青春時代を過ごしたことは、
その後の精神生活というか、人生観に少なからぬ影響を受けている。
私はいつも好き勝手なことばかり言っているが、その根底にあるのは、人は皆違う価値観を持っているからこそ、
自分の思いを100%きっちりと伝え、相手の思いも100%きっちりと受け止めなくてはならないという考え方である。
人間として私にできることは、ただ他者のありのままを受け入れ、許すように努力することだけである。
キリスト教的に言えば、すべてを許すことができるようになるために、我々は人生という修行をしているのだと思っている。
世界のすべてのいさかいは、不寛容(許せないという気持ち)から生じる。
規律とか秩序といったスタイルを好む人は、各自がわがままを抑えれば人間関係はうまくゆくと主張するが、私はそうは思わない。
自分を抑えれば必ず心にゆがみが生じる。抑えるのではなく、わがままを完全に主張し合って、
その相手の不完全さをそのまま容認し合うことでしか、お互いに救われる道はない。
ジョン・レノンのimagineみたいに、理想論と言われるかもしれないが、私はそれを実践してゆきたい。
で、先日母校・青山学院から買ったwineである。
母校の大先輩が山梨で作っているwineだから、評価するなんて差し出がましいのだが、遠慮なく斬りたいと思う。
色は深みがあり、ボルドーのようなガーネット色。干しぶどうのような、梅酒のような、シェリーのような香りに特徴がある。
端正な酸。タンニンはシルキーで、さらさらしている。枯れた果実の風味に重みはなく、あっさりしすぎの印象。
裏ラベルに、「自家農園のカベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、メルロー等をブレンドした華麗で重厚なワインです。」
とあるが、重厚さはないと思う。ただ、日本のテロワールを考えれば、このきめ細かさは必然で、この赤ならば、和食にも合わせやすい。
エチケットに、The Salt of the Earth, The Light of the World Mt.5: 13-16
(「地の塩、世の光」 マタイによる福音書第5章、第13〜16節)という聖句が書かれている。
入手価格は、赤白2本セットで\5,775、1本あたり\2,887(本体価格2,750円+消費税137円)。
白も近いうちに開ける予定。
<評定:C−>
2004年12月25日 [1] SPARKLING
LORIDOS EXTRA-BRUTO 2001
ロリドス エクストラ・ブルート
ポルトガル
今日は2本登場。まず1本目。
クリスマスは、まず泡、ということで、今日開けたのは、ポルトガルのもの。
11本17,850円セットの4本目である。
色は極めて淡く、軽そうな印象だが、しっかりとしたハーブ香や花の香りをたたえ、
まったく予想していなかった深みがある。
口の中でシャンパーニュのようなじんわりした旨味が広がる。う〜ん、うまい、と思う。
少し甘味を伴う点が、あれっ?という感じだけれども、こんなに本格派だとは思わなかった。
RF1で買ってきたずわいがにのサラダとは、すばらしいマリアージュだった。
単体での通常価格は、\2,079(本体価格1,980円+消費税99円)。たとえば倍の値段のシャンパーニュでも、
もっと薄っぺらいものはあるので、そう考えると、恐ろしくお買得。
エクストラ・ブルートとは、フランスでいうところの、エクストラ・ブリュット。つまり超辛口。
<評定:A+>
2004年12月25日 [2] BLANC DOUX
MONTES LATE HARVEST "BOTRYTISED GRAPES" 2003 GEWURZTRAMINER-RIESLING
モンテス レイト・ハーヴェスト "ボトリタイズド・グレープス" ゲヴュルツトラミナー・リースリング
チリ、DO:CURICO VALLEY
そして、2本め。
私の中では、クリスマスというと泡とともに、やはり貴腐である。以前にも開けたことのあるチリ・モンテスの遅摘み。
ハーフボトル。
色はまだ若そうな山吹色。香りはいちおう貴腐らしく、アプリコット香とともに接着剤というかシンナーみたいな感じ。
甘味に力はなく、爽やかさの方が勝る。酸もほどほどで、今ひとつ食い足りない。軽やかだから、すいすい飲める。
チョコレートケーキ(ヨックモックのプチ・ロンド・ショコラテ)には力で負け、ロールケーキ(同じくヨックモックのキャラメルプリン入りロールケーキ)
とはうまく合っていた。
enotecaにて単品入手。正確な値段の記録がないが、確か1,900円程度だった。フルボトル換算で、4,000円未満。
貴腐にしては手頃だが、やはりもの足りなさは否めない。まだ若すぎたのかな。
<評定:C−>
2004年12月28日 BLANC
CHARDONNAY 2002 VALLE CENTRAL / BARON PHILIPPE DE ROTHSCHILD
シャルドネ ヴァレ・セントラル / バロン・フィリップ・ド・ロートシルト
チリ、MAIPO
2004年を振り返って〜その1
今年を振り返って思うことは、実にイヤな年だったということ。
私の個人的な生活の話ではない。世情が、である。
私が思う今年最悪のキーワードは、「自己責任」である。
言うまでもなくイラク人質事件に端を発した言葉だが、この国がいかに冷酷な国に成り下がっているかが、よくわかった。
今の日本という国は、権力側の言うことを聞かない人間の命は救わないということが、明らかになった。
特に、無惨な死を遂げた香田さんの事件が起こった後でも、国は何もしなかった。ただ、テロに屈するなという言葉を繰り返すのみで、
秩序を乱した人間は殺されても当然であると、首相自ら認めた格好だ。そういう冷血な人間が、この国を動かしている。
こんな国を愛せだなんて、ちゃんちゃらおかしい。国民を馬鹿にするな。
本来「自己責任」とは、行動を起こす当人が自発的に自覚すべきことで、他人を裁くために使う言葉ではない。
多くの国民自身が、そういうことをはき違えている。まさに国家的な魔女狩りが進行している。
そして、もうひとつの忌まわしいキーワードは、「勝ち組・負け組」である。
そもそも今のような階層化社会を望み、推進しているのは、自らを「勝ち組」と自覚している一部の特権階級である。
国民の8割がたは「負け組」に追いやられているのも気づかずに、「自由競争は時代の必然」などとみな呑気なことを言っている。
自分だけは負けていないと思いたいのかもしれないが、競争の土俵に乗る権利が与えられているのは、そもそも一部の特権階級だけなのだ。
インターネットなどにうつつを抜かしている私もあなたも、既にして「負け組」なのだ。そんな区分け自体、忌々しいけれど。
先日TVで、関西ローカルのバラエティ系討論番組を見ていたら、芸能人(確か、大竹まこと氏だったと思う)が、こんなことを言っていた。
「今、銀行にお金を預けても0.0何%しか利息が付かないのに、借りると2.何%とかそれ以上金利を取られる。銀行は儲かるのは当たり前。
不良債権が減るのは当たり前。ここまで我々国民が犠牲になって銀行を助ける必要があるのか」と発言した。
それに対して自民党参議院議員の舛添要一氏が、「それはあなたの努力が足りないからだ。スーパーで物を買うときだって、
広告を見比べるでしょ?それと同じで、銀行にもお得な商品はたくさんある。それに、金利が高いと思うなら、交渉して下げさせればいい」
というような返答をした。
またそれに対し、確か、桂ざこば氏だったと思うが、「それは嘘っぱち。低金利で借りられるのは、既にたくさん預金をしている金持ちだけで、
庶民は高金利で借りるしか方法がない」と言い返した。
芸能人の方が、真っ当で、現実を正しく見ていると私は思う。舛添氏は、既に特権階級だからわからないのか、否、わかっていてわざと
自分に有利な屁理屈を強弁しているだけだと思うが、こんな強者の論理が平気でまかり通っているのが、今の日本の現実だ。
「自由競争の世の中で不利益を被るのはアンタが悪いんだ」というような暴力が、暴力とすら自覚されていない。決して自由競争なんか
保障されていないのに。
誰でも頑張れば報われて「勝ち組」になれるなんて、大嘘である。自由競争という言葉を振りかざす政治家や財界人の言うことを鵜呑みにしてはならない。
後日、今年の総括第2弾をしたいと思う。
さて、今日のワインは11本17,850円セットの5本目。以前にも取り上げたことのある、
チリ・シャルドネ。バロン・フィリップによるワインである。
色は薄いイエローグリーン。香りは甘く、クリームや黄色い花、梨、パイナップルの香りもある。
酸も強いが、甘味はそれに勝っている。実にトロピカルな味わい。深みはないけれども、南米らしい陽気な味。
単体での通常価格は\1,575(本体価格1,500円+消費税75円)。
さすが、価格に比べて充実感がある。前回飲んだときの私の感想を見ると、もっとシャープな味わいだったみたいだが、
今回はよりトロピカルな感じが強くなっている。半年以上の時間がたったからだろうか。
どっちがいいかは好みによるが、今回のコンディションのほうが、チリらしいと思う。
<評定:C+>
2004年12月30日 ROUGE
CHATEAU FONBADET 1997 / PAUILLAC
シャトー・フォンバデ / ポイヤック
BORDEAUX地方、HAUT-MEDOC地区、PAUILLAC村、AC:PAUILLAC
2004年を振り返って〜その2
今年、私が忌まわしいと思ったキーワードは「自己責任」と「勝ち組・負け組」であると28日に書いたが、私と同じような視点で、
世情を鋭く斬っている著名人も数多く存在する。
そんな中から、私が今年読んで共感した本をいくつか紹介したい。
・香山リカ 「<私>の愛国心」 ちくま新書、2004年8月(700円)
現在のこの国の危うさを、冷静に分析している。著者は精神科医で、専門分野の視点から社会の病理性を解説しており、
その切り口は独自だが、実に論理的。
愛国心がことさら強調されている今の日本の現状は、自分に自信が持てない、拠り所がない人々が、
強い国という救いを求めているに過ぎないと喝破する。卓見である。
・辛淑玉 「怒りの方法」 岩波新書、2004年5月(700円)
社会的マイノリティを自覚する著者が、いかにして怒りを表現すべきかを、軽妙に語る。
最近のさばっている軍国主義的マザコン政治家を鋭く斬る舌鋒は、実に小気味よい。
・荷宮和子 「声に出して読めないネット掲示板」 中公新書ラクレ、2003年12月(740円)
ネット掲示板「2ちゃんねる」を題材に、現在いかにネットの世界が保守化し、反戦思想が消滅し、
薄汚い言葉で「負け組」をののしることが横行しているかを解説する。ネットを題材にしていながら、
実は社会そのものの痛烈な批判でもある。
上記3冊とも著者は女性だが、まったくの偶然である。たまたま私が共感した本を選んだ結果である。
これらの本を捉えて、現実を見ない理想論とか、時代遅れとか、単なる女のヒステリーなんて言いたいオヤジが
いっぱいいることだろう。だが、そういう連中こそ、非論理的、感情的なだけなのだ。
3冊とも新書であり、入手しやすいので、ぜひご一読をお勧めする。
さらに、単行本では、次の2冊をお勧めしたい。ここでは内容の紹介はしないが。
・橘木俊詔(編著) 「封印される不平等」 東洋経済新報社、2004年7月(1,800円)
・森達也 「世界が完全に思考停止する前に」 角川書店、2004年10月(1,300円)
さて、今日のワインは、セットものではなく、単品入手のハーフボトル。
今夜は訳あって一人で夕食を摂ったので、自分で作る、ということはせず、ここぞとばかりコンビニ弁当を買いに行った。
こんなことでもない限り、食べる機会もないのだ。
で、コンビニの鶏そぼろ弁当にぶつけたのが、これ。弁当にポイヤックなんて、なんという贅沢と思いながら。
色はやや赤っぽいが深い。香りは、ああ確かにポイヤックと思える黒っぽい果実や、若干の焦げ臭や、動物臭などを感じる。
なかなかいいじゃないか。
ところが、口に入れて、印象は一変。薄っぺらいのだ。端正というより、さらさら・スカスカ。
最初の印象が良いだけに、落差が激しい。
ハーフで入手価格\1,289(本体価格1,228円+消費税61円)。成城石井阪急三番街店にて。
まあ、このAOCでこの値段なのだから、文句は言えない。偉大なるポイヤック風味を、一応味わわせてくれるし。
ところで、明日は外で夕食を摂る予定なので、ワインを開けない可能性が高い。
当日記はこれが今年最後かもしれない。
今年一年、「利酒日記」及び「K氏の葡萄酒的日常」をご愛顧くださり、
ありがとうございました。良いお年を。
<評定:C>